ディスクユニオン ジャズスタッフ 8月度レコメンド・ディスク

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2024.08.30

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ディスクユニオンのジャズ専門館スタッフが新譜の中で一押ししたいオススメ作品をご紹介!
今月リリースされた最新新譜はもちろん、改めて聴いたら良かった準新譜もコッソリと掲載。
最新新譜カタログ的にも、魅力ある作品の発掘的意味合いでも是非ご一読ください!





ウェイン・ショーター / セレブレーション Vol. 1(2SHM-CD) / JazzTOKYO 羽根、新宿ジャズ館 四浦

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008877306


2013年出来たばかりの渋谷ヒカリエにて、ショーターを生で体験した感動が蘇る。制約と自由の危ういバランスの元、ヒリつくような緊張感と天上の安らぎの間を揺蕩うようなジャズの源泉は、60年代後半のマイルス・デイヴィスの音楽、つまり『PLUGGED NICKEL』~『SORCERER』~『NEFERTITI』と年々ショーターが主導権を任されていった時代のアコースティック・ジャズの臨界点に端を発するのだろう。ジャズの最も美味しい肝があると誰もが感じていながら、おいそれとは踏み込めない神域、これぞ他には代え難いショーターの遺産である。これをブライアンやエスペランサはどのように受け継いでいってくれるのだろうか。それにしても困ったものだ。聴くほどに本作に洗脳されてしまうのである。自分は『JU JU』や『SPEAK NO EVIL』は愛してやまなかった筈なのに、このラスト・カルテットを聴いた後では、どこか物足りなく感じてしまう。おかしい、そんな馬鹿な。もちろん時間を置けば、やっぱりあれは永遠不滅だと正気に戻るので心配はないのだが、直後に本作と比較したりすると、リズムを古臭く感じたり、頭でっかちで端正な音楽に感じる瞬間があるのもまた偽らざる本音だ。半世紀後のショーター・カルテットがたどり着いた芸術的抽象度は事程左様に危険な高みにある。正に劇薬なので、接種の際は用法容量を守るべし。(JazzTOKYO 羽根)


本作が録音された2014年、このカルテットはたくさんの公演を行っており、そのプロモーションの為か、ウェインのインタビューが、この年の日付でインターネット上にたくさん残されている。「私にとってジャズとは、『挑戦してみろ』ということ。その目的は、可能性の福音を広めること。『ジャズそのもの』とは『創造的であることを忘れるな』というメッセージのようなものだ。それは、花から花へと飛び回るジャズの小さなミツバチのようなものが、カントリー&ウエスタンの花、ブルーグラスの花、ポップスの花、ブルースとリズム&ブルースの花に行き、『創造的であることを忘れないで』と言うんです。」、この言葉こそが、まさに本作のレビューとなるだろう。
ウェイン・ショーター (ss, ts), ダニーロ・ペレス (p), ジョン・パティトゥッチ (b), ブライアン・ブレイド (ds)

(新宿ジャズ館 四浦)





Kurt Rosenwinkel / The Next Step Band Live At Smalls 1996 / JazzTOKYO 羽根
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008857249


1954年のバードランドの夜が以降のジャズの流れを決定づけたのと同じく、現代ジャズのアイデアの源泉が全て凝縮されたようなライブがCD化された。そしてオリジネーター共通の強みは、全く古びない点にある。バードランドの夜を聴いていて、しばしば「もうこれだけでいいじゃん。これ以上はないよ。」と感じるのと同種の感慨が沸き起こるのが、このスモールズのライブであり、1996年当時NYのスモールズに集まった若者たちの始めた音楽が、四半世紀に渡ってジャズの王道であり続けているという些か、否かなり驚異的事実を残酷に目の前に突きつけられる。ここで言う王道というのは、個人的趣向や賛否両論とは無縁に万人が共感出来て、同業者であれば真似せざるを得ないようなチャームを纏いしものである。逆に言えばそれ以降のジャズの展開は、非常に小さなスケールに留まっていると警鐘を鳴らすことも可能だろうが、多様性が叫ばれる昨今、皆が心から一つになれる王道の素晴らしさ、有難さを噛みしめながら、難しいことは抜きにして名曲"Zhivago"や"Next Step"に浸るのが精神衛生上正しい鑑賞方法というものだ。余談になるが、先の来日公演に行けなかった方に朗報。噂によると同メンバーで録音をしたとか…楽しみ過ぎる。





Misha Tsiganov / Painter Of Dreams / JazzTOKYO 羽根
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008867305


