<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2016 Jan.

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  • 2016.01.05

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    RUNE OFWERMAN / ルネ・オファーマン / Finest Piano Spices(CD+DVD)

    ルネ・オファーマンは1932年生まれ。2013年12月に他界した。この作品は、ルネの盟友Gazellレーベルのドッグがルネの功績を讃えて作ったアンソロジーである。ルネは、10代の時に、チャーリー・パーカーがストックホルムに来た際、「ほんの2メートル」の距離でその演奏を見ている。1950年12月号の『オルケスタル・ジャナレーン』(スウェーデンのジャズ雑誌)18ページを見ると、その時の写真が掲載されている。スーツに身を包んだ若者が熱心に聴いている。その中の一人がルネなんだそうだ。それ以降彼はジャズにのめり込むことになる。1952年からプロ活動を始めた。RCA, GazellにLP、EPの作品がある。ボクが、最初にルネの自宅を訪問したのが、2005年11月だった。とにかく茶目っ気たっぷり、ユーモアの連続で楽しいおじいちゃんと思った。とてもスウェーデンジャズ界の一線で50年以上戦ってきた人には思えなかった。ガムラスタンの「将軍」という日本料理屋へ連れて行ってもらい天麩羅定食と日本酒をご馳走になった。その時に、「モニカ・ゼタールンドが住んでいたのは、あそこだよ」と教えてくれたのも彼だった。以来、毎年のように10数回会ってきて、ボクの中では<スウェーデンのおじいちゃん>的な存在であった。本当、訃報を目にした時はボーゼンとなった。このCDで特筆するべきは、6曲目の「Reets And I」だ。これバルネ・ウィランが参加しているんだよね。1957年、バルネはストックホルムに行っている。それは、『オルケスタル・ジャナレーン』1957年3月号の12ページ目に載っている(写真参照)。そしてメトロノームのスタジオ(たしか)に遊びに来た際にジャムセッションをした。それを録音していた。バルネは、フランスのレーベルと当時契約があったので簡単にリリースすることはできないし、曲も3曲と少なかった。でもミュージシャン、エンジニアの人数分(ほんとに数枚だけ)アセテート盤を作って記念にした。それが何十年もして、その内の何枚かが市場に出た。数十万円の高値がついた。ボクもルネの自宅で見たことがある。とにかくその曲が素晴らしい。当時バルネは絶頂期であったが、それが惜しみなく体現されていた。そういう曲だ。是非聴いてもらいたい。(山本隆)


     


    LARS LYSTEDT / ラース・リーステット / Fanfar!(10")

    これはすごい復刻。廃盤セールとかでもなかなか出てこない。所有している人は相当なコレクターだろう。日本のジャズ喫茶でこれを所蔵しているなんていうところがあったら、おそらく二軒くらいは持っているかもしれないけど、賞讃に値するだろう。音は完全に「ジャズ喫茶名盤なんだけどね。ボクはこのレコードの存在は知っていたけど、見たことはなかった。初めて聴いたのは10年前、ストックホルムのヨナス・カルハマーの自宅、地下のレコードルームで、だった。ヨナスはフリー系のレコードをたくさん持っていたけど「へえっ、こんなのも所有しているんだ、さすがスウェーデン本場」と感激し、そして聴かせてもらった。最初の曲、エゲルブラダのピアノが印象的。「あれ、この感じどこかで聴いたな」と思い、アタマの中のコレクションにリファレンスすると、ありました、ありました。ジェイ・ジェイ・ジョンソンのコロムビア盤『J.J.INC』に収録されている「シャッターバッグ」という曲にとても似ている(ピアノはシダー・ウォルトンね)。発売は1961年だ。そしてこの『FANFAR!』、録音は1962年。その「シャッターバック」を発売してすぐにアメリカから輸入して聴いたとは思えないので、偶然似ている感じになったのだろう。いい曲。リーダーのラッセは同じくトロンボーン奏者だし。ピアノはベント・エゲルブラダ、名盤『スキゾ』の2年前の録音にあたる。



    V.A.(BORN FREE) / Born Free. The 12th German Jazz Festival (9CD)

