<連載> ★山本隆の"続 JAZZ IN THE WORLD"★ 2021 Mar.

  • JAZZ
  • 続 JAZZ IN THE WORLD

2021.03.30

  • LINE

  • メール

<予約>"ENJA REAL JAZZ CLASSICS" 第6期 20タイトルが発売決定
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/95842

Enjaの過去の名盤がまた発売される。気になる作品をピックアップして紹介したい。
その2。

--------------------------------------------------------------------------------


カーリン・クローグ / ホエア・ユー・アット?
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245742390

2002年ニューヨーク録音。
過去にミューザックから、『ニューヨーク・モーメンツ』として再発されたこともある。

カーリン・クローグの初期の7インチ盤に『Break of Day in Molde』というのがある。
ジャケットが素晴らしい。初めて見た時はとても感激した。とてもレアで市場に出回ることも少ない。テッド・カーソンとか参加している。
モルデはオルロから北へ350キロのフィヨルドに囲まれた小さな街で(行ったことないけど)、ヨーロッパ最古と言われる<モルデ・ジャズ・フェスティヴァル>が1961年から開催されている。
その街にちなんで、Johs. Bergh とカーリン・クローグが作ったのが、「Break of Day in Molde」(モルデの夜明け)という曲。もともとはカーラ・ブレイのアイダ・ルピノ(Ida Lupino)という曲をベースに作られた。
アイダ・ルピノは女優で、刑事コロンボの「死の方程式」、「白鳥の歌」にも出演していた。「アイダ・ルピノ」は元夫のポール・ブレイやスティーヴ・キューンも演奏している名曲。ボクも個人的に好きでヘルゲ・リエンの『To The Little Radio』で演奏してもらった。
またこのJohs. Berghはジャズ・ジャーナリストで、カーリン・クローグの夫だった人でもある。2001年に亡くなった。
サックス奏者のトッティ・バーグは、弟にあたる。またトッティが結婚したのはジャズ歌手のレイラ・ダルセスだ。
レイラとは新宿のヒルトンホテルで会ったことがある。亡くなったJohs. Berghがコレクションしていた大量のレコードの処遇についての相談だった。当時まだヨーロッパへの積極的な買い付けを実施していなかったので、あれこれ試行錯誤しているうちに立ち消えとなった。もったいない話だ。今だったら一週間で航空券買ってあれこれ準備して行く(今はコロナだから実際には行かないけど)。もう20年近く前の話だ。
カーリンとは、2004年にノルウェー大使館で会った。ギターのヤコブ・ヤングと一緒に来日した。ちょうど『Where Flamingoes Fly』が発売された頃だったか。(この中に収録されている「I'm Shadowing You」が素晴らしい)
それから4年前のオスロ大学でのコンサート。やはりスティーヴ・キューンとのコラボレーションが絶妙だった。
この作品はニューヨーク録音ということで、そのスティーヴ・キューン参加。スティーヴのピアノには注目だ。
1曲目の「ザ・ミーニング・オブ・ラヴ」という曲が好きだ。この曲は、『We Could Be Flying』で初収録された。メンバーは、スティーヴ・キューン、スティーヴ・スワロー、ヨン・クリステンセンという最強の布陣だった。かなりクセの強い演奏と歌唱でインパクト大だ。
ここでの演奏はそれに比べるとおとなしいもので、こちらのほうが好きという人もいるだろう。スティーヴ・キューンのピアノがとても素晴らしい。
「レイジー・アフタヌーン」、「カント・マイ」など彼女が好んで歌う曲も素敵だ。

参考作品

Break of Day in Molde / Blues Eyes(Sonet T 9541)

ジャケットが素晴らしい1969年リリースの7インチ。
 



<予約>"ENJA REAL JAZZ CLASSICS" 第6期 20タイトルが発売決定
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/95842

Enjaの過去の名盤がまた発売される。気になる作品をピックアップして紹介したい。

--------------------------------------


ジム・ペッパー / パス
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245742389

1988年作品。名曲「Witchtai To」を収録。
若い頃よくヤン・ガルバレクの「Witchtai To」に身をゆだねていた。この曲は次にくる大作「Desireless」のプレリュードみたいな感じではあったが、強烈な印象を持つ曲。B面の1曲目、2曲目という構成がちょうどよかった。
2007年のミュンヘン出張で、マンフレッド・チャフナー氏が「このレコード聴いたことあるか?」と言ったので「ジャケは知っているけど聴いたことがない」と答えた。それが、Pepper's Pow Wow (Embryo, 1971)だった。日本に帰りあらためてそれを聴いたら一曲目が「Witchtai To」であった。そうなんだ、この曲、ジム・ペッパーの曲だったんだ、とその時初めて知った。その2年前に出た7インチ盤Everything Is Everything (Vanguard, 1969)が初演らしいけど。
ヤン・ガルバレクのヴァージョンとはぜんぜん違うのでびっくりしたけど、悪くなかった。