ロシア出身のピアニスト、ミシャ・シガノフのクリスクロス5作目。フロント陣は前4作までと同様アレックス・シピアジンが続投、テナーはシーマス・ブレイクに替わり3曲でクリス・ポッターが参加というのが今回の売りであるが、個人的には10年振りのクリスクロス録音となるミゲル・ゼノンの全面参加が嬉しくて、インフォを見たとき悲鳴を上げてしまった。そして期待以上の大活躍!シガノフのオーソドックスな自作曲やスタンダードという制限された枠組みだからこそ際立つ特異なリズム感覚、天井を突き抜けんばかりの意表を突くフレージング、夢のようなアルトの音色、これぞミゲル・ゼノンだよなぁとニヤニヤしてしまう瞬間の連続だ。ライナーに面白いエピソードが載っている。アレックス・シピアジンと車に乗っていて、アレックスが本作の2曲目"APRIL"の最後の方をかけ始めた。ミシャは”何これ?これ欲しいんだけど!どこに売ってるの?”と自分の録音だと気付かなかったという笑い話なのだが、分かる!その気持ち分かるよ!!!後半に出てくるテナーとアルトの超絶チェイスと、ワッショイ、ワッショイ囃し立てるリズムセクションの高揚感はことほど左様に凄まじい。





MOVE(Yedo Gibson) / Free Baile – Live in Shenzhen / 新宿ジャズ館 木村

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008880210


ペインキラー(ジョン・ゾーン&ビル・ラズウェル+DS)の再来! ハードコア・サックス・トリオ「MOVE」の第二作目はライブ・アルバム。
ジョン・ゾーンは聴衆が引こうが置いてけぼりになろうがお構い無しなところがありますが(そこがまた良いんですが)、MOVEは分かり易く激しく熱いところがオススメで、期待通りのキツさをMリスナーに与えてくれます。
気になった方は昨年リリースの一作目もチェックしてみて下さい。





WILLIAM PARKER / Heart Trio / 新宿ジャズ館 木村

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008855903


民族楽器ユニットです。
WILLIAM PARKER(free/b)が中心になってはいますがこのアルバムはフリージャズではなく、意外にもドン・チェリーのワールドミュージック路線に近い音楽になっている事に驚きました。倍音豊かな楽器を使ってリフ中心に構成していく様はアンビエント的でもあり心地良いです。
白状しますがWILLIAM PARKERを普段あまり聴かないので、このアルバムで初めて触れた彼の一面が大変興味深かったです。
下記の動画で使用楽器を含めて何となく雰囲気が分かると思います。
https://youtu.be/UydniUSMNws?si=4j_D1S0OHJ1rYImo





JOE MCPHEE / Willisau Concert(LP) / 新宿ジャズ館 木村

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008852406


是非B面から聴いて欲しい!
サイケデリックなシンセとJoe McPhee(ts,ss)+Makaya Ntshoko(ds)の絡みが非常に面白い!
とにかく第一に特筆すべきはJohn Snyderによるシンセ!民族楽器的な倍音強調や微分音を発生させていて、しかもトーキング・モジュレーターを使ってるのかワウワウしまくってブッ飛んでいる。
A面の1曲目はJoe McPheeとMakaya Ntshokoのデュオ中心の真っ直ぐなフリージャズ。2曲目からJohn Snyderの存在感が増してくるがまだ味付け程度。
やはりこのアルバムの聴きどころはB面に尽きる。





Louis Cole with Metropole Orkest & Jules Buckley / nothing / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008850166


ルイス・コールとメトロポール・オルケストの共演。ルイス・コールは元々ビッグバンド志向のある人だし、メトロポールといえばジャンルを問わず様々なアーティストと共演してきたオーケストラだし、ブレインフィーダーは過去Jameszooとメトロポールの共演盤を出したことがあるわけで、そういったバックグラウンドを知っていれば割と納得いく共演ではある。実際にルイスとメトロポールは2021年ごろから共演していたらしく(本作はその際のライヴ音源がベースになっているようだ)、よく考えたらこれまでの作品でもオーケストラ的な音を構築してきたから、それを生楽器に置き換えた感じかなと考えていた。でもそんな安易な想像を大きく上回ってきた。いつもと同じソリッドなファンクグルーヴも、チープで奇妙なシンセのサウンドも、ドリーミーなポップセンスも、オーケストラのサウンドは想像をはるかに超えてふくよかに、壮大に、その世界観を豊かに広げていく。夢のような融合を叶えているのは、メトロポールとの共演に真摯に挑戦し取り組んだルイスと、彼の音楽性を理解し期待に応えたメトロポール(と指揮者ジュールス・バックリー)がお互いにリスペクトし信頼し合えたからこそなのだと思う。冒頭や合間に差し込まれるクラシカルなトラックからは、自身の手でオーケストラのポテンシャルをフルに発揮させようという意気込みが伝わってくる。リッチなオーケストラにリヴァーブをかけローファイ気味の音像にしているのも抜かりない。





Lakecia Benjamin / Phoenix Reimagined / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008855899


