<連載> ★山本隆の"続 JAZZ IN THE WORLD"★ 2021 Jun.

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2021.06.23

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HELEN CARR  / Why Do I Love You? - Her Complete Bethlehem Sessions
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008321548

ベツレヘムレーベルの『Down in the Depths of the 90th Floor』と『Why Do I Love You』、それとシングル他の音源を加えたコンプリート盤のようだ。
ヘレン・カーのこの2作品は、バート・ゴールドブラッドによるジャケットでとても有名だ。これは高層ビルの90階(なのかな?)にぽつんとともる窓の灯。
「絶望の淵に沈む」高層ビルの90階。90階というのは相当高いビルで、おそらくエンパイア・ステート・ビルディング(102階)をイメージしたものだろうけど。一つの窓だけ灯がつくなんてことは実際問題にはないだろうけど、センチメンタルなものを想起させる。そういう高層アパートだから当然庶民というより富裕層が住んでいるわけで、その彼(彼女)の悩みの唄。「お金はあるけど寂しい私」という雰囲気なんだろう。「Down in the Depths of the 90th Floor」という曲は1936年コール・ポーターによるものだから、セレブのことを題材しているのは間違いないだろう。キャシー・ヘイズもHi-Fi盤で歌っていたな。
バート・ゴールドブラッドと言えば、ベツレヘム、ジュビリー、ストーリーヴィルなどのレーベルで数多くのジャケットをデザインしている。クリス・コナー、リー・コニッツ、モニカ・ルイス、テリー・モレル、ベティ・セント・クレアなどが思いだされる。特にこのヘレン・カーの『Down in the Depths of the 90th Floor』と『Why Do I Love You』はトップクラスのデザインだと思う。内容もたいへん玄人好みでじっくりと楽しませてくれる。ビヴァリー・ケニー、ルシー・アン・ポークあたりがお好きでご存じなければオススメです。
オリジナルのジャケットではないけど、お得に体感できるヘレン・カー入門盤にして完全盤です。
メンバーもチャーリー・マリアーノとかスタン・リーヴィー、ハワード・ロバーツとか西海岸の風が吹いているぞ。

参考

Down in the Depths of the 90th Floor ベツレヘム 10吋盤


Why Do I Love You ベツレヘム





ドナルド・バード / バーズ・アイ・ヴュー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245558118

ここ最近、検査とか経過観察で御成門のほうの病院へ立て続けに出向いた。時間があったので久しぶりに近くにある上島珈琲店に入った。ここは数年前全面的改装してますますスタイリッシュな趣となり禁煙店へと昇格した。

2017年1月27日夕方4時すぎに「診察まで時間あるから煙草でも吸おう」とこの珈琲店へと入店した。喉が痛くて1本吸うのがやっとで、「続きの煙草はのちほど」と病院へ向かった。
担当医師は、ボクの予想に反して端的に「がんです。ステージは3」となんの躊躇もなく述べた。そういう時は「頭が真っ白になりよく覚えていない」という話を聞くが鮮明に覚えている。まず思ったのは、田町の行きつけの居酒屋でビールを飲もうという企みが崩れたこと。医師の言う「今日から禁煙です」という宣告に「うぁ、さっき珈琲店で別れの煙草儀式をやっておくべきだった」と後悔した。禁煙は意外にも簡単だった。40年以上にわたる煙草生活がキッパリやめられた。あの日から一本も吸ってないし、吸おうとも思わない。
そういう思い出ある店なので、あまり行きたくなかったのだ。
ここ上島珈琲店はどこの店舗でもモダンジャズがかかり、ジャズのレコードがディスプレイされていることでも有名だ。ふと見るとオレンジ色の目につく巨大なジャケットが奥のスペースから見えた。
この御成門の店舗はとても空間をゴージャスに使用しており、特に奥まったスペースには6人くらい座れるソファに、一人でお茶することを許可する度量の深さもある。
130センチ四方くらいのそのジャケットは、ドナルド・バードのバーズ・アイ・ヴューのイギリス、エスクワイヤ盤のジャケットだ。
渋いな、渋すぎるな。このディスプレイを担当されているのはどういう立場の人か知らないが、センスの良さに敬服する。

そのエスクワイヤ盤の裏ノートにソロの順番が記載されているので、ここに転記しておきたい。ジョー・ゴードンは昔から好きだけど、ドナルド・バードなのかジョー・ゴードンなのか明記してくれるのは嬉しい。

