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「若さ」そのものを表現できるというのは、若者の特権であるのだが、
現在20歳そこそこという立川の3ピース・バンド、くらげ計画の3人は、
決してそのような道は選ばない。
90年代オルタナ流儀の静と動が渦を巻き、エリザベス・フレイザーの影が浮遊する如き音世界は、確かに流行りのスタイルとは違うのかもしれないが、同時にそれは、時間軸などは意味を成さない、2019年を生きる若者が持つ特権的輝きでもあるのだ。
みずき(Gt)がかき鳴らすのは、感情が溢れ出すギターの轟音と、危なっかしい揺らぎが散りばめられたアルペジオ。うねるようなフレーズを紡ぎ、確かな存在感を放つひなた(Ba/Vo)のベース。緩急自在のゆーじ(Dr)のドラムスは、自由奔放な弦楽器隊を優しく諫めるように、時にぶつかり合うように、くらげ計画のグルーヴを成立させていく。
「ここではない何処か」にある夢幻的な美に対する憧憬と、醒めた諦観が漂う『リアリスト』の一面が同居する歌詞は、今まで以上に自覚的なメロディを歌うひなたの声によって、更なる凄みを帯び始めた。本作は4曲入りのEPながら、密度の濃い楽曲群が揃っており、
十分にリスナーを満足させるであろう。
3人のジェリーフィッシュが『はじめてみるゆめ』とは、一体どのようなものか?それは聴き手それぞれが、色々と想像してみて欲しい。
井上 光一(音楽ライター)
くらげ計画