2026.01.19

Crazy and Mixed Up(LP/180G) / サラ・ヴォーン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009017750
サラ・ヴォーン。古い音源の『サラ・イン・ハイファイ』を聴いたのが47年前で、それから好きなヴォーカルとなっている。これは1982年のパブロ音源。ローランド・ハナのピアノで導かれる「時さえ忘れて」から始まる。これがいきなり素晴らしい。この曲は、色々なヴァージョンを聴いてきたけど、演奏ものを含めて最上位に位置する名演だ。途中のジョー・パスのソロも粋だ。次の曲は「ザッツ・オール」。テナーサックスなどの巨匠などに名演奏が多い曲だけど、盛り上がる曲だ。そしてこのアルバムの白眉である「枯葉」に突入する。サラのスキャットに興奮を禁じ得ない。そのゾクゾクする感じは、まさにジャズ・ヴォーカルの醍醐味であって、それを知らないで過ごすジャズ人生なんて考えられない。ボクの中では、最高峰の「ジャズのゾクゾク感」を味わう瞬間で、例えば、コルトレーンの『至上の愛』の第三楽章、エルヴィンのソロ、マッコイのソロが終わってからのコルトレーンのソロ、あるいは、ジャッキー・マクリーンの『Destination Out』の「Kahlil The Prophet」の50秒から4分間も延々と繰り広げられるマクリーンのソロとかに匹敵する凄さと捉えている。ここでのジョー・パスの技も見事で彼の参加なしでは、この極上感は出なかったに違いない。いい仕事だなぁ。しかしこの神がかったサラのスキャットはどうだ。

Around The World(LP) / オスカー・ピーターソン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009133025
良質な音源を発表しているマック・アヴェニューから、この冬の新作はオスカー・ピーターソン。1969年から1981年にかけてのソロ、デュオ、トリオの音源。デトロイト、バーゼル、オークランド、トロントでの未発表ライブコンサートを収録。
昨晩観た映画は『夜の流れ』(よるのながれ)だ。1960年公開の成瀬巳喜男・川島雄三共同監督による日本映画。川島雄三監督は、幕末の品川宿を舞台とした『幕末太陽伝』が有名でたまに鑑賞するんだけど、最近他の作品はどうなのかと触手を伸ばしている。
料亭を舞台とした男と女の話。司葉子、山田五十鈴、志村喬、白川由美、三橋達也、草笛光子などが出演。途中芸妓たちが、ハモンドオルガンの生演奏のあるバーに飲みに行くシーンがある。黒人奏者が演奏するハモンドオルガンのバーというのは雰囲気ある設定で店内には巨大なポスターが貼ってある。ひとつはオスカー・ピーターソン、もうひとつはサラ・ヴォーン。
ピーターソンは1953年にJATPの一員として来日コンサートをしており、既に大きな存在のジャズミュージシャンだった。
『夜の流れ』という映画の中で使われたオスカー・ピーターソンのポスター。

事件記者 オリジナル・サウンドトラック / 三保敬太郎
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007924542
先日、『危険な女』(1955年日活、渡辺美佐子主演)を観たら、音楽が全編ジャズだった。三保敬太郎によるものでクールなサウンドだ。テディ・チャールズ、ウォルト・ディッカーソンを彷彿とさせるヴァイヴが印象的だった。
これは松本清張の『地方紙を買う女』の映画化で、テレビでは何度も地方紙を買う女というタイトルでテレビ化されているものだ。
それから、事件記者というシリーズものも観始めている。これは1958年から何年か続いたもので、こちらの音楽も三保敬太郎が担当しているモダン・ジャズだ。「和ジャズ」関連界隈では有名な作品のようで、詳細な解説とコメントが付いているようだ。

Julie Is Her Name(LP/180G) / ジュリー・ロンドン
https://diskunion.net/jazz/ct/list/0/8266
スタンリー・ベイカーが出演している『コンクリート・ジャングル』を観た。1960年のイギリス映画。これも全編ジャズがバックに流れるジャズ映画だ。イギリスということで、ジョン・ダンクワースが音楽を担当している。刑務所を舞台にしたクライム映画。時折、効果的に流れてくる女性の気怠いヴォーカル(Prison Balladというタイトルがイイ)が素晴らしい。凄くいい。これは、ダンクワースの奥さんである、クレオ・レーンによるもの。この歌を聴く、この雰囲気を感じる、だけでも観る価値がある映画と思う。
主人公が出所した晩のパーティ。壁を見ると何枚ものレコードがかけてある。リナ・ホーン、アーサー・キット、アナ・マリア・アルバゲッティ、ジュリー・ロンドンなどなど。調べてみたらこの監督、ジョセフ・ロージーは『エヴァの匂い』の監督だった。ジャズの使い方の手法が似ている。
残念ながら、クレオ・レーンもジョン・ダンクワースも在庫がなにもないので、ちらっと映ったジュリー・ロンドンを紹介させてもらった。

ジュリー・ロンドンの『彼女の名前はジュリー』のジャケットが男性の左肘あたりに小さく映りこむ。

ふたりの男の間に見えるのは、リナ・ホーン、アーサー・キット、アナ・マリア・アルバゲッティのレコード。

LADY SINGS THE BLUES/ビリー・ホリデイ物語 / ビリー・ホリデイ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245400215
ジャンヌ・モロー主演の映画『エヴァの匂い』(1962年)を最近観た。大学時代に観たつもりだったが、実は初めてだった。ミシェル・ルグランが音楽担当ということで、ジャズが終始流れるジャズ映画だ。
ジャンヌ・モローはいつもポータブル・レコード・プレイヤーとレコードを携行している。ホテルとかに着くや否や装置をセッティングしレコードをかける。やや偏執的な行動だ。それが、ビリー・ホリデイの「Willow weep for me」で執拗なまでレコードを聴く。「Willow weep for me」は、1956年の『Lady sings the blues』に収録されているわけだが、ここでは何故か『ジ・エッセンシャル・ビリー・ホリデイ~カーネギーホールライブ』のジャケットが終始画面に登場する(あたかもこれに「Willow weep for me」が収録されていると勘違いしてしまいそうだが、実は収録されてはいない)。このレコードは、ビリー・ホリデイの自伝の出版記念ライブという趣のもので、映画終盤では、このレコードに針を落とすと、「Loveless Love」という曲が流れるシ
ーンがある。この曲は、1941年にOKEHに吹き込まれたSP音源のもの。これも物語をイイ感じで語るに一役買っていた。
常に金のある男にたかる悪い女を演じるジャンヌ・モローは怠惰そのものだ。映画関係の仕事をする才女フランチェスカ(ヴィルナ・リージ)という女性も登場するのだが、エヴァの悪女っぷりを更に意識させるに十分だった。
エヴァに狂った男を演じた、スタンリー・ベイカーを今回初めて知った。10歳頃より意識的に映画を観てきて54年。スタンリー・ベイカーの魅力にはまった。どこが?と言われても困るけど。
写真

エヴァが持つのは、『ジ・エッセンシャル・ビリー・ホリデイ~カーネギーホールライブ』のレコード。横たわるのは、エヴァに骨抜きにされた哀れな男スタンリー・ベイカー。

チエミ ラテンを歌う(LP) / 江利チエミ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009085208
1993年2月5日に『チエミ ラテンポップスを歌う』というCDがキングレコードから発売された。素晴らしい内容だった。店頭演奏が好評で、100枚以上はすぐに売れて追加オーダーをしたものだった。横浜関内店でのことだ。
東京キューバンボーイズ、原信夫とシャープ・アンド・フラッツによるモダンなビッグバンドサウンドと、縦横無尽にスウィングするチエミのヴォーカルがジャズファンに完全に受け入れられた瞬間だった(と思う)。ワクワク、ドキドキの感動曲20曲が収録されていたが、それ以降は、この仕様で復刻されることはなかった。主な音源は昭和30年代に発売されたSP盤であった。
このレコードには、その中から厳選された8曲が収録されている。どの曲も甲乙つけがたい名唱なんだけど、ボクが特に好きな上位4曲は、「カチート」、「アンナ」、「ラ・クカラチャ」、「ババルー」です。聴いたことがないという方は、是非どうぞお楽しみください。世界が少しひろがります。

ONE FOOT IN THE GUTTER: A TREASURY OF SOUL / ワン・フット・イン・ザ・ガター(LP/180g)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245791655
大学時代、池袋の文芸座ルピリエによく行っていた。80年代、浅川マキの大晦日ライブが行われていたところで、ボクは名画的な映画を観にいっていた。世田谷に住んでいたボクにとって池袋は未開の土地で、ルピリエだけ行って帰っていた。或る時、池袋のジャズ喫茶に行ってみようと思い探して行ってみた。2階にある小さな店に飛び込んでみた。なかなか渋い店で古いレコードがかかっていた。そこで聴いたのがこのディブ・ベイリーだった。
さて、タイトルのGutterとは側溝のことである。「片足を側溝に突っ込んでいる」と言うタイトル。もう一枚、『Two Feet In The Gutter』というのもある。でもジャケを見る限り、両足を側溝に入れている風でもないようだ。このガター、ボウリングで言うところのガーターと同じ意味だ。日本ではガーターと言うのが一般的だけど、本当はガターだ。ガーターは靴下留めのことだ。
ディブ・ベイリーはエピックに上記2枚と『Getting’ into something』と言う作品がある。1970年代に日本盤で発売されたことがある。その日本盤ですら、40年前は探しても探しても見つからなかった。
『バッシュ』とか『リーチング・アウト』に比べたら地味な印象かもしれない。でもね、派手さのないリラックスムード漂う感じがなんとも言えないんです。

死刑台のエレベーター HDリマスター版 【スペシャルプライス】 / LOUIS MALLE ルイ・マル
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/4005201767
何年かごとに観たくなる死刑台のエレベーター。
その都度、ボクの視点は変わっていくようだ。
さまようジャンヌ・モロー。電話口のジャンヌ・モロー。暗室のリノ・ヴァンチュラ。盗んでしまうメルセデス。などなど。
今回はこれだ。
若いカップルがモーテルで殺人犯して、明け方彼女のアパートに隠れようとする。
「俺たちもうダメ」みたいなデスパレイトな場面で、彼女が洗面台に向かった。
ポータブルのレコードプレーヤーが見える。レコードが立てかけてある。レコードジャケット見ると、それはマイルス・ディヴイスのもの。フランスバークレー盤の10インチ。プレスティッジがオリジナル音源。1956年に発売された。この映画はその後撮影されたので、ジャズ好きのルイ・マル監督が小道具として置いたか。
死ぬまでに気がついて良かった。今までに何度も見ていたハズだけど、初めて気がついた件。
写真 フランスバークレー盤のマイルス・ディヴィス

