2,750円(税込)
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この年に一度の厳選された贈り物は、コンピレーションCDの無限の可能性を再発見させてくれる。 ― Calm
天上から零れ落ちるようなハングドラムの音色、歌心に溢れたフォーク+エレクトロニカのネクストレヴェル、浮遊するチリ/アルゼンチン産ポップ・バレアリカ、注目のポーランド〜イスラエルの新世代東欧ジャズ、そしてサイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」の慈しむようなカヴァー……。夢中へと誘う、美しき旋律の峰々──静かに胸が震える至極の楽曲群をひとつの物語とすべく組み上げられる、感動のコンピレイション・シリーズ第六集。
ビョークをも魅了したハングドラム奏者マヌ・デラーゴによる独奏「Herzkeks」をオープニングに、ザ・シネマティック・オーケストラやボノボのフィーチャリング・ヴォーカリストとしても知られるグレイ・レヴァレンド「To Be Here」、トーマス・バートレットとニコ・マーリーの奇跡のコラボから生まれた「Valentine」、オルタナティヴなべクトルも同時に包括するUKエレクトロニカ・シーンのオリジネイター、タン衝撃の新曲「Dream In」という叙情派フォークの鮮やかな連なり。チリ出身のヴォーカリストとアルゼンチンのマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーによる未だ知られざる男女デュオ、エラード・インフィニート・カンシオネス・ディスペルサスのフアナ・モリーナを彷彿とさせるキラー・チューン「Encontrar」から、アンビエント~ニューエイジ的サウンド・アプローチにジャジーなアレンジが冴えるG.S. Schray「Placeholder Areas」という浮遊感が心地よいバレアリック・パートのひと時に身を委ねる。
アザー・サイドの始まりを静かに告げるのは、現行ポーランド・ジャズの旗手スワヴェク・ヤスクウケのトリオ作「Chili Spirit」。一方、動のタッチで鮮やかに躍って魅せるのはイスラエルの新世代ピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツ。そして幻想的な世界を描くフランスのジュリアン・マルシャルによるピアノ・ソロ「Insight XVI」の流麗なアルペジオにも溜め息が漏れる。昨今ではECMからの一連のリリースが注目を集めるギタリスト、ヤコブ・ブロが2000年代に残した「Hometown Melodies」で郷愁の思いに駆られていると、ジャクリーン・ハンバートの変名プロジェクトが遠い記憶の彼方、もしくは次元の狭間へと聴き手を招く。
後半のハイライトは国内インディー/ネオフォーク・シーンにおけるミューズ誕生の瞬間を捉えたオデオ「White Crow」と、音楽ファンのみならず、ファッション界をも巻き込みながら今やその渦の中心となりつつあるヤン&ナオミの「Utero」。そっと触れるだけで壊れてしまいそうな危うさも同居する二組の描く美しい世界が、切なく胸をえぐる。
エンドロールには上柿絵梨子、ダコタ・スイート&クエンティン・サージャック、ブッゲ・ヴェッセルトフトらによる至極のバラードを。再会へ向けたあたたかな別れのメッセージ「さよなら(Good Bye)」に、春の訪れを待つ「Wintersong」、そうしてサイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」にある永遠の慈愛または祈りのような情感──敷居は低く、その奥は深い、全音楽ファン必聴のコンピレイションです!
TOMOAKI NAKAMURA / 中村智昭(MUSICAANOSSA / Bar Music)