A1 Doug's Blues バード、モブレー、ゴードン、シルバー
A2 El Sino バード、ゴードン
B1 Everything Happens To Me バード、モブレー、バード
B2 Hank's Tune ゴードン、モブレー、バード、シルバー、ワトキンス
B3 Hank's Other Tune モブレー、バード、シルバー、ワトキンス

参考作品

Donald Byrd / Byrds Eye View(Esquire 32-013)



EUROPE JAZZ ALL STARS / ヨーロッパ・ジャズ・オール・スターズ / ルーム1220

EUROPE JAZZ ALL STARS / ルーム1220
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245745174

大阪万博で来日したメンバーが東京で録音した作品。ほどよく刺激的なフリー・ジャズ。
万博時の実況録音盤は、『Jazz Festival ‘70』として東芝(Liberty)から発売された。
また1969年、同じメンバーで『Open Space』(ドイツMPS/ヨアヒム・ベーレントがプロデュース)を録音している。これは翌年日本コロンビアから来日記念盤として発売された。
当時、万博ではサミー・ディヴィス・ジュニア、セルジオ・メンデスなど数多くの洋楽のコンサートが企画されたが、多くは渡辺プロダクションの当時の社長、渡辺美佐の尽力による。
ベルリンでヨアヒム・ベーレント(Joachim E. Berendt)と直接交渉をしたのが彼女である、とドイツの文献で読んだ記憶がある。
万博に行ったのは、9歳の時。人の多さにおののき、ソビエト館で迷子になりおたおたしていた時に、こんな凄いメンバーが来日して演奏していたなんて知る由もなかったけど。

『Jazz Festival ‘70』万博の実況盤。


『Open Space』1969年MPSの日本コロンビア来日記念盤。




1970年代のロニー・スミスの2作品が出る。



ロニー・スミス(ドクター・ロニー・スミス) / アフロデシア
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245745170

1975年Groove Marchant原盤。
3曲目の「ストレート・トゥ・ザ・ポイント」という曲は昔再発されたLRCのCDでは、「Apex」というタイトルだった。軽快に吹きまくるのは若い頃のジョー・ロヴァーノ。
また4曲目の「フェイヴァース」はよく聴くと「インプレッションズ」と同じ曲。ジョー・ロヴァーノはここでも吹きまくる。また、変名で参加のジョージ・ベンソンのギターもクールだ。なかなかいいです。



ロニー・スミス(ドクター・ロニー・スミス) / ファンク・リアクション
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245745169

1970年代後半に流行したメロウなフュージョンというかなんというか。
「It’s Changed」が最高の1曲。

音はこちら





TODD COCHRAN / Then And Again, Here And Now
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008311214

ベテランのピアニストのようだけど、覚えがない。調べてみると1972年のボビー・ハッチャーソンの『Head On』に参加しているのだとか。また1972年と73年にはプレスティッジから『Worlds Around the Sun』、『Seeking Other Beauty』をリリースしているらしい。たぶん現物は一度も見たことがない気がする。「Bayeté」という名前でクレジットされていたそうだ。
とにかく初めての名前だけど、キャリアが長いということで聴いてみた。
これいいかも。数十年のキャリアの末にたどり着いた境地というか、ありふれた「Softly As in a Morning Sunrise」にも、ただならぬ気配を感じる。
おお、見ればドラマーはマイケル・カーヴィンではないか。テクニックナンバー1のアメリカを代表するドラマーだ(と思う)。
またベースの人のことは知らないが、骨太な音色が快感。
最後のほうでボビー・ハッチャーソンの「Little B’s Poem」も演奏しています。
いいかも、コレ。





ズート・シムズ / ニルヴァーナ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245745145

27年ほど前、LRCというレーベルから『Somebody Loves Me』というタイトルで復刻されていた。「これは1974年のグルーブマーチャント盤のニルヴァーナの再発です」とコメントをつけただけで売れた。

