■『TRAUMA FACTORY』に収録された15曲の中には、既にシングルとしてリリースされている「lights(444)」、「pretend」、「death」、「nightmare」、そして最近発表された「blood(feat. KennyHoopla & JUDGE)も含まれている。作品全体を通してnothing, nowhere.は深く自分自身を掘り下げ、奥底に潜むものを抉り出しては、暗闇から浮かび上がり、外界からの余計な期待を削ぎ落しながら、真の創造性が導く光の方向へ進んでいく。その結果完成したアルバムは、陶酔感のあるビートと聴くものを酔わせるような静けさを併せ持つ「love or chemistry」や、冷たいピアノの響きが印象的な「crave」、切迫した感情から生まれた“エモい”「upside down」など、ありとあらゆる形の痛みが、アコースティックやエレクトロニック、ラップにロック、そしてポップにパンクなど様々なサウンドスケープで彩られながら描かれているのだ。
■かつてThe New York Timesが“初期のBeastie BoysのドラムスにRage Against The Machineの吠えるようなラップを展開した正義感に燃えるラップ・ロック・リヴァイヴァル”と評した「death」からダークなテーマを明るいポップ・ロックへと仕立て上げた「fake friend」まで、本作『TRAUMA FACTORY』には、ここ数年のダウナー系ヒップホップと2000年代のエモ・パンク黄金時代をシンクロさせたnothing. nowhereならではのサウンドを手にし、自分自身が抱える恐怖と闘いつつ、人々と音楽で繋がるためにステージに立ち、自身のアートを分かち合いながら、変化と挑戦を続けていく一人のアーティストの姿がある。