Beyond The Arctic / 鈴木雄太郎
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009101541
アークティックって北極だっけ、南極だっけ。ジャケット見て最初にそう思った。すぐ忘れてしまう。南極は、アンタークティカだね。『北極を越えて』、タイトルがいいね。昔ハクエイ・キムのタイトルに『Home beyond the cloud』(雲の向こうのふるさと)というのがあった。シドニーで学び、レコーディングをしていた体験からつけたタイトルだった。このタイトルの由来は、知らないけど、鈴木雄太郎はバーゼルでの楽旅経験があるらしいので、なんらかのヨーロッパ大陸への思いも強いにちがいない。鈴木が敬愛するというチェット・ベイカーは晩年をアムステルダムで過ごしていたし。
ピアノで参加のアイデイン・エセンは、30年ほど前ディスクユニオン界隈で、大騒ぎしていたピアニスト。今回も目を見張る演奏で輝きを失わないプレイに驚いた。特に1曲目の静逸さには感動した。アイデインのピアノで始まるが、これがステキ。ケニー・ホイーラーとブライアン・ディッキンソンのデュオ作品に『Still Waters』(2005年)という名作があるが、ボクは思わずこれを思い出していた。
静寂と詩情溢れるヨーロッパ的なサウンドに素直に感動してしまいました。

スピーク・ロウ(2LP/180g) / 山本剛
彼独特のジャズ・フィーリングが心地よい唯一無二のピアノ・トリオ・アルバム!
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245776898
1981年に放送開始された国民的なホームドラマの「北の国から」。数年前にすべてのタイトルを鑑賞した。ドラマスペシャル「'95秘密」というのがあってその話。
ほぼラストに近いシーンで、恋人(宮沢りえ)の過去のあやまちを吉岡秀隆に告白する場面がある。その告白時のBGMがジャズだった。「あれこれなんだっけ?」、「そうだそうだ、<黒色は、私の恋人の髪の色>だ。Black Is the Color of My True Love's Hair」だ。
歌っているのは、ヘレン・メリル。ハスキーな声が印象的だ。『ヘレン・メリル/ メリル・アット・ミッドナイト』の2曲目に収録されている、哀しみを誘う名唱だ。
ボクは、この曲が大好きだ。ジョニー・グリフィンの『ケリー・ダンサーズ』、ニーナ・シモンの『アット・タウンホール』に収録されているもので虜になった。他にもあるぞ。歌では、ジョニ・ジェイムス、キティ・ホワイト、パティ・ペイジがある。ピアノトリオでは、クラウス・ヴァイスの『グリーンスリーヴス』、マイク・ノックの『チェンジング・シーズンズ』。
近年の録音での最高傑作というとやっぱりこの山本剛だろう。
哀愁とダイナミックさ。
ヴィーナス・ジャズ・サウンドの分厚い音がはらわたにしみこんでくる。ああ、なんという快感。黙ってそのサウンドに没入したい。

Complete Brunswick Sessions 1953 / トニー・スコット
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245633573
先週は、『乾杯!ごきげん野郎』(1961年瀬川昌治監督。ニュー東映)という映画を観た。若き日の三田佳子が出演しているということで観た。田舎から上京し、一旗揚げたい若者のドタバタを描くミュージカル映画で期待して観たわけではない。
ナイトクラブの演奏シーンがあり、見ると外国人のクラリネット奏者だ。「あれ、これトニー・スコット?」、オープニング・クレジットで見た「トニー・スコット」は、この人だったのだ。単なる同姓同名のチョイ役の外国人名と思った自分に苦笑した。
調べてみたらこんな記述があった。トニーは5年ほどの日本滞在期間中(1959年 - 1965年)は、ジャズ評論家で、瀬川昌治監督の実兄の瀬川昌久宅に居候していた。その関係でこれに出演した経緯があり「ナイト・フォールのブルース」という曲を吹いている。
それに加えて、このクラブのシーン。壁に『Stan Getz And J.J. Johnson - At The Opera House』のジャケットが見えた。黄色いジャケットのもので、おそらく1957年のオリジナル盤。これはおそらく富士銀行時代アメリカ勤務だった瀬川昌久氏の助言と提案があったのだろうか。日本盤でも知られる赤色と青色のものは、1962年以降のジャケットになる。
もう一つ、エラ・フィッツジェラルドのポギー&ベスのジャケットも見えるんだけど、通常知られている構図とは逆の文字配置のもので、ボクは???が続いているのだ。
今日紹介する作品は1953年に率いていた伝説的演奏の集大成盤で、初めて聴いた。「Goodbye」が素晴らしい。
写真
演奏するトニー・スコット
Stan Getz And J.J. Johnson - At The Opera Houseのジャケットの左半分

プレリュード - ツァラトゥストラはかく語りき- / デオダート
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245791682
「Baubles, Bangles, & Beads」(邦題は通常「ビーズと指輪」)という曲が好きだ。エマーシーに、『ジョン・ウィリアムス・トリオ』(1955年)というレコードがあって、その1曲目に収録されている。4畳半的こじんまり感満載のスィング感がなんとも言えない魅力。ヴィーナスレコードでは、スティーヴ・キューンとかウラジミール・シャフラノフが演奏しているのもいい。ウェス・モンゴメリーのギター、ベニー・ゴルソンのニュージャズ盤、リタ・ライスのヴォーカル。名演、名唱は数知れない。
今回、久しぶりにこのデオダートを聴いた。初めて買ったのは高校2年の頃で、やはりその時も「Baubles, Bangles, & Beads」がいいなあと思った。しかし電子ピアノによる演奏だからか、ボクがジョン・ウィリアムス・トリオで感じたものとは違い、別の曲だと思っていた。しかしよく聴いてみると、なんだ同じ曲なのね、ということをやっと発見した。ここでの邦題は、「輝く腕輪とビーズ玉」と丁寧なものとなっている。

ストレート・ライフ / フレディ・ハバード
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245791711
たぶんこれが再発される度に何かを書いているので、「またか」と言われそうだ。しかしながら、このレコードがボクの未来を左右するきっかけと偶然をいくつも孕んでいたのだから、書かないわけにはいかない。
富山のS校という学校に通っていた。まだ新しい高校で、ボクで第4回卒業生だった。自由な校風で、みんな勉強もするけど、部活、恋愛、バンド活動など青春を楽しんでいる感じだった。
一年生の時の学園祭のこと。バンド活動の発表会では、シュガー・ベイヴなど、既に人気だった山下達郎とか吉田美奈子、大貫妙子などを模したようなコピーバンドがステージ上で拍手喝采を浴びていた。
しかしボクの興味は既にジャズに移行していた。或る部屋の前を通ると、大音量のジャズが聞こえてくる。なんだろう、黒い幕で教室が仕切られていて模擬ジャズ喫茶のようだ。入るのが憚られたけど、勇気出して入ってみた。
腰にくるロック風のビートが強烈な「ジャズ」がかかっていた。当時は古臭いジャズばかりを聴いていたので、これは新鮮だった。「今を生きているジャズ」だ。
それは、3年生のジャズ好きが運営していた。実は、この中にその後出会う人がいたとは露知らず。17分を超すこの「ストレート・ライフ」にすっかり酔ってしまった。
その数年後、明治大学に進学して明大前のジャズ喫茶「マイルス」でバイトをすることになった。ママさんにボクが富山出身だと言うと、前にバイトしていた子も富山よ、と言われた。よく訊いてみると、学園祭で模擬ジャズ喫茶をしていた張本人であるとわかった。
そんな縁もあり、バイトへの道がスムーズに開けたのだった。
ということで、この『ストレート・ライフ』はその後の人生を左右したと思われる、あるいは40年のユニオン人生を決定づけた一枚とも言えるのかと思っている。忘れられない一枚。
各人のソロが素晴らしいのです。
サマータイム / 沖山秀子
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ061222-02
先日、『喜劇女は度胸』という映画を観た。倍賞美津子の第一回主演作品だ。自動車整備工場で働く桃山学(河原崎健三)は、読書とクラシック音楽鑑賞が趣味で、夜間大学で勉学に励む真面目な青年だった。父の泰三(花沢徳衛)は怠け者で女好き、兄の勉吉(渥美清)はトラックの運転手で女好きだった。二人は仲が悪く、会えばいつも喧嘩ばかり。学は三星電気で働く白川愛子(倍賞美津子)に恋をし、ゲーテの詩集をプレゼントする。しかし数日後、酔った勉吉がその詩集を持って帰ってきた。コールガールが持っていたというのだ。学はショックを受けたが、真相を知るため、そのコールガールと連れ込み旅館で会う約束をする。
このコールガール役が沖山秀子だ。ジャズを歌う沖山秀子と名前似ているなあ(でも聴いたことはない)、と思っていたらその本人だった。彼女女優とは知らなかった。調べてみたら、黒澤明の『どですかでん』にも出演している。
実は、この『サマータイム』、今回初めて聴いた。渋谷毅(p)、宮沢昭(ts)、川端民夫(b)、中牟礼貞則(g)という凄いメンバーでビリー・ホリディを歌うという趣きの作品。今まで知らなかったのは悔やまれる。
さて、その学の机の壁には、ジョン・コルトレーンの写真が貼ってあるということも発見してしまった。

Saxophone Colossus (LP/180g/BLUE VINYL) / SONNY ROLLINS ソニー・ロリンズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008011246
先日、1965年の日活作品『東京は恋する』を観た。二十歳の舟木和夫主演の青春歌謡映画で、山本陽子も出演している。最近、60年代の東京の原風景を見たくて古い日本映画を鑑賞している。その一本でまたまたレコードジャケットを見つけてしまった。舟木の下宿先の壁には、5枚ほどの何か絵のようなモノが飾られている。何度かよく見てみると、ジャズのレコードであることがわかった。ソニー・ロリンズの『サキソフォーン・コロッサス』である。しかもオリジナルのデザインではなく、別ジャケで日本仕様のもので演奏するロリンズがメインで、左上に小さくオリジナルのジャケットが掲載してあるもの。この小さい青い部分がヒントとなり『サキソフォーン・コロッサス』と結論づけた。
日本で最初に発売されたのは、1959年でトップランクレーベルのものでオリジナルジャケだった。次は、1964年。ステレオ盤がSMJ-7001、モノラル盤がMJ-7064という品番だった。ステレオとモノラルでは、ジャケが少し違う。ステレオは、ジャケットの上に赤い文字でSTEREOと記載されている。映画で使用されていたのは、上に赤い文字が見えるのでステレオ盤であるとわかった。
47年前、必ず「ストロード・ロード」を聴いて学校へ行っていた。気持ちが上がった。

