ファラオの作品の中でも、近年高い評価と人気があるアルバムで、クロスオーバー路線直前、india navigationからリリースされた76年作。収録曲は全3曲。フュージョンとフリージャズの間で、時代に翻弄された感もある内容だが、インプロバイザーとしてのファラオのプレイには外連がなく、“Harvest Time”は、シンプルなリフを刻むギターをバックに、ファラオのテナーが深く響き渡り、20分超の長尺を飽きさせず聴かせる。そのソウルフルなプレイはブラックミュージックとしても広く名演として知られ、レコードでのリイシューは待望だった。かつて国内で一度CD化されたが、今やコレクターズアイテムになってしまった。こうしたレコード原盤の復刻は当時のサウンドを表現することが難しいことが多いが、今作はサウンド面でも鮮度の高い復刻がされていて、オリジナルの音を聴き慣れた人にも違和感なく聴けるクオリティになっているのが嬉しい。 “Love Will Find A Way”は、軽快なパーカッションと鍵盤に導かれ、ファラオがなかなか味わい深い歌声を披露している。(ジャズ部門 生島昇)