【21世紀の「クルビ・ダ・エスキーナ」】Alexandre Andrésへのインタビュー

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  • 2013.08.23

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    Alexandre Andrésへのインタビュー
     

    このインタビューは、Alexandre Andrésと彼の音楽についての興味、そして素朴な疑問を本人にぶつけ、その返答をもとに作成したものである。彼自身や共作者のプロフィール、創作へのこだわりといった基本的な事柄はもちろん、誠実かつ知的、そして少しお茶目な22歳の青年である彼の人間的な魅力も少しではあるが引き出すことができたと思っている。
    このテクストを読んでいただくことで、今も進化し続けている南米音楽が日本でより理解され、Alexandre Andrésを中心とした彼らの音楽にますますの注目が集まることになれば幸いである。

    Diskunion ラテンブラジル部門一同

     


     


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    Q. まずはあなた自身について教えてください。

     

    A. 1990年3月18日ベロ・オリゾンチ(B.H.)生まれ。母Regina Amaralはピアニスト、父Artur Andrésはフルート奏者で、二人ともミナス・ジェライス連邦大学(UMFG)の教師です。小さい頃から親のデュオを聴き、音楽に囲まれて育ちました。父は1978年からUaktiのメンバーとして活躍しているので幼いころからライブをよく見にいっていましたね。Uaktiには一番影響を受けていると思います。

    親からとても影響を受けた上で、8歳からB.H.にある子供の音楽学校に通い初めたことがとても重要でした。リコーダーとギターからはじめて、10歳からフルートを習いはじめました。15歳から作曲、そのあと歌についても教育を受けました。2008年にUMFGのフルート専攻に入学し2011年に卒業、2012年同じUFMGの大学院に入学。2014年に卒業する予定です。

     


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    Q. あなたの1stアルバム『Agualuz』そして今回の『Macaxeira Fields』は、ともに全ての歌詞をBernardo Maranhãoが担当しています。André Mehmariの『Canteiro』日本盤の対訳を読み、彼の素晴らしい歌詞については以前より感銘を受けていました。彼についても教えていただけますか?

     
     
    A. 作曲をはじめた時、歌詞をつけたくなりましたが、自分は詩など書けないから優れた詩を書くことのできるパートナーを探していました。Bernardo Maranhãoには2006年に出会いました。彼は古くからの家族の友人で、家に遊びに来た際、彼の新作である『Rejunte』という詩の本を貰いました。その本の中の一つの詩は母に捧げられたものでした。私はその優しい気持ちと詩の繊細さに癒されて、後に『Agualuz』に録音されることになる「Heroi」という曲を彼に捧げました。翌日、彼が素晴らしい歌詞を届けに来てくれました。それから25曲以上を共作して、とても良い成果を得ています。基本的には私が作ったメロディーに彼が詩をつけますが、ときどき彼の詩に私がメロディーを作ることもありますね。これからも二人で共作していきます。

    私にとってBernardo Maranhãoはブラジルの誇る現代最高の詩人であり天才だと思います。彼はとても繊細な感性を持っていて、Guimarães Rosaのような素晴らしい作家や、日本の文化にも大きく影響を受けています。現在Bernardoは私以外にも、André MehmariKristoff Silvaと共に曲を作っています。

     
     

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    Q. あなたの『Macaxeira Fields』を初めて聴いた時「これはまさに21世紀のクルビ・ダ・エスキーナだ」と感じました。高度な音楽性と実験性を内包しながらも、各音楽家の個性が活き活きとするような、とても自然なアレンジが施されていたからです。そして何よりアルバム全体を通してとてもポジティブな雰囲気に満ち溢れているところが素晴らしいですね。ライナーノーツで語っている通りプロデューサーであるAndré Mehmariも、自身のベスト・ワークの一つと考えているようです。この作品について教えてください。

     

    A. André Mehmariとは2008年にUMFGのフルート専攻に入学し、彼のマスタークラスを受けたのが出会いです。またそれ以前にも父がMehmariに私が初期に録音したデモ音源を渡していました。マスタークラスの完了後、Mehmariが凄く褒めてくれました。彼は私の曲を気に入ってくれていたようで、もしいつかCDを録音するんだったら参加したいとまで言われました。そうして私の1STアルバム『Agualuz』の4曲にMehmariが参加してくれました。私にとってはプレゼントのように嬉しい出来事でしたね! Mehmariは才人であり、ブラジルそして世界の最重要アーティストだと思います。他にあんな才能を持った人は見たことありません。世界にその才能が認められ有名になったにも関わらず、とても寛大で謙虚な姿に私はいつも感銘を受けます。
     

