<連載> ★山本隆の"続 JAZZ IN THE WORLD"★ 2020 Dec.

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2020.12.24

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ELINA DUNI / Lost Ships

ELINA DUNI / Lost Ships

今日はエリーナ・ドゥニを聴いている。しかも朝8時から。なんだか気分が爽快だ。エリーナとはスイス大使館でミーティングをしたことがある、2016年のことだ。彼女はスイス系アルバニア人ということもありスイス大使館が彼女と一部のメディア関係者との会合を企画したのだった。ボクはその場に行くまで彼女のことを知らなかった。会合では彼女を紹介するVTRが流され、彼女の背負っているモノ、彼女の立ち位置というものがわかった。そしてCDを聴いた。感動した。
2018年12月に発売したJazzPerspective Vol.17の表紙には彼女に登場してもらった。メールしたら即オーケーであった。特集は「ECM50周年前夜」というものだったので、ECMアーティストである彼女にお願いしたのだった。
自身のオリジナル曲、トラディショナル曲、ビリー・ホリディで有名な「I’m A Fool To Want You」」などの選曲、作品の詳細はココhttps://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008200817
 




荒武裕一朗さんが立ち上げたジャズのレーベル、OWL WING RECORD(アルウイング・レコード)祭りが行われる。特製トートバッグと特製マグカップの特典があるそうだ。詳しくはこちら
今年になって、十数年振りかでお会いした荒武さんの印象は若い頃と変わっていなかったようだ。その長い間のブランクの活動は断片的には見聞きしたりしたが、自身のレーベルを作るとは思ってもみなかった。ご自分の演奏、仲間の演奏、過去の偉大な作品の復刻などをされてゆくようだ。応援したい。
荒武さんとの出会いは2000年頃、FM東京の番組をやっていた時出演してもらった。ちょうど『I dig it !』をリリースしたタイミングだった。その後不運な事故。そして再起を果たされた荒武さんは楽器演奏もできるようになりまたジャズの世界に戻ってきた。そしてレコードレーベルの設立という2020年。
ボクもちょうど海外買付に頻繁に行くようになりアメリカ、ヨーロッパと行き来した。ジャズの雑誌を編集した。そしてボクも病気になって元気に戻ってきた2020年。
ボクは来年リタイアの年だけど、アウルウイングレコードはますます頑張ってもらいたい。

キャンペーンの詳細はこちら
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/0/93590



BARNEY WILEN / バルネ・ウィラン / Barney Wilen quartet feat. Tete Montoliu Grenoble ‘88(2CD)

バルネ・ウィラン / Barney Wilen quartet feat. Tete Montoliu Grenoble ‘88
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008208329

Elemental Musicというレーベルからの未発表作品。このレーベルは「ジャズ界のインディージョーンズ」(?)の異名を持つ良質な音源の未発表作品を出し続けているアメリカ人のゼヴ・フェルドマン氏とスペイン人のジョルディ・ソレイ氏により2012年に設立された。主に発掘音源をリリースするもので、デクスター・ゴードン、アート・ペッパーなどの未発表音源を発表してきた。レゾナンスレーベルの兄弟レーベルと言ってもいいかもしれない。
ジョルディ氏は、ジャン・ピエール・ルロアの写真集Jazz Images Photo Bookも2017年に出版した。
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007274957

7月に『バルネ・ウィラン / Montreal Duet』のレビューのところで次のように書いた。「これはバーニーの息子のパトリックとスペインのジョルディ・ソレイさんの共同プロジェクトで制作されている。つい2日前にも次作はジャズファンがびっくりするようなモノだ、ということを聞いた。う~ん期待したい。」この「次作はジャズファンがびっくりするようなモノ」というのがこの作品なわけである。確かにバーニー・ウィランとテテ・モントリューのフランス、スペインを代表する二大巨頭の未発表音源ということで、それはビックリものだ。日本のみならず世界のファンを狂気させたのだ。音源の由緒も正しいし音も鮮明、なおかつ演奏のレベルが非常に高いように思える。今「パリの空の下SOUS LE CIEL DE PARIS」を聴いているが、本当に素晴らしい。