このレコードには思い出がある。ユニオン入社したての頃、買取で入ってきたこの『Nirvana』。カット盤(ジャケットの隅に切り込み→見切り品)だったけど、少しだけ稀少性を加味した中古価格になっているのに気がついた。先輩社員が加味した「少しだけ」とは何か知りたくて、試聴を試みた。1曲目の「サマーセット」を聴いて合点がいった。ズートの素晴らしいこと。ボクはその頃、偏見があって、「ズート・シムズは1956年頃のプレイに限るよ」なんて公言してはばからない、無知な奴だった。これ聴いて反省しましたよ。ズートはいつでもずっと良いんだ。1970年代以降の作品を積極的に聴くようになったのはそれからだった。
「サマーセット」一曲集中推薦なんだけど、「ジー・ベイビー・エント・アイ・グット・トゥ・ユー」ではバディ・リッチの歌もありリラックスできます。





エルヴィン・ジョーンズ / ヴェリー・レア
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245745120

1979年録音。アート・ペッパー参加で『Today』(Galaxy)の翌年の作品。
1曲目の「Sweet Mama」、インパクト大でよく聴きました。それから「Tin Tin Deo」もいいね、この曲はレコードではB面1曲目だった。その次の「Pitter Pat」におけるリチャード・ディヴィスのベースソロも素晴らしい(この曲は彼の作曲だ)。
このレコードは国内制作なんだけど45回転で発売された。30センチサイズで45回転なんて、1980年に発売されたEPOの『Down Town』しか知らなかったから戸惑った。
ロイ・ヘインズに『Out Of The Afternoon』(Impulse)というのがある。ローランド・カークの「Fly Me To The Moon」のプレイが印象的なアレ。それも同じくイングルウッドの森で撮影されたジャケット。ジャズ喫茶での新米時代は、『ヴェリー・レア』と『Out Of The Afternoon』、ただ森ジャケットというだけで混同してしまっていた。なのでどちらが45回転だったかも忘れてしまい、「オイ、山本回転数が違う」って常連に怒られたりしてた。
そういう間違いをしたせいもあり思い出深い作品だ。
この「Tin Tin Deo」聴くと40年前の「青い」頃を思い出す。

参考作品

ロイ・ヘインズ 『Out Of The Afternoon』(Impulse)
同じイングルウッドの森ジャケット。





MARION BROWN / Le Temps Fou
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/97572

マリオン・ブラウン最難関とも言える激レア盤が遂に初LPリイシュー

このレコードを初めて見たのは、1990年代初頭の頃だった。
或るフリー・ジャズのコレクターの方がレコードを売りたいということで自宅訪問した。
当時はまだまだ本物のオリジナル盤の買取は少なく、特にフリー・ジャズの「ほんもの」とは縁がなかった。それが一度に数百枚、金額にして数百万円の価値のレコードを一気に買取したのだった。
フランソワ・テュスクの『Free Jazz』、ピーター・ブロッツマンのブロッツマン・レコードの1番と2番。当時FMP盤しか知らなかったけど、これがオリジナル盤だと知る。
スティーヴ・レイシーの『曼荼羅』とか『トーメンツ』もあった。王道のフリー・ジャズ系のレコードの何十パーセントかはそこで知った。
そしてその中にこのマリオン・ブラウンのレコードもあった。
青とオレンジのコントラストが眩しいジャケットが鮮明に頭に刻まれた。「なんて鮮やかなジャケットなんだ」と思った。
千手観音の曼荼羅のようにも見える。フランスポリドール盤。
1970年の映画アテネ・ソヴァージュ『Un été sauvage』(ワイルドな夏、ある夏の野生??)のサウンドトラックとして制作された。コート・ダジュールを舞台にした若者の「夏の野生」(!)を描いた映画で、ハチャメチャな感じの印象。
映像はサイケデリックで混沌に満ちており、アヴァンギャルドなマリオン・ブラウンの音楽は、おどろおどろしい雰囲気を醸し出す。
映画冒頭より最終局面までウッドベースを抱えたトルコ帽の若者がたびたび映し出される。もしかしたらこの若者、バール・フィリップス本人なのかもしれない。進行上重要な役割を担っている感じ。
音楽担当はマリオン・ブラウンとバール・フィリップスがクレジットされている。
それとは別の画面でバール・フィリップスの名前がクレジットされていて、もしかしたら役者としてのクレジットなのかと思ってしまった。
フランス語ぜんぜんわからないから、ストーリーはよく理解できなかった。
いずれにせよ、これは素晴らしい復刻だ。

タイトルバック Un été sauvage 冒頭よりサイケデリックな雰囲気だ。


Free Jazz Marion Brown / Barre Phillipsのクレジット


浜辺で抱き合う男女をバックに、Barre Phillipsのクレジット


トルコ帽のベース奏者。もしかしたらバール・フィリップス?