当時のタイトルは、オリジナル・モリタートというタイトルで、A面とB面の曲も逆だった。

My Funny Valentine (LP/180g) / マイルス・デイビス
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1006125853
70年代半ば頃に人気だったホームドラマに「俺たちの旅」というのがあった。中村雅俊、秋野太作、田中健が共演する青春ドラマ。田舎の少年であるボクは、このドラマ見て東京の生活にあこがれを抱いていた。
ある時、テレビをつけたらこの再放送をやっていたので、見るともなしに眺めていた。下宿部屋で三人がすき焼きをしている。サイドボードが映り、何気なくそこに置かれているものを見てみた。そこにはネスカフェのインスタント・コーヒーの瓶、サントリーウィスキーのオールド(通称ダルマ)が置かれている。時代を反映している懐かしいアイテム。レコードもあるぞと見たらの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』であった。このレコードは1965年にコロンビアから発売されて、国内では1969年に日本盤が出たが、そのジャケットデザインは演奏風景でこれとは違うモノ。1972、73年とソニーから何回かオリジナルジャケットで再発されているから、そのどれかがここに置かれたのかもしれない。
果たして、この3人がジャズに興味を持っていたのか不明。もしかしたら、部屋のそもそもの持ち主と言う人がいて、その彼(彼女)の趣味がジャズだった、のかもしれない。まあ、とにかく、これも新しい発見だった。
というわけで、今日は久しぶりに「All Of You」を聴いている。

Tokyo Jazz Joints 消えゆく文化遺産 ジャズ喫茶を巡る / フィリップ・アーニール
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009068660
ジャズ喫茶人気が過熱しているようだ。日本経済新聞土曜日版に「何でもランキング」というコーナーがあるけど、先週は「いーぐる、YAMATOYA…音と空間味わうジャズ喫茶・バー10選」が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD305WC0Q5A730C2000000/
一位は京都のYAMATOYAさん。何年か前、山中千尋さんと一緒に『ジャズ喫茶極道列伝』の取材で訪問した。横浜ダウンビートには、何度も通った。ボクは1989年から4年と三カ月横浜関内のディスクユニオンに勤務していた。仕事終わりには野毛のダウンビートに行きビールを飲んだ。マスターの安保隼人さんもお元気で、いつも水差しを片手にニコニコして愛想を振舞っていただいた。ここには、ブルーノート1500番台の完全オリジナル盤がかなりあったので、よくリクエストした。或る時「なんでたくさんオリジナル盤があるですか」と訊いてみた。奥さんがPX(アメリカ進駐軍の購買部)に勤めていたこともあり、そういうアメリカのホンモノが多く買えた、というのが真相だそうだ。
さて、この本だ。
この表紙になっている店は、蒲田の直立猿人という店だ。池上線に沿った路地の2階にある。2001年から2007年まで池上に住んでいた。終電がなくなると、よくこの店に行ってビールを飲んでいた。深夜だからもう他にお客さんはいなくて、とりとめのない話をマスターの児島さんと交わしていた。ボクがバイトしていたマイルスに似た雑多な感じがしっくりときた。金沢に穆然(ぼくねん)というジャズ喫茶があるが、マスターの河嶋さんは、この直立猿人に14歳の頃から通っていたという話をきいたことがある。
2年前に洋書で輸入され、最初は小さく、そして大きな円を描くように広まっていった。そして発売から2年以内で、日本語版が作られたということで、素早い仕事に感服だ。

Holiday For Soul Dance(LP) / サン・ラー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009059500
1991年頃、アメリカのEvidenceというレーベルから大量に、El Saturn時代のサン・ラーの作品がCD化された。当時は、まだ今ほどサン・ラーを求めるお客さんはいなかった。でも当時いたアルバイトさんで、無類のサン・ラー熱狂者の若者がいた。ボクも、『Interstellar Low Ways』だけはオリジナル盤で聴き馴染んでいたから、彼と共謀して大々的な<サン・ラー>祭りを展開して、お客さんにニューサウンドなジャズをご紹介していた。まあまあ売れました。そのうち在庫が切れて発注しても入荷しなくて、日本ではレア化していきました。
レコード化されていくのは、そのだいぶん後(20年後)のこと。
その時に聴いたこれがとても気に入ったのですよ。ほぼスタンダード集。「But Not For Me」、「Day By Day」、「Early Autumn」とかのスタンダードが心に染み入る。素朴な感じの演奏が一層の悲壮感を誘う。
Saturnと言えば昔こんな体験をした。2004年、買付でミュンヘンに行った時のこと。レコード5万枚以上所有の個人コレクター宅。ある一角(というのは大型テレビをどかした裏側)からサン・ラーのSaturn盤が大量に出てきた。その数40枚以上。しかも大半が未開封(当時の報告書にはそう書いてあったけど、Saturn盤ってシールドってあったっけ)。今そんなのが出てきたら、世界中のコレクターが大騒ぎするだろう。

Passing By / ピエール・クリストフ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008979722
ピエール・クリストフ。フランスのピアニスト。懐かしい。昔ジャッキー・バイヤードの曲ばかり演奏した『Byard By Us』というのがあった。22年前だ。結構人気になった作品だった。ちょうどその頃、初めてパリに行って、シャンゼリゼのフナックとかヴァージンレコードのジャズ売り場をのぞくと、これでもかとこのCDが積んであった。あの頃はピアノトリオが人気で彼の地でも売れていた。エロール・ガーナー集というのもあったが、その後すっかり忘れていた。
これは、ピアノとギター、そしてストリングスによる編成。聴いていると思わず、かつてのフランス映画のワンシーンを思い浮かべてしまう。
架空のサウンドトラックとも言うべきか。素晴らしいサントラを聴いているかのような気分になり嬉しい。
最近、個人的に1967年に公開されたクロード・ルルーシュ監督の『パリのめぐり逢い』の音楽に傾倒中だからかもしれない。フランシス・レイの音楽が切ない。寂しげなアニー・ジラルドの表情と重なり、なんとも言えない気分になる。

Un Américain A Paris 1951-2002(3CD) / ジミー・ゴーリー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009087819
Un Américain A Paris、パリのアメリカ人。
ジャズギタリストのジミー・ゴーリーは、キャリアの大半をフランスで過ごしたため、多くのジャズファンにフランス人という印象を与えていたが、実はアメリカ、セントルイス生まれ。高校時代リー・コニッツとバンドを組んでいて、ゴーリーの父親がギターを買ってくれた後、シカゴでジミー・レイニーと出会い、プロのギタリストを決意。シカゴのクラブで活動し、アニタ・オデイやジャッキー・アンド・ロイ、ソニー・スティットやジーン・アモンズといった楽器奏者たちの伴奏を務めた。
この作品は、多くのミュージシャンのリーダー作にサイドとして参加した作品から音源を収集したもの。
この3枚組での集中鑑賞は言うなれば、「ジミー・ゴーリー・ブートキャンプ」とも言えるゴーリー・トレーニング。
ボク自身も30年ほど前に大コレクターの方より、「ジミー・ゴーリーって知っている」って言われて初めて、名前を知り聴き始めたのだけど、ジミー・レイニーを踏襲したクールサウンドに参ってしまうギターなのだな。