そしてこの作品でも「Witchtai To」を再演している。でも曲の表記が微妙に違う。「Witch Tia To」だ。
 





CAROL DUBOC / Restless
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008237687

キャロル・デュボクはベテランシンガーだという。ボクとそんな歳もかわらないみたいだ。
1990年代より何枚も作品をリリースしている。
ヴォーカル作品は比較的関心を持って過ごしてきたわけだけど、
実は聴いたことがない。というか記憶がない。
試しに過去の作品の何枚かを聴いてみたら理由がわかった。
フュージョンとういかクロスオーバー的な雰囲気なのが多い。
そんなのを受けつけなかった過去の自分。
今は、なんでも聴くようになり、嗜好もオープンになって、なんでも来いな状況。
ジェフ・ローバーと組んだこの作品、いっぺんで気に入った。
春になって、桜が咲いて、うきうきと浮かれたい気分。
しかし宣言解除されも、まだ不自由な生活を強いられている。
そんな塞ぎ込んだ気持ちを打破してくれるようなご機嫌なサウンドに身を任せて、ウキウキ気分を味わっている。




WES MONTGOMERY / NDR Hamburg Studio Recordings(CD+Blu-ray)

この作品の詳しい説明はこちらでお願いします。
昨日ジョージ・ベンソンを書いたので、今日はウェス・モンゴメリーにする。
ウェスのレコードを初めて買ったのは『California Dreamin』だった。1,500円とか1,300円の廉価盤。自分の思い描いていたリアルでシリアスなジャズではなかったので失望した。だから当時は好きではなかった。この良さに気が付いたのは、ここ3年くらい、最近のこと。「Oh You Crazy Moon」、「More, More, Amor」の素晴らしさにはほんとに感嘆。イージーリスニングなのかもしれないけどね。『A Day In the Life』の「カリフォルニア・ナイツ」も同じような意味合いで。
大学に入ってから知ったのは『Solitude』(という2枚組のレコードで1965年のパリ録音。
当時よく演奏していた「4 on Six」は彼の中でも上位の演奏のように思える。また「Impressions」はほとんど演奏されていないが、かなりエネルギッシュな演奏。
この音源は近年レゾナンスより発掘された『In Paris: The Definitive ORTF Recording』として聴ける。特筆すべきは、当日のコンサートと同じ曲順でリリースされているということで興味深い。当時フランスに移住していたジョニー・グリフィンが3曲で参加、これも圧巻。

このハンブルクの音源はそのヨーロッパ・ツアーの一環での演奏。
マーシャル・ソラール、ロニー・スコット、ハンス・コラー、ロニー・ロスらが参加したことにより、急速にヨーロッパ・グルーヴが吹いてきたぞ。「Last Of The Wine」を聴いてそう感じた。


 


ジョージ・ベンソン / ブリージン

------------------------
昨日22日はジョージ・ベンソンの誕生日だったらしい。78歳だそうだ。
今日知った。
昨日はちょうどジョージ・ベンソンのことを書いていた。題材は、1968年のジミー・スミスの『ザ・ボス』のことだ。しかしながら誕生日ということなら、もう少し広げてボクの好きなジョージ・ベンソンの曲について何曲か書いてみたい。
1976年の『ブリージン』でジョージ・ベンソンを初めて知った。
記憶では発売日の翌日に購入したのだが、「発売日翌日」ではなかったかもしれない。発売してしばらくしてからだったかも。それからずっと聴き続けている。
ジャズ以外のすべての音楽で、自分の中では一番聴いてきた作品と言えると思う。
海外出張の飛行機での「お供」はほとんどこれだった。それだけでも数百時間は聴いているんだよね(17年間で)。
マイベストは、「Affirmation」、「So This is Love?」そして「Breezin」だ。
ジミー・スミス の『ザ・ボス』はジャズ喫茶時代に偶然聴いた。
「ザ・ボス」でのジョージ・ベンソンにしびれた。ボクの知っている『ブリージン』でのジョージ・ベンソンとはまるで違うジャズ・ギタリストがそこにいた。
最近では「サム・オブ・マイ・ベスト・フレンズ・アー・ブルース」、「ディス・ガイズ・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」も気になりだしている。
ボクは、「Mambo Inn」という曲が好き。最初はビリー・テイラー・ウィズ・キャンディドのトリオで知り、ギターではグラント・グリーンが『ラテン・ビット』で演奏していた。
1989年に発売された『Tenderly』でその「Mambo Inn」をやっていた。ボクは横浜関内のお店にいた。まだジャズフロアが5Fにあった頃。毎日毎日店頭演奏した記憶がある。これも忘れられない曲。
あ、その前にもあったな。『Weekend In L.A.』だ。
これはレコードだと2枚組で当時は4,000円もした。買うのにずいぶんと悩んだ。失敗はしたくないからね。でも「メローなロスの週末」この1曲でもとがとれた気もした。富山に居ながらにして「メローなロスの週末に浸りました」よ。「Down Here On The Ground」も好きなんだけど、このヴァージョンよりもスタジオヴァージョンのほうが好き。オリジナルには収録されてなかったけど最近の『ブリージン』のCDには収録されていて、それがイイ。

