ディスクユニオン ジャズスタッフ 2月度レコメンド・ディスク

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2021.02.26

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ディスクユニオンのジャズ専門館スタッフが新譜の中で一押ししたいオススメ作品をご紹介!
今月リリースされた最新新譜はもちろん、改めて聴いたら良かった準新譜もコッソリと掲載。
最新新譜カタログ的にも、魅力ある作品の発掘的意味合いでも是非ご一読ください!

 





LUCIA FUMERO / UNIVERSO NORMAL / JazzTOKYO 丸山
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008243651

名盤の気配漂う、今期絶対に見逃せない一枚!  カタロニアの SEED MUSIC が新設立したジャズ部門レーベル SEEDJAZZ よりリリースされた 2作品のうちの 1点がこちら、バルセロナで活躍するルシア・フメロ (p, vo) のデビュー盤となる 2020年作品です。テテ・モントリューのバックも務めたアルゼンチン人ベーシスト、ホラシオ・フメロを父に持つルシア。現代的センスに満ちた瑞々しいサウンドを奏でるピアノトリオ編成を基軸に、曲によってはコーラスを伴ったアンサンブルを展開しています。11曲目にジョアン・チャモロ門下のリタ・パイエス (tb, vo) が参加。新たなフェーズに突入した世界の求める "新しい何か" を存分に感じさせる、麗らかな春の幕開けにふさわしい爽やかな傑作です。





SHINTARO NAKAMURA / Evolution / JazzTOKYO 山田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008204939

和ジャズの大きな魅力のひとつは、その当時の日本人にしか出せない独特のグルーヴとアトモスフィア、端的に言えば、特有のいなたさではないだろうか。この点は本来、日本人がジャズをやるにあたり、出来る限り排すべく練習を重ね、克服するべき点でもあった。しかしながら現在はその点がむしろ海外から評価されうる要素のひとつにもなってきているのである。
本作は大阪出身のベーシスト、中村新太郎が渡米した際にニューヨークで収録した作品。クインテットのうち半分は日本人なので、一応和ジャズの範疇には入る作品だろう。ただ、問題は内容である。これを音だけ聴いて、「和ジャズだ」と答える人がどれだけいるだろうか。和ジャズ特有の心地よい拙さは全く感じられず、むしろ本場本物のハード・バップ~モード・ジャズ、ブラック・ジャズの熱気を十二分に感じることができる。リズム隊が二人とも日本人なのにもかかわらず、この空気感、このグルーヴを出せていること自体が、和ジャズと米国のジャズ教育が絶えず進化し続けた証明であるということに改めて気づかされる。
この後、小曽根真など世界的に活躍するニュー・スターが続々登場し、フリーやフュージョン優勢だった日本人によるジャズはモダンへと回帰してゆくことになる。その中で、今作こそが、その独自性を評価された"和ジャズ"と、本場にも引けをとらない世界基準の"日本人ジャズ"の狭間とも言うべき一枚なのだ。





CHRIS POTTER / THERE IS A TIDE / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008204432

コロナ禍はミュージシャンの作品作りにも大きな影響を与えた。ブラッド・メルドーやフレッド・ハーシュのように家や別荘でソロ作を作る者、ハリー・アレンのようにリモート・セッションで作品を作る者、デズロン・ダグラスとブランディ・ヤンガーのように配信ライブを作品化する者……。クリス・ポッターの新作は、そのどれでもない、一人ですべての楽器を演奏して作り上げた作品である。リード楽器のみならず、キーボード、ギター、ベース、ドラム、そしてパーカッションまで。リード楽器以外の腕前はまずまずといった感じだが、リード楽器は本分たるサックスの他に、クラリネット、バスクラリネット、フルート、アルトフルートを演奏、たった一人でちょっとしたラージ・アンサンブル作品を作り上げた。最高レベルのテナー奏者による多重録音アンサンブルは完璧。そしてテナーやソプラノでのソロはいつも通り抜群のキレ味。パンデミックは起こらないに越したことはないけれど、こんな作品が聴けるのもコロナ禍だからこそ、でもあって、コロナ禍の功罪、なんてことを考えてしまう。





GABBY FLUKE-MOGUL / Threshold / 新宿ジャズ館 久保田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008244295