SCANDINAVIAN SUITE / 北欧組曲 / 三木敏悟
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007974894
この在庫まだあったのですね。調べてみたら、この作品を紹介したことなかったみたいだから、書いてみたい。
このレコードを買ったのは1977年、発売された当日だったと思う(なんとなく)。スウィングジャーナル誌で<日本ジャズ大賞>とか受章して、大々的に記事や広告が載っているのを見、それに踊らされて購入した。当時は、そうしたゴールドディスクになったものを信じて買っていた。
ビッグバンドものは初めての購入だったけど、結構イケた。当時は高校の同級生に「これすごくイイから聴いてみて」と押し売りまがいに貸しまくっていた。たぶん友達の全員は迷惑だったろう。だってジャズなんて全員興味なかっただろうし。自己満足でのおせっかい。ある日、無反応の友人からこのレコードを引揚げた際に、電信柱に正面衝突してしまい、自転車とレコードのジャケを大破させてしまった。
そんな思い出もある青春の一枚だ。
「シベリウスの遺言」の中間部で演奏される高橋達也のテナーソロがご機嫌だ。今も身震いして聴いている。
「北欧組曲」なんていうタイトル。「北欧なんて一生縁のない世界だろう」などと思って当時は聴いていたが、ジャズの仕事に従事していたおかげで、ヘルシンキをはじめ北欧各都市に都合13回訪問できたのは、楽しい経験だった。
Lady In Satin (LP/Easter Yellow Vinyl) / ビリー・ホリデイ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009073769
ビリー・ホリデイの名盤が、黄色のヴィニールで再発だ。最近はグリーンとか紫とかあらゆるカラーのヴァイナルが登場していて、色で楽しむのもありだろう。こういうカラフルなレコード盤に雰囲気がピッタリとくるレコードプレイヤーを今年買った。
透明な、を意味するTransparent をそのまま商品名にした「Transparent Turntable」だ。ガラスのボディ、真っ白い本体で、デザイン重視、見た目重視で、我が家の青いスピーカーMojoとも違和感のない白いターンテーブル。そしてそれにピッタリとくる黄色のレコードというのは、気に入っている。
そういえば、ヌーヴェルヴァーグを代表する監督の一人フランソワ・トリュフォーの『二十歳の恋』(1962年)を最近観た。素行のよろしくない主人公はレコード会社Philipsのプレス製造部で働いている。塩化ヴィニールの塊を置いて、手動でレコードをプレス。はみ出たヴィニールを削る、というシーンがあるんだけど、素行が良くない主人公だから、丁寧な仕事ではなく全体が雑。そんな商品が市場に出回ったら間違いなく即回収品だろう。
また、完成したレコードをジャケットに封入するシーンもあって、それも雑な仕事をしている。主人公の素行の悪さを表現するには十分なシーンだ。
とストーリーとは関係ないシーンに夢中になってしまった。
Sentiments / SAHIB SHIHAB
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009020581
今年の何月だったかにレコード化に際して何か書いた。今回はCDでの発売ということらしい。2020年にCD化された時も何か書いた。だいたい書くようなことは決まっているんだけど、また書く。サヒブ・シハブの作品は、再発されてもいつの間にか売れてなくなっているから、いつだって再発の対象となる。しかしながら、例えばSavoyの『JazzSahib』は、なかなか再発されないのは非常に残念だ。
サヒブ・シハブを最初に意識したのは二十歳頃。ジョン・コルトレーンの『コルトレーン』(Prestige)というのがある。そう正面を向いているコルトレーンが印象的なジャケット。「コートにすみれを」の名演で知られる名盤だ。一曲目の「バカイ」という曲が高圧的で怖い。原因はバリトンで参加しているサヒブ・シハブのせいだろうと思う。ところでバリトンのSAHIB SHIHABとクレジットされているけど、これは誰?だと思った。当時はサヒブ・シハブのことを知らなかった。ぜんぜん知らなかった。40年代、50年代にガレスピーやセロニアス・モンクのところで吹いていたといっても知らなかった。それでボクが働いていたジャズ喫茶の棚を漁り、サヴォイの『JazzSahib』を発見した。聴いたらメチャメチャ良かった。1曲目の「S.M.T.W.T.F.S.S. Blues」が最高だ。
「他にも何かあるかな」と思い探していたらコレを掘り当てた。国内盤のレコードだった。テイチクから出ていた。これも最高だった。
その後、フランシー・ボーランのビッグバンドもの、ブリュー・ムーアのデビュー盤(ドラムカンの後ろでコソコソしているシハブがお茶目だ、というジャケット)を聴いたりしていたけど、Sahib's Jazz Party (Debut)、Sahib Shihab and the Danish Radio Jazz Group(Oktav)の存在を知るのは、10数年あとのことになる。
Alone In San Francisco(LP/180G/+ 2 BONUS TRACKS) / セロニアス・モンク
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009065408
『Monk Himself』と共に、セロニアス・モンクのソロ作品の代表的作品だ。
今回は、黒澤明監督の映画に登場したモンクのジャケットの紹介。タイトルは、『天国と地獄』。原作は『キングの身代金』で三船敏郎、仲代達也、山崎努はじめ錚々たるキャスティング。子供の誘拐。因みにこの子役は後のフォーリーブスの江木俊夫。身代金を入れたカバンは後の吉田カバンによる特注であった。物語後半で犯人を追い詰めるシーン。伊勢佐木町あたりの想定だろうか。賑わいある街角にあるとある楽器&レコード店が映る。店前を通る犯人と捜査員。ふと壁にかけてあるレコードに目をやると『Alone In San Francisco』が見える。「あ、モンクだ」とジャズファンなら、叫んでしまうだろう。これ録音が1959年。映画は1963年の公開だから時間軸の問題はない。
35年前に初めてサンフランシスコに行った際に、このPowell行きの路面電車に乗った。立っていて、つり革に手をそえて、足元は購入したレコードを挟んで、踏ん張って。映画『ブリット』で観た坂が眼下に広がる。思った以上の急勾配で、目が回る。そうボクは極度の高所恐怖症だから、ホント怖かった。
フィッシャーマンズ・ワーフで停車するこの一両電車を眺めた時は、「ああ、アメリカに来たんだ」と思った(それが30歳にして初飛行機、初海外なのだった)。
写真
若き山崎努がショーウィンドウ前で煙草をふかす。その左肩上に見える、Alone In San Franciscoのジャケット。そしてクリフォード・ブラウンのポスターも貼ってあるのも確認できる。
音楽BAR読本 / 別冊ステレオサウンド
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009041669
ネットを見ていたら、目に入ってきた。この「音楽BAR読本」のフォントが好きだなあ。表紙のブルー系の色が好きだなあと思い、すぐに購入してみた。届いて封を開けると、本の体裁が「JazzPerspective」に似ていると思った。使用されている紙の質も似ていると思った。親近感が湧いてきた。
本の内容をよく見ないで買ったから、ジャズ系の音楽バーの掲載は少なかった。今は、ジャンルで拘る時代ではないようだ。昔の自分みたいに「フュージョン」がリクエストされたら露骨に退店するというような、スクエアなリスナーはもう古い。巻頭インタヴューでピーター・バラカンさんもそんなこと話されていた。巻末にまとめられている「昔の話」などは同時代性もあり興味深く読めた。紹介されているお店は、四谷のいーぐるくらいしか知らないけど、近くまで行った際には訪問したい気持ちになってきた。

スリーピー / 松本英彦
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008128481
日本ジャズ界の至宝、松本英彦の作品。
この作品と直接は関係ないが、ボクは、松本清張のドラマが好きでよく観る。黒い画集というタイトルのものは沢山作られていて混乱してしまう。時代時代で何度もドラマ化されている。2000年には谷原章介主演で「黒い画集証言」というのがあった。谷原が男色家で、若い青年との背徳シーンがナマナマしかった。
今日書くのは『黒い画集 あるサラリーマンの証言』のタイトルで1960年に東宝で映画化もの、小林桂樹主演だ。詳しい内容は省くけど、児玉清(アタックチャンスで長年司会をしていた)と江原達治が住むアパートの一室が映し出される。部屋の壁にはレコードジャケットが掛けられている。よく見ると、それは松本英彦の『スリーピー・アット・ザ・ビデオ』のように見える。ジャケットの構図、下部分にある文字の配列、これはもしかしたら、とビデオを停止させ、ジャケを検索してみた。果たしてそうに違いないという確信。このレコードは、1959年4月14日ヴィデオ・ホールで録音されたものだから時間軸も合致している。実は、3回目の鑑賞だったが、初めて気がついた。
このように、昭和30年代の日本映画には、ジャズのジャケットが写り込むこともあるので、それを探し出すもの楽しい。
例えばこれ。
『狼と豚と人間』(深作欣二監督)。昭和39年の映画で、高倉健、北大路欣也、江原真二郎、中原早苗、石橋蓮司、三國連太郎などが出演している。スラム街のチンピラ(!)物語。
高倉健は中原早苗の情夫。彼女の部屋の描写になるとジャズがかかる。テーブルの上にはレコードが4枚。マイルス・ディヴィスの『Seven Steps To Heaven』(YS-292)が見える。タイトル部分が他のレコードの影に隠れてみえないが、日本盤オリジナルのジャケットだ。
それからあと3枚は、リヴァーサイドから出たPop Composer Seriesの3枚セットの『Great Jazz Artists Play Compositions』。コール・ポーター、リチャード・ロジャース、アーヴィン・バーリンの3巨匠のオムニバスレコード。というのもありました。

Two By 2 / スティーヴ・キューン&スティーヴ・スワロウ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DI0914-149
1996年、フランスのレーベルOWLより発売された名盤。このレーベルはジャン・ジャック・プショーにより1970年代に設立された。ミシェル・ペトルチアーニの初期傑作を世に送り出したことで知られる。ボクは2003年から数年間、毎年パリに出張していた時期があって、ある時現地の日本レストランで日本酒飲みながらプショーさんと話をしたことがある。OWLの歴史やアーティストとの思い出話を聞いたが、だんだんと感が極まり最後のほうは感傷的になり涙まじりの声であった。ジャズ好きのとてもいい人だった。
ボクの人生のある時、やはりこればかり聴いていた時期があった。ピアニストの故細川正彦氏と最初に会った時(2000年代半ば)は、この作品のことで盛り上がった。「Eider down、アレはいい曲デスヨネえ」って。因みにこの作品に採用されている曲は名曲が多い。「Ladies In Mercedes」もそれで、多くのアーティストがカバーして演奏、歌っている。「Remember」、「Wrong Together」、「Deep Tango」、「Emmanuel」なども名曲。
今回久しぶりの入荷。まだ聴いていない人は是非聴いてみてほしい。

Jazz Patterns(LP) / ジョー・ヘンダーソン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009033538
1982年のEverest盤がオリジナルのものらしいのだが、さて扱ったことはあるのだろうか。似たようなジャケットのものもあるので、判然としない。たぶん見たことない、扱ったことない。解説を読むと曲名間違いあったらしい。どういうことだ。2曲目の「Punjab」が「Lofty」に、3曲目の「Power to the peaple」が「What’s Mine is Yours」と記載されているというのだ。滅茶苦茶だ。それで市場にもあまり流通させなかったレコードというものらしい、コレ。「Invitation」から始まり、ジョー・ヘンの十八番的な3曲でのライブ。ウディー・ショウも参加のハード・バップ作品。

New Conception(LP/180g/STEREO) / サム・リヴァース
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009052614
実は、このレコード今日初めて聴いた。もちろん何度も扱い目の前を通り過ぎていたわけだけど。ジャケがナイスでかっこいい。
ボクの中ではサム・リヴァースは、『フューシャ・スイング・ソング』で完結していた。あの爽快感極まる「フューシャ・シング・ソング」一曲だけで、この40年間やってきた。少しとんがった、やんちゃな、当時としては前衛的な奏法。マイルス・ディヴィスはそれが気に入らなかったようで、すぐにメンバーから降ろした。
この『ニュー・コンセプション』は、『フューシャ・スイング・ソング』の2年後の録音。それなのに、急にスタンダード曲集となっている、どうしてだ。まあ言ってみれば、ドルフィーとかアイラーとかが、スタンダード曲をやった、というのに似ているのかもしれないが、時代が数年遅れている。
テナーサックスとフルート演奏でやんちゃはやんちゃ。ハル・ギャルパーのピアノもいいなあ。
ブラック・ウィドウ / ラロ・シフリン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245791723
※ジャケットは随時更新いたします。
6月26日、ラロ・シフリンが亡くなったというニュースを見た。ボクにとっては、1973年の『燃えよドラゴン』のサントラの人、ということで非常に印象に残っている。またアメリカのテレビ映画『スパイ大作戦』も強烈な印象だ。テレビ映画でいうと『鬼探偵マニックス』、『刑事スタスキー&ハッチ』もそうだった。スティーヴ・マクィーンの『ブリット』はいちばん有名なラロ・シフリンの代表作のひとつかもしれない。
高校生になって買ったジミー・スミスの『キャット』もラロ・シフリンが大いに関与していた。
このレコードは、当時新譜として発売された頃に買った。ヒューバート・ロウズとかジョー・ファレルとか当時のフュージョンサウンドの第一人者たちが参加しているということで、時代の寵児たちのナイスなフュージョン作品なのだった。久しぶりに聴いたけど懐かしい。