愛を、結束を、平和を祝福しよう、という呼びかけに始まるラケシア・ベンジャミンの1年半ぶりの新作は、前作『Phoenix』をベースにしたスタジオライヴアルバム。彼女の作風はNYサイドの洗練されたコンテンポラリー・ジャズと、LAサイドに象徴的なスピリチュアル・ジャズを併せ持ったものだが、スタジオライヴという形の本作にはその特徴がよく表れていると思う。楽曲自体はコンテンポラリーなモード・ジャズを基調としたものだが、のっけからテンション高く吹きまくるラケシアはどこかケニー・ギャレットを彷彿とさせるアツさがあるし、それに応えるバンドの勢いのよさにも、彼女が信奉するコルトレーン由来のスピリチュアルなムードが確かに感じ取れるだろう。M3ではジョンスコ、ランディ・ブレッカー、ジェフ"テイン"ワッツというNYコンテンポラリーの重鎮がゲスト参加。ブルージーなジョンスコ、テインの強烈なドライブ感もさることながら、御年78歳ランディの溌溂とした吹きっぷりが素晴らしい。





John Escreet / the epicenter of your dreams / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008870912


ジョン・エスクリートの新作は、前作『Seismic Shift』のトリオにマーク・ターナーが参加したワンホーン編成。マーク・ターナーのカッコよさ、エスクリートの自由さは言わずもがなだが、異彩を放っているのがロバート・グラスパー・トリオでもお馴染み、ドラムのダミオン・リードである。タイトで粒立ちのいい打音で、時に"ビースト"などと表現したくなるような連打技も炸裂。いわゆるコンテンポラリー・ジャズ系の作風の中ではこのドラムがどう聴いても異質で、オーセンティックなドラマーのプレイからは生まれ得ない、ワイルドなダイナミクスのグルーヴが生まれている。前作はどうだったのか?聴き直してみると確かにダミオンは炸裂しているが、より自由な楽曲とピアノにマッチしていて意外と目立っていない。カルテットへと編成が変わり制約が増えたことで、その異質さは顕在化した。人によってはうるさいと思われそうなドラムではあるが、本作のいいアクセントになっているのは間違いない。





Jihye Lee / Infinite Connections / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008841876


韓国出身のジャズ作曲家の注目株、Jihye Leeの最新作。彼女は自分の身の回りのパーソナルな出来事を作曲に落とし込む点が特徴的だ。今回も1935年の日本占領時代に生まれ2022年に亡くなった祖母や、病の母へのオマージュ、といったテーマがライナーで解説されている。とはいえ決して暗い作品ではなく、人生の上り下りをビッグバンドのダイナミックな音で鮮やかに描くそのストーリーテリングの手腕は、挾間美帆や本作の共同プロデューサーでもあるダーシー・ジェームズ・アーギューといった面々と並び評価されるべきものだ。深い感情を呼び起こすような演奏が可能なアンブローズ・アキンムシーレのゲスト参加も本作のテーマにふさわしい。また本作では韓国由来のリズムを取り入れている。NYの洗練された現代ラージ・アンサンブルと、複合的なリズムのプリミティブな感覚を併せ持った作品に仕上がっているのは、本作で新たに参加したパーカッション・小川慶太の担うところが大きいだろう。





スナーキー・パピー / groundUP / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1006666165


追悼 ショーン・マーティン
8月3日、ピアニストのショーン・マーティンが45歳の若さで亡くなった。ケイシー・ベンジャミンに続きショーン・マーティン…今年はまだ若い現代ジャズミュージシャンの訃報が届き悲しい。スナーキー・パピーの中核を為すメンバーであり、カーク・フランクリンのサポート、プロデューサーとして活躍、現代ジャズ~コンテンポラリー・ゴスペル・シーンの重要人物のひとりだった。本来であれば彼のソロ作品から紹介すべきところではあるが、「僕の好きなショーン・マーティン」ということで、スナーキー・パピーの旧譜から1枚紹介したい。
最新作からの「Bet」や、「Lingus」で頭を抱えた表情…と、印象的な名演、名場面は数多いが、僕が挙げたいのは2012年作『groundUP』の冒頭「Thing Of Gold」。ここでの天へと昇っていくかのように転調していくクライマックスのモーグのソロが、実に気持ちよく素晴らしい。尺としては短いながらも個人的には「Lingus」のコリー・ヘンリーと並べて語りたいほどだ。また2016年のマルセイユ公演という動画があって、その中でのこの曲のソロが本当に素晴らしかった(気になったらぜひ探してみてほしい)。アルバムラストの「Quarter Master」終盤ではショーンのブギウギ/ゴスペル・ピアノのソロも楽しめる。彼のピアノソロ自体スナーキーではなかなか聴けないものでもあり、今ふたたび聴きなおしたい名演だ。
9月にはBlue Note Jazz Festivalで来日予定のスナーキー・パピー。数カ月前に同僚と「ショーン・マーティン見たいよね」などと話していたところだった。スナーキーの演奏のクォリティ、ライヴのポテンシャルの高さは彼の不在を補ってなお余りあるものだが、それでもスナーキーを「当代最強のライヴ・バンド」たらしめた彼の煽りがもう聞けないと思うと、やはり寂しい。





