【JOURNAL】 Interview with Leonardo Marques

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  • 2018.12.19

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    レオナルド・マルケス - アーリーバード
    THINK! / CD / 2,160円 / 12月19日発売

    エバーグリーンなメロディとヴィンテージ機材のドリーミーな音色が織り成す、まどろみのような「ヒーリング・ポップ」。 ジョン・レノン、エリオット・スミス、マック・デマルコ、そしてジョビンに影響を受ける、宅録世代のブラジリアン・シンガー・ソングライター、レオナルド・マルケスの3rdアルバム。

    待ち焦がれた3rd! 楽曲の良さ、演奏の良さもさることながら、全曲通して堪能できる丁寧にディレイ処理されたボーカルにうっとりしてしまう。特に 「アイヴ・ビーン・ウェイティング」 で聴かせる柔らかなミックスボイスは、ジョン・レノンを想起せずにはいられない。地球の裏側にいても、いつでも心のすぐそばに寄り添ってくれる友達から届いた、優しくて大きな愛のアルバム。
    (シャムキャッツ 菅原慎一)
     




    ■ INTERVIEW with Leonardo Marques


    Q. 『クルヴァス、ラードス、リーニャス・トルタス、スージャス・イ・ヂスクレタス』以来、3年ぶりの新作ですね。この3年はどんな活動をしてましたか?

    常に忙しく仕事をしてきました。マグロレ(Maglore)ムーンズ(Moons)ノバッチ(Nobat)、ヤング・ライツ(Young Lights)、アルトゥール・メロ(Arthur Melo) などなど、いろいろなブラジルのミュージシャンのレコードをプロデュースしたりレコーディング、ミックスを行ってきました。

    レオナルド・マルケス『クルヴァス、ラードス、リーニャス・トルタス、スージャス・イ・ヂスクレタス』



    Q. そんななかでの新作です。朝に聴く音楽をイメージして作ったそうですね。だから『アーリーバード(早起き)』なのでしょうか?

    その通りです! 休暇をブラジルのバイーア州にあるモレレー(Moréré) という楽園のような場所で過ごしたのですが、そこですべての曲のベーシック・トラックを作りました。なので朝のフィーリングを持つタイトルをと考えていたところ、このアーリーバードというタイトルが思いついたんです。実は前作『クルヴァス...』の日本盤でボーナストラックとして提供した楽曲のタイトルでもあります。


    Q. 前作に比べると、なんというか音がくぐもっていて、ドリーミーな感じですよね。 まるで心地よいまどろみの中にいるような...。

    常に新しいサウンドを探しています、たとえそれが古い音であっても! このアルバムを作り始めるときに、今までやってきた楽曲よりも思慮深く一味違ったサウンドにしたい、とても個性的でユニークなアルバムを作りたいと思っていました。そこでオプティガンのドラム・サウンドやパーカッション・ループを用いたり、自分で演奏するのではなくジャジーなフィーリングを出すためにいろいろなミュージシャンにドラムを叩いてもらいました。自分でミックスしてマスタリングしたのは自身のアルバムとしては実は初めてなんです。なのでこれまで以上に自分自身のテイストが反映されています。

    オプティガンのパーカッション・ループを使った Los Lobos - Angels With Dirty Faces



    Q. アルバムを作る際に参照した音楽やレコードはありますか?

    おそらく主な影響源はさきほど言ったバイーアのリゾート地のモレレーです。そこでの楽園のような雰囲気がアントニオ・カルロス・ジョビンの作品である『Wave』『Tide』『Stone Flower』といった人生を通じて聴いてきたレコード達と私を繋げてくれました。またソングライティング、プロダクション、音作りなどにおいてはビートルズからも大きな影響を受けています。「アイヴ・ビーン・ウェイティング」は私の愛してやまない、ビートルズの「Golden Slumbers」のようなテイストにしています。

    Antonio Carlos Jobim - Stone Flower



    Q. 自身のスタジオ "イーリャ・ド・コルヴォ(Ilha do Corvo)" にはヴィンテージ機材がたくさんあるんでしょうか? その中でもお気に入りがあれば教えてもらえますか?

    はい、その通りです。何年もかけて集めています。お気に入りはたくさんあるのですが、まずマイクですね。高周波をより自然になめらかに録るために自身のヴォーカルは Shure の 315 リボンマイクで、70年代風なダイナミックなドラム・サウンドをビートルズのように録るために AKG の D190 や D12 を使ってます。また Orban Spring Reverb や ドラム・ルーム用マイクのコンプレッションで使用した DBX 117、70年代のアルテックのプリアンプ、それからベースの録音ではチープな70年代の Urei のグラフィックイコライザー、そして古いヤマハのミキサーもお気に入りです。 * Ilha do Corvo - Official web https://www.ilhadocorvo.com/  (こちらでスタジオの様子を見ることができます)


