2,420円(税込)
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Horse Lordsは、2010年に米ボルチモアで結成されたエクスペリメンタル・ロック・カルテット。ドラマーSam Haberman、ギタリストOwen Gardner、ベーシストMax Eilbacherを中心に始動し、その後アルト・サックス奏者Andrew Bernsteinが加わった。ルネサンス期の対位法、ジャスト・イントネーション、特殊なフレット調整を施した楽器、ポリリズム、ミニマリズム、即興性などを独自に接続し、緻密な構造と強い身体性を併せ持つサウンドを築いてきた彼らは、現代の実験音楽とロックの接点において極めて特異な存在として高く評価されている。2021年以降はメンバー4人のうち3人がドイツへ拠点を移し、カルテットという最小単位を保ちながらも、より拡張的で越境的な表現へと歩みを進めている。
反復するリズム、うねるアンサンブル、緻密に組まれた構造。そのすべてが有機的につながり、鋭さと熱量を同時に放つHorse Lordsの新作。Horse Lordsにとって初めて明確にヴォーカルを導入した作品であり、Madison Greenstone、Weston Olencki、Nina Guo、Evelyn Saylorらを迎えながら、バンドの音楽的探求をさらに押し広げた意欲作となっている。『Demand to Be Taken to Heaven Alive!』という名が示すように、本作には超越や高揚への志向が深く刻み込まれている。もしすべてのアートが政治的であるなら、Horse Lordsのそれは楽観的で、共同体に開かれたものだ。変容や再視認は単なる作曲上の方法論ではなく、「A City Yet To Come」やタイトル曲、さらにはユートピアへの言及にも表れているように、彼らにとってひとつの哲学的態度でもある。
冒頭曲「Eureka 378-B」では、19世紀のセイクリッド・ハープ音楽がGuoとSaylorの歌唱によって導かれ、その旋律が外へと花開きながら、後に続く楽曲群のための音調的な起点を築いていく。アルバム中に挿入される短い「Rotations」群は、他の楽曲の断片を切り出したものであり、さらにタイトル曲「Brain of the Firm」や「Second Galactic Utopia」の一部には変換アルゴリズムが用いられているという。そうした再帰的な手法によって、楽曲同士は互いに影響し合いながら連関し、作曲のスケールそのものを曖昧にし、拡張していく。
「After the Last Sky」は、詩人Mahmoud Darwishの「The Earth Is Closing in on Us」から着想を得た楽曲であり、パレスチナの現実を参照することで、彼ら自身のユートピア的探求が、多くの人にとってはいまだ手の届かない安全や安定の上に成り立っていることを問い直している。音響的にも概念的にも幾重もの層を備えた作品だが、その複雑さを貫いているのは、この音楽が持つ否定しがたい力と人間味だ。聴き手の胸ぐらをつかむような衝撃を与えながら、それでいて聴くたびにまったく新しい像を結ぶレコードは稀有である。Horse Lordsの本作は、まさにそうした一枚。

HORSE LORDS
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DEMAND TO BE TAKEN TO HEAVEN ALIVE! (CD)
2,050円(税込)