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スヴャトスラフ・リヒテル / ライヴ・アット・カーネギー・ホール

20世紀最大のピアニストの一人、スヴャトスラフ・リヒテルが、1960年にニューヨークのカーネギー・ホールで行なったリサイタルの全てをCD13枚に集大成したボックス・セットです。1960年10月15日、シカゴ、オーケストラ・ホールでのラインスドルフ指揮シカゴ交響楽団と共演したブラームスのピアノ協奏曲第2番に始まり、同年12月28日、ニューアークのモスク劇場でのソロ・リサイタルまでの3か月にわたるリヒテルのアメリカ・デビュー・ツアーは、アメリカ音楽界にセンセーションを巻き起こしたのみならず、それまで鉄のカーテンのヴェールに包まれ謎の存在だったリヒテルの存在を大きくクローズアップし、その名声を世界的なものにしました。
特に10月19日から30日にかけて5回行なわれたカーネギー・ホールでの連続ソロ・リサイタルは、ハイドン、ベートーヴェンからドビュッシー、ラヴェル、そしてラフマニノフやプロコフィエフにいたるリヒテルの途方もなく幅広いレパートリーを強く印象付けました。この5回のソロ・リサイタルは当時コロンビアのA&Rプロデューサーだったスカイラー・チェイピンのイニシアチブによってライヴ収録され、LP9枚分の音源が発売されました。またコロンビアのこうした動きに対抗心を燃やしたRCAは、ツアー終盤にニューヨークとニューアークで行なわれた3回の追加公演をステレオでライヴ収録し、その全貌はようやくCD時代になって公に発売されたのでした。

コロンビアの音源もカタログからすぐに消えてしまいLPでの再発売もほとんどなされなかったため世界中のリヒテル・ファンが探し求めていたレア音源でしたが、これらは2015年に限定発売された『スヴャトスラフ・リヒテル~コンプリート・アルバム・コレクション』(※現在は完売)の中でソニー・クラシカル所蔵のオリジナル・アナログ・マスターから正規に初めてCD化され、アメリカの聴衆を圧倒したその凄まじいまでの豪壮かつ繊細なピアニズムの全貌が明らかになったのでした。

当13枚のボックス・セットは、上記『スヴャトスラフ・リヒテル~コンプロート・アルバム・コレクション』から、カーネギー・ホールでのライヴ録音のCD11枚分、そして2016年に限定発売された『グレイト・モーメンツ・アット・カーネギー・ホール』で初めて公にされた1960年12月23日のオール・ベートーヴェン・プログラムのCD2枚分を収録したものとなっています。オールカラーのブックレットには、詳細な録音データを含むトラックリストのほか、ローズ博物館(カーネギー・ホール歴史博物館)ディレクターで建築家のジノ・フランチェスコーニ氏による書き下ろのしエッセイ(欧文のみ)、当時の貴重な写真などが収録されています。 (資料提供:ソニーミュージック)

【収録曲】
【CD1】ベートーヴェン:1) ピアノ・ソナタ第3番ハ長調Op.2-3, 2) ピアノ・ソナタ第9番変ホ長調Op.14-1, 3) ピアノ・ソナタ第12番変イ長調Op.26「葬送」, [録音] 1960年10月19日
【CD2】1) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調Op.54, 2) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情」, 3) シューベルト:即興曲変イ長調Op.90-4, D.899-4, 4) シューマン:幻想小曲集Op.12-2「飛翔」, 5) ショパン:練習曲ハ長調Op.10-1, 6) ショパン:練習曲ハ短調Op.10-12, [録音]1960年10月19日

【CD3】プロコフィエフ:1) 田園風ソナチネ ハ長調Op.59-3, 2) 風景Op.59-2, 3) 思考Op.62-3, 4) ピアノ・ソナタ第6番イ長調Op.82, [録音]1960年10月23日
【CD4】プロコフィエフ:1) ピアノ・ソナタ第8番変ロ長調Op.84, 2) ピアノ・ソナタ第8番変ロ長調Op.84より第3楽章, [録音]1960年10月23日

【CD5】1) ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番ハ長調Hob.XVI:50, 2) シューマン:ノヴェレッテOp.21~第1,2,8曲, [録音]1960年10月25日
【CD6】ドビュッシー:1) ベルガマスク組曲, 2) 映像 第1集, 3) 喜びの島, 4) 映像 第2集~「葉ずえを渡る鐘の音」, 5) 前奏曲集第1巻~「野を渡る風」「アナカプリの丘」, [録音]1960年10月25日

【CD7】1) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番ニ長調Op.10-3, 2) シューマン:ノヴェレッテOp.21~第1,2,8曲, [録音]1960年10月28日
【CD8】ラフマニノフ:1) 前奏曲集Op.23~第1番嬰ヘ短調, 2) 前奏曲集Op.32~第9番イ長調、第10番ロ短調、第12番嬰ト短調, 3) 前奏曲集Op.23~第8番変イ長調, 4) 前奏曲集Op.32~第1番ハ長調、第2番変ロ短調、第6番ヘ短調、第7番ヘ長調, 5) 前奏曲集Op.23~第2番変ロ長調, 6) 前奏曲集Op.23~第4番ニ長調、第5番ト短調、第7番ハ短調, 7) ショパン:練習曲ホ長調Op.10-3「別れの曲」, 8) ショパン:マズルカ ハ長調Op.24-2, 9) ドビュッシー:『映像 第2集』~「葉ずえを渡る鐘の音」, 10) プロコフィエフ:「シンデレラ」Op.95~ガヴォット, [録音]1960年10月28日

【CD9】1) シューマン:幻想曲ハ長調Op.17, 2) ショパン:スケルツォ第4番ホ長調Op.54, 3) ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ, 4) ラヴェル:水の戯れ, 5) ラヴェル:鏡~悲しい鳥たち, 6) スクリャービン:ピアノ・ソナタ第5番嬰ヘ長調Op.53, 7) ラフマニノフ:前奏曲集Op.32~第12番嬰ト短調, [録音]1960年10月30日

【CD10-11】ベートーヴェン:1) ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 Op.2-3, 2) ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 Op.14-1, 3) ピアノ・ソナタ第10番ト長調 Op.14-2,4) ピアノ・ソナタ第17番ニ短調Op.31-2「テンペスト」, 5) ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情」[録音]1960年12月23日 (※「テンペスト」第3楽章の第326小節でリヒテルは記憶が途切れ、第98小節まで戻って引き直しています。当CDでは修正せずにそのまま収録しています)

【CD12】1) ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番ハ長調Hob.XVI:50, 2) ショパン:スケルツォ第4番ホ長調Op.54, 3) ショパン:バラード第3番変イ長調Op.47, ラフマニノフ:4) 前奏曲嬰ヘ短調Op.23-1, 5) 前奏曲イ長調Op.32-9, 6) 前奏曲ロ短調Op.32-10, 7) 前奏曲嬰ト短調Op.32-12, 8) ラヴェル:水の戯れ,9) ラヴェル:「鏡」~第5曲 鐘の谷, [録音]1960年12月26日
【CD13】1) プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第6番イ長調Op.82, 2) プロコフィエフ:束の間の幻影Op.22~第3,4,5,6,8,9,11,14,15,18曲, [録音] 1960年12月26日

【CD1】~【CD9】モノラル録音[コロンビア原盤]
【CD10】~【CD13】ステレオ録音[RCA原盤]

【演奏】
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)