ここ4年間で知った曲としては、「Love X Love」。『Give Me The Night』に収録されている。また『Weekend In London』のヴァージョンも捨てがたい。

個人的なロニー・スミス強化月間中に知った「It’s Changed」もいい曲。『Afro Desia』に収録されている。

ということでジョージ・ベンソンにたっぷりと浸っています。というかもうずっとなんだけどね。



<予約>ジャズ・アナログ・レジェンダリー・コレクション第2弾が発売
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/95485



マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト(LP/180g重量盤)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008272753

思い返せば、このレコードについての文章を書いた記憶がない、一度も。
『マイルス・イン・ヨーロッパ』を最初に買った。初めてのマイルスのレコードなので、じっくりと聴きこんだ。しかも「枯葉」のハービー・ハンコックがメチャメチャかっこよくって、マイルスといえば『マイルス・イン・ヨーロッパ』ということになった。
マイルスの4部作を買ったり『カインド・オブ・ブルー』を買ったりした。
『カインド・オブ・ブルー』は芸術的に完成された作品だった。難解でもあった。
高校の同級生の女性にこのレコードを貸したことがある。しばらくして返却されたが、無言の感想だった。そして疎遠になった。レコードは貸すもんじゃないなと思った。
『ラウンド・ミッドナイト』はその前後に購入した。
もう「ラウンド・ミッドナイト」、「バイ・バイ・ブラックバード」にメロメロになって。『クッキン』の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を抜いたと思った。。
『マイルス・イン・ヨーロッパ』をも抜いたと思った。



Venus Jazz Masterpiece LP Collection
ヴィーナス・ハイパー・マグナム・サウンド マスターピースLPコレクション
第1弾 全10タイトル発売
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/94874



エディ・ヒギンズ / イフ・ドリームス・カム・トゥルー(LP/180g)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245740324

ジャズを聴きはじめの頃、オスカー・ピーターソンの『プリーズ・リクエスト』をよく聴いていた。ジャズの醍醐味、エッセンスが詰まっているようなレコードで今もたまに聴く、ピーターソン、レイ・ブラウン、エド・シグペン3者のバランスが絶妙だ。
いつだったかヴィーナスレコードの原社長から電話を頂戴し、「今度久しぶりにレコード出します」と伺ってから、ずっと聴いていた。
或る意味、このエディ・ヒギンズのコレも『プリーズ・リクエスト』みたいなもので、ジャズのエッセンスが詰まっていると思う。
これからジャズを聴くという人にもおすすめだ。
 


<予約>ジャズ・アナログ・レジェンダリー・コレクション第2弾が発売
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/95485




ANN BURTON / アン・バートン / Blue Burton / ブルー・バートン(LP/180g重量盤)
 https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008272754

アン・バートンのことを知ったのは20歳くらいの時だった。
ボクが修行していたジャズ喫茶マイルスでは、特にリクエストがなければママの好きなレコードでその日の営業を閉めることが多かった。記憶しているレコードとしては、ケニー・バレルの『ヴィレッジヴァンガードの夜』、アート・ファーマーの『イエスタディ・ソウツ』、マイルス・デイヴィスの『スティーミン』、アン・バートンの『ブルー・バートン』などなど。他にもたくさんあったが忘れた。
ジャケットを手に取り、「アン・バートンって誰だろう」と思った。ヨーロッパ、オランダの歌手なのかと知った。
それは、リタ・ライス、モニカ・ゼタールンド、カーリン・クローグなどを初めて知った時に似ている。
アン・バートンの優しい語り口、どれもが名曲になってしまう。
もう皆さんが「名盤」と認定されているので、今さらボクごときが、「えー、捧ぐるは愛のみは名曲でしてぇ」なんて言っても始まらないから、差し控える。
B面の「夜は更けて」(In the wee small hours of the morning)はボクの心にさんざん刻まれた。
2008年ハクエイ・キムさんの『シャドウ・オブ・タイム』で演奏してもらったのも、そんな気持ちからだ。
アン・バートン聴いているあいだは、ゆったりとした優しい時間が流れる。



 <予約>ジャズ・アナログ・レジェンダリー・コレクション第2弾が発売
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/95485




