【特集】初のソロアルバムをリリースするaphasiaのヴォーカリスト志音(Sion)さんにアルバム制作エピソードを伺いました

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2021.03.12

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aphasiaのヴォーカリスト 志音 (Sion)が、初のソロアルバムを3月24日(水)にリリースする。

オリジナル4曲と、伊藤由奈“Faith”、高橋洋子“魂のルフラン”、松下優也“Bird”、鬼束ちひろ“月光”、一青窈“ハナミズキ”などのカバー6曲からなる初のソロ作では、aphasiaでも聴かせるその圧倒的な歌唱力に加え、より幅広いジャンルに渡る志音のソウルフルかつエモーショナルな絶品の歌唱を存分に堪能できる。

Unlucky Morpheus、UNDEAD CORPORATIONの仁耶 (Gt)がプロデュース/ディレクション及び楽曲アレンジ、ミックス、マスタリングを手掛け、ギターでも参加、CerveteriのIsao (Gt)が2曲のオリジナル曲を作曲&ギターでゲスト参加に加え、LIGHT BRINGERのMao (Key)、Mary's BloodのSAKI (Gt)、Unlucky Morpheusの小川洋行 (Ba)、MAHATMAのmassu- (Ba)などと、豪華なゲスト陣も注目だ。


Q:ソロアルバムが完成した気持ちは如何でしたか?

志音(以下S):本当に素晴らしい方々にお手伝い頂き、素敵な音が作れました。手元にCDが届くまで本当か信じられないほど胸がいっぱいです。(笑)

Q:ヴォーカリストを目指そうとしたきっかけは?

S:周りの人に感謝や何か想いを伝えたいと思った時に自分には何ができるのかを考えた時一番深く向き合ってきたのが歌で、自分にはこれしかないなと感じました。歌と真剣に向き合う事になったきっかけは、中学生の時に突然父が亡くなり、失意の中励ましてくれた学年の皆、先生、家族に何かを返したいと思った事です。それまでも周りから歌が聴きたいと言ってくれたり、文化祭で歌を聴きに部活の催し物を見に来てくれたりしていて、私が何か恩返しができるものって歌なのかなと思って。そこから歌に対しての深みや重みが増したように思います。

Q:沢山のゲストミュージシャンが参加されましたね。

S:本当に感謝しかありません。Unlucky Morpheusの仁耶さんがサウンドプロデュース、ミックス、マスタリングまで手掛けて下さり、ギターでもご参加頂きました。同じくUnlucky Morpheusの小川さんやMAHATMAのmassu-さん、LIGHT BRINGERのMaoさん、Mary's BloodのSAKIさん、そしてCerveteriのIsaoさんには作曲もして頂きました。コーラスではHAGANEの皆さんやOliviaSugerのSumireさんなど、本当に本当に豪華な方々にご参加頂き、素晴らしい音楽を奏でて下さり、マスタリングされたものを聴いた時に涙が溢れました。

Q:ゲスト参加ミュージシャンの方々を選ばれた理由や経緯を教えていただけますでしょうか?

S:最初にサウンドプロデューサーの方を決める際、レーベルの方に何人かご推薦頂いたり相談をした方もいたのですが、レーベルの方からの信頼も厚く、エンジニアとしてもギタープレイヤーとしても素晴らしい上、ご自身のバンドでFukiさんという素晴らしいヴォーカリストの方と一緒に活動されているという事もあり、仁耶さんにお願いする事になりました。
ベースやピアノに関しても同じように何人かご推薦頂いたのですが、同じバンドで仁耶さんが信頼されていると言う事もあり小川さん、LIGHT BRINGERでのご活躍の他、ハードロック系以外でも多岐に渡るご活躍をされているMaoさんにお願いをする事にしました。
そしてオリジナル曲の作曲パートナーを探すにあたり、レーベルメイトで以前aphasiaと共演した事もあるIsaoさんにお声がけをさせて頂き、作曲だけでなくギターも弾いて頂き、その流れでIsaoさんの楽曲ではIsaoさんのご推薦もありmassu-さんにベースをお願いしました。
SAKIさんは“魂のルフラン”をハードロック・アレンジにする事になっていましたので、どなたか女性ギタリストの方にソロをお願いできないかと思っていた際、SAKIさんを良くご存じの関係者の方からオファーをして頂いた所ご快諾頂き、お忙しい中素敵なギターソロを弾いて頂き感激です。
そして“魂のルフラン”でのコーラス部分に勢いのある方の力をお借りしたいと思い、スタッフの方が懇意にされているHAGANEの皆さんやaphasiaを観に来て頂いた事もあるSumireさんにお願いしてご参加頂ける事になりました。


Q:アルバムのコンセプト、タイトルについては?

S:今までロックやゴスペル、ポップスやR&B、アカペラなど様々な音楽に歌で触れた経験を縁あって形にさせて頂けて、色々な音楽が1枚のアルバムにちりばめられているので、音の森「Oto no Mori」を感じて頂けたら良いなという思いでタイトルを付け、生きていく中の愛に対する強さと儚さを軸に作りました。

Q:aphasiaのヴォーカリストとして活動されていますが、やはりaphasiaでの歌唱に通じる箇所もありつつも非常に幅広い歌唱が聴けます。aphasiaでの歌唱とは意識的に変えた部分などもありましたでしょうか?

