<月刊>スタッフ推薦盤 2017 Mar.

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2017.03.31

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NITAI HERSHKOVITS ニタイ・ハーシュヴィッツ
I Asked You A Question(LP)

NITAI HERSHKOVITS / ニタイ・ハーシュヴィッツ / I Asked You A Question(LP)


Avishai Cohen(b)やAri Hoenigのバンドで活躍する若手ピアニスト、Nitai Hershkovitsのリーダー作。
自身が奏でるピアノやシンセ、さらにサンプリングや打ち込みのビートを組み合わせた作品に仕上がっています。
方法論としては、ドラムにマーカス・ギルモアを起用したテイラー・マクファーリンと近く、その中でイスラエルらしいメロディやハーモニーの感覚が、良いアクセントになっています。
カート・ローゼンウィンケルなどゲストも豪華。リリースはSol Monkで話題になったRaw Tapesから。
純粋なジャズ・ミュージシャンを輩出するだけでなく、こういった新しい動きも見せ始めたイスラエルのシーンから、今後も目が離せません。(新宿ジャズ館 花木)



ROSE ELLIS ローズ・エリス
Like Songs Like Moons

ROSE ELLIS / ローズ・エリス / Like Songs Like Moons

Herb Alpert主宰のコンペで1位、それはヴォーカルとしてではなく、若手コンポーザーとしての受賞というのだから驚きです。可愛らしい容姿ながら、実力は想像以上。
一曲目のピアノワルツ調の曲からがっちりと心掴まれます。声質もハイトーンの抜けが素晴らしい。
前半アップテンポな曲が多く、後半バラードやミドルな曲が集まり、アルバムの構成も魅力。ピアノには先日Sunnysideから2作目を出したGLENN ZALESKI、ベース、ドラムもNY期待の若手奏者が集結。オリジナル中心の構成にもかかわらず、久々ヒットです。(新宿ジャズ館 堀)



OHAD TALMOR オハー・タルマー
Subway Lines(Counterpoints)
OHAD TALMOR / オハー・タルマー / Subway Lines(Counterpoints)

フランス生まれのスイス育ち、90年代からはNYで活動。同世代のジョシュア・レッドマンとも共演してきたテナーマンOHAD TALMORと、2008年に『CHAT NOIR』をリリースして話題となり、地元スイスのフリー系レーベルINTAKTの看板アーティストにまで成長したスイス人テナーマンCHRISTOPH IRNIGERとのユニットCounterpointsの初録音。
2人の共通点は、トリスターノ以降の方法論を根本に置いた、マーク・ターナー的なモーダルスタイル。
テーマ解釈からインプロが始まり、らせん状に入り乱れていくその様は、ブルックリンで熟成された現代のリー・コニッツ&ウォーン・マーシュ。Vinnie Sperrazzaのタイトなドラミングの骨格も素晴らしい、魅惑のテナーバトル。(新宿ジャズ館 有馬)

WAYNE SHORTER ウェイン・ショーター
Native Dancer

WAYNE SHORTER / ウェイン・ショーター / Native Dancer

ウェイン・ショーターが1975年にリリースした「Native Dancer」がお求め安い価格で入荷致しました。
内容は極上のミナス・サウンドとジャジーなブラジリアン・フュージョンが堪能できる傑作で、久しぶりに聴きましたがやはりいいですね~
ショーターもウェザー・リポートで「Mysterious Traveller」をリリースした時期で、ミルトン・ナシメントも「Minas」をリリースする頃と、両者ともに絶頂期を迎えていた頃の共演で悪いはずもないんですが…
ブラジリアン・ジャズの入門盤としても最適ですし、レアグルーヴ、クラブジャズ・リスナーにもオススメの一枚です。(営業部SOUL/BLUES担当 秋田)



VENTO EM MADEIRA ヴェント・エン・マデイラ
ARRAIAL

VENTO EM MADEIRA / ヴェント・エン・マデイラ / ARRAIAL

ブラジル×ジャズの最良形を掲示するクインテット、ヴェント・エン・マデイラ最新作!
メンバーでもある女流フルート奏者レア・フレイリのレーベル「マリタカ」が誇るブラジリアン・ジャズ・クインテット、ヴェント・エン・マデイラ。テコ・カルドーソ、チアゴ・コスタ、エドゥ・ヒベイロ、フェルナンド・デマルコという最高峰プレイヤー、そしていまやブラジルNO.1の女性ヴォーカルであるモニカ・サルマーゾをゲストに迎えたブラジル×ジャズの最重要グループである。
これまでに2枚のアルバムをリリース。プレイヤーとしての圧倒的なアビリティーと、ソングとインストゥルメンタルを行き来するかのような楽曲の素晴らしさで、ブラジリアン・ジャズのあるべき形を掲示し、ブラジル音楽ファンの間では高い評価を獲得してきた。
最新作となる本作も基本的にはこれまでの路線を踏襲。ブラジル固有の多彩なリズム、室内楽にも通ずる器楽の美しい響きが「ヴェント・エン・マデイラ=木の中を通り抜ける風」のごとく駆け抜けていくサウンドは美しくも爽快である。
一方でモニカの器楽的なヴォイスがフィーチャアされた#1など、世界的なトレンドに合流していくような明らかな進化もあり。カート・ローゼンウィンケルの最新作がブラジル音楽へと大きくシフトしたこともあり、例年になく注目されるブラジリアン・ジャズ。
その最注目アーティストとして、彼らに脚光があたることは間違いないだろう。(営業部LATIN/BRAZIL/WORLD担当 江利川)

