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レーベル
SHIKIORI Recordings
国(Country)
JPN
フォーマット
CD
規格番号
SKOR1001
通販番号
XAT-1245720056
発売日
2014年03月20日
EAN
4571381530203
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商品詳細情報

「SHIKIORI Recordings」第一弾となる作品は、南アフリカの若きピアニスト、カイル・シェパードによるピアノ・ソロ録音作品。
"follow the light in the stillness of night to the depth of you it shows the way and delivers you safely back to the day"
Kyle Shepherd

虫の声、ゆりかごに揺られているような心地良いグルーヴ、降って来る音をひろい集めるよう に広がっていく瑞々しいフレーズ。アブドゥーラ・イブラヒムの"アフリカン・ピアノ"の継 承者と評される、南アフリカが生んだ1987年生まれの若きピアニスト、カイル・シェパード。

"タウンシップ"(township)。南アフリカでアパルトヘイトという人種隔離政策によって作り 出された、旧黒人居住区の総称。ヒュー・マセケラ(flh)、ミリアム・マケバ(vo)、カヤ・マハ ラング(sax)などが中心となり、アパルトヘイトに対する反発、抑圧の中から力強い音楽が生 み出された。タウンシップの音楽には南アフリカの人々の持つ力強さと哀しみが満ちている。


1994年にアパルトヘイトが完全撤廃され、リアルタイムにアパルトヘイトを体験していない世 代のリビングルームには、MTVを通じて欧米の文化が流れ込み、グローバル化という言葉と共 にタウンシップの音楽、南アフリカの伝統文化はどんどんと薄れていっている。僕自身、2008 年~ 2009年春までケープタウンを拠点に活動していた。日本人はアパルトヘイト時代、「名誉 白人」という人種にカテゴライズされ、当時、お金をもたらす黄色人種は白人と同じ扱いを受 けていた。この白人でも黒人でもないという曖昧な位置づけは、他の国での生活に比べ、自分 が異国人であるという感覚をいっそう強くさせた。ケープタウンで演奏活動を続ける中、自分 の求める音楽には出逢えなかった。本物の南アフリカの音楽はタウンシップの柵の中に閉ざさ れていた。


2009年に南アフリカから帰国後、南アフリカの友人から「A Portrait of Home」というCDが送られて来た。けっして録音が良いとは云えないこのライブ・アルバムには、最近の音楽シー ンが失いつつある、誠実さと力強さが込もっていた。これがカイル・シェパードの音楽との出 逢いだった。録音当時、若干22歳。以前ケープタウンのサックス奏者、バディ・ウェルスをはじ め友人のミュージシャンたちから、西欧的な音楽教育に反発してケープタウンの音楽大学をド ロップアウトした凄いピアニストが居るという話を聞いた事あった。このCDをきっかけにカ イルとメールで連絡を取り合うようになり、2011年2月、日本からSOWETO(ヨハネスブルグ 郊外にある南アフリカ最大級のタウンシップ)に楽器を届ける「NAWASHIRO PROJECT」の ために南アフリカへ戻った際に、カイルとケープタウンのカフェでコーヒーを片手に話をした。 端正な顔立ち、迷いの無いまっすぐな目が印象的だった。


九州の山里に130年以上の時を経た、SHIKIORIという名前の日本家屋がある。田んぼに囲まれ、 朝は鳥の声、夜は虫の声が心地良く響く。「芸術家になるよりも、生活自体が芸術になる方が良 い」この言葉との出会いがきっかけで南アフリカから帰国して以来、この「想いが帰る庵」が 僕自身の活動拠点になっている。コンサートの際にはこの家の土間を舞台に世界各国の一流の ミュージシャンたちが演奏を繰り広げる。聴衆は土間の縁側に腰掛けたり、畳に座ったりと、 それぞれリラックスした雰囲気の中で音楽を味わう。


2011年12月にカイル・シェパードの初来日が実現し、古民家SHIKIORIにてトリオでコンサー ト行った。日本に着いて2時間後、カイルがSHIKIORIのピアノに触れた瞬間、「いつかここでレ コーディングしたい」という一言を言った瞬間の光景を鮮明に覚えている。その後もトリオの メンバーとして一緒に演奏するようになり、共演者としては一生涯忘れられないような芸術体験を毎回のコンサートで味わった。 「自分のエゴが洗い流される」あえて言葉にするならカイル・シェパードと共演するという体験はこの言葉以外では説明できない。2012年、約3日間の予定でレコーディングを行った際、初 日は激しい雨が降り、レコーディングは中断、ミキシングコンソールの前でてるてる坊主を作 り、神棚の神様たちにお酒を備えて雨がやむのを祈った。翌朝3時、雨があがりレコーディング 再開、ピアノ椅子から離れる事無く、ノンストップのインプロヴィゼーションが深夜の古民家 で繰り広げられ、朝日が昇る頃にはレコーディングが終了した。古民家という昔ながらの空間 で自然と向き合いながらのレコーディング、空調の完備されたレコーディング・スタジオがあ るこの時代に非効率的に感じるかもしれないが、不思議とストレスを感じない。今、存在して いるのは自分だけではないという感覚の中で音楽に向き合える。


カイルと同世代のピアニストにはアルメニア出身のティグラン・ハマシアン、イスラエル出身 のシャイ・マエストロなどジャズの伝統を継承しながらも、それぞれのアイデンティティに根 ざした新鮮な音楽を生み出している演奏家が多い。 グローバル化と情報伝達のスピードが猛烈な勢いで成長したあとに生まれた、ピュアな伝統へ の回帰が起こっているように思う。ファストフードのような消費的な音楽が溢れ、いくら聴い ても、いくら食べても満たされる事がない。そんな閉塞感の漂うこの時代に神様が送ってくれ た「ギフト」のようなピアニスト。新星カイル・シェパードが南アフリカの伝統を継承し、紡い だソロ・ピアノによる至極のインプロヴィゼーション。同じ時代に生き、この音楽を共有でき る喜びをかみしめたい。
松永誠剛(SHIKIORI Recordings)

I recorded this in Miyawaka, a small farming town in a mountainous region just outside of Fukuoka city, Japan. The session started in the dead of night and if you listen closely you'll hear the sound of insects and other night life. We chose not to edit out and omit those sounds from the recording, as it is as naturally musical a sound as any non musical thing could be, or so called "non-musical"...I prefer to think of it as Natures symphony, the night song composed in the peacefulness of darkness. I sincerely wish this album to offer a little bit of stillness and repose for a world in turmoil. Thank you to my family and my close circle. A special thank you to Seigo Matsunaga and Theo Lawrence. To the creator, thank you for the gift of life. Salaam, peace on earth to everyone!
Kyle Shepherd
(新譜案内より)

ソングリスト

  • 1.Ebhofolo 7:40
  • 2.Kalk Bay 5:38
  • 3.Belhar/Repetition and Reflection 7:54
  • 4.Into Darkness 7:32
  • 5.Xariep 3:52
  • 6.There's a Sadness in us All 6:01
  • 7.Salaam(Peace on Earth) 5:25
  • 8.Song for South Africa 6:59
  • 9.Multi-tonal Excursions 5:22
  • 10.Goodbye Timer 5:26
  • 11.Silent Tongues Rise-up 1:39
  • 12.The Kione 7:24