2012.12.18
5年に1作、10年に1作と言われる割礼の最新リリースは89年にビクターインビテーションからリリースされた「ネイルフラン」、翌90年の 「ゆれつづける」の2タイトルのリイシュー盤である。ニューウェーヴの終わりの季節に制作されたこの2作は、自主制作でのリリースだった前作 「PARADAISE・K」からうって変わり早川岳晴によるチェロやウッドベース等の弦楽器によるドローンなアレンジなどをちりばめたプログレッシヴロッ ク的な方向性で作られており、またこの時点ですでに結成から6年の歳月が経っている。もちろんこの進化の仕方は当時の世のメインストリーム音楽の流れとは 全く無縁であり、この時点ですでにどの時代にも属さないオリジナルなスタンスを獲得していたと言える。
今回宍戸自身のアイデアで現在のメンバーによるライブテイクの収録が実現しているが、更にスロウに、ヘヴィにそして時に荒れ狂う2本のフィードバッ クギターノイズは完全にリスナーの体内時計を狂わせ、オリジナルの発売時も現在も「何も変わっていない」事を ただただ刻み付けている。諸作の特徴を挙げるならば89年の「ネイルフラン」はパンク/ニューウェーヴの喧騒に耳を塞いだかのような「間」と静寂とスロウ ビート、そしてアコースティックな響きも垣間見る美しいアルバム、90年の「ゆれつづける」は前作「ネイルフラン」でシンセサイザーで客演していた山際秀 樹がギタリストとして正式にクレジットされており、ミドル/スロウテンポながらも尖ったリズムカッティングが印象的な2本のギターのグルーヴを生かした4 人編成の割礼流サイケロックナンバーを聴くことができる。
<仕様>
現在のメンバーによる「ネイルフラン」「ゆれつづける」収録曲のライブ演奏(あるいはスタジオセッション)をボーナストラックとして追加収録、PEACE MUSIC中村宗一郎によるマスタリング、紙ジャケット仕様。
ライナーノーツは「ネイルフラン」をロッキングオンの井上貴子、「ゆれつづける」を松山晋也が執筆。
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