コンラッド・ハーウィグは滑らかでゆるぎないテクニックをもったスリリングな演奏が魅力だが、名門ビッグバンドを渡り歩いてきただけあり、アレンジャー、作曲家としての腕も一流だ。本作品でも、3管編成のコンボから多彩で奥行きのある豊かな響きを引き出すことに成功している。冒頭の「木の葉の歌の子守唄」での長尺ソロリレーがいきなり熱い!テーマから雪崩れ込むハーウィグのソロから、切れ味鋭く斬り込むサックス、ブッカー・リトルを思わす脳天を突き抜けるようなヘイガンのトランペット、全てが最高だ。2曲目は緻密なブラス・アンサンブルが柔らかく包む安らかな曲調のオリジナル。6曲目エリントンナンバー「Gypsy Without A Song」はキコスキのラテン風味たっぷりのソロが絶品。柔らかく広がり、力強く打ち鳴らされる和音を巧みに生かしながら、ゆったりと歌うピアノに思わず聴き惚れてしまう。豪快さと繊細さを併せ持つ名盤だ。
■Conrad Herwig(tb), Tim Hagans(tp), Ben Schachter(ts), David Kikoski(p), James Genus(b), Jeff 'Tain' Watts(ds)
