《連載コラム》 Awesome City Club ユキエ の『惑星円盤探査録』Vol.2

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2020.03.12

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「惑星円盤探査録 Vol.2」

タキシード仮面がきらい。

わたしが記憶してる1番最初に抱いた異性へのきもちがこれでした。
タキシード仮面とは、アニメ・セーラームーンに登場するイケメン戦士なのですが、彼の"王子様キャラ"がどうも苦手で、出てくる度に心のなかでこのきもちが刻まれていきました。

当時5歳の女の子が何故にそんなきもちを抱くことになったのかは全くの謎であるわけですが、
これはタキシード仮面に限った話ではなく、
"王子様キャラ"は架空も実在ももれなく受け付けない始末。
お年頃になってもそれは全く変化なく、同級生のみんながキャーキャー言うアイドルや俳優の男の子たちにおなじお熱を上げることがどうにも出来ないでいたのです。

そんなわたしですが、高2の夏、ある人に1発でメロメロにされたんです。

ザック・デ・ラ・ロッチャ。
rage against the machineのvocal。

友達の家でフェス映像を見せてもらったのがキッカケだったのですが、考えてみればそれまで海外バンドのライブ映像などまともに観たことがなく、それだけでだいぶ衝撃。
その上最初に見たのがrageということで、もうホント、ものすごいカルチャーショックでした。

物凄い数の、何万人もいるであろう観客の興奮と高揚、そしてメンバーの演奏と熱量。
お互いが呼応しとてつもないエネルギーが渦巻いてるのが映像からびしびし伝わってくる。

そしてその中心で圧倒的存在を放つザック。
歌っていたのは"killing the name"。

アップで映された彼の、
歌ってるときの、あの眼。

あの眼を見てパッとわたしのアタマに浮かんだことばは「覚悟」の2文字。
強くて聡明な光をザックの眼は宿していて、
でもその姿は時折少し孤独にも見えて、

あぁこの人は闘ってるんだ、
歌いながら、なにかとてつもないモノと闘ってるんだ、

と、映像を見ながら圧倒的なカッコよさにすっかり心奪われノックアウトされてしまったんです。

彼を知ったあの時の驚きと感動は、わたしの音楽人生において大事なターニングポイントのひとつ
だったんだろうなぁと、今こうして我が身を振り返りおもうわけです。


rage against the machineは90年代のバンドシーンにおいて重要な存在であると同時に、
チェ・ゲバラなどの思想にインスパイアされた政治メッセージのある歌詞、無料反戦コンサートを行うなど様々なかたちで注目を集めてきたバンド。
2000年に活動休止してからは、数年おきに活動再開&休止。
活動再開のタイミングはアメリカ大統領選のときで、年初めに今年も活動再開が発表され世界中のファンは大興奮。


わたしの周りも「ヤバいよね」「もう絶対ライブ見に行く」と色めきだっています。


そうだ、そうだ。
わたしrageが好きなあまり教室でスピーチしたことあるんですよ。
高3の社会の授業で「5分スピーチ」なるものを先生が考案。
これは授業の始まりに毎回クラスの1人が教壇に立ち、自分の気になった社会に関するニュースを取り上げ、それに対する自分の感想を述べるというもの。
ここでわたしがスピーチの題材に選んだのがrage。
わたしらしいスピーチがしたいという目立ちたい精神と、あまり洋楽バンドに興味のない人にもrageのことを知って欲しいというおせっかい精神を燃え上がらせ、熱弁をふるいました。

他のみんなは(わたし以外全員)新聞のニュース記事を切り抜いて紹介するなかこんなスピーチをするものだから、先生はちょっと困った感じで感想を述べて授業へと移っていきました。

この数日後、わたしがスピーチした日に風邪で休んでいたクラスメイトから
「ゆきえちゃんの5分スピーチがすごかったってみんなから聞いたよ」
との報告が。

これが称賛だったのか揶揄だったのか、、、
真相は闇のなかですが、兎に角みんなにインパクトは与えられたらしい、のでした。


今回取り上げた『Rage Against the Machine』
はタイトルでなんとなくご想像のつく通り、rageの1st ALBUMです。
インパクトあるジャケットは、1963年南ベトナム初代大統領の独裁政権・仏教徒差別に抗議するためアメリカ大使館前で焼身自殺した僧侶、ティック・クアン・ドック氏の姿。

