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世代を超越したトリプル・ギター・ユニットのデビュー作!
このトリオは、田辺充邦が大先輩である中牟礼貞則と当時新進の浅利史花に声をかけ、2016 年にスタートした。当初は全員がヴィンテージ・ギターをメインとしていたため“ヴィンテージ・ギター・トリオ”として活動。その後、田辺や浅利が様々なギターを手にするようになったことと、まさに祖父と父、孫娘という世代を跨いだユニットであることから、“ジェネレーション・ギター・トリオ”と改名した。
筆者は、このアルバムの 2 日間に渡るレコーディングを見学した。ギターが3本集まれば、バッキングの役割分担やアレンジの仕掛けなど、事前に綿密な打ち合わせがあるかと想像していたが、ところがどっこい、ほとんどの曲は口頭でソロ・オーダーを確認する程度。にもかかわらず、自由に“歌う”ソリストに対して、残る 2 人は時にカウンター・ラインを繰り出し、時にリズムを刻み、またある時は会話しているかのようにソリストに絡んでいく......これらを各自がアドリブで行なっており、結果的に机上では思いもよらないアンサンブルとグルーヴが生み出されていた。これぞジャズの醍醐味!
選曲は、メンバーが持ち寄ったスタンダード 8 曲と、田辺が中牟礼をイメージして作ったオリジナル・ブルース「603」(中牟礼の愛称である「ムレさん」と読む)という9 曲構成。収録後、これまでの中牟礼との共演を振り返り、田辺が“普段の自分の芸風じゃない部分を引っ張り出してくれる”、浅利が“一瞬一瞬を絶対に逃さない姿勢が衝撃的でした”と述べれば、当の中牟礼は“彼らが大変だと感じるくらいに錯綜した雰囲気の入り方をしたい”と大御所ならではの返しを見せていたのが印象的であった。御年89となる中牟礼の圧倒的な存在感、田辺のカウント・ベイシーの如き采配とマニア垂涎のジャズ・ギター・フレーズ、浅利の瑞々しい感性の歌心......耳を3つ持った気持ちでじっくりと堪能してほしい。尚、ギターの定位は、左が浅利、センターが中牟礼、右が田辺となっている。各ヴィンテージ・ギターの極上のトーンも聴きどころだ 。
2022年10月 久保木靖
Generations guitar trio(中牟礼貞則, 田辺充邦, 浅利史花)