NINA SIMONE / Nina Simone at Town Hall (LP/DARK PINK VINYL)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007296363

オリジナルは1959年。女性ヴォーカリストの歴史に燦然と輝く名盤が、今回はダーク・ピンクというレアなカラー盤でリイシュー!!!

田中邦衛さんが今年3月に逝去されてから、初めて国民的なドラマ「北の国から」に興味を持った。今まで一度も、一分も観たことなかった。この機会に「観てみよう」と決意した。
1981年に放送開始されたオリジナルの24話。
ドラマスペシャルというのがあって「'83冬」、「'84夏」、「'87初恋」、「'89帰郷」、「'92巣立ち」、「'95秘密」まで観終わった。これ放送時間が非常に長くて100分以上、「'95秘密」は198分もあった。時間に余裕がないとまず観ることができない。
それで一番最近に観た「'95秘密」の話。
ほぼラストに近いシーンで、恋人(宮沢りえ)の過去のあやまちを吉岡秀隆に告白する場面がある。その告白の時のBGMがジャズだった。「あれこれなんだっけ?」と確認の為ストップしてもう一度。「そうだそうだ、<黒色は、私の恋人の髪の色>だ。Black Is the Color of My True Love's Hairだ」
歌っているのは、ヘレン・メリルだろう。ハスキーな声が印象的だ。
このシーンにおいて、この曲をチョイスするなんてすごいな。
<黒色は、私の恋人の髪の色>というメッセージはあんまりシーンとは関係かいように思えるが、もしかしたら何か深い意味が込められていたのだろうか。
ヘレン・メリルのヴァージョンは、『Merrill At Midnight』に収録されているが現在入手不可能のようだから、ニーナ・シモンのものを紹介する。
下記は以前書いたものをそのまま引用した。

NINA SIMONE / At Town Hall
ボクがバイトしていたジャズ喫茶には、しばしばインドに旅行するという女性がいた。一年の1/4はインドに行っていたような気がする。日本でお金が貯まるとまたインドみたいに、インド行くのが人生みたいな。ボクにはまったく理解できなかったけど、「インド行くと人生観変わるから」と言われて、そんなもんかなとは思った。そういう女性はもう一人くらいいた気がする。
その彼女がリクエストしたのはニーナ・シモンであった。ニーナ・シモンのレコードは『ニューポート』、『タウンホール』、それからベツレヘムのファーストレコーディングなど置いてあった。たいていは『タウンホール』のA面をリクエストした。1曲目は「Black Is The Color Of My True Love’s Hair」という曲。この曲は、「Black Is The Color」や「My True Love’s Hair」とか省略されて表記されるが同じ曲だ。暗い感じで何年も好きになれなかったけど、後年良さがわかった。この曲他にもジョニー・グリフィンや山本剛など数多い名演奏がある。





JOHN ENGELS/JORIS TEEPE/BENJAMIN HERMAN / When Will The Blues Leave
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008312378

ドラムス、ベース、サックスというピアノレストリオ。この編成はソニー・ロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガード』や、リー・コニッツの『モーション』を思い出す。
このDox Recordsはオランダの主流なジャズレーベルでコンスタントに作品をリリースしている。サックスのベンジャミン・ハーマンの作品は数えきれないくらい出ている(ま数えることができる範囲だけど)。
というかジャケット中央に立つジョン・エンゲルスの新録音というのは久しぶりなのではないかと思う。なんかこの構図がいいね。ダイヤモンド・ファイヴのドラマー、晩年のチェット・ベイカー・グループのドラマー。オランダジャズ界の重鎮を盛り立てるかのような雰囲気に好感持てた。
ロリンズやコニッツのようにアドリブの連発というような作品ではなく、ジャズで知られるスタンダード的な曲を淡々と演奏していくような感じ、悪くない。
「ザ・ピーコックス」にはグッと来た。

参考写真
ジョン・エンゲルス宅に飾られていたチェット・ベイカー初来日のパルコ劇場の公演ポスター。エンゲルスは日本が大好きだそうだ。(2013年5月撮影)






美空ひばり / ひばりジャズを歌う(LP)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008298203



美空ひばり / ひばりとシャープ(LP)
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008298204

