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『齢70超の老嬢が歌い示す事象の水平線』
これはいったい何なのか!? 謎の匿名女性歌手「Madam Anonimo (アノニモ夫人)」から届いたファースト&ラストCDアルバム。出所不明で解説不能ながら、アカペラ一発録りのその歌声に、森田潤が歓喜の一人集団エレクトロ即興楽で呼応した奇蹟の作品だ。60年代にアングラ劇団のディーバを務めてから半世紀、世界とジャンルを自在に横断し、70歳を過ぎたという彼女が示すその先は……ようこそアノニモ夫人の部屋へ!
2018年初頭に発動した『φonon (フォノン)』は、EP-4の佐藤薫がディレクターを務め、CDメディアを中心にエレクトロニクス/ノイズ/アンビエント──系のアルバム作品をリリースしている先鋭的レーベルだ。
令和元年のトップを飾るCDリリースの1枚は、φonon初の歌モノ作品。70歳を超えるというソプラノ女性歌手、Madam Anonimo (アノニモ夫人)の「il salone di Anonimo (サロン・アノニモ)」だ。その名は匿名であり無名、そもそも名前は不要であり、アノニモは仮の名でしかない。60年代よりアングラ劇団などで歌っていたという彼女だが、その歌声による作品は半世紀を経ながら本作が初となる。
アルバムは異形のカバー曲集となっており、東西の有名楽曲が14トラック収録されている。
φononではおなじみの楽士、森田潤が音楽プロデュースを担当。アノニモ本人による自録りに近いアカペラ音源を基に、モジュラー/電子自動演奏による一人集団即興を繰り広げ、アノニモの部屋を彩っている。シャンソン~カンツォーネ~オペラからアメリカン・ソングブック、そしてサイケロック~現代音楽から"革命的"軍歌まで、独自の解釈とパラフレーズが黒く輝いている。──アノニモ夫人とは何者なのか?
『心に沁みる歌は、必ず誰かの歌だ。(中略)これは誰だ?』(市田良彦)
『こんな音楽が今この時になってとつぜん登場したことには 何か絶対的な意味があるに違いない。』(佐々木敦)
ライナーノーツ・佐々木敦、市田良彦 ほか
ジャケットデザイン・内山園壬
※初回プレス限定ボーナスCD付
Madam Anonimo (アノニモ夫人)。名前が表すとおりの匿名女性アーティスト。いくつかの漏れ伝わる情報では、父親の趣味であったオペラのレコードに親しむ思春期から、学園紛争の渦中で美学/哲学/演劇などに耽溺し、独学ながら早くもアングラの舞台で歌を披露する機会に至る60年代をおくったという。そう。そして古稀を超え、この初の量子飛躍的CD作品に至った女性こそアノニモなのだ。また70年代には、親しくしていた阿部薫のミューズとして共演を乞われ、実現しているという。アノニモとは誰なのか? いや、何なのか? ──収録された歌声だけが、その名前の無用を語っている。歌い手としての作品は、おそらく最初で最後となる。
Madam Anonimo
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il salone di Anonimo
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il salone di Anonimo
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