S:今回のアルバムでは、よりシンガーとしてのありのままの表現を幅広く持って、立体感や臨場感、空気感を細かに感じて頂けるように、そしてアルバムで聴いてもその場で自分が歌っているかのようなリアルさを意識しています。

Q:素敵なジャケットですが、イメージは?

S:ジャケットはアルバムのコンセプトのコアな部分を描いて頂いています。今回のアルバムには色々な音楽を入れており、音の森というタイトルで森をイメージしていることもありますが、自然の森の中に近未来の風景が組み合わされています。実世界では昨年から現在もコロナ禍で急速にIoT化が進み、テクノロジーと人はさらに深く関わって生きていく事が求められており、自然とデジタルの融合の情景と、その中を生きる、歌うという事を表しています。そして、2021年は丑年で、私が牡牛座である事、牡牛座は喉を司っていて自身が牡牛座である事に誇りを持っていて、頭上のモチーフは牛となっています。牡牛座はエメラルドグリーンがイメージカラーなのでジャケットの色もメインの色となっています。頭上には近未来をイメージした機械が浮き、中心から広がっているのはパイプオルガンで音が広がり、蝶や鳥、木々などが共鳴しています。

Q:オリジナルの4曲の解説をお願いします。まずは“サマヨイ蝶”です。

S:学生の頃に作った曲で、歌詞はその頃から書き直しました。昔はもう少し登場人物の彼が独りよがりの歌詞でしたが、それを今の自分が俯瞰した目線も垣間見えるような雰囲気を出しました。渦中の彼自身は君を求めてあてもなくさまよっていると感じているけれど、他者から見ると、実は軸がしっかりと定まっているんです。彼は君の存在に届かないとしても愛することをもう決めていてそこはぶれない。だから他から見ると一番強い人なのかもしれません。ジャケットに1匹だけ青い蝶を描いて頂いたのですが、青い蝶はユリシスという幸せの蝶を意味しています。さまよい嘆いているようで、彼は君と出逢って愛することで幸せを手に入れているのかもしれません。イントロで蝶がひらひらと彷徨いながら、でも、進む事を決めた情景を感じて頂けたらなと思います。

Q:“Go ahead”

S:コロナ禍で、人々の生活は今までとは激変し、毎日悲しいニュースを目にします。歴史を振り返っても、人は手を取り合って力を合わせて前へ突き進み、何度となく乗り越えてきました。悲しみにばかり目を向けずに、力を信じて前へ進んでいこうという自身を鼓舞する事も含めて、全体への応援メッセージとなっています。普遍性があるような広いテーマだけでなく、ちょっと元気をなくしてしまった時に聴いて一歩前へ踏み出すきっかけになってくれたら嬉しいなと思っています。曲はIsaoさんに要望をお伝えしながら何度か曲を作り直して頂きました。

Q:“What Do You Think Of Me?”

S:今SNSやリモートで実際に会わなくても人間関係が築け、仕事も自宅だけで完結できる人が多くなってきました。SNSのいいねを欲しがる、映えた写真を撮りたがる、そこで周りと競いたがる、仮想的な居心地の良い世界で生き、自分への賞賛に楽しみや喜びはありながらも、実際の自分を知らない、飾った自分しか周りは知らない事にやはりどこか寂しさを感じて、その相反する感情が渦巻く中、ありのままの自然な自分を受け入れてくれる相手が1人現れて、全てを受け入れて欲しいとさらけ出しながら、その分どんな風に相手は思っているんだろうと気になっているという。ミレニアル世代の特徴的と思われるような感情を描きました。

Q:“A・I”

S:この愛が真実であろうが嘘であろうがこの主人公はその渦中にいて愛を相手にぶつけています。そして、歌詞にいろんなアイを沢山入れました。愛、騙し合いの合い、哀、藍、I、EYE、 そして、タイトルのAI。人間のドロドロした感情、執着、束縛、そして、周りからみたら本当の愛ではない事はわかっていながらも真実の愛だと思い込んで、自分なりの愛を相手に伝えている、と言うかぶつけています。この複雑な感情を、日々学習し進化しているAIは理解し、感情として表せるようになる時代は来るのだろうかという挑戦的な思いも込められたタイトルです。

Q.カバーが6曲収録されていますが、この楽曲を選んだ理由は?

S:自分の半生を振り返って、ターニングポイントとなるような曲や、強さと儚さを1曲の中で深く表現できる思い入れのある曲を選ばせて頂きました。また、沢山の方がご存じの曲を、自分が歌うことで自分なりの表現で伝えたかったものもあります。どの曲も理由が一つ一つあるのですが、またどこかでお伝えしたいですね。

Q:今後の活動を教えて下さい。

S:ジャンルに捉われず、拘らずに歌っていきたいと思っています。世界がこのような時期なので活動も制限されることはありますが、伝えたい音を伝えていけたらと思います。Youtubeチャンネルでの音楽配信やライヴを予定しています。もちろんaphasiaの活動も積極的に行っていきます! 5月4日に自主企画ライヴを開催予定です。