Cologne Jazz Quartet / Con Alma / JazzTOKYO 神尾
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008882140


素っ気なさ過ぎるジャケットのドイツから入荷したCologne Jazz Quartet。全く知らないグループですが、試聴盤をかけたらご機嫌なスイングテナーが飛び出してきました。スコット・ハミルトンやハリー・アレンらに連なる奏者のワンホーン作品ですね。テナーを吹くMalte Durrschnabel という方は、1982年のドイツ生まれ。同楽器をフィーチャーした作品は本盤が初となるよう。選曲もタイトル曲の「コン・アルマ」や、テナーバラードの旨味に満ちた「ゴースト・オブ・ア・チャンス」。ホーンの歌ごころに浸れる「降っても晴れても」などなど、真っ向からスタンダードで勝負していて気持ちいい。それとゲストのような形ですが、ベテランドラマーのDennis Mackrelの参加にも注目。サド・ジョーンズが指揮したカウント・ベイシー楽団での演奏でなじみがある方も多いかもしれません。若手を締めるベテランにも拍手を。私、久しぶりに出会った快適スイング盤です。





Sam Braysher / That’s Him: The Music of Kurt Weill / JazzTOKYO 東舘
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008867228


ロンドンを拠点に活動する若手アルト奏者、サム・ブレイシャーの3rdアルバムは、オリジナル一曲(M4)を加えたクルト・ヴァイル作品集…なのだが、〈マック・ザ・ナイフ〉も〈スピーク・ロウ〉も入っていない。言うなれば「ヴァイル秘曲集」だ。ドイツ生まれでユダヤ人のヴァイルは、35歳のときにナチスの迫害を逃れるためにアメリカへ移住する。彼の創作活動をそこで区切るとするならば、ドイツ(ヨーロッパ)時代が1920年代的モダンの退廃的な雰囲気が大いに現れている一方、アメリカ時代でその傾向は潜伏、ハリウッド的で解りやすい旋律が前面に出るようになると思う。アルバム収録曲でいうとM5,7,8がドイツ時代、M1,2,3,6,9,10がアメリカ時代の作品だ。中でもM7“Marterl”は放送局の委嘱で書かれた《ベルリン・レクイエム》(1928)の中のワルツ調の一曲で、秘曲中の秘曲。ブレイシャーはフィル・ウッズのような音色で、これらの曲に素直な解釈を施している。三曲で女性ボーカルも参加。ヴァイル・ファン必携のアルバムだ。





Simona Severini, Daniele Richiedei, Giulio Corini / Fedra  / JazzTOKYO 東舘
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008877840


「古楽ジャズ」の優れた新作が出た。ピエラヌンツィのアルバムでフューチャリングされたシモーナ・セヴェリーニ(vo, gt)と、ダニエレ・リキエデイ(vn, va)、ジュリオ・コリーニ(b)というイタリア・コンテンポラリー・ジャズ・シーンで活動する三人によるユニット「フェドラ」。ここにギターとトランペットが加わったのがこのデビュー作だ。「600年にわたる音楽史にまたがるレパートリー」という謳い文句通り、ニック・ドレイク作のM7に続くM8“Eri già tutta mia (かつて貴方は)”はクラウディオ・モンテヴェルディによる1632年の曲。コリーニによるベースリフ(これは彼らの創作部分)に乗って、歌い手は去ってしまった恋人への想いを吐露する。“Hor non nei più non più non più (いま貴方はもういない、もういない、もういない)”…シモーネの歌唱はとっても可愛らしく心地よいが、それは17世紀の失恋ソングを現代風に味付けしたもの。今日とは異なった悲しさの表現だが、決して共感不可能ではないはず。他にもさまざまな時代の歌が涼味満点で奏されている。さながら欧州のノラ・ジョーンズだ。





Norma Winstone / Outpost Of Dreams / JazzTOKYO 東舘
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008880011