NYのフリー系レーベルRelative Pitch Recordsから出された攻撃的なヴァイオリン独奏です。ほとんど無名の新人が処女作をソロでフィジカル・リリースすることは挑戦的に思えましたが、聴いてみる前に不安を覚えた自分が馬鹿でした。演奏は何の躊躇いもなく炸裂します。彼女は楽器を引き裂かんばかりに弓を振るい、声を発しながら/漏らしながら、インプロヴィゼーションを展開していきます。
子どもの頃、教室でひどい腹痛に襲われたことが度々ありました。机にうずくまって耐えていると、周囲の談笑が耳に入ってきます。誰が悪いでもないのに、聞こえてくる笑い声や冗談はわたしの精神を逆撫でし、怒りが怒涛の如く押し寄せました。彼女の攻撃的な演奏はその記憶をわたしに想い起させます。ヴァイオリン1つで世界を壊さんばかりのパフォーマンスです。
しかし決して過激な演奏が延々続くというわけではありません。獰猛なM4もあれば、指を用いて即興を展開するM5もあり、また、それぞれの曲の中でドラスティックな展開があります。聴き終えてはアタマに戻り、聴き終えてはアタマに戻りをこのひと月繰り返していましたが、まだ聴き足りていません。噛み応えがあります。





TANI TABBAL / NOW THEN / 新宿ジャズ館 久保田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736788

ロスコー・ミッチェルを筆頭に、ジェリ・アレン、ジェームス・カーターらと共演してきたドラム奏者タニ・タバルの6作目で、セルフリリース以外ではこれが初のリーダー作です。2007年のソロ作『Before Time After』を皮切りに、タニ・タバルにはセルフリリース(Tabbalia Sound)で5つのCDが既にあり、マイケル・ビシオとアダム・シーゲルとはタニ・タバル・トリオとして2つのアルバムをリリースしてきました。今作でこのトリオは3枚目になります。
演奏内容的にはコンテンポラリー・ジャズとフリー・ジャズの間に属します。いささか地味な印象を持たれるかもしれませんが、良盤です。まずアルト・サックスのアダム・シーゲルが良い。クールで抑制が効いているし、表題曲に顕著なように、荒ぶり・いななく咆哮までの振れ幅も兼ね備えています。また、リーダーながらタニ・タバルのソロが少ないのも本作の特徴です。彼のソロはM3「Khusenaton」とM10「Inky Bud」の2曲にしか出てきません。しかし、アルトとベースがソロをとる後ろでよく動いています。アルバムを通して彼の生き生きとした演奏を大いに聴くことができます。そして、ビシオは曲の骨格をキープする役割を多く担い、彼のソロではトリオの演奏の自由度が高くなります。良いトリオです。試聴されるならM1,M3,M10を薦めます。
なお、Tao Formsは2020年にNYに作られたフリー系新興レーベルです。デヴィッド・S・ウェア、マシュー・シップ、イヴォ・ペレルマンらと共演して来、自身も多くのリーダー作を発表してきたドラム奏者ウィット・ディッキーによって立ち上げられました。AUM Fidelityと協力して運営されています。





JAKOB BRO / UMA ELMO / 新宿ジャズ館 有馬
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008252910

デンマークが誇る印象派ギタリストJakob Broの5作目となるリーダー作。本作はBrad Mehldauのかつての盟友、Jorge Rossy(ds)のECM初参加がポイント。ここ最近Larry Grenadier(b)との三人でギタートリオのライヴをデンマークで行ったようですが、本作ではLarryからArve Henriksen(tp)に代わっています。
Arveのトランペットによる歌と、その裏で心象表現のようなインプロに徹したJakobのギター。そして相変わらず強度の高いインタープレイを見せるJorge。さらにそれらを包むように演出された空間的なドラムレコーディングによって、立体感とシナジーを創出。
近年ピアノやヴィヴラフォンに手を伸ばしてきた彼の巨大な有機性が、ここへきてManfred EicherとJakob Broに新たな角度を引き出されたように思います。





EABS / DISCIPLINE OF SUN RA / JazzTOKYO 関口
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736781

土星から来た音楽家、サン・ラをテーマに取り上げ、今ポーランドのストリートから世界に驚きを発信し続けるコレクティブ、EABS。サン・ラと言えば天文学に基づいたスピリチュアル音楽で知られていますがそれを彼らが独自に解釈しつつ強ビートのエレクトロジャズを展開!彼らのユートピアがここにあります。





Michel Portal / MP85 / 営業部 三橋
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008265535

フレンチ・ジャズ界の大重鎮ミシェル・ポルタル、御年86歳にして最新作をリリース!昨年2020年にスタジオで録音された1作で、フレンチ・ジャズらしい人懐っこいメロディや哀愁ある音色を貫禄たっぷりに聴かせる好盤。2021年2月は訃報が続きましたが、まだまだお元気な演奏を聴けることを楽しみにしております!!





Colin Curtis presents Jazz Dance Fusion 2(2LP) / V.A. オムニバス / 営業部 池田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245735817

英国が誇るレジェンドDJコリン・カーティスによるコンピレーションということで皆さま信頼しかないとは思いますが、その通りです。数日気温が高い日が続いたり、春の訪れを感じさせる陽気が増えてきましたが、そんなときにピッタリな全体的に暖かいラテンムード漂うナンバーが揃ったコンピレーションになっています。ステイホームなどで溜まったストレスを、家をフロアに変えて発散するのに最適です!