1990年に美空ひばりの『ジャズ&スタンダード』というCDが発売された。当時ボクは横浜関内店に勤務していた。奥がジャズフロアでそれ以外はJポップとかロックの売り場だった。
当時の店長はSさんで、のちにHMV渋谷の初代店長としてヘッドハンティングされ、新宿高島屋店、横浜店の立ち上げ店長として活躍した実力者だった。
残業が嫌いで営業終了とともに帰宅する、それでいて毎月の売り上げを達成、表彰台の常連だった。ジャンルにこだわらず「売れるCD」を見つけてくるのが得意な人だった。
ある日、Jポップ売り場に美空ひばりの『ジャズ&スタンダード』が数枚面展示されているのを発見。「店長あれ売れるんですか?」と訊くと「毎日5枚コンスタントに売れる」との返事。早速ボクも購入してみた。
日本語で歌うジャズのスタンダードに、最初は少し抵抗あったけど、だんだん虜となった。「ラブ・レター」、「クライ・ミー・ア・リバー」、「セ・マニフィック」、「スターダスト」などなど。あとから知ったことだけど、それらは『ひばりとシャープ』、『ひばりジャズを歌う』から主にコンパイルされたものだった。嬉しいのは1953年に発売されたSP音源の「上海」と「アゲイン」も収録されていたことで、これがなかなか泣ける。

『ひばりとシャープ』、もともとは10吋盤(25センチ盤)で、1961年に発売された。ボクの生まれた年だ、60年前。
或る時、ある人から破格の値段で譲ってもらった。嬉しかった。このジャケットがとても好きだった。『ひばり世界をうたう』、『ひばりとマドロスさん』はこまめに中古店を回ったら入手できた。『ひばりジャズを歌う』もレアだったけど、『ひばりとシャープ』は更にレアだった。当時関内にあった中古レコード店<ディスクプラザ>の歌謡曲、10吋コーナーをパトロールするのが日課だったのだから、その入手は嬉しかった。
その頃、美空ひばりの本(ジャケット入りでレコードを紹介する)が発売されたんだけど、その『ひばりとシャープ』のページでは紹介文だけでジャケットが未掲載だった。出版元も用意できなかったんだね.

昨今のレコードブームの後押しもあってのレコード発売なんだろうけど、嬉しい復刻。

参考作品

『ジャズ&スタンダード』
その後、コンプリート盤というのが別のジャケットで発売された。





ANAIS RENO / Lovesome Thing - Sings Ellington & Strayhorn
https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/97302

期待の新人、次世代のホープ、ライジンス・スター現れる!!!と書いてみたくなった。
アナイス・レノ。2003年11月生まれの17歳。17歳とは思えない、堂々とした貫禄。
1曲目の「キャラヴァン」から魅せつける大物感。「ラッシュ・ライフ」は既にベテランの域に達しているような歌いっぷりでビックリだ。
今やニューヨーク随一の呼び名も高いエメット・コーエンのセンス光る伴奏で更に盛りあがる初作品にして既に代表作。

数週間前からエメット・コーエンの自宅で録画されたセッションのYouTube(Live From Emmet’s Place)を観ていた関連から彼女のことを知った。
8歳の時のステージ上ではビートルズを歌い、13歳ではスタジオに入り既にジャズを歌う。15歳では<バードランド>のステージで「ジョージア・オン・マイ・マインド」を歌い、Feinstein’s / 54 Belowでは「エンブレイサブル・ユー」を披露した。(アメリカにはその昔、9歳で「キャンディー・ストア・ブルース」を録音し、キャブ・キャロウェイのステージに立ち12歳で、エド・サリヴァン・ショーに出演したトニ・ハーパーという天才少女もいたけど。)
彼女のプライベートの映像もあったので見た。部屋はフランク・シナトラの写真で装飾され、とても10代の女の子の部屋には見えない。エラ・フィッツジェラルドの『ララバイ・オブ・バードランド』のレコードを無造作にターンテーブルにのせる。バディ・リッチとメル・トーメが共演した『Together Again for the First Time』を取り出して「マイ・フェイバリット」と一言。
渋い、渋すぎる。
もちろんエメット・コーエンの『Dirty In Detroit』のレコードも当然持っている。
ご両親も音楽やっているようで、特に母親が熱心に娘を仕込んだみたいな感じ。
かつて存在した多くのエリントン&ビリー・ストレイホーン作品にも決して引けを取らない名作となっていると思う。

参考作品


TONI HARPER / Candy Store Blues
デンマークのOfficialレーベルから製品化されたコンピレーション。このステージ上のトニの様子と歌声と相まって心底かわいいと思う作品。





