<月刊>スタッフ推薦盤 2017 Jan.

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2017.02.02

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SARAH LANCMAN / サラ・ランクマン / Inspiring Love
Shure Montreux Jazz Voice Competitionというジャズコンペに出場したことから、クインシー・ジョーンズ大物アーティストからも注目されているという女性ヴォーカリストSARAH LANCMAN。もともとクラシックやジャズを幼いころから歌っていたという彼女は、フランスのジャズクラブを中心に活動。しかし、ジョヴァンニ・ミラバッシがフランスで彼女の歌声に出会ったことから、その才能は開花します。プロデュースはもちろん、ソングライティングのサポートにもミラバッシが携わり、2ndとなる今作はオリジナルで勝負。艶やか、伸びやかでありながら、オーガニックでウィスパー、スモーキーなその声はまさにミラバッシのピアノにマッチします。スタンダード中心のファーストアルバムはもちろんいいのですが、今作はより一層、彼女の魅力が最大限に生かされているように思います。1. Inspiring Love、9. Mysterious Laneはノスタルジックなサウンドで特にオススメです。(新宿ジャズ館 堀)


JOHN ABERCROMBIE / ジョン・アバークロンビー / Up and Coming
4年ぶりのリリース。2012年の『Within A Song』、2013年の『39 Steps』につづいて、彼のテーマはBill Evansであるように思えます。もう完全に確立されたといっていいプレイスタイルと、独自の和声感覚は年齢にそって研ぎ澄まされていくいっぽうで、今作も新たな一面というよりは粛々と年月を重ねたただ一面がみえるという趣き。ジョン・アバークロンビー・ファンにはたまらない作。(新宿ジャズ館 花木)


REINIER BAAS / Reinier Baas vs. Princess Discombobulatrix- A Mostly Instrumental Opera
注目のオランダ若手勢の台風の目、RAINIER BAASの2017年新作が登場。曲によって室内楽的な編成や楽器も柔軟に変えるセプステット。内省的なインプロ、複雑なコンポジションと類を見ないビジョンは前作『Smooth Jazz Apocalypse』を越えています。さらに同郷の鬼才GIDEON VAN GELDER的なミニマリズムにも通ずる要素もあり、本格的にNY以降のオランダのスタイルを確立する勢い。NYコンテンポラリーに食傷気味な人ほど頭を解かされると思うのでオススメです。(新宿ジャズ館 有馬)


JIMMY SCOTT / ジミー・スコット / I Go Back Home(DELUXE EDITION)
ジミー・スコットほどワン・アンド・オンリーな歌声を持っているボーカリストは珍しい。まさに天使に近いボイスを初めて聴いた時は何だか綺麗すぎて魅力が理解できなかったことを憶えている。しかし今では彼のクリアなボイスには並々ならぬ波乱に満ちた人生の有様を感じる。歌手としての栄光、不安定な私生活、人気の凋落、そして90年代初頭に突然やってきた奇跡的なカムバック。2007年には米ジャズ界の最高賞とされる国立芸術基金ジャズマスターズ賞をはじめ、数々の賞を受賞した。この作品は2009年録音。JOE PESCI JAMES MOODY KENNY BARRONといったジミーを愛するミュージシャン達によるトリビュートアルバムで、年老いたジミーは車椅子姿ながらもマイクに向き合い歌い上げる姿に心を動かされる。(営業部 赤田)