その ALBUM収録曲である「killing the name」。
日本では「タモリ倶楽部」の空耳アワードの影響で愉快な曲的立ち位置にありますが
(ナゲット割って父ちゃん!)、
歌詞の内容は"ロサンゼルス暴動"にインスパイアされたものと言われています。
1992年、LA市警の白人警官20人が黒人男性を暴行し無罪判決となったことに多くの黒人が暴徒化。ロサンゼルスを中心に暴動へ発展した事件です。

歌詞のなかでザックは

"警官バッチを付けた選ばれし白人の殺しは正義になる"

"お前は権力者の言いなりだ"

"俺はヤツらの言いなりにはならい"

と思いの丈をつづっています。

因みにタイトルにもなってる"killing the name"ということばは不完全な文らしいです。
nameの後にことばがきて、初めて文として完成するのだとか。

真意は定かではないですが、その人それぞれのことばで・意思で、完成させることに意味がある。
"お前の正義はお前自身で決めろ"
という、ザックからわたしたち一人一人への投げかけなんじゃないかと考えたりします。


rageの活動のピークは90年代だったのにも関わらず今も世界の音楽ファンからアツい眼差しを向けられてるのは、楽曲の一つ一つ・活動の一つ一つに彼らの魂が吹き込まれていて、その魂が今も吹きこぼれんばかりに煮えたぎり、再生ボタンを押すたびにわたしたちの心を揺さぶってくれるからに他ならないのだと思うのです。

ものすごい個人的なことをおはなししてしまうと、歌で政治や社会を語ることはわたしはあまりすきな方ではないんです。
音楽がもっと個人の所有物であってほしいから。

だけど、rageの、ザックの、あのライブのカッコよさを見ると、彼らの思いがどれだけ強く強く強い思いなのかが伝わってきて、
だから、もうそれだけで良いやっておもえてしまうんです。


あー、今年のフジロックくるのでしょうかねぇ。
見たいなぁ。


誰か連れてっておくれ!!!!!!


<前回の『惑星円盤探査録』はこちら>
惑星円盤探査録 Vol.1

<著者プロフィール>
ユキエ
Awesome City Club  Dr担当
幼少時から空手を習っており、2016年7月のNHK「シブヤノオト」出演時や「アウトサイダー」「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」のMVでも型を披露している。
小学生の頃から椎名林檎の大ファン。


Awesome City Club
atagi (Vocal/Guitar)
PORIN (Vocal/Synthesizer)
モリシー (Guitar/Synthesizer)
ユキエ (Drums) 


2013年東京にて結成。POPS/ロック/ソウル/R&B/ダンスミュージック等、メンバー自身の幅広いルーツをMIXした音楽性を持つ、男女ツインヴォーカルの混成男女4人組。
2015年4月8日にファーストアルバム「Awesome City Tracks」をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼び、デビューから“Awesome City Tracks”シリーズと題して、2年間で4枚のアルバムをリリース後、ベストアルバム~EP~フルアルバムをリリース。
毎年コンスタントに全国ツアーも行いながら、国内外の大型フェスティバルにも多数出演。
Awesome City Club以外でのメンバー個々の活動も盛んで、数々の楽曲提供やLIVEツアーへの参加、またクリエイターやファッションブランドとの親和性も高くコラボレーション等も積極的に行っており、メンバー4人が様々なフィールドでバンド・個人共としてカルチャー的にもメインストリームでも注目を集める存在となっている。
メジャーデビュー5周年となる2020年には更なる飛躍を目指し、レーベルを「avex/cutting edge」に移籍。年明けから3ヵ月連続配信シングル&アルバムをリリース予定。
更に2020年は「Welcome to Awesome City」と銘打った一大カルチャーフェス開催を目標に掲げている。
https://www.awesomecityclub.com/

<配信情報>
2020.01.15 Digital Release
『アンビバレンス』
https://lnk.to/ACC-ambivalence


2020.02.12 Digital Release
『ブルージー』
https://lnk.to/ACC_bluesy

 



 

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