JEANETTE LINDSTROM / シャネット・リンドストレム / Queen on the Hillside

シャネット・リンドストレム / Queen on the Hillside
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008013480

ジャネット・リンドストレムのお蔵入り作品が登場。
この作品は、2012年に録音されていて、発売も「もうすぐ」という段階で延期となっていたもの。レーベルから音源が送られてきて音を聴いたらとても良かった。「お、これは素晴らしい、早く売りたい」と手ぐすね引いて待っていたが、やがて連絡が途絶えてしまった。「あれ、どうしたのかな」とずっと心配していた。別のレーベルから出たのかなとも思ったがそれもない。
心配をし続けて8年、ようやく発売ということになった。これは嬉しいニュース。久しぶりに聴いてみたけど、やはりあの時感じた「お、これは素晴らしいあ」という感情が思い出されてきた。
ジャネット・リンドストレムとの出会いは1996年の『アナザー・カントリー』だった。スウェーデンのジャズ、例えばエスヴィヨン・スヴェンソンのデビュー作『When Everyone Has Gone』も他に先駆けて店頭展開していたので、ジャネットもお客さんに受け入れられた。
2011年に発売したJazz Perspective Vol2の表紙はジャネットさんにお願いして登場してもらった。『Attitude & Orbit Control』が日本でも人気だった頃だ。よってその『Attitude & Orbit Control』と近い路線のジャネットのジャズを楽しめる。何かタイムスリップしたかのように懐かしいし、楽しめる。

 

 

 

 


 


DON RENDELL & IAN CARR / ドン・レンデル&イアン・カー / BBC Jazz Club Sessions 1965-1966

ドン・レンデル&イアン・カー / BBC Jazz Club Sessions 1965-1966

昨年の暮れ、ジャズ関連の映像関係のことで打ち合わせがしたいということで、パリから客人を迎えた。その頃はまだコロナという認識はなく、マスクなしというか普通に会話した。場所はやはりジャズがかかる場所がいいだろうということで神保町のアディロンダック・カフェにした。打ち合わせ場所にボクよりは10から15歳くらいだろう若いイケメンがやってきた。店に入り少しまったりしているとそのイケメン氏がかかっているジャズに反応を示した。「これ最高なんだよね」と言っている。かかったのは『Shades Of Blue』だった。ほんの一瞬の音でそれを判別した彼にその瞬間で一目置いた。一曲目の「Blue Mosque」は聴きこんだ耳にはかなりイイ。
それから先々週だったか、この『Shades Of Blue』のオリジナル盤、最近のプライス動向はどうなんだろう、と国際的な機関のサイトで調べてみた。昔から高かったが、今でも高かった。2020年になった今でも35万円以上で取引されているみたいだ。プライスが大幅にダウンしてゆくオリジナル盤も多い中、値が落ちないのは、この『Shades Of Blue』の根強い人気を物語っている。
そうこうしているとこの未発表だった音源が登場したということで驚いている。イギリスのGearBoxレーベルもずいぶんとBBC関連の未発表を発売してきたが、まだ残っていたとはびっくりだ。
尚商品の詳細はこちら
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/0/92722

 

 


 


TETE MONTOLIU / テテ・モントリュー / ライヴ・アット・キーストン・コーナー

テテ・モントリュー / ライヴ・アット・キーストン・コーナー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736740

