【新品特集】メロディアス・ハード 2020年前半総括 ~日本未発売の掘り出し物たち~

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2020.09.03

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メロディアス・ハード 2020年前半総括
~日本未発売の名盤たち~


少し遅くなってしまいましたが、2020年前半のメロディアス・ハードを振り返ります!

国内盤の素晴らしいアルバムもたくさんありましたが(このページの下段にまとめています)、
せっかくなので「日本未発売の名盤たち」と題して惜しくも国内盤リリースがなかったものの、
出ててもおかしくないハイレベルな作品12タイトルをピックアップいたしました。

最近では輸入盤もほんの数年で入手困難となるものが多く、
国内リリースされたものよりも中古市場で見かけることも少なくなってしまうことも多いです。

メロディアス・ハード・ファンの皆様、買い逃しはないですか?

※ジャケットをクリックすると商品ページに移動します。

●ARKADO / NEVER SAY NEVER


スウェーデン産メロディアス・ハード・バンド、AOR HEAVENからのリリースとなる20年発表の1stフル・アルバム。
と言っても純粋な新人バンドではありません。元々は80年代前半に結成され、BETTER BE TOGETHERなる名義で活動していたメンバーたちが再結成、新たにNITERAGE/FIND MEのPhilip Lindstrand (Vo)、ALYSON AVENUE/SAPPHIRE EYESなどのMikey K Nilsson (G)らキャリアを誇る実力派メンバーたちを新メンバーに加え、改名/再始動したベテラン・バンドです。前身にあたるBBT自体が余程のマニア以外は分からないようなバンドなため、実質新人みたいなものなのですが、ベテラン勢のマニアのツボの捉え方はやはり侮る事が出来ません。基本スタイルは、TREAT、RETURNといったあたりに近い北欧経由、アメリカ到着型のメロディアス・ハード。近年の北欧メロハー勢が(サウンドのライト/ハード)の差こそあれこのスタイルが多いため、正直ずば抜けた個性こそないものの、曲のクオリティは一級品!
「甘くなりすぎないしっかりしたロック・テイスト』と言うメロハーたる前提条件もしっかりとクリアしており、全編に渡り非常にハイレベルな仕上がりを聴かせる一枚です。

●BADD KHARMA / ON FIRE


STEAMROLLER ASSAULT、KING DRAGON、INNERWISHなどのバンドでキャリアを積んだメンバーたちによって結成されたギリシャのツインG編成、Key入り6人組メロディアス・ハード/メロディック・メタル・バンドの20年発表の1stフル。
力強くソウルフルに歌い上げる強力なヴォーカル、2本のギターが紡ぎだすハードなサウンド、楽曲を劇的に演出するKeyなどなど、DIOあたりのサウンドを骨格にしつつよりメロディアスな要素を強化した強力メロディアス・ハード・サウンド。(ハードロックなノリの曲ではWHITESNAKEあたりを思わせる部分も)EDGE OF FOREVERやEDEN'S CURSEといったあたりを思わせる80年代HM/HRの空気感を強めに感じさせるスタイルで、クオリティ的にもそれらのバンドに軽く匹敵。母国ギリシャでは、先行で公開されいたPVのクオリティの高さもあり、デビュー前より注目されたいたバンドらしくそのポテンシャルも頷ける素晴らしい仕上がりの一枚となっています。

●CAPTAIN BLACK BEARD / SONIC FORCES


スウェーデンの4人組メロディアス・ハード・バンドのAOR HEAVEN移籍作となった20年発表の4thフル。
09年に結成。11年にセルフ・タイトルでデビューを果たした後、18年にMelodicRock Recordsよりリリースされた前作『Struck By Lightning』は、H.E.A.TのJona Teeのプロデュースで女性シンガーを起用した作品でしたが、本作は、H.E.A.TつながりのDave Malone がプロデュースを担当、更にシンガーをMartin Holsner なる男性シンガーに変えての一枚。BROTHER FIRE TRIBEやごく初期のRECKLESS LOVEのような80's風味抜群の分厚いシンセと、フックの強いキャッチーなメロディが印象的なサウンドで、新シンガー・Martin Holsnerのわずかにしゃがれた声質と(良い意味で)上手すぎない歌唱のおかげか北欧風味がグッと増した印象を受けます。北欧らしいハイレベルなメロハーという意味では、H.E.A.T.との共通項も多く、Daveがプロデューサーを担当したのも納得の一枚です。

●CHRIS ROSANDER / KING OF HEARTS



TOTO、H.E.A.T、QUEEN、CHICAGO、DEF LEPPARDからの影響を公言する若干22歳のスウェーデン人ミュージシャンChris Rosanderの20年発表の1stフル。
若さからは想像もつかない丁寧に作りこまれたAOR/メロディアス・ハードで、洗練された都会的な空気感と北欧的な哀愁、透明感が同居したサウンドはWORK OF ARTなどにも通じるサウンドを聴かせてくれます。楽曲のクオリティの高さはもちろんVo/G/Key/Drを自身で担当(Bは、PERFECT PLANのP-O・セディ ン)するマルチプレーヤーっぷりもお見事。デビュー作にして名門AOR Heavenとの契約を獲得しただけあり、メロハー/AORファンの期待をしっかり受け止めことができる充実の作品と言えます。
 