    1970年3月21日と22日の二日間、フランクフルトのコンサートホール(3月のフランクフルト、野外だと寒くて聴いていられないし)で開催されたGerman Jazz Festivalの模様を収録したCDで9枚組。この作品のオリジナル盤は3枚組のLPであった。レコードの場合、片面だいたい25分前後だから、150分(2時間半)くらいの収録だった。それがこのCDには、その4倍も収録されている。LPの場合、1アーティスト、1曲程度の収録であった。それが、フルに30分とか40分とか収められているから驚きだ。ほとんどが、初登場の曲と言ってもいいだろう。聴きごたえがあるというか。実際全部を聴き終えて、聴きごたえを感じたというか、当時の凄まじい息吹を感じとることができたと思う。
    ※聴いてみてわかったのですが、ブックレットに記載されているトラック表示と、CDとかに表示される内容が異なっているディスクも何枚かあるようでした。ブックレットには、何曲かを、まとめて表記しているような感じです。しかしながら、ディスク3のフィル・ウッズの演奏は、「ジョシュア」で終っております。ブックレットには「ザ・ミーティング」という曲も表記されていて、「この曲はどこにあるのだろう」という疑問はあるのですが、一応お知らせしておきます。

    各CDに収められられているグループの概要は下記に記す。
    CD 1
    The German Jazz Festival Big Band (34:15)
    Dave Pike Set (32:51)
    CD 2
    Albert Mangelsdorff Quartett (30:57)
    Wolfgang Dauner-Radio Jazz Group Stuttgart (46:06)
    CD 3
    Karin Krog And Her Friends (12:47)
    Phil Woods & His European Rhythm Machine (41:41)
    CD 4
    Klaus Doldinger Quartet  (27:40)
    Frederic Rabold Crew (31:00)
    Jazzworkers (7:28)
    CD 5
    Frankfurter Trio For Improvisation (22:32)
    Just Music (28:21)
    Modern Jazz Quintet Karisruhe (26:52)
    CD 6
    Free Jazz Group Wiesbaden (34:20)
    Limbus 4 (27:53)
    CD 7
    Peter Brotzmann Group (38:40)
    Manfred Schoof New Jazz Trio (24:11)
    CD 8
    Alexander Von Schlippenbach (28:09)
    Pierre Favre Group (27:08)
    Joachim Kuhn Group + Rolf Kuhn (24:30)
    CD 9
    Gunter Hampel Group (28:44)
    Wolfgang Dauner Group +European Free jazz Orchestra Of The Art Ensemble Of Chicago (37:04)
     


    V.A.(OSCAR WITH LOVE) / Oscar With Love(DELUXE EDITION) V.A.(OSCAR WITH LOVE) / Oscar With Love(STANDARD EDITION)

    最近行われた小曽根さんのコンサートで、このCDの紹介があったらしい。それを耳にした聴衆の多くは、日本のレコード店に駆け付けたわけですが、誰もその存在を知らない。よって「何なんだろう」と訝っていた音楽ファンの方が多かった、ときいている。ようやく入荷しました。昨年7月にリリースの発表があり、カナダで発売となったのが、11月。それから2ヵ月ほどして日本にもやってきました。これは、オスカー・ピーターソンの未亡人ケリーさんが一人で奮闘して作ったもので、何かと時間を要したのだ。内容は、オスカーのスタジオにあるオスカーのピアノを弾いてレコーディングされた音源というもの。出演者は、Monty Alexander, Lance Anderson, Kenny Barron, Robi Botos, Bill Charlap, Gerald Clayton, Chick Corea, Benny Green, Hiromi, Oliver Jones, Justin Kauflin, Michel Legrand, Ramsey Lewis, Audrey Morris, Makoto Ozone and Renee Rosnes.だいたいソロ演奏が中心。CD3枚組のスタンダード版とブックレットやボーナスダウンロードなどがついているデラックス版の2種類が入荷してきた。現在、webサイトで申し込んだ人以外、お店で買えるのは現在ここだけです。(山本隆)




    MODBOE/ERIKSEN/HALLE / THE SPACE BETWEEN

    昨日から仕事。早速2016年一番のオススメを見つけた。年末、ノルウェーから届いたCDだ。これに感動した。ギター、ピアノ、トランペットという編成。ピアノのEspen Eriksenは、5年前の5月28日に発売されたYou had me at goodbyeのピアニストで、その美しい叙情性にノックアウトされた人は、あああれかぁと脳裏にジャケットと叙情性を思い起こすことだろう。また寺島靖国JAZZBAR2015の8曲目に採択された人物でもある。トランペットのGunnar Halleは、シゼルストームのSwedish Lullaby 参加していた叙情トランペットの人だ(と勝手に叙情派にしてしまった。同じノルウェーのトーレ・ヨハンセン的な雰囲気をもつ。ギターのハフトール・メドボーはノルウェー生まれのエジンバラ育ち、叙情性ギターの人だ。不思議なサウンドの混合体に、酔いしれております。なおジャケの写真家は、Kjersti Holstさん(女性)。動物、野鳥などを主に撮影している自然派のカメラマン。この海にかかる長―いブリッジのショットも叙情的。見ながら聴いていると幻想的な雰囲気に没入できるようだ。