Italy's First Lady Of Jazz / リリアン・テリー
https://diskunion.net/oldrock/ct/detail/1009057807
リリアン・テリーといえば、ロマーノ・ムッソリーニ、ヌンツィオ・ロトンドと共演したRCA-Italiana盤が有名。またレア盤として知られる『Lilian Terry presenta Abito Da Sera』(CGD SB1015)も捜し求める人が多い人気盤だ。80年代には、トミー・フラナガン、ディジー・ガレスピーとの共演盤がSoul Noteよりリリースされている。
東日本大震災直後の2011年3月にディスクユニオンからリリアン・テリーの『CGD Days Collection』(CGDはレーベル名)というCDを発売した。その収録曲と結構重なるのが、このCDだ。
イタリアが生んだ正真正銘のジャズ歌手、リリアン・テリーの瑞々しい声が隅々まで堪能できる。また当時の一流ミュージシャンの参加も特筆すべき事柄。「My Heart Belong To Daddy」でのジャンニ・バッソ(ts)のソロ、とか「Tune Up」のディノ・ピアナ(tb)とか最高にスウィングしてゴージャスだ。

CALIFORNIA DREAMING / 夢のカリフォルニア +1 / ウェス・モンゴメリー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245788876
2016年は自分の出張人生で、いちばん海外に出かけた年だった。
4月 ユトレヒト ストックホルム ブレーメン
6月 ロンドン
7月 コペンハーゲン
10月 ワルシャワ
11月 ルクセンブルク
モスクワ上空を5往復、約10万キロのフライトを半年で飛んでいた。ボクは、飛行機の中とか滞在するホテルで寛ぐ時とかずっと音楽を聴いているのだが、時として同じものばかり聴いてしまうクセがある。一時期はギターのフランコ・チェリ。また一時期は、バート・バカラック。そして、この2016年の10万キロの飛行の際には、ウェスの『夢のカリフォルニア』だった。「More more Amor」がたまらなくイイ。ドン・セベスキー楽団のストリングスがほどよく寄り添う、それは他の曲でもそう。ちょうどこの年、サッカーの長友選手が「アモーレプロポーズ」をしたことを思い出す。
また「Oh you crazy moon」という曲もたまらなくイイ。この曲、ウェスは好んで演奏している。チェット・ベイカーとか、メル・トーメ、ダイアナ・パントンとかの名演がある。
「Winds of Barcelona」もいい曲だ。この曲は、高校生の時買った増尾好秋の『バルセロナの風』で知った。ドン・セベスキー楽団との絡みが最高でボクは、ニャグニャグになってしまうのだ。
追記 この10万キロフライトの翌月、喉頭がんになったのでした。何の因果関係もないとは思いますが。

STAN GETZ & BILL EVANS / スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス +5 / スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245788867
6曲目が「Grandfather's Waltz」(グランドファーザーズ・ワルツ)。ヘルゲ・リエンの『To the little radio』の1曲目に持ってきた曲。とても曲いい曲なのに、あまり演奏されることがない可哀そうな曲で、あまつさえピアノ・トリオで演奏されることが皆無(だと思う)。そこでヘルゲ・リエンの選曲を考えていた時に、ヘルゲに提案したところ、あのように素晴らしい演奏に仕上がったということだ。
実はこの曲の原題は「Farfars vals」(おじいさんのワルツ)といって、スウェーデン のラース・フェルンレーフが作曲した曲で、英語名が「Grandfather's Waltz」、同じ曲だ。モニカ・ゼタールンドが、『Ohh! Monica!』の中で歌っています。
ゲッツとエヴァンスの魅力がこの曲の持つ優し気な雰囲気にぴったりなんです。尚ゲッツはライブ盤でも演奏している録音がある。

Once Upon A Time In Stockholm 3CD Set(3CD) / MONICA ZETTERLUND AND HER CONTEMPORARIES
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009031723
この3枚組のCDの詳しいコメントは、解説をご覧ください。
モニカを中心として、ストックホルムを訪れたアメリカのミュージシャンの同時代の録音を集めたというもの。今までにはなかったユニークな企画のコンピレーションだ。
そういうことで、ここでは、モニカとアメリカから来たミュージシャンとの写真を紹介したいと思う。出典は、1995年に発売された6枚組CDのブックレットに収納されている写真です。
写真
この写真は、1960年のストックホルムでのマイルス・デイヴィスとモニカ・ゼタールンドの出会いを捉えたもの。
2人は、マイルスのヨーロッパツアー中にモニカが彼の前座を務めた際に知り合った。モニカは、マイルスの音楽に大きな影響を受け、後に彼の曲「So What」に歌詞を付けて「Att tolka Miles」として発表している。
画像上部にはスウェーデン語で「Tobaksrökning förbjuden(喫煙禁止)」と書かれた標識が見えるが、マイルスはタバコを吸っている。

ドナルド・バードと。『Swedish Sensation』(1958年)の録音時のもの。
ズート・シムズと。1959年コペンハーゲンのExalonで。
ビル・エヴァンスと。1965年3月、テレビの収録時のショット。
ジョン・コルトレーン、ビッグ・ブラザー・シドニーとの3人とのショット。これは、10数年前ストックホルムでもらったTシャツ。
Ett Lingonris Som Satts I Cocktailglas(BMG Sweden - 74321 32989 2, RCA - 74321 32989 2)のブックレット。

Ole' Coltrane(LP/Clear Vinyl) / ジョン・コルトレーン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009022747
新宿駅の西口には、かつて<コレクターズ>という由緒正しきジャズの廃盤専門店があった。壁にはブルーノート、プレスティッジ、リバーサイド、ダイヤル、クレフ、ノーグランなどのオリジナル盤が恭しく鎮座されていた。初めて行ったのは大学生の時で、「分不相応なところに来ちゃったな」とそそくさと店をあとにした。店主の岡さんには、「なんだ今の若造?」と思われたに違いない(岡さんの名前はずっと後になって知る)。その他にも西口にはレコード店が何軒かあった。オザワという店は、ライナーノーツが読めるように裏面ジャケットに出して塩ビをきちんとテープ止めしていた。ここは安かったから何枚か買った。
社会人になり、そのオザワの近くの<バガボンド>というジャズ飲み屋に通うようになった。ピアノが置いてあり弾き語りのショーもあって、いつも業界系の人で賑わっていた。当時は、ビデオのポストプロダクションに勤務していた。ある時、映像関係の人たちと相席になった。
ジョン・コルトレーンに『オレオ』というレコードがあるんですが、そのB面の「アイシャ」という曲がとても好きで、将来的にはこの曲を使った映像を作ってみたいんですよ、となんとも恥ずかしくなる話をした。酔いに任せてのことで、おそらく頭の中では、『恐怖の報酬』(リメイク版)のラストシーンで、チャーリー・パーカーの「エイプリル・イン・パリ」が使われていたな、ということを思い出しての発言だったのだろう。
あまりにも恥ずかしい発言なので、40数年たった今でも鮮明に覚えている。
というか、やはりこの「アイシャ」は名曲にして名演だということ。

Cherry Jam / ドン・チェリー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DS210907-061
数年前、このレーベルGearBoxのダレル・シーンマンが神保町のOn a slow boat to,,,で試聴会をやった。急遽決まったイベントではあったけど、満席だった。ダレルの説明でどんどんレーベルのカタログを紹介していった。On a slow boat to,,,は昔からのジャズ仲間の白澤さんが経営していて、サウンドにも拘っている。その時にこのドン・チェリーがかかったのだけど、「なんだいいじゃない、コレ」と思った。これが発売されて何度か聴いていたハズなんだけど、その時初めて「いいな」と思ったのだった。スピーカーからの大音量とか、その場の雰囲気とかあったのかもしれない。
コペンハーゲンでの未発表ライブ音源。これぞGearBoxの神髄仕事。

Love Endures / TYLER HENDERSON
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009014032
なんか、クセになる要素を持っているようなピアノトリオ。特長があるということでもなく、言ってみれば「ふつう」だ。とは言っても実は、もう何度も何度も繰り返し聴いている。それが、クセになる要素ということになるのだろうか。
1曲目の「On a clear day」のピアノとベースの雰囲気で、「アレ、今ってオスカー・ピーターソン聴いているんだっけ」、「アレ、今ってプリーズリクエストのYou look to meを聴いているんだっけ」という気持ちになった。錯覚だ。そんなわけない。
「I’ll never smile again」はしっぽりと優しい気持ちに包まれる。
「The good life」は、ピーターソンも演奏していたが、驚きのアップテンポ演奏。この曲でこのテンポのというのは、もしかしたら、初めて聴いたかも。
最後は、ピーターソンも度々演奏していた「In the wee small hours of the morning」で、こちらは定説どおりの琴線系な演奏となっている。

Travelogue / ダニー・グリセット
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009026608
一か月ほど前、ポーランド・ラジオの取材があった。日本のジャズ事情を訊き、放送するのだと。ピーター・バラカンさん、いーぐる後藤さん、ユニバーサウンズの尾川さんなどに話を訊くと言っていた。ボクは最初インタビューを断っていたんだけど、レコード事情という話だったので受けた。場所は新宿のジャズ館の売り場で20分ほどカメラが回った。
その時、店内で流れていたピアノがいいな、と思って、チラチラと「只今演奏中」のジャケットを見ていた。遠目から見ると、なんだかヨーロッパの空港、そうだミュンヘンの空港で撮影されたような(よく見ると違ったけど)ジャケ。あとで確認するとダニー・グリセットだった。2000年代半ばには、クリスクロス盤の彼の作品をバンバン売っていた。そういうのが懐かしい。「The People in the City」、「Picture in Picture」とか気に入っている。