●COMPASS / OUR TIME ON EARTH


同時期にリリースされた自身のプロジェクトNEWMANの新作も素晴らしい内容だった天才メロディメーカー・Steve NewmanがG/Keyで在籍する英国産プログレ/メロディアス・ハード・バンドの20年Esvape Musicより発表のデビュー作。
これが本当に素晴らしすぎる内容。メロハー好きの方々に説明するのに一番分かりやすく言えばIT BITESなどのメロディアスなプログレをベースに、HR/HM的質感とヘヴィさをプラスしたACT/CIRCUS MAXIMUMなどのプログレメタル吸収組を感じさせるメロハーmeetsプログレ・スタイル。一発のキャッチーさというよりは、英国らしい陰りのある叙情メロディと楽曲の展開でグイグイと音世界へと引き込むタイプのバンドで、何よりもSteve Newmanを中心としたバンドでありながらも、NEWMANとは明確に音の線引きがされているのもうれしいポイント。素晴らしい内容を誇る1枚を作り上げているので、一過性のプロジェクトにならずに継続して活動をしてほしいところです。

●NEWMAN / IGNITION



イギリスが誇る天才メロディメーカーにして全ての楽器を操るマルチプレーヤーSteve Newmanのソロ・プロジェクト。前作『Aerial』から約3年振りの新作となる12thアルバム。
Steve NewmanがVo/Key/Gを担当し、DrにはRob McEwen、そしてゲストのバックVoとしてex-PRAYING MANTISのMark Thompson-Smithが参加した前作と同一布陣でレコーディング。その前作は久々の日本盤リリースがありましたが、本作は残念ながら(7月現在)再び日本盤リリースなし。一時期AORなアプローチを強めライトな趣を強めていたこともありましたが、ここ数作で徐々にハードな質感を取り戻し今回は完全にメロディアス・ハードに復帰(コンテンポラリーなポップス要素を秘めたタイトル曲のような楽曲も一部あるものの)。特にアップテンポの16、HAREM SCAREMばりの分厚いコーラスとハードなGが印象的な12など、Steveの歌唱がJeff Scot Sotoあたりにも通じる太めな中音域が映える熱唱型ということもあり、やはりNEWMANにはハードロックな路線が似合います。毎回毎回、本当に良いアルバムを作ってくれるだけにもっと人気が出ても良い人だと思います。

●THE RAGGED SAINTS / SONIC PLAYGROUND REVISTED


11年結成。フィンランドのメロディアス・ハード・バンドの2ndフル・アルバム。前作『The Sound Of Breaking Free』から約7年振り、AOR HEAVEN移籍作。
その前作はドイツのプログレ/パワーメタル系の(当時)新興レーベルPowerprogからのリリースということも影響したのか、素晴らしい内容だったにも関わらず、残念ながらあまり話題になることなく終わってしまいました。そして久々の新作となった本作、前作以上に素晴らしい出来であるにも関わらず今回もまた日本盤リリースはなしとなっています。(20年9月現在)
肝心の音の方向性は、前作のベクトルを維持しつつ、そのまま曲を作り込んできたような仕上がり。WHITESNAKE、DEF LEPPARDあたりの80年代後半の華やかなハードロックからの影響を公言するアリーナ・ロック・スタイルのバンドで、近年北欧メロハー勢のスタンダードとも言えるキャッチーさの中に薄ら哀愁を感じさせるメロディを武器に、しっかりハードロックしたサウンドで聴かせるスタイル。1曲1曲のクオリティが抜群に良く、アップテンポからバラードまでアルバムのどこを切っても栄光の80年代の空気が溢れてくるような作品となっていますので、この手のサウンドのファンは安心して手に取ってください。

●ROBERT HART / PURE


BAD COMPANY/COMPANY OF SNAKE/THE DISTANCEといったバンド/プロジェクトで活動をしてきた英国人名シンガーによる20年発表の3枚目のソロ名義作品。2nd『Robert Heart』が92年発表なので、実に28年振りのソロ作品のリリース。
これまでのキャリアで証明済みのRobert Heartのソウルフルな歌声+Tommy DenanderとSteve Overlandというメロディアス・ロック・ファンには安心&お馴染みの2人が共同プロデュース+全面バックアップというだけでも、クオリティは保証されているようなもので、実際の内容もその期待を裏切らない素晴らしいものです。近年のFMにも通じるソウルフルでブルージーな楽曲から、Tommy Denanderの影が見え隠れするAORという両プロデューサーの旨味を凝縮しつつも、よりポップス的な要素も加えたコンテンポラリーな魅力に溢れた1枚です。バラエティ豊かな曲に統一感を持たせるRobert Heartの歌唱も見事であり、シンガーのソロ作品として納得の出来になっています。