    Q. そういう機材はブラジルでも手に入るのですか? それとも ロサンゼルスなどで買っているのですか? 

    ブラジルとロスで18年間かけて見つけたものですが、近年ロスよりもブラジルで見つけることのほうが多いですね。


    Q. 今年日本でリリースされたチン・ベルナルデスの『ヘコメサール』もとても評判がいいです。こういうヴィンテージなサウンドを求めるミュージシャンが近年ブラジルでも増えているのでしょうか?

    思うにとてもたくさんの人々がヴィンテージ・サウンドを求めていますし、より多くのプロダクションが高い完成度を求めています。チン・ベルナルデスの父でもあるマウリシオ・ペレイラがリリースしたアルバム『Outono no Sudeste』もヴィンテージな音作りの作品ですし、そういうサウンドを追求するプロデューサー友達の輪のようなものをミナスの州都ベロ・オリゾンチとサンパウロに持っています。私がプロデュースした作品についていえば、ムーンズ(Moons)、 ホドリゴ・ダマチ(Rodrigo Damati)、アルトゥール・メロ(Arthur Melo) といったミュージシャンの作品もそういった音作りをしています。

    Mauricio Pereira - Outono no Sudeste



    Q. 最近ミルトン・ナシメントと仕事をしているようですね。どういったプロジェクトなのでしょうか?

    フリート・フォクシーズの元ドラマーである ジョナサン・ウィルソン(Jonathan Wilson) が現在ロジャー・ウォーターズのギタリストやシンガーも務めているのですが、彼とジョーイ・ワロンカー(Joey Waronker)、ガス・シーファート(Gus Seyffert) がミルトンと録音する仕事があり、ミルトンの自宅がミナスのジュイーズ・ヂ・フォーラ(Juiz de Fora) という場所にあるので、自分のスタジオの機材をそこに運び、彼らのレコーディングをサポートしました。その数週間後、ジョナサンたちがロジャー・ウォーターズとのツアーに行っている間に、再び彼の自宅に赴き、ミルトンのヴォーカルを録りました。今そこで録音した楽曲のミキシングのためにロサンゼルスに来ているというわけです。

    Milton nascimento & Lô Borges - Tudo Que Você Podia Ser



    Q. 前回の来日公演の際に対バンしたツチヤニボンドの面々や、今回推薦コメントを寄せてくださった菅原慎一(シャムキャッツ)さんのように、日本の音楽家もあなたの音楽にシンパシーを寄せているようです。マックデマルコと細野晴臣のコラボレーションも話題になってますが、日本のミュージシャンとのコラボには興味ありますか?

    是非やってみたいです! ともに曲を書いたり録音したり、日本のバンドをプロデュースというのもしてみたいですね。

    Mac DeMarco - Honey Moon



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    photo by Pablo Bernardo

    ■ Profile - Leonardo Marques

    ディーゼル (Diesel) のちのウドーラ (Udora) のギタリストとしてブラジルのロック・シーンで頭角を現し、レッド・ホット・チリ・ペッパーズがヘッドアクトを務めたロック・イン・リオに出演。クリーヴ・デイヴィス (Clive Davis) の J-Records (RCA) と契約しロサンゼルスに移ると、マルーン5のマット・ウォレスほか数々の世界的な音楽家と仕事をするようになる。またハリウッドのサンセット大通りにあるヴィンテージ・ギターの店で働いたことを契機にヴィンテージなサウンドにも興味を持つようになる。ちなみに彼が影響を受けたアーティストとして名をあげるジョン・ブライオンとはその店で知り合ったようだ。

    自身の音楽性を確立すべくブラジル帰国後にはインディーロック・バンドの トランスミソール(Transmissor) を ジェニフェル・ソウザ(Jennifer Souza) らと結成。ミナスの最重要インディーバンドとして認知されると同時に、自身のスタジオ「イーリャ・ド・コルヴォ」を持ち、ヴィンテージな音を求めるブラジルのミュージシャンの作品を数多くプロデュースしている。

    自身のソロ作は『Dia e Noite no Mesmo Céu(2013)』『クルヴァス、ラードス、リーニャス・トルタス、スージャス・イ・ヂスクレタス(2015)』とこれまでに2枚リリース。前作『クルヴァス...』をリリースした2015年には日本ツアーを行い、キセル、ツチヤニボンドといったミナスの音楽にシンパシーを寄せる音楽家と対バンするなど、ブラジル音楽ファン以外にも鮮烈な印象を残した。