ノーマ・ウィンストンといえばECMというイメージを勝手に抱いていたが、実際彼女が20世紀に同レーベルから出したリーダー作は1987年の『Somewhere Called Home』だけ。ECMから新作をコンスタントにリリースするようになったのは2008年以降、六十代半ばになってからのこと。え!?と思いノーマ女史のお年を調べてみると何と82歳。昨年4月に録音されたこの最新作を聴く限り、にわかには信じ難い。その透き通った歌声はアジムス時代と比べても遜色なく、少し認めることのできる翳りが、かえって音楽に深みを生み出している。ベストトラックはM5“Out Of The Dancing Sea”だ。キット・ダウンズによる前奏は復調的で不安定だが、ボーカルが入った瞬間、濃い霧が晴れ、あたり一面を真っ白な光が照らし出すかのように、音楽が輝きだす。年齢なんてものを超越した魔法のような御業だ。偉大なボーカリストたちと同じく、ノーマもまた音楽を輝かすことのできる魔法使いだったのだ。





ウォルフガング・ダウナー / ライヴ / JazzTOKYO 東舘
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008867855


ベルアンティークは1984年設立のプログレを専門とする国内レーベル。近年は60-70年代における同種のアルバムの再発に注力しているが、このたび当店にも70s独蘭ジャズ・ロック4作が入荷。うち3作は世界初CD化というから恐れ入る。紙ジャケで解説付きというのもウレシイ。本稿ではウォルフガング・ダウナーと彼のバンド「エト・セトラ」による73年のライヴ盤をピックアップ。同時代ドイツのジャズメンのうち(少なくとも日本では)いまいち評価が定まらないダウナー。代表作であるはずの『The Oimels』(1969)や『Output』(1970)における奇怪なジャケの所為もあろうが、モードにフリーにジャズ・ロック、果てにはサイケも演っちゃう(本盤でもM6でシタールが鳴る)幅広い音楽性が、彼を見るときの焦点をぼやかしてしまうのかもしれない。そんな御仁はここに収められたフレッド・ブラセフルとララ・コヴァチェフによる飢えた狼の如きドラムと、ダウナーの大時代的ながら鋭く生命力に満ちたシンセを聴け!ICPとは別の重力圏で高らかに響くジャーマン・ジャズを即座に理解できるはず。アツいぜ。





Bremer/Mccoy / Kosmos / JazzTOKYO 松本
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008880232


デンマーク出身のキーボード奏者、ジョナサン・ブレマーと、ベース奏者、モーテン・マッコイによるデュオ、Bremer/Mccoy の新作。前作、デンマーク語で"夜"を意味する『Natten』はアンビエント・ジャズ大傑作として話題になった。リズムはベースのみで、ゆったりと波に揺れているような心地よさがあり、前作の流れを引き継ぐ幽玄/幻想的なサウンドだが、今作はどこか子守歌を聴いているように親密さが増している。そして、やはり耳を惹くのは、ピアノやエレピで語られるメロディーだ。美しく、キャッチーでエモーショナルなメロディーメイクは日本人の心に通じて響いてくる。丸みのあるピアノの音は透明感にも溢れ、エレピや(恐らく)メロトロンのフルートの音色は懐かしいにおいを呼び起こさせる。渡り鳥が自分たちの国に帰ってゆくような、小さいころだいすきだったタオルケットのような、安心感とあたたかさ、やさしさが全体に満ちている。





Strait Project / Water Dance / JazzTOKYO 松本
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008881705


水にまつわるものにはなぜか惹かれてしまう。人魚姫のお話、タルコフスキーの映画、『ピアノ・レッスン』でピアノが海底に沈んでいく場面、、。「WATER DANCE」と名付けられた本作も例外ではない。DA VINCI JAZZよりリリースされた、シチリア島とイタリア本土の間にあるメッシーナ海峡の光と色彩を表現したというコンセプチュアルなアルバムで、フルートをフィーチャーしたカルテットSTRAIT PROJECTによるもの。海のなかでゆるやかに踊るフルート、ピアノの波は何色にも重なって美しい線を描く。ドラムのリズムは風のように自由自在に流れてゆく。そして、オリジナルに加え、数曲演奏しているウェイン・ショーターの曲も少しアンビエンスで輪郭が曖昧なところが個性となってきらりと光っている。イタリアの明るい陽射し差し込む、人間の知らない海の世界が描かれた楽しく、時に力づよい演奏にインスピレーションと、ときめきがとまらない。





Mathias Hagen / Pilgrim / JazzTOKYO 松本
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008864652


ノルウェー出身のサックス奏者、マティアス・ハーゲン率いるベース、ドラムスとのトリオ。タイトルの"ピルグリム"は、日本語では"巡礼者"。中東音楽に影響を受けたマティアスのオリジナルで、サックスの独特な節回しが妙に心を掴んでくる。土と枯草と緑、柔らかく広がる夕焼けの色。イランの監督、アッバス・キアロスタミの映画『桜桃の味』が思いうかぶ。シーンのほとんどを占めるのは自殺を決意した中年男バディが車でゆっくりと登っていく曲がりくねった山道。アルバム全体もそんな山を登っていくようで、ゆったりとした絶妙な脱力感、諸行無常のようなスピリチュアリティを感じるのはマティアスの精神性だろうか。神の手を探して旅する巡礼者の姿も重なってくる。サックスのフレーズもどれも新鮮で、ずっとフロントにいるのに不思議と飽きることがない。リズム隊との一体感から立ち上がってくる世界をぜひ体感してほしい。





