今作ライナーにおけるモス・デフやマルグリュー・ミラーの大絶賛を待たなくとも、先鋭的なジャズにアンテナを張っているファンならその名前が常に頭にあるはずのピアニスト、ロバート・グラスパーの待望の新作!1曲目から突出したリズム感覚と流麗なメロディを容赦なく浴びせられ、思わず硬直してしまいます。そして、彼の音楽センスのよさとポテンシャルの高さを目の当たりにして、興奮してしまいます。これは文句なしにかっこいいピアノトリオ作品であり、こういう若いジャズミュージシャンが自分と同時代の第一線にいるのだと思うと、何だかとても嬉しくなります。ジャズファンやB-BOYだけでなく、全ての音楽ファンの皆さん、亡くなったヒップホップの革命者・J.Dillaに捧げられた(8)を聴いて泣いてください。 (お茶の水ジャズ館 後藤 敏章) ---------------------------------------- ロバート・グラスパー、リーダー3作目のピアノ・トリオ作。彼の知名度を考えるともっと出していそうだが、意外にもまだ3作目。そして何かを吹っ切ったような清々しい作品です。そう、よく思い出してみると今までのリーダー作はピアノ・トリオ・アルバムといえど必ずホーンのゲスト曲が数曲あったのに対し、今作は全部ピアノ・トリオという点(一部スピーチあり)からも、並々ならぬ気合を感じさせます。加えて、グラスパーのファースト・アルバム「ムード」における代表曲「処女航海→レディオヘッドの「EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE」」の再演、ちょっと早いかもしれませんが、原点回帰でしょうか。かっこいいからOKです。その次の曲「J DILLALUDE」、今は亡きヒップホップ界大物ジェイディラさんの曲をとりあげたりと、グラスパーの作品に一貫して感じられるジャンルのミックス化もみられ、聴き応えたっぷりです。でも一番喜ばしいのはグラスパーのアドリブフレーズに「メルドー・コンプレックス」みたいなものを感じさせず、思いっきり感がある事でしょう。グラスパー特有の気持ちよさを意識させます! (新宿ジャズ館 渡辺)
ROBERT GLASPER(p),VICENTE ARCHER(b),DAMION REID(ds)