フィル・ウッズ / ウォーム・ウッズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008272755

学生時代、ヤケ(自暴自棄)になっていた頃にこの「イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ」を聴いて心が落ち着かされた。そしてことある度に(つまりヤケになる度に)この曲で慰められた。ボクにとっては懐かしい<ヤケ期>の思い出だ。
パーソネルについてはあまり興味もなくて今まで知らなかったのだが、調べて少しだけ驚いた。
ドラムがニック・スタビュラスなんだってさ。エディ・コスタ~ヴィーニー・バーク・トリオ(ジュビリー)のドラムがニック・スタビュラス。「魅惑のリズム」が好きだった。
それからマイク・コゾーのカルテット(ジュビリー)のメンバーはエディ・コスタ(p)ヴィニー・バーク(b)ニック・スタビュラス(ds)である。
レスター系の渋いテナーが魅力で「フールズ・ラッシュ・イン」が好きだったなあ。
そのニック・スタビュラスだったというのが少し意外。
また、ベースはソニー・ダラスということだ。ソニー・ダラスはリー・コニッツの即興演奏の極みである『モーション』のベース奏者。でこのウォーム・ウッズとはあまり結びつかない。
またピアノは。リバーサイドに1枚のリーダー作品のあるボブ・コーウィン。もっと有名な人かと思っていたが意外、地味な人だった。
まあそれでも名盤は名盤。エピック盤の中でも屈指の傑作でオリジナル盤市場でも昔から高値がついていたようだ。
アナログでの発売だ。

参考作品

エディ・コスタ~ヴィーニー・バーク・トリオ(ジュビリー)



マイク・コゾーのカルテット(ジュビリー)


リー・コニッツの即興演奏の極みである『モーション』



ディスクユニオン渋谷ジャズ/レアグルーヴ館が移転したので、渋谷のディスクユニオンの話を今日はします。




ROLAND KIRK / Volunteered Slavery
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245583215

渋谷にあったディスクユニオン、いくつかの店舗で働いてきた。
パルコの前にあった公園通り店は1986年頃。レコード専門の薄暗い店であった。そこではウォーン・マーシュのモードの再発盤(クリスクロス)を知った。少しして閉店となった。
東急ハンズの前にあった店舗はジャンル総合の店。ここでは前にも書いたけど、バーニー・ウィレンの『ラ・ノート・ブルー』を知る。
その数年後また渋谷に戻った。渋谷3号店、ずいぶん後に渋谷ジャズ/レアグルーヴ館と店名を替えた。レコードの再発盤が毎日500枚単位で入荷してくるような店だった。
もちろんジャズだけでなくソウル系も、というかソウル系のほうが多かった。凄まじい勢いで売れていくレコードたち。
「あれ?今からCDの時代となり、レコードは消えていくんだよね」という時代の流れに逆行する様子はディスクユニオンらしくあった。結局レコードは廃れるどころか同じ勢いを保ち、今また市民権を得ているようでもあるが、そういう世界の流行とは関係なく存在しているのがこの店だ。
ここで一番の思い出はローランド・カークの『Volunteered Slavery』。これはレコードではなくCDではあったものの、ずいぶん売れた。店頭で流れると興奮の坩堝と化した。「I Say a Little Prayer」のロン・バートンのピアノが忘れられない。「至上の愛」を引用するカークのフレーズもいいねえ。バート・バカラック作曲のこの曲は、この曲至上最も激しくヒップなヴァージョンなのではないか。
レコードで溢れかえった店が思い出される。
そんな店ももうなくなった。3月9日に同じビルの5階に移転しました。
ボクも宣言解除されたら訪問するつもり。。

ディスクユニオン渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 移転ニューオープンのお知らせ
http://blog-shibuya-jazz.diskunion.net/Entry/16469/



2年前の今日3月11日、明大前のジャズ茶房マイルスのママ、本山雅子さんが亡くなった。1960年に店をオープンしてから59年間現役で店に立ち続けた。途中何度か病気で店を閉めることもあったが、月曜から土曜までコーヒーを淹れ続けた。
ボクは、その何年かを手伝った。週6日、一日8時間レコードを聴いた。
本山さんが教えてくれたレコードで今でもボクが好きなレコードを何枚か書いてみる。
ということで今日は本山さんを偲び、これらを聴いてしんみりする。


HERBIE MANN / ハービー・マン / The Complete Recordings Part One: 1955-57

HERBIE MANN / The Complete Recordings Part One: 1955-57
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007016869

