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今や、ACT の看板企画とまでなった“Jazz at Berlin Philharmonic”シリーズ第8弾となる作品! ACT のファウンダーであり、シリーズのキュレーターのシギ・ロッホは、この企
画において、ヨーロッパのサウンドを探求し、大舞台での演奏を実現することを、一つのミッションとして発展させてきましたが、17 回目のコンサートは、記念すべき
コンサートとなり、作品化されました。ステージの中心に立つのは、ステファノ・ボッラーニ!90年代の後半より頭角を現し、ほどなくして、TV出演などもあって、イタリアでは知らない人がいない、というほどのスターぶり。しかし、パット・メセニーやチック・コリア、またリー・コニッツといったアーティストとの共演も誇り、エンリコ・ラヴァをはじめ数々の巨匠が認めたことからも、その人気が才能に裏付けられているのも言うまでもありません。
本ライヴは、そのボッラーニが10 年以上にわたって共演するレギュラーのリズム・セクションと、ベルリン・フィルハーモニーのメンバーとの共演によるもの!テーマは、ズバリ、イタリア!しかし、それらは、タイトルである地中海(Mediterranean) とも同義。というのも、地中海(Mediterranean) 世界の舞台こそイタリアであり、紀元前より高い文化を誇り、羨望の眼差しを集めてきた中心。つまり、これは、世界のトップ・アーティスト/ ステファノ・ボッラーニ+ クラシックの頂点を極めるベルリン・フィルの面々がヨーロッパの”心/ ルーツ/ 魂”を描き出す一大企画ともいえます。
モンテヴェルディ、ロッシーニといったクラシックの巨匠の楽曲をはじめ、ニーノ・ロータ、モリコーネといった映画音楽の名曲、そして、ポップ・チューン“Azzurro”まで。楽曲の創られた時代や背景、スタイルは様々。しかし、ハートフルでノスタルジーが滲むメロディこそが、なによりもイタリアの真髄であり、演奏は、聴く者の琴線を揺らします。また秀逸にも、イントロとなるオープニングの“トッカータ”から、ニーノ・ロータの“アマルコルド”(M1-3)、モリコーネのコンポジション3 曲(M4-6)、は、一続きのようであり、コンサートは組曲のように壮大な物語的展開も見せます。
合間で鳴り響く拍手も、相当なもの。当日、ベルリン・フィルのホールは、完全ソールド・アウト!満場のオーディエンスであったと伝えられていますが、それにしても、その熱狂ぶりは凄まじく、ロッシーニのLargo al factotum( 私は町の何でも屋)から、ゴッド・ファーザーの愛のテーマにも流用されたニーノ・ロータの楽曲へと向かうクライマックスからは、観客の本質的な感動が伝わってきます。ちなみに、ベルリン・フィルのアンサンブルをアレンジしたのはノルウェイの鬼才、Gei r Lysi ne。このGei rとボッラーニは、NDRビッグ・バンドとのコラボがあり、『Big Band! Live In Hamburg』として作品化もされていますが、クラシックを専門とするベルリン・フィルのメンバーの采配も大成功!88 の鍵盤をフルに使い、ピアニッシモから、ダイナミックな演奏まで、ユーモアまでをもまじえて演じるボッラーニの才能に感服しつつ、イタリア~地中海世界の豊かさを感じる作品です。
Stefano Bollani(p), Jesper Bodilsen(b), Morten Lund(ds), Vincent Peirani(acco)
14 members of the Berliner Philharmoniker, Geir Lysne (arrange & conduct)
STEFANO BOLLANI / ステファノ・ボラーニ