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1974年自主制作で発表された本作、長い間品切れ状態が続きましたがやっと再プレスされました。一見投げやりで、ひねくれたような歌世界は、青春期の自分と、外の世界の間にある葛藤や恋や、これから自分がどこに転がっていくのか分からないという漠然とした不安を切実に表現しています。フォーク・ロックと言う表現手段を用いた人は、当時そこら中にいましたが、彼の場合真剣に、リアルに歌えば歌うほどその上ずった声はどこまでも情けなく、なのに堪らないほどずしりと響いてきます。こんな人、他にいません。またバックを努めた貧°苦巣(ピンクス)の演奏もすばらしく、ほとんど一発録りのような荒削りな演奏も歌世界を引き立たせています。
田中研二