ここに収録されている『Flute Soufflé』について書く。曲でいうとDisc4の6-9曲。
『Flute Soufflé』は、1957年の録音でレーベルはプレスティッジ。日本では1974年に一度LPで出たことがある。その後OJCでCD化されたがそれっきりだ。無視されているというか、「復刻アイテム選定会議」でもいつも落選なので、国内ではCD化されていない(ハズ)だ。この「TelAviv」という曲が好きだ。哀愁に満ちたマイナーな曲。ボクはそのような曲が好きで、テオ・マセロの『Teo』、アル・コーン他の『アーシー』なども同じような雰囲気の曲がある。この3作品は期せずして1957年の録音だ。
ハービー・マンとボビー・ジャスパーによるフルートとテナーの双頭コンボ。ソロの順番はよくわからない。
とにかく、この「テルアヴィヴ」がボクの根底を形成している。
しかしながら「この曲好きだよ」というジャズ仲間とは会ったことがなく、死ぬまでには夜が明けるまで語りたかったがその体力ももうない。
ギターはジョー・ピューマ。途中のソロがなんとも慈愛に満ちている。そのソロは、ジョー・ピューマ渾身の出来であるウェブスター・ヤングの『フォー・レディ』のソロと同じくらい切ない。
また同じ時の録音で、『Flute Flight』があるけど、あまり聴いたことはない。


WEBSTER YOUNG / ウェブスター・ヤング / FOR LADY

WEBSTER YOUNG / For Lady
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/OJC1817162

それで、その『フォー・レディ』。もう何度となくことあるごとに紹介してきた。ジャケットのデザインは秀逸で「ジャズ史上燦然と輝く最高傑作」と言いたいのだが、流石にそれは言い過ぎだろうとたしなめられた。しかし、このタイトル曲「The Lady」はどうだ。
哀愁の極み曲トップに必ずランクするハズだ。ミュートの利いたウェブスター・ヤングのコルネットがもの哀しい。ポール・クィニシェットの魅力はこのレコードで昔知った。ジョー・ピューマはここで名を遺した(と思う)。全員一丸となって哀しみのソロを発表しあう。


WALT DICKERSON / ウォルト・ディッカーソン / To My Queen / トゥ・マイ・クイーン

WALT DICKERSON To My Queen
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245397749

あれは大学2年の時だった。欲しくて欲しくて、毎日のように探していたけど、なかなか出くわさなかった。ある日のこと。大友良英氏と仲が良かった後輩のZ君が「ヤマモトさん買いましたよ、ディッカーソン」と言って誇らしげにレコードを見せに来た。その時は地団駄踏んで悔しがった。国内の再発盤ではあるけど、30数年前はそれすら売っていなかった。ここで賞讃すべきは、アンドリュー・ヒルのピアノとアンドリュー・シリルのドラムかな。あとジョージ・タッカーもディッカーソンを盛り立てる。
なんという感動のひと時(17分)なのだろう。


WALT DICKERSON / ウォルト・ディッカーソン / RELATIVITY

WALT DICKERSON / Relativity
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DFS200122-049

ウォルト・ディッカーソンを最初に認識したのはこのレコードであった。谷崎 潤一郎の「陰影礼賛」的なジャケットにまずしびれた。
でっ、ジャズ喫茶的には、「これはB面のシュガーランプを聴くレコードなのよ」とママに教えられて、それを信じて集中的に聴いた。確かに日本人が好みそうな曲想で胸にしみる。
ピアノのオースチン・クロウがまったく素晴らしい。『A Sense Of Direction』、『This Is Walt Dickerson!』でも聴ける。
以前どこかで「ユニバーサルのクロニクルシリーズでようやく陽の目を見る」というようなことを書いたが、間違いで復刻発売はされていない。発売されていたら大騒ぎしていたはずだ。


TED BROWN / テッド・ブラウン / フリー・ホイーリング

TED BROWN / Free Wheeling
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DFS200605-008

ジャケットのデザインが意味不明だ。なんだこれは。サックス奏者は人間ではない。顔が狼のようでもある。しかもアタマの上で駒が回っている。意味不明だ。永年考えているものの答えは未だ出ていない。まあいいけど。
今でも「Aretha」を聴くと40年前の明大前の空気感とか匂いを思いだす。
アート・ペッパー絶頂時のプレイが聴けるのでも有名なんだけど、どちらかというとテッド・ブラウンとワーン・マーシュがボクの好物だ。
「 A Slow Boat To China」は大抵ソニー・ロリンズのプレスティッジ盤で初体験を済ませるものだけど、このB面でカラダを許した。
 

LE THEATRE DU CHENE NOIR / Orphee 2000(LP)

LE THEATRE DU CHENE NOIR Orphee 2000(LP)

