【JOURNAL】 レオナルド・マルケス 2015年インタビュー

  • LATIN / BRAZIL
  • 新着ニュース
  • 2020.02.01

    • LINE

    • メール
    5年ぶりの来日が決まったブラジル・ミナスのシンガー・ソングライター、レオナルド・マルケス。 その来日を記念して、前回の来日前にラティーナ誌で行われたインタビューを特別に転載させていただくことになりました。


    (c) Melissa Castro





    『CURVAS, LADOS, LINHAS TORTAS, SUJAS E DISCRETAS』レオナルド・マルケス・インタビュー。
    ミナスの伝統を受け継ぐ良質なメロディと、世界的な広がりを見せるローファイなインディー・フォークの美しき邂逅

    文●小熊俊哉

    ミナス出身のSSW、レオナルド・マルケスのセカンド・アルバム『クルヴァス、ラードス、リーニャス・トルタス、スージャス・イ・ヂスクレタス』を聴いたとき、儚く切ないレコードを耳にしたときの心地よい落ちつかなさを久々に思い出した。グレイト3の片寄明人氏が「ムジカ・ロコムンド」で、ロー・ボルジェスの79年作『ア・ヴィア・ラクテア』収録曲の「クルビ・ダ・エスキーナ2」について「壊れそうなほどに透明なメロディ。果てしなく上昇して、らせんを描くように空に溶けてゆく歌声」と評していたが、その表現はまさしくこのアルバムにも当てはまるだろう。実際にミルトン・ナシメント&ロー・ボルジェス『街角クラブ』からのカヴァーも収録しており、同郷の先輩が奏でたメランコリアを継承する一方で、エリオット・スミスからの影響を公言するなど、欧米のポップ・ミュージックとも共振を見せている。メール・インタヴューでのレオナルドの回答も織り交ぜていこう。




    「ブラジルには幅広く豊かな音楽文化がある。天才アントニオ・カルロス・ジョビンを始め、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、シコ・ブアルキなどアーティストは枚挙にいとまなく、好き嫌いに関わらず我々の音楽的DNAの中に潜在し、数世代に渡って影響を与え続けているんじゃないかな。例えば、僕は〈街角クラブ〉のことをそれほど知っているわけではないけれど、自分のメロディ感覚がロー・ボルジェスと似ていると多くの人が言ってくれる。彼ら自身もビートルズに多大な影響を受けたわけだし、僕も欧米の音楽が好きだ。あと、22歳のときにロサンゼルスに住んだ経験も潜在的に影響を与えているのだろうね」

    現在36歳であるレオナルドは、ミナスの人気オルタナティヴ・ロック・バンド、ディーゼルの一員としてキャリアをスタート。バンドは商標登録の都合でウドラと改名し、2003年から活動拠点を一時ロサンゼルスに移している。それからレオナルドはウドラを脱退し、ブラジル帰国後にトランスミソールという新バンドを結成して今に至るわけだが、当時ロスで実現した出会いがその後の音楽観を決定づけたという。





    「あのクライヴ・デイヴィスのレーベルと契約したり(J・レコーズのこと、アリシア・キーズらを輩出し、2011年に閉鎖)、ハリウッドのサンセット大通り沿いにあるヴィンテージ・ギターのお店で働いたりもした。そして、偶然にもその店で、ジョン・ブライオンと知り合いになったんだ。彼は70年代のファズや新しいギターを探しにきたり、ときには単にお喋りをするために来たりもしていた」

    ジョン・ブライオンといえば、エイミー・マンやフィオナ・アップル、ブラッド・メルドーらを手掛けた名プロデューサーであり、『マグノリア』や『エターナル・サンシャイン』など映画音楽のフィールドでも大活躍。エリオット・スミスとも縁は深く、さらにシンガー・ソングライターとしても一流で、毎週金曜日(当時、現在も月一で出演している模様)にロスの〈ラーゴ〉というライヴハウスでショウを披露していた。





    「一人で全ての楽器を演奏し、ライヴ中にお客さんの前でアレンジをするアーティストを初めて観たよ。最初はドラムを叩いて、次はベースにピアノ、ギターにヴォーカルと続けて(多重録音していき)、曲を形作っていくんだ。このショウは僕にとっての分岐点で、自分で楽器を全て演奏する今のスタイルにも大きく影響している」

    洗練されたインディー・ポップを奏でるトランスミソールでは、メンバー全員が作曲に携わって過去3枚のアルバムを残しているが、自身のソロ・ワークでは演奏から録音まで一人で担っている。制作アプローチこそ宅録的ながら、レオナルド自身もスタジオを運営しておりレコーディング・スキルは非常に高く、その音触りは生々しい。ほんのりサイケデリックなアナログ・サウンドは、ロス時代に勤務先で古い楽器を扱うノウハウを学んだ経験も役立っており、〈街角クラブ〉とジョン・ブライオン、エリオット・スミスから受け継ぐアンニュイなビートルズの遺伝子と、繊細で美しいメロトロンや隠し味のバンジョーの相性も抜群だ。その一方で、キーボード/カシオトーンによる80年代チックな音色も効果的に用いているが、これはマック・デマルコやコナン・モカシンなど、退廃的でスウィートな世界観をもつ昨今のSSWも好んで取り入れている手法。彼ら2人に加えてヴィンセント・ギャロやチェット・ベイカーの名前をフェイヴァリットに挙げているのも大いに頷けるところだし、軽やかで透明感のあるパーソナルな旋律はニック・ドレイクやネオアコも想起させる。





    このようにアルバムにおいて様々な文脈を横断し、ルーツの再解釈を鮮やかに示すばかりでなく、みずからレーベルを運営し、プロデュース業でもミナス新世代を先導するレオナルドの活動には今後も目を離せないだろう。




    *
    *
    *
    *
    *

    あらためて、レオナルド・マルケス・ジャパンツアー 2020 を宜しくお願いいたします (江)

    3/21(土) 山形 gura lounge hall (50席限定)
    3/23(月) 神戸 Bar Request (30席限定)
    3/27(金) 東京 代官山 晴れたら空に豆まいて / with 菅原慎一BAND

    〇 ツアー詳細・チケットの購入についてはこちら
    〇 レオナルド・マルケス『アーリーバード』発売時インタビューはこちら

    • 前の記事へ

      [予約] 現代版エチオジャズ最前線! エチオピアのレジェンド、ハイル・メルギアによる極上新作!

      LATIN / BRAZIL

      2020.02.02

    • 一覧へ戻る

    • 次の記事へ

      2020.1月更新! リイシューで手に入るブラジル名盤・定番レコード特集

      LATIN / BRAZIL

      2020.02.01

    • 一覧へ戻る