Clara Haberkamp / Plateaux / JazzTOKYO 松本
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008858055


ドイツ出身で現在はベルリンを拠点に精力的に活動する女性ピアニスト Clara Haberkamp 率いるコンテンポラリー・トリオの2024年作品。冒頭の湖面が波立つような色彩豊かな響きと、繊細かつ正確なタッチからクラシック音楽の強い影響があることを確かに感じる。ドビュッシーやサティといったフランス近代の作曲家やジョン・テイラー思わせる夢幻的で謎めいた美しさと、複雑で掴みどころのないソロが彼女の持ち味で、私にとってはかなりどストライクなピアニストと出会ってしまった!という感じだ。オープニングではいきなり疾走感と不安感が並走するスリリングなうねりが増幅していき、中盤では詩を綴るような静寂が波紋になって広がる。つめたい石のようなクラシカルな響きと、ジャズならではの熱量が交わるヨーロピアン・ジャズの佳作。





クルセイダーズ / Japan 1983 / JazzTOKYO 赤尾
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008878453


ウィルトンフェルダーの一声の後、唐突に始まるデヴィッドTのソロから既に異様な盛り上がり。各曲各楽器キャッチーなソロが続く中、とりわけ1,2曲目のジョーサンプルのローズは絶妙無類の鳥肌もの。後半ラリーグラハムが登場してあの曲を歌い出すと歓声は最高潮。熱狂ライブの主役は観客と悟る。その模様はFMとTVで何度か放送され、ジャコにカドワかされてジャズ奈落に落ちた中1未熟者の拙者はカセットに録音。後年CD-RやiTunesに移植後も度々再生される激愛聴音源となる。それが今回CD化。喜ぶのは当時を知る生き残りとオタクルくらいか。冒頭の一声がないのが残念。写真の顔ぶれと中身が違い過ぎるテキトージャケットだが、酒が入って気分寛大、それも面白い。長閑で緩い時代のタイムカプセル。気になる若い者はYouTubeで映像等チェック。





Answer To Remember / Answer To Remember II / JazzTOKYO 赤尾
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245783154


前作同様アイデアの見本市といった印象。一貫性や統一感がないなど直情的見解も自然だが、ど素人がエラソーに上から目線で申し上げると、ライブ活動で練り上げていくアイデアのエッセンス集みたいなものだろうからこれでいいのだ、となる。的外れだったらすみません。ermhoiの美声を高速プログレ風な曲に起用してもったいないと一瞬感じるが、これは石若駿の音楽であってermhoiの音楽ではない。人に合う曲ではなく曲に合う人というわけだ。各曲の肝を推察しながら聴くと楽しめそうだ。20世紀末地下音楽界を席巻したドラムンベースを天空に昇華したかの如き陰りのない晴天サウンドが躁状態で続く中、8曲目で現れるメランコリーな一面にホッとする。最後はアッパーな6曲目の美麗ピアノ版。石若流コードチェンジだろうか。隠れた魅力が垣間見える。





RS5pb / Totem / JazzTOKYO 赤尾
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008864678


店頭で試聴盤を流すと、何これ?!と瞬時に反応する声。マイルスロストクインテット未発音源か!?と手にするパッケージにはパスコードの如き謎の文字列。ベテランジャズ愛好家らしき男性は類家心平をご存じなく、それでも原始宗教めいたタイトルの本作品をお買い上げになる。ジャズを取り巻くあれこれはすっかり細分化され、キャリア20年以上の類家氏を知らないファンも多いのかも知れない。多種多様な音楽の残響が混然一体となった中にマイルスの亡霊を聴き取るのは簡単だが、それのみで決着をつけるのは短絡的だ。NYノーウェイヴを彷彿とさせるパンク感、静寂の中にノイジーなサウンドが切り込んでくるあたりがアヴァンギャルドと称される由縁か。日々ライヴ活動するジャズマンにとって録音作品は発展途上の1通過点なのだろう。ジャズの様々な可能性の模索を放棄しない意欲と希望を感じる作品。





ZEK 3 / ZEK! III / JazzTOKYO 赤尾
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008861239


