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エドゥアルド・グヂン、ヘナート・ブラス参加!!
相澤貴子は、例えば小野リサのように華々しい音楽的キャリアがあるわけでもない、言ってしまえば日本に暮らすごく普通の主婦だ。しかし、子育ての傍らボサノヴァの演奏を始めた彼女は、漠然とではあるが、「アルバム制作をしたい」と思ったのだという。彼女はその想いを日本国内でも指折りのブラジル音楽通であるWillie Whopper氏に伝えた。そして彼に背中を押されたことで、彼女の人生初のブラジル渡航、そして現地での録音が決まった。帯文で坂尾英矩氏が書いているように、現地のブラジル人は「家庭の主婦が自分好きな音楽の国へ行ってレコード制作なんて日本人だけだ」と驚いたようだ。しかし、ブラジルの一流ミュージシャンたちは彼女の望みに応え、日本から来たアマチュアシンガーの録音に参加した(ブラジルではリオデジャネイロ、サンパウロで録音されたという)。この懐の深さ、フットワークの軽さはブラジルならではだろう。
「日本人の歌うブラジル音楽のアルバム」と聞くと、どうしてもボサノヴァのスタンダードのカバーのみを収録したような、言ってしまえば陳腐なアルバムを想像してしまうかもしれないが、本作においてボサノヴァはあくまで一要素に過ぎない。ボサノヴァ風のリズムで歌われるシコ・ブアルキの「Mambembe(旅芸人)」や、ボサノヴァのスタンダードであるジョビンの「Samba do Avião(飛行機のサンバ)」のような曲だけでなく、カエターノ・ヴェローゾ、ジャヴァン、ミルトン・ナシメントといったMPBを代表するアーティストたちの楽曲のカバーも収録されている。特にアドニラン・バルボーザの「Tiro ao Álvaro(射的)」、エドゥアルド・グヂンの「Paulista(パウリスタ)」などといったサンパウロを代表するサンビスタたちの名曲を収録している点は注目だ。特に「Paulista」ではグヂンがボーカルとギターで参加しており、彼の滋味深い歌声を聴くことができる。ジャヴァンのカバーである「Lambada de serpente(蛇のランバーダ~失意にのまれて~)」では、なんと同じくサンパウロ代表するシンガーソングライターであるヘナート・ブラスがギター、ボーカル、トライアングル、ボンボで参加している。日本とも何かと縁の深いサンパウロのアーティストたちの参加に心惹かれる人も多いのではないだろうか。そして何よりも、サウダーヂ感溢れるヘナート・ブラスの歌声と、感情を過度に露わにしすぎない(ある意味日本的な)相澤貴子の抑制的なボーカルのコントラストは耳を惹くものがある。本作はCDのみでのリリースとなっており、今のところ各種サブスクでの配信はないようだ。日本人アマチュアシンガーとブラジルの一流ミュージシャンたちの奇跡的な共演をお見逃しなく。
TAKAKO AIZAWA / 相澤貴子