ディスクユニオン ワールドミュージック・SHOP'sバイヤーズ・チョイス 9月号

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2020.09.30

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ディスクユニオンの店舗スタッフによるワールドミュージック・バイヤーズ・チョイス9月号! 新譜も旧譜もごったまぜで今おすすめしたい良質な作品を一挙ご紹介!

■JazzTOKYO
東京都千代田区神田駿河台2-1-45 ニュー駿河台ビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/jazz_tokyo




フラヴィア・ケー『ジャネーラス・インプレヴィジヴェイス』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008160594

ブラジルから新たなネオソウル。若手シンガーソングライター、フラヴィア・ケーのデビューアルバムが待望の日本独自CD化。90年代にネオソウルで頭角を現したエリカ・バドゥ、ディアンジェロ、コモンのエッセンス、ポップセンスはジャミロクワイの要素もチラリ。この周りから彼女は影響を受けているようで、メロディやサウンドづくりがまさに90'sソウルのリバイバルといったところ。ゆったりとしたメロウな楽曲は夜にテラスでお酒片手に聴きたい一枚。近頃のブラジル界のネオソウルこそ地元の伝統を抑えつつ流行の最先端を取り入れている気がしますね。(関口綾華)




ティンチョ・アコスタ『シレンシオ』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008173943

年間ベストどころかここ数年でもトップクラスの評価をすでに獲得しつつあるロドリゴ・カラソの"Octogono"と同日に入荷。幸か不幸か、横綱級タイトルと比べられてしまう運命を背負ってしまった一枚だが、実はそれは正しい聴き方なのかもしれない。この状況なので、「試聴してどちらか気に入ったほうを買おう」という気持ちはわかるが、ぜひ同時購入をおすすめしたい。本作とロドリゴ・カラソは並べて、対にして聴くことで、アルゼンチンの音楽シーンの"今"を感じることができるのだ。
ロドリゴ・カラソは内陸にある都市コルドバの出身。JazzTOKYOでも大ヒットしたBANTIや来月に国内盤リリースが予定されるASIなど、ドライな質感のインディ・ロック~ポップな趣の作品が多いのが、コルドバのシーンの特徴と言える。一方、本作のティンチョ・アコスタは、ご存知アカ・セカ・トリオを輩出したラ・プラタの出身。ラ・プラタ発の作品には巨大な水系をもつラ・プラタ川のように、流れるようなスムースなフォルクローレが多く、川からスピリチュアルな影響を受けた作品も多い。二作を聴き比べることで、二つのシーンの概要や雰囲気をつかむことができると思う。さらには本作1曲目ではロドリゴによる客演というサプライズも楽しめる。多数の楽器を用いたドライでポップなアレンジとウェットな質感のギターが交わる瞬間の美しさは、新しいラテン音楽の息吹となり得るだろうか。(山田竜輝)


■神保町店
東京都千代田区神田神保町1-4 クロサワビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/jinbouchou



KETA RA『FRESH PACK LIVE Vol.1』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008177922

広島を拠点に活動するギタリスト、KETA RAによるライブ・セットの音源! フィールドレコーディングをバックにギターやハングドラムのループを重ねていくのですが、演奏している姿が想像できるような、アンビエント作品では珍しいほど生っぽい作品となっています。また、2曲目以降ではローファイなドラムマシンも加わり、"スティーブ・ハイエット/渚にて"収録の"Hot Afternoon"のような独特な浮遊感のある心地よい雰囲気です! 真夏にも、残暑にも最適な1枚! おすすめです! (坂本)




ADRIAN YOUNGE & ALI SHAHEED MUHAMMAD『MARCOS VALLE』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008167971

エイドリアン・ヤングと ATCQ のアリ・シャヒード・ムハンマドが企画する"JAZZ IS DEAD"の第3弾は、レジェンド! マルコス・ヴァーリ! 次作はアジムスと発表されており、参加しているメンバーを眺めるだけでもワクワクが止まらないこのシリーズですが、今回も期待を超える大名盤でございます。6曲目や7曲目などはまさにお互いのいいところが出ており、たまらないです。マルコスにしても、ジルベルト・ジルにしてもブラジルのレジェンドは元気がいいですね。(坂本)


■吉祥寺ジャズ館
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-24 小島ビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/kichijyouji_jazzandclassic




EDUARDO HOPPER『GRATIDAO INFINITA』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008187424

あえて三拍子で表現するなら、音良し、ジャケット良し、名前良し。そう、名前は大事です。「ホッパーなんてデニスだけだと思ってた」という映画好きは私だけではないはず。ブラジルの若きホッパーはリズム・ホッパーとでもういうべき多彩なリズム感覚の持ち主で、ジャズとサンバとファンクの間を自由気ままに飛び回っています。ビッグバンドにもフリージャズにも聴こえる不思議なアンサンブル。紛れもなくジャズなのにどのジャズにもない浮遊感。BLAXTREAMから出した名盤も記憶に新しいカラピショ・ハンジェルとの夢のツインギター(これ最高です)。自粛期間に頑張って一人で作っちゃいましたアルバムはもうお腹いっぱい、という方にこそおすすめの豪華な一枚です。(笹山良林)