Mean What You Say / イブ・ブルキ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009018064
ボクの好きな曲で始まる、「Turquoise Twice」がそれだ。この曲はシダー・ウォルトンの曲で、1967年のプレスティッジ盤『Ceder!』に収録されていて、ケニー・ドーハムなどが参加している。とても明るい曲調でよく聴いたものだ。2005年にVenus レコードから出た『Midnight Waltz』には、「Turquoise」というタイトルで演奏されている。ボクは40年以上、他の誰かが演奏していないか探査してきた。例えばシダー・ウォルトンの曲でいえば「Bolivia」、「Holy Land」、「Firm Roots」、「The Rubberman」などが好んでカバーされる。しかるにこの名曲は誰も採用していないのだ。一部日本人の方が演奏しているのを見つけたが他は皆無。ということで、この曲名を見た途端に小躍りした(少し大げさ)という訳。シダーはコペンハーゲンで多くこのレーベルSteeple Chaceにレコーディングしているので、そんな関係もあるのだろうか。
それから2曲目がタイトル曲にもなっている「Mean What You Say」。これは、1966年のマイルストーン盤でサド・ジョーンズ、ペッパー・アダムスの双頭名義の『Mean What You Say』に収録されているサド・ジョーンズの名曲で、こちらのほうは多少カバーしているアーティストも多い。しかし隠れた名曲と言っていいのは間違いなく、ボクはこのタイトル名だけで惹きつけられた。デューク・ピアソンも参加しているが、この作品には、バート・バカラックの「Wives and Lovers」も収録されていて、これはジャズ演奏の上位に位置する名演奏だと思う。
今思い出したが、このギタリストは、2002年『Live at small’s』、2011年『The Music Of Horace Silver』などの作品があったキャリアの長い人だった。

Voyage / BRIOTRIO
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009046676
ノルウェーのベルゲンという都市出身のトリオで、結成して10年ほどになる。ベルゲンは、オスロの西に位置するノルウェー第二の都市。フィヨルド観光の拠点だ。ソグネ・フィヨルドという世界最大級のフィヨルドが有名で、テレビや雑誌で「これがフィヨルドだ!」的なシーンで出てくるのは、大抵ここでフィヨルドの代名詞的な場所。そういう雄大な景色を愛でるツアーの拠点となるのがベルゲンだ。20数年前、初めてノルウェーに行った時に、この地への観光を目論見たが、物理的に要する時間がものすごくかかるようで断念した。未だに行けてはいない北の最果て。ボクの憧れの地だ。
また南に数時間下ればスタヴァンゲルという景勝地もあり、そちらにも行ってみたい。
そんな最果て感が感じられる「Swirl in Town」がイイ。ゆったりとした時間の流れが心地よい。
尚、「Voyage」は、オリジナル曲で、ケニー・バロンのそれではないです。

80 Years Young: Live At The Blue Note, March 26, 2005 / ジェームス・ムーディ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009006788
2005年3月、ニューヨークのブルーノートで執り行われた、ジェームス・ムーディの 80歳の誕生日を祝福したライヴ音源で、彼の生誕100周年を祝って今回初めてリリースされた(ムーディは2010年に他界している)。
冒頭、大プロモーターのジョージ・ウェインの紹介で始まる。
2曲目の「Benny's from Heaven」はもちろん「Penny's from Heaven」のことで、ジェームス・ムーディが歌う。
4曲目の「Moody's Mood for Love」は、1957年の『Moody's Mood for Love』(Argo)に収録されていて、エディー・ジェファーソンが歌った。これがヴォーカリーズという歌唱スタイルを広める一因となった。ここではジャームス・ムーディが渋く歌う。原曲はもちろん「I’m in the mood for love」だ。いろいろな人が歌っているが、ボクはジョージ・ベンソンのが好きだ(Give Me The Night収録)。
会場にはジャズ界のレジェンド、スポーツ選手、テレビタレント、そしてファンが集まり、ムーディの愛と人生への情熱と一体となりたいという人々でいっぱいだったという。和気あいあいとした様子が客席の歓声からも感じられる。
今日、2025年5月27日(アメリカ時間)、ニューヨークのソニー・ホールで、ジェームス・ムーディ生誕100周年記念イベントが開催されます。
尚、デジタルでのボーナス曲として、「Centerpiece / Every Day I Have the Blues」、「Darben, the Redd Foxx」、「Polka Dots and Moonbeams」、「St. Thomas」が追加で聴くことが出来る。

ジ・アッパー・マンハッタン・ジャズ・ソサエティ / チャーリー・ラウズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245789424
これは、1981年ニューヨーク録音。85年にEnjaから発売された。翌年には、ユーゴスラビアのRTBレーベルからも出ている。デュスコ・ゴイコヴィッチの『After Hours』(オリジナルはEnsayo でのちにEnjaが権利獲得)のRTB盤というのもあり、まあまあ珍しい。
チャーリー・ラウズの「ラウズ節」というものは、ここでも健在で1曲目からすぐに「ああ、チャーリー・ラウズだ。オレは今チャーリー・ラウズを聴いているのだ、という喜びに浸ることができる」と思う。「After The Morning」がイイ曲で、ラウズ節も好調だ。

<予約>世界を魅了するシンガー・ソングライターLaufey(レイヴェイ)待望の3rdアルバム 「A Matter of Time」LP&CD発売決定!
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/130525
個人的に2023年いちばん聴いたアーティストである、レイヴェイの新作だ。ジャケットを一瞬見て、何かに似ていると思って調べたら、ポール・ウェストン楽団の『Mood For 12』だった、けどよく見るとそうでもないか。まだ2曲ほどしか先行発表されていない。「Silver Lining」と「Tough Luck」。「Silver Lining」はチェット・ベイカーでも有名な「Look For The Silver Lining」のことかと思ったら、違う曲だった。「Tough Luck」は、レイヴェイが世界で売れたであろう魅力が満載の曲で、既に何度も何度も聴いている。
参考
ポール・ウェストン楽団の『Mood For 12』(コロムビア)

For All We Know / トーマス・ルカート
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009021421
ジョー・ハイダーが主宰するレーベルにJHM(Joe Haider Music)というのがあって、そこから2002年に出た『Thomas Rückert Trio - Debut』というのが、ディスクユニオンで初めて扱った彼の作品だった。もう内容などすっかり忘れてしまったけど、名前は憶えていた。当時は、確か<トーマス・ルッケルト>とか、<トーマス・リュッケルト>と表記していたような気がする。まあ、どうでもいいかもしれないけど。
全曲よく知られたスタンダード曲、ではあるんだけど、素直な解釈演奏ではない。でもそれが良くって聴いた後に深い思い何物かが心に残る。思ったのは、リー・コニッツの『モーション』を聴いたあとの爽快感とインプロヴィゼイションに似ているというか。
ジャズの曲の中でも個人的に上位レベルで好きな「Bewitched, Bothered and Bewildered」も演奏しているんだけど、ここまで深淵な演奏は初めてだ。

Dream sequence / ユライ・スタニク
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009021422
オランダのピアニスト。2003年の作品でかなり売れた『Juraj Stanik - Shaken Not Stirred』というのがある。青のジャケットで、小さな女の子が走っている様子を写真に収めた可愛らしいもの。当時、メグの新譜試聴会などでもかけたら、急いで吉祥寺のジャズ館へ買いに行く人もいた。その後何枚か作品があったが、ちゃんと対峙するのは久しぶりだ。お久しぶり!!そして、当時魅了されたユライの感覚感性がそのままのよう。「それそれ、これこれ」とこぶしを突き上げながら聴いてるボクだ。「Maris Antoinette」、「Luut」、「Red Balloon」ときて「Fast Lane」でぐっと盛り上がる。ごきげんごきげん。

Tenor Conclave(LP/CLEAR VINYL) / ハンク・モブレー&アル・コーン&ジョン・コルトレーン&ズート・シムズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008537611
ローマ教皇が決まった。アメリカ出身のレオ14世。長引くかと思われた教皇選挙<コンクラーベ>はすんなり決着がついた。決着つかずが黒煙で、決着ついたが白煙が煙突から上がる。選挙で使用された投票用紙は即座に燃やされてしまうのだけど、決まらない場合は、薬品を混ぜて黒い煙を流す、という仕掛け。密室選挙ともよばれて、外から鍵がかけられて枢機卿たちは部屋から出られない。Conclave とはラテン語で “cum clavi”(鍵がかかった)という意味だ。
昔の映画で、トム・ハンクス主演の『天使と悪魔』でそういう仕組みであると知った。この映画はとても面白く、もしバチカンに旅行に行くなら、観てから行ったほうがもっとバチカンを楽しめると思う。
さて、コンクラーベの話題になると必ず、引き合いに出されるこの作品。普段はあまり語られることがないだけに、とてもいいことだ。
4人のテナー奏者の<教皇選挙>という趣のソロの披露大会だ。誰が吹いているのかと「あてっこ」してみるのも楽しい。
例えば、1曲目のソロの順番は、というと。
ハンク・モブレー→ズート・シムズ→アル・コーン→ジョン・コルトレーン→レッド・ガーランド→ポール・チェンバース→アート・テイラーということになっている(とボクは思うのだけど)。
あと、テナーソロの後のレッド・ガーランドのピアノソロがとてもイイ。一服の清涼剤的な効果がある。
久しぶりに聴いたけど、結構いいなあ、コレ。

FURTHER AHEAD: LIVE IN FINLAND (1964-1969) / ファーザー・アヘッド:ライヴ・イン・フィンランド (1964-1969) / ビル・エヴァンス
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245789028
ゴールデンウィークが終わり、今日から仕事。昨年のGWは古い友人の見舞いで愛媛まで行ったけど、基本この20年くらいは、家、および家周辺の散歩、そしてお台場で開催されるオクトーバーフェスト、時折銀座に出かけて買い物と銀座ライオンへ行く、程度のことを繰り返している。特にライオンの外国人のお客さんの増え方は尋常でなくどんどん増えている。尋常でないというと、淡路町の蕎麦のまつやだ。いつもは5人ほどしか並んでいないんだけど、先日行った時は外国人が大挙して並んでいて、待つのを諦めた。もうしばらく行けない。
今日は朝からビル・エヴァンス。フィンランドでのライブの発掘もの。アメリカのゼブ・フェルドマンさんが主体的に動いて、親族などとあれこれ契約結んできっちりと形にする。それをバルセロナに住むジョルディ・ソレイさんのエレメンタル・ミュージックから発売する。そんな連携プレイでもう数多くの作品を発掘してきた。賞賛に値する。ジャズインの最新号に、特集記事が掲載されていた。たまにはジョルディ・ソレイさんの特集もしてみて欲しい。凄い方ですから。

