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フェル(フェルナンド)・イセージャ。プロデューサー、作曲家、ピアニストなどとして活躍するアルゼンチンの知られざる鬼才である。
アルゼンチン・ソニーのプロデューサーとして活躍した後、ボストンのバークレー音楽院へ留学。作曲家としてクレア・フィッシャー賞を受けるなど、その非凡かつユニークな才能に磨きをかける。その後ニューヨークでのバンドとして活動した後、2005年にホームタウン、ブエノス・アイレスへ帰郷。レーベルやフェスティバルのクリエイティブ・ディレクターや顧問として活動しながらも自らの音楽活動を平行して行ってきた。本作のゲストである音響派のカリスマ、モノ・フォンタナなどもそうであるが、引き出しを多く持ったアーティストこそ10年に1枚リリースする作品というのは凄まじい個性が集約されている。本作もフェルも久々のセカンド作。そこにはやはり、ユニークかつオリジナリティの塊のような音楽性が凝縮。
Go to Sleep
「カーニバルの香り」と題されたペテーコ・カラバハル冒頭曲のフォルクローレとエレクトロニカ、音響派以降の奥行きを感じさせるドラミング、そして手拍子といった原始的な音を駆使した分厚い音のカーテンは、まるでP.I.LやNEU!のような狂気を包含している。ノイジーな電子音がマイルス・デイヴィスの「On The Corner」のようなカオスと暴れ狂うフランク・ザッパ作#3、一転、静かな不協和音から穏やかな生ピアノとSEがクラシカルな雰囲気を醸成する#4、そして本作最大のハイライト・トラックともいえるレディオヘッドのカバー#6で、2000年代以降の空気をたっぷりと吸収し吐き出したかのような轟音に包まれる。快適、気持ちイイ、そんな安易な音楽とは一線を画すフリー・ジャズのようなエネルギーを感じられる。鬼才モノ・フォンタナが参加し、サイケデリックな空間を創出していく#7などは近年のスピネッタ好きには堪らない浮遊感と狂気が混在した世界が表現されている。
静から動、死から生へ。錯綜する人間のメンタリティをダイナミックに一つの音楽として描いてみせたような、どぎつくも底知れぬ愛に溢れた一枚。2010年代の音楽シーンに間違いなく一つの指標を示すであろう問題作にして大傑作の完成である。
FER ISELLA