サモアから帰還した彼は、音楽活動を再開。18歳でColumbiaとの契約を手にする。2013年にリリースされたメジャー・デビュー作『DORIS』は、全米ラップ・アルバムチャート1位、全米アルバム・チャートでも5位を獲得。さらに同年続けてセカンド・アルバム『I DON’T LIKE SHIT, I DON’T GO OUTSIDE』を発表し、その後3年ほどの期間を置き、2018年サード・アルバム『SOME RAP SONGS』をリリース。制作時に父親が他界した影響が色濃く出たアブストラクトな作品は、彼のリリシストとしての独創性と深い世界観、そして時には実験的にも思えるプロダクションは、PitchforkやThe Wallstreet Journal、GQやThe New York Timesなどのメディアから高く評価された。
2019年に『FEET OF CLAY』、そして2023年1月に『SICK!』とスタジオ・アルバムを発表してきている彼が、新たな作品を配信で発表したのは8月末のこと。この数年、アール・スウェットシャツがプロデューサー、ジ・アルケミストとコラボレーション作品を作っているとの噂が流れており、新たな作品の登場を匂わせるようなパズルがいくつか公開されていたが、その噂が本当だったことをファンが知ったのは8月にGala Musicを通して発表された『VOIR DIRE』のサプライズ・リリースだった。その後10月にすべてのストリーミング・プラットフォームでも新たに、10年の間コラボレーションを行ってきたVince Staplesをフィーチャーした楽曲を2曲追加して配信された本作が2024年、CDとアナログでも発売されることとなった。
