新作はなんとインディー英DOMEから。STEVIEマナーのハイテナーに磨きをかけての充実作。藍く囀る哀愁のハイ・テナー・シンガー期待の新録はなんとインディー・リリース。97年『RAHSAAN PATTERSON』で衝撃のデビュー、MAXELL、ERIKAH BADU等と共に“ニュー・クラシック・ソウル”の旗手としてメインストリーム・シーンを大いに盛り上げ、99年2NDアルバム『LOVE IN STEREO』ではスティーヴィー、カーティス、ダニー等70年代ニュー・ソウルへの憧憬をあからさまに剥き出しにしつつ恐るべきオリジナリティを醸し出して見せたのはR&Bファンの記憶に新しいところ。楽曲のすべて、プロダクションのすべてをコントロールしたいという欲求からか、古巣のメジャーMCAを離れ、N.Y.で録音、MIXしたアルバムを英DOMEレーベルからリリースする運びとなった今作、栗の花の香り漂う少年ヴォイスに世間の裏を覗き見たしたたかな色香を纏わせ、ガラス細工の様に繊細なR&B世界を構築して見せるのはさすが。アルバム後半ではダンス・クラシックス的80年代フレイヴァーも取り込んだ新機軸も見せ、若きジニアス振りを発揮。同年デビュー組MYRONもそうでしたが、若き才能のメジャー離れが進む昨今、インディーとかメジャーの括りはもはや無意味なのかも知れません。
