《連載コラム》 幸枝の『惑星円盤探査録』Vol.31

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2022.11.17

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「惑星円盤探査録 Vol.31」

globe
『Is this love』




先日シングルをリリースした。
「きらきらひかる」というタイトルのこの曲は、わたし初めての恋愛曲。
元ネタは江國香織さんの同名小説。新婚夫婦の笑子と睦月、それぞれの視点から交互につづられる小説になぞらえ、

歌詞も1コーラスごとに主人公を変えてえがいている。
この小説にはじめて出逢ったのは14歳のとき。
アル中の笑子と同性愛者で他に恋人もいる睦月が愛情だけで日々をつむぐプラトニックな生活。

互いの両親さえその事実を知らぬままの結婚ではあったけど、2人の愛はとてもまっすぐ。


人を好きになるってこんなに自由でいいんだなとおもった。
実際にこんな2人がいたらかなり難儀なことだろうし、小説のなかでも大変なことばかり起こる。

周りには理解できルはずもなく、互いの両親に告白したときも大混乱となった。
だけど、どんな最中にいても笑子と睦月はお互いを愛している。
自分のためじゃなくて相手のために、しあわせになれるようにと四苦八苦する。
そのほとんどが空回りで、結果お互いを傷つけてしまうこともしょっちゅうなのだけど。
バカみたいに愛に愚直な2人の関係がわたしにはうつくしく眩しく、そして羨ましい。
定期的に読み返して現在に至る。
1991年に発行された小説はいつ読んでも古さを感じず、むしろ「今っぽさ」を増していくようにおもう。

「ごく普通の恋愛小説を書こうとおもった」とコメントしていた江國さん。
当時は「えーウソだぁ」といぶかしげなわたしだったけど、どうやらこれは「普通の恋愛小説」のようだ。

そうじゃなきゃ、こんなにいつまでも読み続けられないよな。


愛についての歌、を思い出そうとすると、わたしは真っ先にglobeがあたまに浮かぶ。
これは完全なわたしの独断だけど、

小室さんが1番じぶんのきもちを歌詞にしているのはglobeなんじゃないかとおもってる。
普通に社会のなかで生きれてる、恋人も友人もいる、それなりにハメ外して遊んで”いい感じ”に毎日を過ごしてる。
だけどまとわりつく孤独がなくなることはない。
表層で見るその人と、心の内側にあるおもい。そのふたつがかけ離れてることなんて、大人には結構あること。
日本を動かす超ヒットメーカーだった小室さんも、そうゆうイコールにならない表層と内包があったんじゃないかと、globeを聴くたびにわたしは思いを馳せてしまう。
Is this loveの歌詞は、小室さんのやさしさとさみしさが、特に素直に描かれているようにおもう。


「みんなつらいはずだけど 見えない素顔どこで見せるの」


「キュンとなったあの頃は 誰も気にせず裸になってた
今は肌を見せたって世界は驚かない
刺激に慣れすぎてから随分たってる」


「やさしさだけじゃ生きてゆけない
でもやさしい人が好きなの
夢を叶えることは素敵で
でもどこか物足りなくなってゆく」


現実から目を逸らしてるわけじゃない。
でも、現実を知れば知るほどに自分のなかでなにかが音を立てて壊れていく。


大人になればなるほどに生きることはややこしくなるけれど、

せめて”愛すること”くらいはシンプルでピュアでありたいとわたしは願う。
そしてその感情を忘れかけると手が伸びるのが小説「きらきらひかる」とglobeの「Is this love」なのだ。


あなたは愛にまっすぐになりたいとき、どんなものに手を伸ばすのであろうか。




≪前回までの"惑星円盤探査録"はこちら≫
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著者プロフィール

楓 幸枝
バンド活動を経て、現在はドラマー、作詞家、文筆業、MCなど活動の幅を広げている。
ミステリーハンターとしてフィンランドを取材するのが密かな夢。

Instagram
楓 幸枝(@yukie_kaede)

1st Single「ナンバ・ムッタ」配信release
friendship.lnk.to/NanbaMutta