へえ、これ復刻されていたんだ、知らなかった。
このレコードは純粋なジャズではないので多くの人は知らないかもしれない。ボクも知らなかった。
JazzPerspective Vol.3(2011年11月発売)の特集は「フランスのジャズ」であった。ディスクユニオンの専務で2018年に他界された菊田有一さんに原稿を依頼した。「私、シェン・ノワールについて書きますから」と言われ「山本さんシェン・ノワール知っている?」と、きょとんとする私にその何たるかを熱く語られました。(菊田さんはシェーンではなくシェンと話されておりましたので、ここではそのままいきます。)
シェン・ノワールの詳細はここを見てください。
結局、菊田さんからは4ページの紙面を提供いただきました。4枚のレコードの紹介。EPのプロモーション用の為のポスター。かなりレアなものも惜しげもなく掲載していただきました。
2015年のストックホルム出張の際に、ブロンマでこのレコードを見つけました。かなり高額な値段、ボクは初めて見た興奮から、その場で菊田さんに電話し値段の相談をした「思い出」もあります。
ボクはサン・ラーが好きなので、このようなエクスペリメンタル音楽も抵抗なく聴けるというわけ。
とにかく、このような復刻を敢行される会社(レーベル)は素晴らしいですね。

菊田さんが他界されてから、もうすぐ丸三年になります。
シェン・ノワールのコレを聴きながら菊田さんを偲びたいと思います。

菊田さんによる JazzPerspective Vol.3 のシェン・ノワール記事。





CHARLES MINGUS / チャールズ・ミンガス / @ BREMEN 1964 & 1975 / アット・ブレーメン1964&1975

チャールズ・ミンガス / アット・ブレーメン1964&1975
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245735519

週末ランダムにYoutubeを観ていたら、チャーリー・ミンガスのグループの映像になった。なかなかいい感じっぽい。
ジェリー・マリガンが吹いているけど、これが凄まじい。
ダニー・リッチモンドは相変わらずお洒落だ。
トレードマークのニット帽を被るジョージ・アダムス。
見た感じで、トランペットはジャック・ウォルラスかなと思ったら案の定そうだった。
ということはピアノはドン・プーレン。
ソロをとる黒人のトランペットはベニー・ベイリーだった。
このメンバーでの13分あまりの「A列車で行こう」は新鮮だった。
次に出てきたのは、モノクロ映像でかなり古そうだ。一見して
ミンガス、エリック・ドルフィー、ジャッキー・バイヤード、ダニー・リッチモンド、クリフォード・ジョーダンは判明するが、
スキンヘッドのトランペット奏者がわからない。ジョニー・コールズなんだと。昔さんざんと『The Warm Sound』好きなんだよねと言っていて顔も判別できないとは情けない。
曲は同じく「A列車で行こう」。ドルフィーのバスクラリネットによる「A列車で行こう」も新鮮だと思う。
途中、ジャッキー・バイヤードのソロの時背景に、クラシックの音楽家のバスト彫刻の像が見えた。その瞬間に「あっ此処に行ったことある」と感じた。
「So Long Eric」(Hope So Eric)の映像を観ていると確信にかわった。
オスロ大学の講堂だ。数年前ここでカーリン・クローグとスティーヴ・キューン、ジョン・サーマンを観た。
ステージのバックには大きな絵画が鎮座している。
絵画は、壁一面の巨大なもので、エドヴァルド・ムンクの作だ。
世界中のホールに精通しているわけでもないのに、あまりにも傲慢。たまたまわかっただけだ。
その彫像は、ちょうどスティーヴ・キューンを観ている時に目に入ってきたし、巨大な絵画は目にはいざるを得ないし。
1960年代からジャズのコンサートをやっていたことに感激した。
なんだか無性にこの時の演奏が聴きたくなり、調べてみるとあった。このCDだ。演奏場所はブレーメンと違うが、同じ時期のヨーロッパツアーのものだ。
ジェリー・マリガンの参加はないが、雰囲気は感じられる。
「Meditation On Integration 」ではドルフィーが炸裂する。
「Duke Ellington’s Sound Of Love」でのジョージ・アダムスのソロが個人的にしびれた。
「Remember Rockefeller at Attica」で思い出したのがハンス・コラーの『Wild Rose』で2005年当時こんなことを書いていました。https://diskunion.net/jazz/ct/detail/050624-12
また、オスロ・ジャズで検索していたらアリルド・アンデルセン・セクステットが、オスロ大学で演奏した「Remember Rockefeller at Attica」の映像も見つけたので現在鑑賞中。

1964年オスロ大学講堂。ジャッキー・バイヤード



1964年オスロ大学講堂。チャーリー・ミンガスのバンド。



2017年オスロ大学講堂。スティーヴ・キューンとカーリン・クローグ。



2014年オスロ大学講堂。アリルド・アンデルセン・セクステット






BILL CHARLAP / ビル・チャーラップ / ス・ワンダフル(LP/180g)

ビル・チャーラップ / ス・ワンダフル
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245740322