キーストン・コーナーは本来<Keystone Korner>と書く。これは誤植ではなく故意にそうした。以前このクラブの支配人トッド・バルカンに店名はどうしてCではなくてKなのか質問したことがあり、確固たる信念でそうしたと話していた。はっきりとその信念は覚えていないけど。このタイトルを見ると「Keystone Corner」とある。おそらく「故意」に確固たる信念でそうしたに違いないが、どんな理由なのかとても知りたい。
この作品では「Lady Bird」を聴くのが楽しみ。ボクは「Lady Bird」好きで、すぐにカラダが反応してしまう。最初の1分30秒くらいまでの導入で「おっ、くるぞくるぞ」と身構える。テテ独特の進め方。「いいぞ、いいそ、こうでなくちゃ」と思う。なかなかの名演奏だと思う。因みにボクの上位としては。
まずはバーニー・ウィレンの『Barney』かな、やはり。最初このレコードを聴いたときには、まだバーニー・ウィレンのことを知らなくて、ケニー・ドーハム、デューク・ジョーダンは知っているけど「誰この人?」という無知な時、しかしその演奏の凄さには驚愕してしまい「バーニー」恐るべし、と認識が変わった。収録の4曲すべて第一級の演奏だ。2005年頃パリでこのRCAオリジナル盤2千ユーロくらいで購入したが、なんとも感慨深かった。
ユタ・ヒップの『At the Hickory House Vol.1』は、レナード・フェザーのMCすぐの「Take Me In Your Arms」の印象が強いが、A面最後に収録されている「LadyBird」もインパクトある演奏で素晴らしい。
ハクエイ・キムの『Shadow Of Time』にも収録されている。
『Open The Green Door』(2005年)、『Home Beyond The Cloud』(2006年)に続くDIWからの三作目。この作品には、「Elsa」とか「Holly Land」とか「今日から100年」とかのボク好みのスタンダード曲が収録されている(まあこれらの選曲はボクがお願いしたものなんだけど)。ハクエイさんの「Lady Bird」も独特で師匠マイク・ノックの教えを昇華させたハクエイさんの美学がある、と思っている。

バーニー・ウィレンの『Barney』


ユタ・ヒップの『At the Hickory House Vol.1』


ハクエイ・キムの『Shadow Of Time』

 



CEDAR WALTON / シダー・ウォルトン / シダー・ウォルトン~ロン・カーター~ジャック・ディジョネット

シダー・ウォルトン / シダー・ウォルトン~ロン・カーター~ジャック・ディジョネット
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736732

ライムトリーレーベルからの作品だ。このレコードが輸入盤レコードとして入荷してきた日のことを覚えている。新宿本館の地下にジャズの売り場があったころだ。毎日レコードの入荷があり、締め明けの入荷などは3千枚とかのレギュラー商品が入ってきた。まだCDの取り扱いは微々たるもので、皆さんレコードを買いに来ていた、あっこれ全部新品の話です。
そんな時にこれが入荷してきた。最初の入荷枚数は覚えていないが、すぐに売り切れてしまった。次回の入荷はいつなのかと訊かれるも「わかりません」ということしかできず。結局その後の入荷は記憶にないから入らなかったのかも。その当時そういうレコードが入荷する店はだいたい決まっていたから、ファンの方は都内のレコード店を駆け回ったと思います。ないとなると欲しくなります。タイムレスの1982年のレコード、『デビー・ポーリス / トリオ』なんか、一度目の前を横切ったような気がするだけで当時売った記憶がまるでない。「レア盤として有名なトリオ・アルバム」というのはあながち嘘ではない。
この中ではオリジナル曲「Iron Clad」、「The Rubber Man」が好き。
「Iron Clad」は他でも演奏していて、Yoshi'sでのライブ盤(1989年)では15分を超える長尺演奏で心ゆくまでこの曲も持つ快感を持続堪能させてくれる。
因みにこの作品は、日本制作がオリジナルでBaystateレーベルから 『The All American Trio』(1983年録音)として発売されものをライセンスしたものになる。


FRANCES WAYNE / フランシス・ウェイン / ウォーム・サウンド

フランシス・ウェイン / ウォーム・サウンド
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DFN180824-013

昨日、「スピーク・ロウ」のこと少し書いていて大事な作品を思い出した。フランセス・ウェインのウォーム・サウンドだ。
これに収録されている曲の半分くらいはホント素晴らしいと思う。
「Early Autumn」、「'Round Midnight」、「Prelude To A Kiss」、「My One And Only Love」、「In Other Words」、「Blue And Sentimental」、「You Go To My Head」などの唯一無二のヴォーカルだ。なかでも「スピーク・ロウ」の出来栄えがなんとも言えない素晴らしさ。けだるくて退廃的なムードがたまらない。こんなヴァージョン他では聴けない。
ミルトン・ヒントン(b),オシー・ジョンソン(ds),ハンク・ジョーンズ(p),アル・コーン(ts),ジェローム・リチャードソン(fl,bs),アービー・グリーン(tb)などの第一級のメンバーによる演奏がモダンな雰囲気を演出している。