LOUISE WOOLLEY ルイス・ヴーレイ
RESSONANCIAS
LOUISE WOOLLEY / ルイス・ヴーレイ / RESSONANCIAS

サンパウロうまれ、現在もサンパウロを拠点に活動する現在30歳の女性ピアニスト/コンポーザー、ルイス・ヴーレイ。コントラバス奏者の父を持ち、音楽に囲まれて育ったのだという。父と一緒に18歳のころよりサンパウロのナイト・クラブで演奏を始めるなど、若くしてプロフェッショナルとしてのキャリアをスタートさせると、2013年にはサンパウロの助成を得て1stアルバムを作成。2014年には「Prêmio Funarte da música brasileira」を獲得するなど、高い評価を獲得し、サンパウロのジャズ・シーンにおいて確固たる地位を築いていった。
そんなルイス・ヴーレイが2016年にレコーディングしたセカンド・アルバムがこの『RESSONANCIAS』である。
もともとサンバ・ジャズ系のピアニストとしては高い評価を獲得していたルイスだが、新作では作曲家としての魅力を更に開花させている。
ジョアン・パウロ・バルボザとのデュオ#1、リヴィア・ネストロフスキの器楽的なヴォイスをフィーチャアした#2に始まり、キンテートでの密なアンサンブルを聴かせる中盤、ジュリア・ヴーレイの可愛らしいヴォイスをフィーチャアした#6...。
先日のエルメート来日公演でも一際切れ味の鋭いサックスを披露したジョタ・ペことジョアン・パウロ・ベルボザ、いまやサンパウロ・ジャズ・シーンの若手NO.1ともいえるベーシスト、ブルーノ・ミゴット、現代的なドラミングでブラジリアン・ジャズに新たな響きをもたらすドラマー、ダニエル・ヂ・パウラほか、現在のサンパウロ・ジャズを代表するメンバーによる熱いセッションも聴き所。とりわけ美しいテーマ部が印象的なラスト・トラックで聴かせるメンバーそれぞれの個性を存分に発揮したセッションは、ブラジリアン・ジャズの新たなフェーズが幕開けたことを高らかに宣言するような感動がある。
ブラジリアン・ジャズ・ファンはもちろん、現代ジャズのファンにも是非聴いてもらいたい2017年最注目の作品である。(営業部LATIN/BRAZIL/WORLD担当 江利川)


YANO AKIKO,UEHARA HIROMI 矢野顕子×上原ひろみ
ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-(通常盤)

YANO AKIKO,UEHARA HIROMI / 矢野顕子×上原ひろみ / ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-(通常盤)

5年ぶりの再会、ジャンルを超えて存在する2大女性ピアニストの激情と優しさを込めたセッションによるライブ盤!
とにかく演奏ジャンルが幅広すぎて、もはや「矢野顕子と上原ひろみ」という独自のジャンルが確立しているかのようです。今回は特に「ラーメンたべたい」と「ホームタウン・ブギウギ(東京ブギウギ~ニューヨーク・ニューヨーク)」の2曲がジャズテイスト満載で、セッションならでは緊迫感。そして、笠置シズ子やライザ・ミネリのオリジナルナンバー自体が過去の遺物ではなく、いかに現在進行形でぶん殴ってすっ飛ばすような躍動感あるジャズであることを改めて確信できます。
余談ですが、1980年代に実際に「ラーメンたべたい」というそのものズバリの商品名のインスタントラーメンが売られていました。勿論そのテレビCMのCMソングは「ラーメンたべたい」とストレート! 女もつらいのよ、という歌詞がかなり共感できたうえに、女がラーメンについての欲望を性欲に近い感じで赤裸々に歌い上げる楽曲に、強烈な印象を抱いたことを思い出しました。・・・というわけで、これは世界的ジャズピアニスト上原ひろみとのセッションだからこそ生まれたともいえる新たな「ラーメンたべたい」。
ぜひこのアルバムでご堪能ください!(営業部 赤田)

TIGRAN HAMASYAN ティグラン・ハマシアン
An Ancient Observer

TIGRAN HAMASYAN / ティグラン・ハマシアン / An Ancient Observer
時間や空間、歴史や風土の記憶が一度に迫ってくるかのような、こんな音楽が聴けるなんて・・・と思わず脱魂してしまう超傑作。
ある意味で、地元で創業100年の煎餅屋とか、江戸時代から鰻を焼き続けてます!って鰻屋とか、先祖代々漁師です、っていうテレビや雑誌などでなんとなく見聞きしたことのある言葉の本当の凄味をここからも感じることができるかもしれません。なんてことを考えてみると、テクニックを磨くことで得られるインスピレーションの境地みたいなものがあるような気もしてきます。(営業部 三橋)