ロドリゴ・カラソ『オクトゴノ』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008177994

ドライブで聴く音楽、通勤電車で聴く音楽、バッターボックスに向かいながら聴くアース、最近ではトイレの個室でしか聴けないメカニカルな水音などもあるそうで、まさにシーツ・オブ・サウンド、百音繚乱といった今日この頃ですが、部屋にいながらにして地球の裏側まで旅できるお得でナウズ・ザ・タイムな音楽が地球の裏側から届きました。アルゼンチンはコルドバから届いたこの10枚のカラフルなチケットで、アルゼンチンはもちろん、ブラジル、ペルー、北米、なんとアフリカにまで行けちゃいます。それもスロウボートで(※中国には行きません)。そう、カルロス・アギーレがライナーに書いているとおり、船旅という表現がぴったりのアルバムですね。新内閣のどさくさでGO TO TRAVELキャンペーンの割引対象に追加してほしいアルバムでもあります。船が苦手という方もぜひ、ロドリゴのさざ波のようなギターに揺られてみてください。(笹山良林)


■新宿ラテン・ブラジル館
東京都新宿区新宿3-31-4 山田ビル4F
https://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_latin




RUSTEM QULIYEV『AZERBAIJANI GITARA』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008164886

ジャケット写真のイメージを裏切らない一味違ったエレキ・インスト集。タイトル通り彼のエレキギターをフィーチャーした作品ですが、その奏法にはサズやタールといった楽器の影響がふんだんに盛り込まれています。伝統弦楽器をルーツに持つ人物ならではのフレージングの数々はさすが。哀愁溢れるイントロから徐々にギターがドライヴしていく「Tancor Disko」が特にお気に入りの一曲です。まずはジャケットにビビッと来た方は是非聞いてみてください。ちなみにこの赤い珍しいギター、JOLANA”TORNADO”で間違いないかと思います。(羨ましい…)(杉山哲也)




FRENTE CUMBIERO『PORROVIA』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008185523

遂に待望のFRENTE CUMBIEROの7インチがリリースされました! 2018年来日時のライブで衝撃を受けたこの2タイトルがフィジカルになって嬉しい! ヘビーなビートにセバスチャンのユーフォニウムが自由に絡みつきピュンピュンサウンドで宇宙にぶっ飛ぶPORROVIA!! しかしレーベルNAMES YOU CAN TRUSTは外れなしですね! 他タイトルも要チェックです! (岸本恵)


■渋谷中古センター
東京都渋谷区宇田川町30-7アンテナ21 2F、3F
https://diskunion.net/shop/ct/shibuya_used




UDU (AFRO) 『SOUND OF THE PEOPLE』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008163835

これは衝撃!サイケデリック・アフロビートの幻の一品がリイシュー! ピロピロ、ふにゃふにゃ、摩訶不思議なクリーントーンギターにやられました! まさに宇宙としか形容できないグルーブが肉体に響く、まさにサイケ・アフロビートな一枚。今年の冬はこれをBGMにこたつでみかんが楽しみです♪ オリジナルは驚愕のUSD 1,500オーバー! リイシューも限定500枚だそうです! お早めにどうぞ! (佐藤)




JOAN BIBILONI『SELECTED WORKS 1982 TO 1989』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008100626

ギターファン必聴! スペインの鬼才音楽家ジョアン・ビビロニ1982年から1989年リリース作からの抜粋コンピ! バレアリック〜ニューエイジ的にも熱いキラーチューンが5曲! ジョアン・ビビロニの作品はあまり見かけないのでこれは嬉しいリイシューですね! お手軽価格も◎! 秋の夜長にお散歩しながらワイヤレスイヤホンで聴きたい一枚。RSD2020限定です! (佐藤)




■渋谷ジャズ/レアグルーヴ館
東京都渋谷区宇田川町30-7アンテナ21 BF
https://diskunion.net/shop/ct/shibuya_jazz




GILBERTO GIL『GIL - BALLET PARA O GRUPO CORPO』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008018199

"前衛舞踊のための音楽"という素晴らしいジャンルがあります。あることにします。ERIK SATIEの『PARADE』、PIEERE HENRY/MICHEL COLOMBIER『MESSE POUR LE TEMPS PRESENT』、MAX RICHTER『INFRA』、などなど。ダンスが要求してくるのか、シナジー効果というやつなのか、音楽もまた、とても前衛です。そんな素敵なアヴァンギャルド音楽がひしめくジャンルのなかに、新たに加わった傑作が『GIL - BALLET PARA O GRUPO CORPO』。ブラジルはミナスを拠点とする前衛バレエカンパニーGRUPO CORPOのために作られた音楽です。さすがジルベルト・ジル。前衛にしてポップ。地面から2センチくらい浮いているような音楽。ここではたしかに音も踊っています。
このGRUPO CORPOというバレエ団は、MILTON NASCIMENTO、CAETANO VELOSO、TOM ZE、JOAO BOSCOらツボをつく人選でサウンドトラックを制作し、発売もしていて、2000年以降、がぜん注目(←わたしの)を集めています。同志のみなさま、未体験でしたら、どれかひとつぜひ聴いてみてください。(関井朋子)




KOOSHIN『LAYLA』
https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008169251

ソマリア音楽において特別な楽器カバン(kaban)の演奏者KOOSHIN。伝統的なソマリア音楽の演奏方法を継承した数少ない巨匠です。カバン、ボンゴ、ドラム、歌というミニマルな編成で、歌謡曲のような懐かしさを持ちつつも、パーカッシブで耳心地がとてもよく、自然と体が揺れるような作品となっています。古典的な演奏や歌を通して、懐かしさと新鮮さを同時に感じられるのもこの作品の魅力の一つではないでしょうか。低音もしっかりしているのでレコードで聴いてほしい1枚です。(柴田健吾)