下記は<アトランティック女性ジャズ・ヴォーカル紙ジャケット・コレクション>再発の際に書いたコメント、2007年のもの。
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ヴォーカルの名盤と永年信じてきた作品が最近2枚出た。最初はフランセス・ウエインのウォーム・サウンド。今までも、コレが出る度にスウィング・ジャーナルとか店頭とかでアピールしてきた。今回も遅くなったがアピールしたい。彼女には数枚作品があるが何故か奇跡的に名盤へと登りつめた作品がコレだと思う。インティメットでけだるくて退廃的な匂いが堪らない。今から25年前の大学2年の時この退廃ムードに一発でノックアウトされた。この「アーリーオータム」のけだるい雰囲気。そもそもこの「アーリーオータム」が大好きな曲でもあったし。高校の頃、ウディー・ハーマンのサマーシークエンス、スタン・ゲッツのソロにメロメロだった。それ以来大好きな曲だ。そんな大好きな曲が、大好きな曲想でゆったりとやられるんだから、たまらない。「Prelude To A Kiss」、「Blue And Sentimental」、「Speak Low」などなど引き込まれます。スゴイです。



BOOKER ERVIN / ブッカー・アーヴィン / THAT'S IT! / ザッツ・イット

ブッカー・アーヴィン / THAT'S IT!
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736578

ブッカー・アーヴィンの別の作品のことは8月に書いた。そういえばこのレコードもあったな。忘れちゃいけなかった。ホレス・パーラン、アル・ヘアウッド、ベン・タッカーという強固なリズムセクションのカルテット。ボクはやっぱり「スピーク・ロウ」なのだ、このレコードは。
最初に感動した「スピーク・ロウ」は、フォーフレッシュメンの『ファイヴ・トロンボーン』に収録されているものだった。あのレコードには、その後も人生の好みを左右する名曲がたくさん収録されていた。例えば、「Angel Eyes」、「Mam'selle」、「The Last Time I Saw Paris」とかだ。コーラスとトロンボーンの絡みが絶妙で、早い時期に聴いておいてよかった、ホント。
大学行ってからはジャズ喫茶でテテ・モントリューの『ピアノ・フォー・ヌリア』に収録されている「スピーク・ロウ」を知った。あれは新鮮だった。それからリチャード・ワイアンズがピアノ、ロイ・ヘインズがドラムの『ジャスト・アス』を知ることになる。あまり有名なレコードではないけど、この「スピーク・ロウ」もかなり素晴らしい。ロイ・ヘインズとブッカー・アーヴィンが共演している『Cracklin'』(1963年)は「パリの空の下セーヌは流れる」を聴く為に聴いたのだが、案外「Dorian」がいい。それはこの『ザッツ・イット』での「Boo」に似ていてブッカー・アーヴィンの持ち味がかなり出ている。


CHARLES MINGUS / チャールズ・ミンガス / CHARLES MINGUS PRESENTS CHARLES MINGUS+2 / チャールズ・ミンガス・プレゼンツ・チャールズ・ミンガス

チャールズ・ミンガス / チャールズ・ミンガス・プレゼンツ・チャールズ・ミンガス
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736819

昔から疑問だった。2曲目日本語タイトルでは「フォーブス知事の寓話」となっている。英文タイトルでは本来「Fables Of Faubus」のハズだが、ここには「Original Faubus Fables」とある。「Original」とはいったい何なのか、何を意味するのか、長い間謎だった。最近になり「そういえば、オリジナルとは何だったのか」と調べてみた。この曲「Fables Of Faubus」はコロムビア盤の『Uh Um』に収録されている。しかしミンガスが示したかった反人権問題に関する「詩」をコロムビアは認めなかった。しかたなく「詩」なしでの演奏となった。翌年、自主製作レーベルに近いキャンディッドに移籍。そこで「詩」を思う存分披露した。「詩」はそのフォーブス知事(詳しいことはウィキペディアでお調べください、詳細に書いてあります)に対する怒りだ。ミンガスとダニー・リッチモンドが歌った。そして「詩」があってこそ本来の「Fables Of Faubus」だということで、敵意も込めて「Original Faubus Fables」としたらしい。ようやく長年の謎が解けた。ミンガスのこのレコードはリクエストが多く、この曲がかかる度に気分が沈んだものだった。
エリック・ドルフィーが最高だ。またテッド・カーソンも既に頂点に達しているかのような演奏。翌年オールド・タウンから『Plenty Of Horn』をリリースするテッド・カーソン、ドルフィーとの適正がよかったのだろう。