Running the Gamut(LP/PURPLE VINYL) / ジェームス・ムーディ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009033523
このレコードは、何種類かのジャケットがある。日本では、1960年代終わりと70年代にテイチクから発売されたが、その2枚もジャケットが違う。ボクが知っているのは、1970年代にテイチクから発売されたジャケットのもので、今日紹介するものが『Running the Gamut』であるとは最初気がつかなかった。『Running the Gamut』には好きな曲があったな、という記憶がある。なんだっけ、なんだっけと確認作業をしてみるとB面1の「Capers」という曲だと思い出した。「いい曲」だ。だいぶん後になってこの曲は、ブルー・ミッチェルの曲であると知った。ビル・ハードマンとか、ジャズ・メッセンジャーズとかが演奏している。
ボクにとっての初「Capers」ということで、大事な一曲なのだ。

アイ・シンク・オブ・ユー・ウィズ・エヴリ・ブレス・アイ・テイク / マーリーン・ヴァー・プランク
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245787803
マーリーン・ヴァー・プランク
マーレーン・ヴァー・プランク
マレーネ・ヴァー・プランク
マーレン・ヴァー・プランク
人により表記がまちまちで一体正解はどれなんだろう。1955年の『エヴリ・ブレス・アイ・テイク』(Savoy)でヴォーカル評論の高田敬三さんは、マーリーンと表記されているので、マーリーンで統一してもいいのじゃないかとは、思う。因みにボクは、マレーネ・ヴァー・プランクとずっと表記してきた。マーリーンはAudiophile レーベルに数多くの作品を録音しており、これもそのうちの一枚。
ハンク・ジョーンズ、ハービー・マン、ジョー・ニューマンなどのソロ演奏が雰囲気を盛り立てています。7曲目の「ディープ・イン・ア・ドリーム」はソニー・クラークのブルーノート盤『Leapin & Lopin』でも演奏されていた曲。最後は名唱が多い「ユー・リーブ・ミー・ブレスレス」でこれも素晴らしい。因みにボクのお気に入りは、エラ・フィッツジェラルドの『ソングス・イン・ア・ムード』に収録されているアレと、毛色が違うけどミルドレッド・ベイリーの『ロッキン・チェア・レディ』収録のソレです。

Groovin’ Blue(LP/180g) / カーティス・アミー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008984600
この作品を「真剣に好きなんです、愛聴盤なんです、毎日聴いています」という人に今だ会ったことがない、これからの人生でもないだろう。これはボビー・ハッチャーソン参加作品を捜していた大学生の頃に発見した。
「かっこいじゃないか」と思いましたね。アメリカのアーシーな雰囲気。ハッチャーソンの研ぎ澄まされたサウンドが最高潮にマッチする。とりわけ「Groovin' Blue」、「Beautiful You」、「Very Frank」の3曲が最高だ。
中古レコードで安く売られていると悲しくなり、『これ隠れた名盤なんです!』と書きたくなるのだ。いや書いたことないけど。
たぶん、日本でいちばん聴いたかなとうぬぼれているボクです。

<予約>ボーナス12"付きLP有!スウェーデンのドラマー、エミル・ブランクヴィスト率いるピアノ・トリオ作品「Poems For Travellers」発売決定
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/129268
スウェーデンのドラマー、エミル・ブランドクヴィストは、2005年にフィンランドのピアニスト、トゥオマス・A・トゥルネンとヨーテボリ(スウェーデン第二の都市)でトリオを結成。スウェーデンのベーシスト、マックス・ソーンバーグは2012年からトリオに参加している。
北欧らしい美しいメロディーと音感が心を揺らす。レーベルはドイツのSkip Records。20年ほど前、同じスウェーデンのTingval Trioが日本国内をブイブイ言わせていたSkip Recordsからの作品というのもうなづける。

Dark Was the Night, Cold Was the Ground(10") / サミュエル・ブレイザー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009000410
サミュエル・ブレイザーは、今から12年前の2013年新宿ジャズ館で、ミニ・ソロ・コンサート(https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/10/40112)をやった。
クリエイティブかつスポンテニュアスなトロンボーンで唯一無二のジャズを展開する彼のプレイには、ファンも多い。このミニ・ライブは当時ニューヨークに住んでいた内田いずみさんからの紹介により実現したもの。いずみさんは、10年ほどワルシャワに住んでいたこともありポーランド、ヨーロッパのジャズにも精通していたプロデューサーだったが、そのミニ・ライブの翌年マンハッタンで突然亡くなり、多くの関係者の哀しみを誘った。
ポーランドのジャズ雑誌JazzForum編集長Paweł Brodowski氏は、哀しい顔で彼女の早すぎる死を悼んでいた(JazzForum編集室には彼女の写真が飾ってあった)。
2016年7月、コペンハーゲン・ジャズ・フェスティヴァル。ある会場で、偶然、ばったり、サミュエルに会った。びっくりした。そこでもいずみさんの話になり、哀しみを共有したのだった。
今書いたしんみりとした話とは、ほど遠いアブストラクトな演奏が展開されるこの作品は、いずみさんが愛したジャズでもありました。

【イベント】3/17(月)~3/31(月)開催
「David Stone Martin 原画展示・即売会」
at ポップアップギャラリー新宿
ジャズ・ジャケット界の伝説、デヴィッド・ストーン・マーティンの「原画」を展示・販売させていただきます。この歴史的な機会をお見逃しなく!
https://diskunion-shinjukurockrecordstore.blog.jp/archives/26992720.html
高校生の時に買ったスタン・ゲッツの『ウェスト・コースト・ジャズ』。「Suddenly Its Spring」という曲が好きだった。北陸の春はまだ遠く、3月終わりでも田畑には雪が残っていた。それが温かい日差しで溶けてゆく、、、。その様子と「Suddenly Its Spring」の雰囲気が重なった。
大胆な裸足のドローィングのジャケットがカッコイイと思った。けどまだデヴィッド・ストーン・マーティンの名前を認識していた訳ではなかった。
その後、ユニオンに入り、いろいろMercury、Clef、Norgran、などのオリジナル盤を扱うようになり、ようやく彼の名前を意識した。インドで生まれ東京にきて住んでいたマネック・デーバー監修の「デヴィッド・ストーン・マーティンの世界」というグラフィックな本が発売され、デヴィッド・ストーン・マーティンの名前がレコードファンにどんどんと認知されるようになった。
という訳で、岡村融、生島昇、山本隆の3人による企画監修で<デヴィッド・ストーン・マーティン 10インチ・コレクターズ・セレクション>を2003年に発売した。
伝手があり、ボクも原画を持っているが、その生生しい雰囲気は見るものを魅了してやまない。その原画というのはレコード店関係の市場で出るということは、滅多にないので今回のこの原画展示・即売会は見逃せない企画と言えるのではないかと思う。

Gravity / ヨーナ・トイヴァネン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008968477
グラビティー、重力というタイトルだ。重力と言えば宇宙だな。
ちょっと前に『ゼロ・グラビティー』(2013年)という映画があった。事故でシャトルから宇宙に投げ出された女性飛行士が、漂流しながらどうにか地球への帰還を目指す話で、サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニーが出演していた。ものすごく期待して観たが、ボクには期待外れだった。
『インターステラー』はクリストファー・ノーラン監督による大作。人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく男の姿を描いた映画。これは、時間の概念が分かりににくくて、何度観ても理解不能だが、大好きな重力映画。
ヨーナ・トイヴァネンは、2000年頃からピアノ好きなファンの間で人気になったピアニスト。その雰囲気はフィンランドそのもの(意味不明)。なんかカラダが圧し潰されてチリジリになるかのような錯覚を持ってしまう重い内容、悪くない。

H'art Songs / ムーンドッグ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008924984
ムーンドッグには、プレスティッジに3枚の作品があって、初めて聴いた時は驚いた。あまりにもレーベルカラーとは違いすぎる音楽性。そもそもジャズ、リアルジャズではないような、、。そうジャズではない。ストリート・ミュージシャンなようだ。
どんないきさつでレコーディングに至ったか調べてないので知らないが、それでも拒絶する内容ではなく共感に値する、惹きこまれてしまう音楽だと思う。
『Moondog』に収録されている「ララバイ」。すずこという女性による子守歌で、「かわいいわね、ほんとうにかわいい子」という歌詞だけの曲、これに最初に嵌ってしまい、ムーンドッグ好きを公言するようになった。
この作品の中では、「Pigmy Pig」、「High on a Rocky Ledge」、「Choo-Choo Lullaby」が好きでクセになる内容だと思う。

Teo (VMP LP/180G) / テオ・マセロ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008917288
あまり注目されない可哀そうな作品。
非常にクールなテナーを披露するテオ・マセロ。ポール・クイニシェットからレスター・ヤング的な要素を抜いたような音色(意味わからん)。何はともあれ全集中を「Ghost Story」に傾けて聴きたい。とことん退廃的なムード。それが魅力。ある種、〈Prestige〉レーベルの本当の姿、音、なような気がしている。テディ・チャールズが参加している作品を探していた大学生の時に魅了されたもの。
そういえば、先日蕎麦屋で、テディ・チャールズの『クーリン』が流れていた。なかなか渋い蕎麦屋だと思った。

VIRGIN BEAUTY / ヴァージン・ビューティー / オーネット・コールマン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245782660
先日、Youtubeでマサイ族とかそういう映像を観ていて、「そういえばこんな民族系ジャケレコードあったな」と思った。それは、オーネット・コールマンの『ヴァージン・ビューティー』だ。
本厚木店の2階のジャズフロアか、横浜関内店時代に発売された。とても軽快で廃盤セール日などの購買意欲促進には、うってつけで店頭が盛り上がった。ギターが良くって、ジェリー・ガルシア、バーン・ニクス、チャールス・エラービーの三人の巧なテクニックでオーネットの曲を盛り上げた。
1曲目に針を落とす。そうそうコレコレ、これだよ。後期のオーネットではいちばん好きな作品。
今、何十年ぶりかで聴いている。素晴らしい。

