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ブラジルが生んだ現代最高峰のピアニスト・作曲家アンドレ・メマーリの新作は、パンデミック期に制作された、エモーショナルな最高傑作。
ジャンルを超越したブラジル最高峰ピアニストであり、この国のクラシック界で最も演奏されることの多い現代の作曲家でもあるアンドレ・メマーリ。40枚近くを数えるリーダー作のなかでも、キャリアに刻まれていくであろう傑作が完成した。「コレラ時代の音楽」と題する本作は、全てをメマーリ自身の楽曲で構成。レコーディングは2020年1月-5月の期間に行われていて、その多くは検疫期間中に録音されている。
メンバー編成は、ネイマール・ヂアス(bass)、セルジオ・ヘジ(drums)とのレギュラー・トリオ(2016年の来日メンバーと同じ)による楽曲が半数近くを占めている。ゲストプレイヤーにハファエル・セザーリオ(チェロ)、クララ・ガジャルド(フルート)を迎えつつ、自身でもピアノ・シンセサイザー類のほか、アコーディオン、ギター、ヴィオラ、ベース、ドラムス、フルート、マリンバ、ホルン、ソプラノサックスなどを演奏。
自身による様々な楽器演奏、そして楽曲ごとにレギュラー・トリオとゲスト・プレイヤーを招いたこの編成は、これまで代表作として挙げられることの多い2枚のアルバム『…de árvores e valsas』(2008年)、『As Estações Na Cantareira』(2015年)でも採用された編成で、コンポーザーとしての世界観を表現する最適解といえるだろう。キーボード奏者ライル・メイズに捧げられたM3、緑深きブラジルの色彩感と疾走感が心地よいM4、M6、リリカルな旋律とフルートの調べが感涙を誘うM10など、エモーショナルな旋律が際立つ最高傑作が誕生した。
※M3 "MAYSWAYS (Lyle Mays in memorian)"。タイトルどおり、先日亡くなったキーボード奏者ライル・メイズに捧げられている。
※M6 "Wardir"スタジオ・ライブ版。アルバムではウーリッツァーが加わる
※M10 "CLARA"。スペイン・マラガ出身のフルート奏者クララ・ガジャルドとのデュオ。
ANDRE MEHMARI / アンドレ・メマーリ