<月刊>スタッフ推薦盤 2017 Feb.

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2017.03.01

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Seiji Tada/Suga Dairo DUO / 多田誠司・スガダイロー Duo / Zanshou / 『残照』 Live Recording at 新宿PIT INN
多田誠司、スガダイローというすごい2人のライブ・アルバム。
切れ味抜群のサックスと破壊力抜群のピアノによる丁々発止。スガが巻き起こす荒波を多田が勇猛果敢に突き進むセカンド・ライン・ブルース"黒坊主参り候"、序盤のデロデロした低音バッキングがちょっとトリスターノを彷彿とさせる"Back Ground Music"、情感豊かなフルートと歌心を導き出すバッキングが印象的な"残照"、クルト・ワイル曲の狂った優雅さを何倍にも増した中毒必至の"Alabama Song"、2人のテンションがまさしく最高潮に達する"Funkallero"、泣きのアルト"Warm Woods"、どこに向かうのかわからないスリリングな"Come Rain Or Come Shine"、この曲をこんなに多様に表現できる者がほかにいるだろうか"Fire Waltz"。(JAZZ TOKYO 溝邊)
ANDREA MOTIS  / アンドレア・モティス / Emotional Dance
オススメ!と言わずもがな度々スポットを浴びていた彼女ですが、インパルスレーベルから遂にデビュー!
JOAN CHAMORROとの合作も、リリースの度に話題を呼んでいましたが、ようやく…という感じでしょうか。今回はサイドにIGNASI TERRAZAとJosep Traver、Esteve Pi等、いつもの面々に加え、サックス名手SCOTT ROBINSONや、WARREN WOLF等、アメリカの現代ジャズの気鋭名手たちが名を連ねています。
21歳にしてここまでスタンダードを歌いこなせる彼女。デビュー作にして、かなりの完成度かと思います。最近の女性ジャズヴォーカルものを押さえておきたい方はマストです。(新宿ジャズ館 堀)

MATT MITCHELL / マット・ミッチェル / Forage
Screwgun Recordsのオーナー、ご存じTim Berneに「Mattより私の音楽を良く知っている人はいない。」と言わせ、目下Tim Berne影響下のピアニストにおいて最右翼と目されるMatt MitchellによるTim Berne曲集。
80年代NYダウンタウンシーンの系譜にしてTim Berne派と言えるMatt Mitchellは、Tim Berneメソッドの解釈の深度においてピアニストではCraig Taborn以来最大となる存在です。
2012年に衝撃のECMデビューを飾ったTim Berneの新プロジェクト『Tim Berne's Snakeoil』にピアニストとして抜擢され、同年にPI Recordingsからもデビューし、現在までに2作品をリリース。リーダー作として三作目となる本作は、彼の立場をより明確にするであろうソロピアノでのTim Berne曲集。彼の両手によって交錯する打鍵音は、この系統の音楽に於いてかつてない体験をもたらすと共に、結果としてMatt Mitchell/Tim Berne音楽の拡張を目の当たりにすることとなります。(新宿ジャズ館 有馬)

THUNDERCAT / サンダーキャット / Drunk / ドランク
LAきってのベーシスト、サンダーキャット。
いつも通りといえばいつも通りなんですが、ケンドリック・ラマー、カリーファ、ファレルと、豪華になっていくゲスト陣にこの人のアーティストとしての成功が見えます。
決定した来日公演にも期待大。しかしこのアルバムに参加しているディアントニ・パークス、ルイス・コールと昨年来日していたり、なんだか東京って凄いなと思わざるをえませんでした。
ジャケのインパクトが強烈です(なんとなく日本盤帯の字体もこのジャケに引っ張られているような...)。(新宿ジャズ館 花木)

SARAH LENKA / サラ・レンカ / I don't dress fine~Sarah Sings Bessie Smith
ジャケットデザインからもう女性目線! サックスブルーと赤のチェックのワンピースに身を包んだ女の子。そして日当たりのよさそうな白い窓のアパルトマンの一室にはワンピースの配色と同じトランクケースが積み重ねてあって・・・・・・かくいう私もジャケ惚れしました。
サラ・レンカはJazzPerspectiveの表紙を担当した美女ボーカリストですが、今回は何とマヌーシュ・ジャズに挑戦! ブルースの女帝ベッシー・スミスをオマージュしたこの作品はとにかくブルージーの一言。しかし、だからといってシブく決めているだけではなく、彼女自身のキュートさも耳に迫ってきます。
全曲キュート&ワイルド。サラの歌声を聴いているうちにどこかで聴いた歌声だなと思いついたのが、1970年代後半に活躍した坪田直子という日本人女性アーティスト。彼女が歌う「ジングル・ジャングル」(大野雄二作曲)なんかは、ずばり日本のサラ・レンカだと改めて認識しました。マヌーシュを歌うサラ・レンカファンのあなた、こちらも同時にチェックしてみてください。(営業部 赤田)

CRISTIANO ARCELLI / クリスティアーノ・アルチェッリ / Almost romantic
今月はこればっかり聴いてました。
イタリア出身のアルト奏者クリスティアーノ・アルチェッリの新作です。
アート・アニメーション的なジャケットからして魅力満点ですが音もどこか捻じれているというか、逆立ちして世界を見ているかのようで良い意味で奇妙な雰囲気を醸し出しています。
無国籍な音楽を奏でる、日本を代表する(と、個人的には思っている)インスト・バンドNRQ(コンポステラのメンバーの中尾勘二さんも参加しております)とも遠くないところで繋がっているような気もして、是非日本のインストバンドが好きな方にも聴いていただきたい1枚。
ジャズ・コンテストに2度も優勝したとのことですが、正統派な音の出しつつも思考回路は普通じゃないような、餃子の皮を使っただけで中身も味も餃子ではない何か的な音楽じゃないかなとか思います。その正体が何かと言えばわからないですが、このアルバムと同時に入荷したもう1枚のアルバムがUFOの写った「Solaris」というものなのは偶然じゃないのかもしれません。(営業部 三橋)