CECIL TAYLOR / セシル・テイラー / WORLD OF CECIL TAYLOR / セシル・テイラーの世界

セシル・テイラー / セシル・テイラーの世界
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245736405

12月9日にキャンディッドの作品が再発されるようだ。このセシル・テイラーもラインナップにもちろん入っている。今日はセシル・テイラーの話だ。
このレコードは高校生の時に買った。特段フリージャズに興味があったというわけでもなく、ちょうど新作としてスウィング・ジャーナル誌に広告が載っていて、それに誘発されたのだろう。(高校時代SJ誌を購読していた。)
日本でのその国内盤は1977年、ビクター音楽産業からだ。聴いてみて後悔した。音楽が難解すぎて、ついていけない。しかも解説書ともいうべきライナーノーツは更に難解なもので、降参してしまった。たしか鍵谷幸信氏(当時、慶応大学文学部英文科教授)とジャズ評論の間章氏の対談。紙面をこれでもかと使っていましたね。結局最後まで読めなかった。
しかしながら、音は次第に耳に馴染んできた。セシル・テイラーの水面を跳ねるような独特なタッチに惹かれていった。高校を卒業するまでには、すっかり「オレ、セシル・テイラーの世界好きだから」と公言するまでになっていた。しかしそれを公言する理解者は周りにはいなかったわけだが。
当時まだ新人だったアーチー・シェップの初録音が収められているというのも興味深い。「Air」と「Lazy Afternoon」の2曲のみだけど存在感は十分だ。正直かなりかっこいい演奏だ。この作品の両巨頭的な存在だ。
インペリアルというレーベルのペギー・キングに「Lazy Afternoon」というアルバムがあるんだけど、まったく違う印象の曲。両方好きだけどね。

PEGGY KING / Lazy Afternoon
PEGGY KING / ペギー・キング / LAZY AFTERNOON / レイジー・アフターヌーン


アルフィーを演奏、歌っている作品




この曲はそもそも1966年の『アルフィー』という映画の為にバート・バカラックが作った。
この美しい曲を聴くと、映画もさぞや素晴らしいのだろうと想像できる。実際はひどい映画だ。初めて観た時はなんて情けないと思った。
主人公のアルフィーは同時に何人もの女性と関係する「女たらし」(ウィキペディアより)である、その乱交の数々を見せられるこちらはたまったものでない。憤慨極まりない。アルフィー自身が観ている者に語りかけるという手法で映画は進む。ソニー・ロリンズが音楽を担当したのだが、ロリンズの分厚いサウンドがなければ途中で鑑賞放棄したい残念な映画だ。ロリンズは「アルフィーのテーマ」を吹いたりしているがレコードのヴァージョンとはだいぶん違う印象の演奏だ。映画の最後になって、絶望したアルフィーが野良犬を見つけて一緒に画面から消えてゆくというラストシーンで初めて「アルフィー」が流れてくる。シェールという女性歌手が歌ったらしい。ジャズでもいろいろな演奏、歌があり少し紹介する。



MONICA ZETTERLUND / Monica
スウェーデン語訛りの感じられるモニカの歌は、いつどこで聴いてもいい感じ。



JOANIE SOMMERS / Come Alive! The Complete Columbis Recordsings
「You'd Better Love Me」、 「Sunday In New York」、「 You've Got Possibilities」、「Never Throw Your Dreams Away」などの名曲ぞろいの中でも個性光る名曲アルフィー。どこか明るい陽気な雰囲気も素敵です。