Jazz in Britain 68-69(LP) / ジョン・サーマン / アラン・スキドモア / トニー・オクスレイ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008855733
この作品を初めて聴いたのは、<ブリティッシュ・ジャズの逆襲>というシリーズでUKジャズの金字塔的作品10枚がCD化された2008年だ。「ブリティッシュ・ジャズ」、「金字塔」といえば星野秋男さんだが、このシリーズの監修も星野秋男氏が執り行った。
まだ日本では知られていないこのレコードを1970年代にイギリスのオークションで購入したという星野さん。星野さんは、知らないレコードがあったら、なんとしても探し出して、聴いてみたい、購入したいという熱意の人。30数年前の横浜関内店のジャズフロアでボクは勤務していた。「ああ、星野さんが来ているなあ」と思い、買取やったり事務作業したり、食事に出かけたりと、数時間後にフロアに戻り売り場を見ると、なんと星野さんがまだレコードの展示箱を漁っていた。「え、もう何時間見ているの?」と思い訊いたら、「見たことがないレコード、知らないレコードがないか確認している」とのこと。星野さん的には、知らないことが許されないのだ。
個人的にも、30年以上星野さんとはつきあいがあり、飲みの席などででもジャズ談議をしてきたが、本当にそういう人なのだ。オリジナル盤に拘るとか所有するとかの観点からではなく、「未知のジャズを聴いてみたい」という根本的な欲求からきている性質なのだ。
そんなわけで星野さんはイギリスやヨーロッパの国々のオークションで、「知られていない名盤」を格安で入手していたのだ。2009年には『ヨーロッパ・ジャズの黄金時代』(青土社)という集大成本を上梓している。
星野さんが書いたライナーノーツから、いちばん圧を感じる、「ウィンターソング」という曲の文章を引用させてもらう。
続く「ウィンター・ソング」、これが凄い !!まさにこれ以上の演奏は望めないといっても過言ではないヨーロッパ最高の演奏だ。短い印象的なテーマからアップテンポの4ビートの演奏に入り、テナー・サックス、フリューゲルホーン、ピアノの順にソロが続くが、どれもイマジネイティヴで切れ味鋭くひらめきを持った抜群のソロだ。演奏の隅々まで神経の行き渡ったいかにもヨーロッパ的、頭脳的な演奏で、緩急自在に場面展開していくフレキシブルなセンスも凄い。(中略)これこそ知性、センス、オリジナリティ、テクニックが完成し、ヨーロッパ・ジャズが到達したひとつの頂点である。
ボクも、星野さんの「ウィンターソング」への激しい賞賛を受けて、この曲ばかりを聴いていた時期があった。

Traction Avant / アレッサンドロ・ガラティ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/VVJ007
2025年2月28日、吉祥寺ジャズ館が移転の為、現在の店舗での営業を終える。28年近くあの細い路地で営業をしてきた。
ボクは、この店の初代店長だった。オープンは1997年の7月の暑い日で、たくさんのお客さんが列を作り開店を待っていた。それなりの中古商材などを仕入れて売ったから、まあまあの手ごたえだった。
ローランド・カークの特大パネルがお客さんをお迎えする。店内に飾ったパネルは或る写真コレクターの方に使用料を払って作成した。この写真を選ぶのにも、何日もかかった。気に入っているのは、モニカ・ゼタールンドのもの。1960年ベント・ホ・マルムクヴィストの写真だ。
各パネルには、アーティスト名を羅列してみたのだが、実は誤植がたくさんあって、これは失敗したと反省している。
この当時はピアノ・トリオの作品がよく売れていた。クリストフ・スティーフェルの『Sweet Paradox』、ラーシュ・ヤンソンの『The Time We Have』、ヤン・ラングレンの『Swedish Standards』が発売された頃で、そんなのがバンバン売れていた。エズヴィヨン・スヴェンソンの『When Everyone Has Gone』を再入荷させて、どばーんと並べてみたら、それもよく売れた。
このアレッサンドロ・ガラティは1994年の録音。それも売れ続けていて、寺島靖国さんのお気に入りだった。それで、最近も寺島レコードから作品が出ているという訳。
Five Classic Albums Plus(2CD) / ドリス・デイ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1009000254
当初10インチ盤で出された「You’re My Thrill」「Tea For Two」「Calamity Jane」とLPで出された「Day By Day」「Day By Night」の5枚のアルバムにボーナス・トラックを4曲追加収録したもの。
ドリス・デイを聴く強化週間とでもいうか。
なんか強烈に惹かれるものあるんだよね、ドリス・デイには。こうして発売されると紹介したくなる。
収録曲の中でのオススメはこうだ。
9.Crazy Rhythm、11.I Know That You Know、16.Tea For Two、24.Secret Love
CD2の14.Close Your Eyes、21.Wrap Your Troubles In Dreams
で絶対優等生な曲は、Tea For Twoでメロメロになってしまう。
Live and Radio Recordings 1957-1962(LP) / クシシュトフ・コメダ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008940640
ポーランド映画でも観ようかと思いUNEXTで、『水の中のナイフ』を鑑賞。音楽はクシシュトフ・コメダ。スウェーデンのベルント・ローゼングレンをフューチャーした「Ballad For Bernt」、「Cherry」などがイイ。インパクトある演奏で映画の雰囲気とマッチする。途中まで観ていて、そういえば昔観たことあるなと思う。何十年も前、おそらく40年ほど前、『灰とダイヤモンド』とか『地下水道』などを観ていた大学生の頃か。ほぼ全編小さなヨット上だけの物語。金持ちの夫婦とそのヨット遊びに闖入する浮浪的な若者が織りなす心理的な葛藤。そんな時に流れるベルント・ローゼングレンがイイんだな。

Winter Stories / ヤコブ・カールソン
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008937698
日本での評価は、あまりにも低いというのがボクの印象。スウェーデンのラーシュ・ヤンソンとかヤン・ラングレンとかエスヴィヨン・スヴェンソンとかの陰に隠れてしまったかわいそうなピアニスト。
1990年代後半からさまざまな作品をリリース、その都度紹介してきたし、当時のジャズファンの一部にはそれなりに受け入れられた。残念ながら自己のトリオでの来日はない。
2005年のヴィクトリア・トルストイに『My Swedish Heart』という名盤がある。ヤコブがピアノを弾いている。「You Gave Me the Flow」という曲があってヤコブの曲だ。この曲が素晴らしい。この素晴らしさに気がついたのは、大阪出張の際の新幹線の中であった。もう繰り返し繰り返し聴いた。大阪、京都での電車移動中、そして富山への北陸本線での移動中ずっと聴いていた。隅から隅まで味わい尽くした。ボクの中での最高の一曲、一枚だった。
この『Winter Stories』はタイトルが示すように、静寂なストーリーが展開。ヤコブの繊細な部分が貫かれている一枚。
写真
ストックホルムのグレンミラー・カフェでヤコブ・カールソンと。(2006年3月31日)

ゼン、ヒア・アンド・ナウ / リチャード・ワイアンズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245785564
へぇー、これが、リチャード・ワイアンズの初リーダー作品なのだね。知らなかった。
ボクは、1957年頃のジジ・グライスの作品に参加しているリチャード・ワイアンズに一時期夢中だったから、初リーダー作品とかに拘ったことがなかった。
ロイ・ヘインズ名義の『Just Us』は特段に素晴らしく、「コン・アルマ」から「スピーク・ロウ」の流れが超気持ちいいいのだな。
下記の作品なんかに参加している。
ジジ・グライス 『Saying somethin’』、『The Hap’nin’s』、『The Rat Race Blues』
オリバー・ネルソン 『Screami’ The Blues』
リチャード・ウィリアムス 『New Horn In Town』
「ラメント」が素晴らしい。あと「Leonora」という曲なんだけど、バート・バカラックの「I say a little prayer」に似ている気がする。

センチメンツ / サヒブ・シハブ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245785441
1975年に日本盤で発売されたOverseas Records(テイチク)の〈All Time Jazz 1500 Series〉というので初めて聴いたのが、20歳の頃。
帯には「バップ期の逸材サヒブ・シハブが遺憾なくその実力を発揮した傑作、ケニー・ドリューのサポートも魅力。」という煽り文句が書いてあった。
その当時サヒブ・シハブのことはそんなに知らなくて、せいぜい『Jazz Sahib』(Savoy 1957年)とコルトレーンの『Coltrane』(Prestige 1957年)とこの『Sentiments』(Storyville 1972年)くらいなものだった。
20年後急速にサヒブ・シハブのレコードを求める人が拡大するとは、微塵も思っていなかった。そういうことは、サン・ラーにも言えるんだけど。
ボクは、5曲目の「フロム・ミー・トゥ・ユー」が好き。まさにサヒブの雰囲気溢れる曲。
7曲目以降は、『SAHIB SHIHAB AND THE DANISH RADIO JAZZ GROUP』から収録。

リトル・バード / ピート・ジョリー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245785579
2024年の新年は惨憺たる幕開けだった。夕方の能登地震に始まり、2日は日航機と空自の衝突。能登は実家に近いのですぐさま電話して安否の確認。富山はほとんど地震のない県なので、人生初の揺れだと兄は話してくれた。2日の事件は、映画のワンシーンを見ているような衝撃映像で、9.11のニューヨークを思い出した。しかし日頃の訓練の賜物か被害者を出すこともなかったのが救いだった。
しかし暗い気持ちはひと月、ふた月は続いた。
2025年は、どうか。明るい新年だった。「明るい」ってやっぱりいい。元気になる。誰かのがん克服体験記を最近読んだ。明るい気もちががんを退治するとあった。ボクもそういう気持ちでがんを克服したので、「明るさ」は大事。ストレスとかは大敵。
そんなアレで、この作品が復刻されたという商品ページを見た。もう何度も何度も復刻されているけど、その度に何かしら書いてきた。
タイトル曲の「リトル・バード」がいい。明るい曲。この曲だけで、しばらくは生きていける。エルジー・ビアンキが『スウィーテスト・サウンド』でも演奏していて、どちらも甲乙つけがたい。
今年の写真は、オスロのフィヨルド。
先日、ノルウェー映画の『THE QUAKE ザ・クエイク』(2019年)というのを観た(たぶんUnext)。内容自体は、地震予知とかの話なんだけど、ボクが驚いたのが、オスロのホテル、<ラディソン ブル プラザ ホテル オスロ>がやたら出てくる。主人公の奥さんが勤務しているというのもあるんだろうけど。もちろん協賛としてなんらかの条件が働いているだろう。おかげで、ボクの7年前のオスロでの記憶が蘇った。ここに6泊した。
そうそう入口がこうだった、となりには階段があってオスロ駅に通じている。ロビーの感じはこうで、エレベーターが、、、、。と懐かしくなる。ここは駅にも近くオスロのランドマーク的ホテル、ノルウェーの国家筋が予約してくれた。
オスロ・ジャズ・フェスティバルの視察が大目的だったが、オスロの音楽、文化、美術を楽しめた。16年ぶりに見た、オスロ国立美術館のムンクの『叫び』は同じ場所に健在だった。
尚この写真は、そのホテルの高層階で撮影した。
2024.12.18
2024.11.27
2024.09.30
2024.08.15
2024.07.22
2024.06.28
2024.05.31
2024.04.02
2024.03.13