マームンヂ、リニケール、タッシア・ヘイス、フラヴィア・ケー、プリシラ・トッサン、トゥヨなど、良質なミュージシャンを多く輩出し、密かに注目を浴びつつあるブラジルのR&B、ネオソウル・シーン。そのなかでも NO.1 ともいえる注目を集めているのがこの YOÙN (ヨウン) です。リオ北部出身、ヴォーカルだけでなくヴァイオリンも演奏する GP ことジアン・ペドロと、ギターを弾くシュナにより結成された二人組。ともにゴスペルやヒップホップに夢中になる一方で、クラシックやジャズの素養を持つという異色の背景の持ち主で、ルイス・メロヂアやエヂ・モッタをはじめスティービー・ワンダーからタイラー・ザ・クリエイター、さらには90年代のパゴーヂからカーク・フランクリンにまで影響を受けているそうです。あるインタビューでは、2021年に惜しくも他界したブラジル・ソウルの重鎮カッシアーノに、ブラジリアンR&Bのルーツを見出し「カッシアーノの楽曲を少しだけスローダウンすると、極上のネオソウルになり、そのうえで韻を踏めるのです」と語っています。
2019年に配信でリリースした「Meu Grande Amor」や「Só Love」がスマッシュヒットし一気に注目を浴びると、その後もシングルやEPを発表。着実にファンを増やしながらリリースした初のフル・アルバムが、この『BXD IN JAZZ』です。先述したシングル曲をはじめ、ビデオクリップも話題となった「Follow Me」など、心地よいミッドテンポのグルーヴと、キャッチーなメロディ、そして色気あるシルキーな歌声で綴られる楽曲群は全曲キラー。ブラジル音楽ファンはもちろん、ソウル/R&Bリスナーをも虜にするであろう極上の ネオソウル・アルバムに仕上がっています。
