タイムマシンにお願い! CITY POP編 | 音盤同盟 Vol.2

  • 日本のロック
  • ニュース

2021.11.25

  • LINE

  • メール

当時定価で買ったあの品や中古で安く買ったあの品が今はいいお値段に。タイムマシンがあったら過去に戻って買い占めたい!そんなCD/レコードなどを紹介していくこのコーナー!
----------
前回は現在に至るまでのシティポップブームの流れをざっくりと中古市場を中心に書きましたので今回は現在から未来(もちろん想像です)にかけての動向を追っていきたいと思います。

完全に市民権を得たシティポップは邦楽レコード市場の中心にあると言っても過言ではありません。各中古レコード店のキャプションにはシティポップの表記が目立ち始め、ディスクユニオンも含め様々なレコード店でシティポップの名を冠した廃盤セールが組まれるという現状があります。また国内外からリイシュー盤が続々発売され、軒並み売れ行きは上々という実感があります。リイシューされたタイトルの大半はオリジナル盤の価格が落ち着き、オークション等でも以前ほどの異常な高騰ぶりを見かけることも少なくなったというのが率直な印象です。これらのレコードがオリジナル盤の市場の流通量の多さに反比例し価格が落ち着くというのはもちろんですが、シティポップのレコードがコレクターズアイテムという要素よりリスニングベースでの需要が高いことも要因であると考えられます。オリジナル盤にこだわるレコードマーケットにはシティポップは属していないのだと思われます。つまりリイシュー盤が売れていて続々発売されるということだと思います。

昨年からは東洋化成による CITY POP on VINYLというイベントも開催されました。リイシュー盤や嬉しい初アナログ化、現行アーティストによるシティポップ作品などがレコードで同時に発売されるというすごいイベントです。今年はプラチナム900の「フリー(アットラスト)」の初アナログ化やシティポップ・クラシックのリイシュー盤、カバーの7インチ化などなど、なんと86タイトルが同時にリリースされました。

そして今後シティポップ市場はどうなっていくのか私なりに考えてみました。ブームの終焉については正直予想もつきません。むしろオーバーグラウンドになってからが長いという可能性もあります。まだまだアナログリイシューされていない作品も多数ありますので先に書いた通りそれらの発売とともに中古オリジナル盤の市場は落ち着いていくと考えられます。逆に今は安いがこれから高くなるかも・・・という作品も多数あります。曲単位での注目度、特にDJの方々の評判や昨今では海外での需要(ネット上での再生やサンプリングネタでの使用)などによって安価なシティポップレコードが突如レア盤に変貌した例が少なくありません。

そんなことも踏まえ、2作品ほどこれから高騰するのではないか!というレコードを予想してみたいと思います。1作品目は杉山清貴&オメガトライブの「アナザーサマー」です。カルロストシキ期のオメガトライブは既に高騰中ですがなぜか話題にならない杉山清貴期の名作です。これぞシティポップというジャケット、歌詞、サウンドで既に海外では多くのシティポップMixに取り上げられている楽曲が多数収録されており、年々展示してから売れるまでのスピードも早くなっています。2作目は笠井紀美子の「TOKYO SPECIAL」です。なんといってもECDもサンプリングした「バイブレイション」収録で、昔からなんでこの曲が入ってるのにこんな値段で買えるのかと不思議に思っていました。7インチは数が少ないこともありレアアイテムで再発もされましたが、LPはまだまだお買い求め安い価格帯です。

高くなって手が出せなくなった!という声もよく聞かれますがまだまだ安価で買える名作がたくさんあります。安く買ったレコードが高くなることで嫌な気がする人は少ないのではないでしょうか?もちろんレコードは株券ではありませんが、これもまた中古市場の一つの要素であることは間違いありません。そんなことも含めて楽しんでもらえばさらにレコードを買うのも売るのも楽しくなると思います。
(文:ディスクユニオン新宿日本のロック・インディーズ館 平中)

**********************************************************


松原みき『ポケットパーク』(C25A0077)
3年前は…買取額 700円
今では…買取額 4,000円

1979年の作品でありながら、2020年のSNS/バイラルチャートを席捲。シティポップ・リバイバルを不動のものにした『真夜中のドア』。ご自宅に眠っていませんか?


大橋純子『マジカル』(28PL79)
3年前は…買取額 1,000円
今では…買取額 50,000円

今夏新品でシングルカットされた名曲『A LOVE AFFAIR』収録。83年の激レア・ベストアルバムにして、シティポップ界随一のプライスを誇る一枚!


山下達郎『Big Wave(30th Anniversary Edition)』(WPJL10014)
3年前は…買取額 2,000円
今では…買取額 10,000円

2014年の高音質2枚組LP!発売当時このように価格高騰することを誰が予想できたでしょうか。達郎さんの新品レコードはほとんどが入手困難になっています。


岡本舞子『ファッシネイション』(SJX30303)
3年前は…買取額円 1,000円
今では…買取額 5,000円

久保田利伸が関わった『L.A. LOVER』や人気曲『ストレンジャーの夜』収録。80年代アイドルのアルバムがシティポップとして評価され、ある日価格が高騰していくのがこのシーンの素晴らしいところです!


オリジナル・サウンドトラック
『シティーハンター オリジナル・アニメーション・サウンドトラック』(283H285)

3年前は…買取額 1,000円
今では…買取額 6,000円

80年代アニメがシティポップの裾野を広げ、海外人気を牽引してきたといっても過言ではありません。他にも『きまぐれオレンジ☆ロード』やOVAの『バブルガム・クライシス』等価格高騰のアニメサントラ多数!

(選盤と文:ディスクユニオンお茶の水駅前店 岩﨑)

 

関連記事 レコード屋が和モノ・シティ・ポップを語る! #01 ~ 私の和モノ