ビル・チャーラップは1990年代後半のクリスクロス盤で知った。そして間もなくこのヴィーナスのピアノトリオ作品が発売された。新宿のジャズ館時代だったろうか、明確な記憶はない。その頃は、『Lover』のような元気な曲が好きだったけど、今は違う。
「Something To Live For」、最近もアーチー・シェップの『Something To Live For』が復刻されたけど最近はこのようなしっとりした曲に夢中だ。
いいねえ、ヴィーナス・ハイパー・マグナム・サウンドでじっくりと浸りたい。
4年前、ヴィレッジヴァンガードで彼のライヴを観れたのはよかった。今度いつニューヨークに行けるのだろうか。



Venus Jazz Masterpiece LP Collection
ヴィーナス・ハイパー・マグナム・サウンド マスターピースLPコレクション第1弾 全10タイトル発売決定
というので、何枚か紹介してみたい。
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/0/94874

BILL CROW / ビル・クロウ / さよならバードランド(LP)

ビル・クロウ / さよならバードランド(LP)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245740328

デニス・ストックの写真で有名なこのジャケット。続編にあたる『ジャズ・アネクドーツ』のほうのジャケットはウィリアム・クラクストンの写真。

アル・コーンの息子のジョー・コーンのギターがいい。またテナーのカーメン・レギオの存在も捨てがたい。かつてSmile (Progressive, 1978)、Tarrytown Tenor (Famous Door, 1978)などで慣れ親しんできていた渋いテナー。ズート・シムズ、ラッキー・トンプソン的な趣を感じる。オスカー・ペティフォードの「トライクロティズム」がイイ感じ。
2012年ニューヨーク。マーキン・コンサート・ホールで「リメンバリング・ウィルバー・ウェア」というコンサートに行った。ビル・クロウとラリー・ライドリーが進行役を務めていた。ビリー・ハーパー、バリー・ハリス、ラッセル・マローン、マイケル・カーヴィンなどの追悼演奏会だった。
ということをコレ聴きながら思い出した。



ノルウェージャズの70年代の潮流を知る傑作。オススメ。



左:CARL MAGNUS NEUMANN / Live at Molde International Jazz Festival 1976(LP)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008204987

右:CHRISTIAN REIM / Mona Lisa - Moldejazz 73(LP)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008204984

2008年、Plastic StripというレーベルからCHRISTIAN REIMとCARL MAGNUS NEUMANNの70年代の音源が発表された。その彼らのなんたるかは知らなかったけど、その内容の凄さに驚愕した。
その時にこんなことを書いている。
-----------------------------------
ノルウェーのピアニストということらしいが知らなかった。今まで、この人の情報が入ってくることはなかった。知らないのに更に、この作品は、未発表の音源なんであるという。何も知らないのに未発表と言われてもね、と聴き始めた訳だが、これがとんでもない。素晴らしいの一言。ノルウェーというと、ヤン・ガルバレクなんだけど、その系統は確実に踏み込み昇華させているミュージックだ。初っ端から入れ込む。ボクにはともかくも新鮮で感激しまくり。鼻息も荒くなる。特に5曲目には入れ込み過ぎ。ミンガスの直立猿人を髣髴させるセクシーなジャズ。銃砲無尽に吹きまくるサックス、ペットが刺激抜群。最高です。
-----------------------------------
こんなのを見つけ、発売してくれる人、尊敬します。良いジャズ教えてくれてありがとうございます。
これは、『UNRELEASED WORK』のコメント。
今日のこの2作品も70年代の音源。同じような驚愕を味わえる。

参考作品

CHRISTIAN REIM / UNRELEASED WORK (PLASTIC STRIP 2008)


CARL MAGNUS NEUMANN / LIVE AT KONGSBERG AND OTHER UNRELEASED WORKS (PLASTIC STRIP 2008)



DON CHERRY / ドン・チェリー / Cherry Jam / チェリー・ジャム(12"/180g)

ドン・チェリー / Cherry Jam

商品詳細情報は、ここに詳しいのでご覧ください。
この帯付きのレコードを見ているとあたかも昔から日本盤として存在していたかのような雰囲気がある。1980年代に制作された国内盤のようなイメージだ。馴染んでいる。
未発表音源のようだが、普通に聴けるし当時のドン・チェリーの音楽というものを理解することができると思う。
これで思い出したことがある。スウェーデンにBirdNotesというレーベルがありアルバート・アイラーの『Something Different』というレコードが有名だ。ずいぶん昔にこのレコードの復刻をディスクユニオンが行った。ジャズ部門を統括していた故菊田氏がスウェーデンを訪問した際に発掘したものであった。BENGT NORDSTRÖMという少し変わった人が運営するレーベルで本人名義のレコードも存在する。
20年ほど前、そのベンクト・ノードシュトロームだったかアイラーのジャケットの中にドン・チェリー名義のレコード盤が入っていた。外側はまったく違うレコードカバーだからもちろんインフォメーション書いてないので、「なんなんだろうな」と思ったものだ。
そのレコードはどうやらDON CHERRY - BENGT NORDSTRÖM - PSYCHOLOGY, Bird Notes BNLP3, (SWE) 1963というものらしく、一枚だけジャケットカバーが存在するようだ。レコード枚数も数枚ということでカバーもないらしい。ボクが見たのはその中の一枚だったのだ。適当にそこらにあったバードノーツの別のジャケットに入れたに違いない。
その音源は復刻されているのか不明だが、これから出てくるのも面白い。