鯔背とはこのことか。レパートリーをLed Zeppelinの楽曲に限定したピアノジャズトリオの第3作。絶句はしない。ZEP+Kurumi=ZEKなのだろう。ツェッペリンもクリムゾンもパープルも混同したままろくに聴きもしない、ロック愛好者カースト最下層にも及ばないロック賤民のわしでも楽しく聴ける。首謀者の清水くるみさんはZEP曲を演ると決めた後に全原曲を聴き込んだという。過度な思い入れ不在が功を奏したのか。とにかく威勢がいい。観客以上に演奏者が楽しんでいる映像が脳裏に浮かぶ。自由奔放なピアノ、うねるベース、力みなぎるドラムスによるハードコアロックジャズ。バラードは刹那的に美しい。かつて林栄一を加えたZEK4、さらに片山広明らを擁したZEKオケなど拡張版もあったとか。録音は残っていないのか? 聴き終えると打ち上げ欲望が湧き上がる飲んだくれには危険な2枚組ライブ盤。





SONNY STITT / 4988031650073 / 吉祥寺ジャズ館 山脇
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245781806


聴きどころは、アルバムの曲目全体軽快で肩ひじ張らずに、聴いていられる点だろう。いつものSONNY STITTとは一味異なったところや、らしさが同居した、POPでFUNKYなサウンドが収録されている。
1973年の録音からは、ロバータ・フラック、マイケルジャクソン等のタイムリーなヒット曲を朗々と小気味良く歌い上げており、当時の情景を覗かせてくれる。
バックのブラス、ストリングスがより一層、拍車をかける。
サイドメンも、リチャード・デイビス、ローランド・ハナ等も加わっており、豪華なメンバーである。
本作からは、キャッチーさと熟成された2つの顔をうかがうことができる。
ジャズファンに留まらず、ロック、ソウルのリスナーにも聴いていただきたいアルバムである。





Dimensions Of The Drums(LP) / NAT BIRCHALL / 吉祥寺ジャズ館 田口
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008889252


イギリスのスピリチュアルジャズ系のサックス奏者・マルチ奏者のNAT BIRCHALLによる2024年リリース作品。1970年代半ばのジャマイカの音楽にインスパイアされて制作したアルバムで、すべての楽器演奏、ドラムマシン、レコーディング、ミックス、マスタリングまで自身で行っている。過去にもダブのアルバムをリリースしているが、今回のアルバムはよりジャズに接近しており、ジャズ奏者ならではの多彩なサウンドが感じられる。ダブとジャズのいいとこ取りという感じで、アルバムを通してバランスのいい作品です。生バンドで聞きたい気分にもなりますが、多重録音ならではの音や展開のコントロールを楽しんで聴いています。サウンドもやりたいことを一人で形にする姿勢も本当にかっこいいです。





CATPACK / CATPACK / 新宿ジャズ館 有馬
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008844054

学生時代にジャズ学科で過ごした三人によって誕生したネオ・ソウル・ユニット、MOON CHILDのAmber Navranのニュープロジェクト。
基本的にはMOON CHILDの路線が踏襲されていますが、参加したジェイコブ・マンとフィル・ボードローによって全く違う次元のレイヤー構造と完成度を獲得しています。
今月この作品をかなり聴きましたが、逆に今MOON CHILDを聴きなおすと、当時思っていたよりもジャズマテリアルなバンドだったと改めて気づけました。
MOON CHILDの立ち位置に対する認識と共に、音源と動画などのアーカイブ巡りに勤しむことができた二度おいしい作品です。好きな方は是非。





MILTON NASCIMENTO & ESPERANZA SPALDING / MILTON + ESPERANZA / 横浜関内ジャズ館 山田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008858236


トレードマークであるつば付き帽子を被ったジャケットは一体いつぶりだろうか。全盛期には森林の奥底から響いてくるような、まさに神がかり的な歌声で聴くものを圧倒し、『ブラジルの声』という大層な異名も全く大袈裟ではなく実力に適うものだった。今では声は枯れ、演奏活動からも引退したが、彼がこうして歌ってくれる、帽子姿を再び見せてくれるだけでも胸がいっぱいになる。ミルトンは選曲にも関わっているようで、自作曲やビートルズのような順当な曲に加え、マイケル・ジャクソンの渋いカヴァーなどもあり面白い。
一方エスペランサについては、ここ10年以上コンセプト重視でアルバムを作り続けていたが、前作のライヴ作品でやや力が抜けたのもあるか、今作ではアレンジはきっちりしつつも適度なリラックス感も感じられる。この点に関しては、ミルトンの作品の底知れないエネルギー、理論では説明できないカッコ良さ、スピリチュアリティの部分(そしてそれは今作の裏キーパーソンであるウェイン・ショーターのそれとも通底しているだろう)が、今までの彼女の作品で聴かれた、あまりに自信に満ち満ちとした部分、いい意味でも悪い意味でも良く出来すぎていた部分に影響を与えているような気がしてならない。やりたい事やメッセージが完璧すぎるがゆえのある種のとっつきにくさが今作で緩和されているのは、ミルトンをゲスト扱いせず、テーマとして取り上げる訳でもなく双頭リーダーとした効果だろう。まだ30代ながら既に大御所感漂う彼女だが、今作を経たことでの次回作も楽しみになった。
もはや説明するまでもない2024年最大の話題作になるであろう本作だが、聴けば聴くほどに新たな発見があり、長い付き合いになりそうである。何度聴いても新鮮に聴こえるアルバム、我々はこういう作品のことを"名盤"と呼ぶ。