TERJE GEWELT / House On A Hill
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008218713

テリエ・ゲヴェルトを初めて認識したのは、1994年のダグ・アーネセンの『Movin'』(Taurus)だった。1994年、95年というのはピアノトリオの第何次かのブームの真っ最中で、みなさん「なんかいいピアノトリオないかなぁ」とレコード店のパトロールに余念がなかった頃だ。まだまだネットで検索してゲットする、という時代ではなく脚で稼がなくてはライバルより先に入手することはできなかった。お茶の水~新宿、吉祥寺と回った。
そのような時に売れたのがこの作品だった。「ダグ・アーネセンって誰?テリエ・ゲヴェルトって何者?」とみんな素性を知らなかったけど、聴いて納得の一枚だったから、こぞって求めた。その作品のベース奏者がノルウェーのテリエだった。
数多くレコーディングしたが、2002年のクリスチャン・ジェイコブとの『Duality』、2009年のエンリコ・ピエラヌンチとの『Oslo』などは特に記憶に残る。
そんなテリエの新作が出ているというので聴いてみた。
全体的にエレクトロニクスなサウンドで、ボクが知っているテリエのサウンドではない。でも、雰囲気が良くて一気に聴いた。
詳しくはないが、パット・メセニーの世界観に似ているようなサウンドが気持ちよい。
特に今日のような夏のような白い雲浮かぶ青い空を眺めながら聴いていると、なんとも言えない気分だ。(テレワーク中なので外眺め放題)

夏空のイメージ






6月の写真 ノイミュンスター修道院文化会館(ルクセンブルク)

2016年11月にルクセンブルクへ行った時のもの。
2016年は頻繁に海外に行った。4月ブレーメン(JazzAhead)、ユトレヒト(Record Fair)、ストックホルム(買付)。6月ロンドン(買付)、7月コペンハーゲン(ジャズ・フェスティヴァル)、9月クアラルンプール(私用)、10月ワルシャワ(ワルシャワ・ジャズ・ジャンボリー)、11月のルクセンブルクで6回。2015年が5回、2017年が4回と続く。
ルクセンブルクへはミュージック・ルクセンブルク(music:LX)という団体が招待してくれた。ルクセンブルクのジャズを世界に輸出するのがmusic:LXの使命なので、コンサート、ミーティング、懇親会などが開催される。コンサートは、Reis-Demuth-Wiltgen、Andreas Rodosthenous、Dock In Absolute、Pascal Schumacher、Michel Pilzら12バンドが深夜まで演奏していた。
80名弱のジャズ関係者が世界中から集まった。日本からは、松永誠一郎氏(プロデューサー)、杉田宏樹氏(ジャズジャーナリスト)、八島敦子氏(東京ジャズプロデューサー/参加時)が招待された。
1992年以降、一人当たりのGDPは世界首位の座を保っているということらしいので、訪問が楽しみだった。
宿泊したところがなんだか凄かった。ノイミュンスター修道院文化会という施設。HPの解説によると次の説明がある。

ノイミュンスター修道院は、元々のベネディクト修道院が1500年代に侵略により破壊されたので、1606年に建設が始まった。フランス革命後は1860年代まで軍の病院施設となり、その後は刑務所として使われていた。現在は、文化の中心地として、演劇、コンサート、セミナー、ワークショップなどが開催されている。とりわけ、ジャズの生演奏が楽しめるレストラン「ル・ノイミュンスター」はその修道院の古い建物も味わえる人気のスポットです。
つまり、宿泊所でコンサートが行われ、ミーティングが成され、懇親会が開催されたのだ。
日本にはそういう場所がない、というかボクは知らない。しかも要塞風で、刑務所風でもある宿泊場所は新鮮だった。ということでその施設の写真を何枚か。
一歩外に出ると、寂れたヨーロッパ然とした小路の風情がよかった。
バーがあり、中に入るとジャズの生演奏が、軽快なビートを刻んで熱気ムンムンだった。

施設は要塞に囲まれたような雰囲気




宿泊施設。元病院、元刑務所的な雰囲気が残る。


内部は暗く、城塞の名残もあるようだ。


毎晩のディナーは全員で一堂に会す。


バーでのジャムセッション。ベースはケベック州のアランが弾いていた。


ヨーロッパの小路という風情がなんとも言えない。