●ROOM EXPERIENCE / ANOTHER TIME AND PLACE



イタリア人ソングライター・Gianluca Firmo(Key)を中心に、WHEELS OF FIRE/CHARMING GRACEのDavide "Dave Rox" Barbieri (Key/G)、SHINING LINE/CHARMING GRACE/LIONVILLEのPierpaolo "Zorro11" Monti(Dr)、Amos Monti(B)、GUNSHYのSteve De Biasi(G)というイタリア・メロディック・ロック・シーンの実力者たちに、PINK CREAM 69のDavid Readman(Vo)を加えて結成されたプロジェクト。日本盤もリリースされたデビュー作『ROOM EXPERIENCE』以来、約5年ぶりの新作となった2ndフル・アルバム。
メロディアス・ハード・ファンから高い評価を獲得した前作同様、充実の楽曲で構成された王道のヨーロピアン・メロディアス・ハード。各メンバーのキャリアから想像できるそのままのサウンドで、丁寧に作り込まれた楽曲、ツボを押させた演奏などなど、実力者ぞろいならではの隙を感じさせない仕上がりです。
ヨーロピアン・ボーナス・トラック1曲を追加で収録した全12曲入り。

●SHAKRA / MAD WORLD


スイスのメロディアス・ハード/メロディック・メタル・バンド、20年発表の12作目のスタジオ・フル・アルバム。
結成は97年。母国のスイスではGOTTHARDに継ぐバンドとして確固たる地位を築いているバンドなのですが、これまでの作品も日本盤がリリースされたり、されなかったりと日本での人気/知名度はあるのかないのかよく分からないバンドです。前作『Snakes & Ladder』から約2年振り、海外ではドイツの名門AFM Recordsからのリリースとなった本作も(2020年9月現在)日本盤リリースはなし。
基本路線は今回も変わりません。この手のバンドの中ではメタル成分強め、骨太なギターリフとシンガーMark Foxの声質もあってか曲によってはPRETTY MAIDSあたりにも通じるメタルとハードロックの中間種とも言えるサウンド。突き抜けた派手さや個性があるわけではありませんが、20年以上シーンの最前線で活動を続けるバンドだけあり安定感は抜群。産業ロック風味が強いと甘く感じてしまう、そんな方には文句なしにオススメです。

●SHAFT OF STEEL / STEEL HEARTBEAT


04年結成。英国ロンドンを拠点に活動をするツインG編成、Key入りの6人組のデビュー・フル・アルバム。
音源の制作は14年のEP以来、約6年振りと久々となる本作、名門AOR Heavenとの契約を獲得し、PINK CREAM69のDenni Wardのマスタリング、全編でのバックVo参加というバックアップ体制で制作。EP時には、ほどよくメタリックな要素もあったバンドではありますが、本作はメロディアスな面を強く押し出した完全無欠なメロハー路線。全体的にキラキラとした清涼感強めのKeyを配置、ハイトーン~情感豊かなミドルまでを操るVoが歌い上げる英国的哀愁+近年北欧メロハー勢にも通じる都会的な洗練された空気感とフックに飛んだメロディが印象的な1枚。雰囲気的にはバンド自身がフェイバリットにもあげるSHY、SERPENTINEといったあたりを彷彿とさせる路線であり、デビュー作にして前述のバンドたちにも肉薄する堂々たる完成度を誇ります。アルバムのハイライトとも言えるのが、リリースに先駆けYoutubeでも動画が配信されていた#1、#4。この2曲に反応するのであれば、まず外れのないアルバムです!

●STONEFOLOWER / FINALLY


96年結成。ノルウェーの首都・オスロを拠点に活動をしている4人組ハードポップ/メロディアス・ハード・バンドの20年発表3rdフル・アルバム。
かつてはTNTやSTAGE DOLLSで活動していたバンドも在籍していたことがあるなど、しっかりとした活動歴のあるバンドではあるが、10年に一度解散。本作は復活作となった『DESTINATION ANYWHERE』(14年)以来、約6年ぶりの新作です。前作からシンガーとドラマーが交代、シンガーにはノルウェーではアイドル活動もしているというJohn Masaki(Vo)なる人物が参加。クリアでクセのないハイトーンVoとさすがのルックスでバンドのサウンドに華を添えています。音楽性は、北欧らしいキラキラなシンセと爽快なメロディ、そしてそれを彩る秀逸なコーラス・ワークが耳をとらえるサウンドで、STREET TALKのハードロック寄りの楽曲がTERRA NOVAあたりを思わせる楽曲が数多く収録。アルバムのハイライトともいえるのが先行で動画も公開されていた1曲目の「Gonna Let You Go」。彼らの魅力が詰め込まれたこの1曲が好きであれば、アルバム・トータルで気に入っていただけるはずです。

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