オーガニック・アコースティック・サウンドとしても既に充分に素晴らしいが、彼等の独自の色というか挑戦を感じられる箇所が随所にある。M-5は街の雑踏音、詩の朗読が印象深く、M-7はアルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ界隈では比較的珍しい、スペイシーなサンプリング、ボコーダーを通した声などが効いており、アコースティック・サウンドに有機的に繋がってくる。M-6では風雅なワルツを聴かせ、M-10は唯一のカバー曲で、惜しまれつつ亡くなったスピネッタの"Maribel se durmio"を取りあげている。ゲストには、彼らにとって師でもあり、アルゼンチンの声と評されるセシリア・サバラ(M-2)、ラ・ボンバ・デ・ティエンポをはじめ広く活動するパーカッションのディエゴ・サンチェス、リーダー作でもファンを獲得したピアニスト・フェデリコ・アレセイゴール、アカ・セカ・トリオやリリアナ・エレーロのパーカッションで知られるマリアーノ・”ティキ”・カンテイロ(M-6&7)と、こちらも充実。