HANK JONES / ハンク・ジョーンズ / フォー・マイ・ファーザー

ハンク・ジョーンズ / フォー・マイ・ファーザー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245740334

新着情報を見ていたら、こんなのが復刻されたと知る。
2004年のハンク・ジョーンズのピアノトリオ作品で昔、ドバっと仕入れた記憶がある。なんとかという曲が好きだった。
今調べてみた。「Pauletta」(ポーレッタ)、一曲目の曲だ。このような曲調の曲がたまらなく好きだ。
2005年の再入荷の際のコメントでこんなことを書いていた。

-------------------------------------
ハンク・ジョーンズ追悼!2004年隠れ名盤再入荷!
ハンク・ジョーンズの隠れ名盤が再入荷。最近在庫が無かったのでオーダーを出して入荷を待っている間に、まさかの彼の訃報が入ってきてしまいました・・・
こちらはJustine Timeに残された2004年録音のピアノトリオ盤。
亡くなる直前まで精力的に活動を続けていたハンク・ジョーンズ。そのピアノは衰えるどころか、50年代、60年代のプレイよりも洗練され、研ぎ澄まされていっていると語るファンも多くいましたが、本作ではそんなジャズ・ピアノの至宝が到達した境地をじっくりと味わえるのではないでしょうか。そのピアノの一音一音、フレーズの一つ一つが心に染み渡る、唯一無二の輝きを放っています。

4月中旬頃にハンク・ジョーンズ氏が他界したというニュースが入っていましたね。ボクは、皆さんもそうだろうけど、キャノンボール・アダレーの『サムシング・エルス』中でのハンク・ジョーンズのソロが最高傑作だと思っている。『サムシング・エルス』を傑作の高みに押し上げている何パーセントかの要因は、彼の何気ないピアノソロにあるんじゃないかと思う。アーゴ盤とかサヴォイ盤とか昔はハンク・ジョーンズを随分と聴いた。この盤は、2004年の録音で、近年ものではもっとも頻繁に愛聴している。「ポーレッタ」。アル・フォスターの曲で、1980年頃グレート・ジャズ・トリオ『モアオーヴァー』でも演奏している。今回この曲に参ってしまった。まったくもって慈愛に満ちている演奏で、その愛に包まれていたい衝動に駆られる。正直この1曲を聴きながらハンク・ジョーンズを偲んでみてもいいと思う。気を衒わない王者の風格で、微動だにしない、ぶれない本物がある。黙して聴きたい。(山本隆)
---------------------------------------

2006年頃都内で行われた「渡辺プロダクション創立50周年」を観に行った。会場で流れていた曲がどうもボクの好みの曲だ。どこかで聴いたことがあるような気もしていた。谷啓と松任谷由実によるデュエットナンバーで「Still Crazy For You」という曲だ。
今日やっとその謎が解決した。
ボクはこの曲の中に「ポーレッタ」を見つけ出そうとしていたみたいだ。





3月の写真 レストラン、アトランティス(バーゼル)

2014年7月、スイスのバーゼルへ買付出張で出かけた。バーゼルといえば、エルジー・ビアンキが出演していたことでも有名な「アトランティス」がある。時間を見つけて必ず行きたいと思っていた。
買付の空き時間で市内を散策。マップを手に探す。角地に立っているようなのでカーブの道で、なんとなくアタリをつけ、いざ眼前に勇姿を現したそれは神々しかった。感激しました。しばらく写真を撮りまくった。隣接する美容室兼カフェのお兄さんに「アトランティス」のことを質問したけど、「へえ日本から見に来るほど有名な場所だとは知らなかった」と言われた。まあそうだろうな。
街の中には、雄大なライン川が流れていた。既に夏の様相であったが、湿度が低くとても気持ちのいい気候で、時計の世界見本市が開かれるのも頷けた。
泊まったのはB&Bでドイツとスイスの国境付近。その目印となるサインボードも見ることが出来た。その雰囲気は、スティーブ・マックイーンがオートバイで逃走する『大脱走』そのものだった。

エルジー・ビアンキの10インチ盤。かなりレア。
ELSIE BIANCHI / エルジー・ビアンキ / AT SEILER'S ATLANTIS(10")

バーゼル市内を流れるライン川


スイスとドイツの国境を示す案内板


映画『大脱走』、スティーブ・マックイーンの逃走シーン