    Macaxeira Fields』については、実は2011年の時点で私とBernardoは新しいレパートリーとアルバムのイメージがほとんど出来ていて、あと少しの細かい部分を詰めていきたいと考えていました。そして尊敬するアーティストや友人達にたくさん参加してほしいと考えていました。今まで声とギターで演奏していた曲に、一人一人の個性が加わりプラスのエネルギーが加わることで、このプロジェクトが成功し、聴く人を良い気分にするパワーを持ってほしかったのです。

    ミュージシャン達を指揮するプロデューサーのポストはAndré Mehmariにお願いしました。私達と彼は以前から共演暦もあり、Mehmariに私の音楽が好きと言われたこともあり、この小さなオーケストラには彼が最適と思いました。そしてB.H.のとある会社がスポンサーになることも決まり、このプロジェクトが実現しました。

    2011年末に参加してほしいアーティスト達に連絡などをして話し合いを行い、録音は2012年の1月から3月に行いました。プロデュース&アレンジでMehmari、同じくアレンジでRafael Martini、Felipe José、父Artur Andrés、そして自分も数曲でアレンジしています。25人以上のミュージシャンが参加し、Mônica SalmasoTatiana ParraJuan QuinteroUaktiなどもゲスト参加しています。

    そうしてアルバムはB.H.で2012年10月に発売されました。発売記念に行ったライブには14人のミュージシャンに参加してもらいました。
     



    Macaxeira Fieldsの制作風景



    2ndアルバムMacaxeira FieldsからAla Petalo
     


     

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    Q. あなたの音楽制作の秘訣を教えてください。作曲や録音へのこだわり、環境、そして影響を受けた音楽家など。また本作は色彩的な魅力も感じますが、色については意識していますか?

     

    A. 色の事は特に意識していないけどグリーンはとても好きな色です。『Macaxeira Fields』は色で言えばブルーですね。ブラジル盤ジャケットは青だし、1曲目は「Um Som Azul(青色の音)」だしね。サウンドについては音のクオリティ、そして演奏の息が合うことを大切に考えています。そのためにもたくさん練習しますね。作曲時の一番のお気に入りはB.H.から100km離れた大農場とそこでの生活です。あそこで「Ala Pétalo」のビデオクリップを作りましたし、日本盤のジャケットにもその風景写真を使用してもらいました。今その大農場にレコーディング・スタジオを造っていて、もう少しで完成する予定です。完成したら音楽制作も録音もできるから大農場にもっと長くいることができますね。
    影響を受けたアーティストは
    Philip Glass, Uakti, Beatles, Paul Mccartney, André Mehmari, Mônica Salmaso, Milton Nascimento, Lô Borges, Clube da Esquina, Antônio Carlos, Maria Helena Andrés, Bernardo Maranhão, Rafael Martini, Joana Queiroz, Antonio Loureiroなどです。

     
     

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    Q. あなた自身について教えてください。音楽以外で好きなこと、場所、そして好きなサッカーチームについて!

     

    A. 動物が大好き。大農場にもっと居たかったですね。牛、馬、鶏、犬などを飼っています。映画見るのも好きですね。自然とサントラに興味を持つけど、それはまた音楽になっちゃうね、ははは(笑)

    広場や公園が好きです。B.H.は大きくなりました。昔は遠くに山が見えていたのに最近では大きいビルのせいで山と夕日が見えなくなってしまいました。町から離れた住宅地Retiro das pedrasがお気に入りですね。あそこはとても涼しくて、たくさんの木と綺麗な家があり一番美しい景色が見えます。祖母はあそこに住んでいるのでよく遊びに行きます。

    サッカーもとても好きです。スタジアムに見に行ったりTVで観たりしますね。私が応援しているのはミナスが誇るブラジルのビッグ・チーム、アトレチコ・ミネイロ!最近とても調子が良いです!今はロナウジーニョも在籍しているから、私もとてもテンションが高くなっています。

    ※(最近リベルタドーレス杯という大きな大会で優勝しました。これにはアレシャンドリ本人をはじめミナスのミュージシャンはきっと大喜びでしょう。)


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    Q. 日本に対してどのような印象をお持ちでしょうか?我々日本人へメッセージなどあれば、是非お願い致します。

     

    A. 日本はとても特別な国だと思います。千年を超える歴史を持つ国。自然など繊細な部分をみる美しい習慣を持つ人々。そして日本人は自分の国の文化、そして我々ブラジルのような他国の文化にも積極的に価値を見出します。

    私もBernardoも日本と日本人の持つ繊細さに感銘を受けています。凄く日本へ行きたいと思います。ライブもしたいです。いつか、いや何回でもそういった機会が訪れることを願っています!

     

     

    翻訳           林 アンナ      ( 新宿本館ラテンブラジル・フロア )
    テクスト      江利川 侑介        ( 渋谷ジャズ・レアグルーヴ館 )
    協力           NRT                                                       

                                                                                                                                                                                                                                 
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