2026.04.17
※変型A4判(W210mm×H278mm) / 148ページ
2025年の1年間に撮影した日本全国のジャズ喫茶、30軒を紹介する写真集。
――本書「あとがき」より――
この「あとがき」を書きはじめる直前に東京・新宿の「DUG」が「閉店のお知らせ」をSNSで公表した。1961年に開業した「DIG」は会話禁止ルールを徹底させた、いわば禅寺のごときジャズ喫茶のスタイルを全国に広めた店であり、1967年に姉妹店として開業した「DUG」は、ジャズを聴きながら会話も楽しむことができる、現代のリスニングバーの元祖といっていいスタイルをインスパイアした店だった。「DIG」が1983年に閉店し、この2026年に「DUG」が閉店することで、日本のジャズ喫茶文化の象徴だった「DIG-DUG」がその65年の歴史を閉じることになる。
「DUG」閉店の理由は「ビルの解体のため」らしい。いま日本の大都市では大規模な再開発が積極的に行われ、古い建造物が惜しげもなく打ち壊され消滅している。「DUG」のある新宿3丁目は東京で最も地価の高いエリアであり、客単価の低い「喫茶店」がこれまで営業できていたことは奇跡だったが、これからはもうこのようなジャズ喫茶は東京には現れないだろう。
いま東京でジャズ喫茶を開くためには家賃の安い物件を探すことが最重要課題であり、そのために店主の理念が制約を受けることも多い。その一方で、地価がまだ安い地方では店主の意思を忠実に反映させたジャズ喫茶を開くことは可能で、この本の表紙となった「順刻堂」もそのひとつだ。日本列島の最南部、東京から約1,300km離れた鹿児島に10年前に開業したこの店はジャズ喫茶の理想の形を体現している。日本の各地方ではこうした店が健在であり、それらが新しい波を起こしてくれる可能性がある。「DUG」の閉店告知の最後が「To be continued…」という言葉で締めくくられていたように、ジャズ喫茶100年の歴史はまだまだ続くのだ。
2025年のジャズ喫茶 掲載店(計30店)
《鹿児島》順刻堂/CafeBarジムラン/JAZZ&自家焙煎珈琲パラゴン/ラグタイム/ジャンゴ/ラックアパートメント
《秋田》ケニー・トーン/リスニングカフェ百/ロリンズ
《岩手》クイン/やすらぎの宿 廣洋館/Brew Note遠野/カフェもりそん/ロイス/タウンホール
《宮城》ヴァンガード
《静岡》珈琲アガルタ/ジャズと喫茶フィガロ
《岐阜》Jazzカフェ シリープティ
《大阪》いんたーぷれい 8/ プレイオフ
《兵庫》Doodlin’(ドゥードリン)
《香川》Fifty
《東京》パンジャ/アルテック/ファンキー/クレセント/Café&Barルートダウン/ジャズナッティ
《福井》THEECOFFEE(ジーコーヒー)

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