NURIA FELIU / Mai no goses
スペイン語で歌うジャズ歌手ヌリア・フェリフ。ブッカー・アーヴィン、テテ・モントリューと録音したレコードがあって、それを聴いた時はえらく感動した。世界が広がったと本当に思った。その後、彼女には多くの作品、ジャズ以外のレコードがあることを知る。永福町の大勝軒ラーメンのようにクセになる味わいある歌手だと思う。



BILL EVANS/Another Time
1968年6月22日オランダのヒルバーサムで行われたコンサートの音源。この町はメディア、スタジオが多く集まり、多くの作品が録音された。



EARL KLUGH/ HandPicked
アコースティックギターのソロによる演奏。2013年録音。『フィンガー・ペインティング』の時から変わらぬ信条、最近また聴きはじめました。



DAVID HEIZELSTEIN / Alfie
これはオススメ!!ピアノトリオによる演奏。他にもバカラックの名曲が収録。



PAT METHENY / What's It All About
2011年ソロ作品。パット・メセニーのことは詳しくないが、この作品は初めてオリジナル以外の曲ばかりで構成されたアルバムなのだとか。しかしこのタイトルWhat's It All Aboutはアルフィーの出だしの歌詞そのままだ。



ROLAND KIRK/ Now Please Dont You Cry
ローランド・カークとしてはおとなしい演奏。最後のほうでロリンズの「アルフィーのテーマ」が引用されている。
『Volunteered Slavery』というニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ盤の中でバカラックの「I Say A little prayer」を演奏していてそれがなんともエキサイティング。途中でジョン・コルトレーンの「至上の愛」のフレーズを引用、ライブの盛り上がりは最高潮に達する。



TEDDY EDWARDS / Tango In Harlem
1995年録音。Christian McBrideとBilly Higgins参加のトリオ作品だが、この「アルフィー」だけは独演会(ソロ)です。



バート・バカラック ベスト1000
やはり個人的には一番安らぐヴァージョンかな。



IVAN PADUART / Plays Burt Bacharach
『Clair Obscur』(2005年)が懐かしいイヴァン・パデュアが、ボブ・マラックを擁してのバカラック特集。



RITA REYS / Sings Burt Bacharach
おなじみリタ・ライスのヴァージョンはやはりいい。



RIGMOR GUSTAFSSON / Close To You
『In The Light Of The Day』(1996年)を紹介したのは、吉祥寺にいた頃、たぶんジャズ館ができる少し前だろう。あれから沢山の作品をリリースしている。ジャッキー・テラソンがピアノ。最近では、リーグモル・グスタフソンというようですね。昔はリグモアで通用していた。



CHRISTOF SANGER / Crossings
1990年代、ピアノトリオファンの間で話題となったクリストフ・ザンガー2011年の作品。素晴らしいです。



ニッキ・パロット/ 遥かなる影
今宵は彼女の「アルフィー」を聴きながら店じまいとしよう。
最近は彼女の歌声を聴いている時間が格段に増えた。



<南シナ海に沈む夕陽>

ボルネオ島、サラワク州ミリで撮影した綺麗な夕陽。直前まで降っていたスコールが止み、突如顔を出した太陽。思わずシャッターを押しまくった。ボクの人生最高の夕陽だ。
ボルネオ島には2018年と2019年2回行った。『ボルネオ・ジャズ・フェスティヴァル』を観にきませんか、と招待を受けた。
そもそもボルネオ島ってどこにあるんだっけ?と地図をひろげて確認した。マレー半島の東に位置する大きな島でインドネシア、ブルネイ、マレーシアの3国が同居する。なるほどなるほど、大学時代に読んだ山崎朋子の『サンダカン八番娼館』のサンダカンがあるのがボルネオ島だ。
成田空港からクアラルンプールまでは7時間くらい。そこで乗り換えで数時間潰し、ミリ空港までは2時間半。トータル15時間、結構かかる。
今年はコロナで開催されなかった。来年はどうなるのだろうか。すばらしい環境で楽しむジャズ、行けることならまた行きたい。


2019年日本から唯一参加したfox capture planのステージ


イタリアから招待されたアーティストのステージ


トニー・ラカトシュらのステージ


今までで一番小さな飛行機に乗った。ミリ空港。


上空から見るジャングルの川


ムルという空港で見た痩せた猫


ムル空港で見た痩せた犬