尾川 雄介 & 塚本 謙 / インディペンデント・ブラック・ジャズ・オブ・アメリカ / 商品部 川田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1006126002


2014年3月20日にリットー・ミュージックから発売された塚本 謙氏と尾川 雄介氏によるスピリチュアル・ジャズの恐らく初となる黒いジャズ・カタログ「インディペンデント・ブラック・ジャズ・オブ・アメリカ」が10年後の2024年7月に待望の重版が実現した。新刊情報を入手してから、すぐに予約して購入して以来、幾度も辞書的にも使用し続けてきた名著は既に入手困難で高額のプレミアム価格が中古市場で付けられていたのでうれしい再版です。STRATA-EAST、BLACK JAZZ、TRIBE、STRATA、NIMBUS、INDIA NAVIGATIONといったスピリチュアル・ジャズの重要レーベルがレーベル・カタログとして規格番号順に掲載されているのは非常に重宝する限り。ネット検索で簡単に情報が得られる現況でもレーベルのカタログが規格番号順に入手できないことも少なくなく、又、レコーディングのバンド編成によってデータが分割されていることもあるので不便に感じている方も多いと推測。ゆえに紙媒体でのカタログはネットとの併用も含めてありがたいものです。スピリチュアル・ジャズに増資の深い著者による、選りすぐった重要作やレア盤等の豊富な紹介も自身の知識を補うのに一役買ってくれたのも事実。又、紹介されているアルバムを購入したり、知っているアルバムでも再認識したりするのにも有用でしたね。可能であれば増補版を期待したいものです。





ローランド・カーク / イントロデューシング・ローランド・カーク(UHQCD)  / 商品部 大野
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245781809


1960年にラムゼイ・ルイス がARGOに推薦し、カークの『Introducing Roland Kirk』のレコーディングが実現する。
カークにはレコードにまつわる思い出がある。約20年前くらい、当時のジャズ廃盤店ではKING盤(黒ラベル)の「TRIPLE THREAT」が 超レア盤扱いされており高嶺の花だった記憶がある。当時でも20万位の値付けはされていて、それが即売れしていたので何とかして聴いてみたいと、トボトボ帰途につく若き日があった。
ローランド・カークに関しては、『MINGUS AT CARNEGIE HALL』(ATLANTIC、1974)のミンガス・バンドでの吹きっぷりにも度肝を抜かれたし、私にとっては自身がどんな状態のときでも勇気をくれるジャズ・マンなのです。





Speak Low / ELAINE DELMAR / 商品部 山本
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008855734

8月の一枚と言えば、これだな。最初は、えっと、エレーヌ・デルマーって誰だっけ?と思い出せなかったのだけど。彼女は英国のヴォーカリスト。初めて知ったのは、1998年頃。高額なオリジナル盤、稀少なヴォーカルレコードが中心の買付で総額8千万円という大きな仕事をしたのだが(さらりと書いたけど8千万円です)、その中にCBSとかコロムビアの彼女名義のレコードが含まれていたのだった。珍しいけど、実はそんなに高額でもなかったが、自分の知識が広がったのは嬉しかった。内容は極上のバラードで、特にオススメしたいのが、ダブルベースだけの伴奏による「Close Your Eyes」、ピアノだけの演奏による「Send In The Crown」、「Tea For Tow」、ギターだけの伴奏による「If You Love Me」。
インティメットな雰囲気満点で、しっとりとした気分に浸れる。2023年には、VOCALIST OF THE YEARを受章しているようだ。






Doober(LP) / SAM GENDEL & SAM WILKES / 商品部 池田

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”サムサム”ことサム・ゲンデルとサム・ウィルクスのデュオ作品第3弾が待望のリリース!録音情報を見たところ2022~23年日本とLAになっているので、もしやFESTIVAL FRUEZINHO 2022出演の合間に…?なんて想像してしまう1枚です。特にウィルクスがループ動画を作って自身のYouTubeチャンネルに載せているほどお気に入りであろう3曲目のジュディ・シル「There's a Rugged Road」のカバー(アルバム内のタイトルは「RUGGED ROAD」)は、同フェス披露時にSNSで動画が回ってくるほど話題になっていたので、私のように画面の前で悔しがっていた皆様にも朗報です。それぞれソロでの活躍も著しい2人ですが、デュオ1作目で知った身としてはまたここに帰ってきてくれるのはやっぱり嬉しい限り。