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ノイズとメロディのせめぎ合いで90年代初頭のUKインディを切り拓いたオックスフォードの元祖シューゲイズ/オルタナ・バンドRIDE。『NOWHERE』や『GOING BLANK AGAIN』でギター・バンドの新しいダイナミクスを提示した彼らが、解散と長いブランクを経て2010年代後半に活動を再開し、再びステージとスタジオの両方で存在感を取り戻してきた時期の2019年通算6作目。
再結成後としては『WEATHER DIARIES』に続く2作目となる一枚で、プロデュースは前作同様にEROL ALKANが担当し、ミックスを長年のコラボレーターであるALAN MOULDERとCAESAR EDMUNDSが手がける布陣で、初期CREATION RECORDS期から現在に至るまでの流れを2010年代以降のポストパンク/オルタナ感覚と結び直した内容になっています。アルバム・タイトルはアメリカの鉄道を渡り歩いた人々が使った「HOBO CODE」の記号とジャン=ミシェル・バスキアの初期アートワークから着想され、2019年当時の世界的な政治不安や環境危機の空気も反映したテーマ性を帯びています。
硬質なギターとリフレインするリズムが緊張感を生む"I.D.E."、甘さと翳りを行き来するメロディがANDY BELLとMARK GARDENERのハーモニーに重なる"FUTURE LOVE"、ポストパンク寄りのビートで反復の高まりを刻む"REPETITION"、歪んだギターとベースが鈍く唸る"KILL SWITCH"、ドリーミーなアルペジオと厚いコーラスが広がる"CLOUDS OF SAINT MARIE"、音数を絞った構成で余白の深さを聴かせる"ETERNAL RECURRENCE"など、ポップ・ソングとしての強度と轟音ギターの快感を同時に味わえる曲が並びます。後半も"FIFTEEN MINUTES"や"JUMP JET"の推進力あるビートから、"SHADOWS BEHIND THE SUN"や"IN THIS ROOM"のスロウで広がりのあるサイケデリックな展開まで、2010年代以降のインディ/オルタナを吸収したバンドの現在形が貫かれています。
全編を通して、初期RIDEのシューゲイズ感覚とTHE FALLやSONIC YOUTH以降のポストパンク的アタックを往復しながら、再結成後ならではの達観とソングライティングの成熟が同居しているのが印象的です。30年近いキャリアを経てもなお更新を続けるギター・バンドの2019年時点での到達点として、90年代ファンにも現在のインディ・ロック好きにも薦められる一枚です。
歌詞世界とジャケットに込められた「安全ではない場所」というフレーズが、RIDEの轟音ギターと柔らかなハーモニーで現代の不安な空気を包み込むように鳴る、再結成後のハイライトと言える作品です。
2LPカラー・ヴァイナル仕様限定盤。
RIDE / ライド
1988年、英オックスフォードで結成。メンバーはMark Gardener(G/Vo)、Andy Bell(G/Vo)、Steve Queralt(B)、Laurence Colbert(Dr)の4人。1990年に Creationよりデビュー・アルバム『Nowhere』をリリース。1992年のセカンド・アルバム『Going Blank Again』、1994年のサード・アルバム『Carnival of Light』はそれぞ れUKチャートの5位を記録しヒットするも、1996年の4枚目のアルバム『Tarantula』のリリースを前に解散。2001年の一時的な再結成を経て、2014年に本格的な活動を 再開。2017年には21年振りとなるアルバム『Weather Diaries』をWichita Recordingsよりリリース(UKチャート11位)。2019年には6枚目のアルバム『This Is Not a Safe Place』(UKチャート7位)をリリースした。