【HIPHOP】タイの異能、Juuが1stアルバムをドロップ!!鎮座DOPENESS、スティルイチミヤ(田我流、MMM、Mr.麿、Big Ben、Young-G)参加!

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2019.06.10

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ディスクユニオン HIPHOP/R&B


鎮座DOPENESS、スティルイチミヤ(田我流、MMM、Mr.麿、Big Ben、Young-G)参加!まだアメリカが知らないHIPHOP最新形はここにある! 88risingと真逆の方向からアジア・ローカルをレペゼンし、それ故にグローバルに通用する全くフレッシュな音楽を創作するタイの異能、Juu。オートチューンを手にいれたキャプテン・ビーフハートか?水牛に乗ったドレイクか? 1stアルバム『ニュー・ルークトゥン』がいよいよドロップ!

Juu(ジュウ)とは何者か?魅力的なアクトがひしめくタイHIPHOPシーンでもOG としてリスペクトされる彼だが、国外からキャッチするのは困難を極める。タイ語で歌いフィジカルはゼロ、Youtubeにしかいない彼にOMK(One Mekong)が接触し、 2017年には初来日ライブを敢行。その異形な音楽性と人物像が明らかなった。太すぎるベースと刻まれたハイハットのグルーヴはTRAP以降のそれだが、自在なフロウ、英・タイ・日本語・甲州弁を織り交ぜるぶっ飛んだ言語感覚、豊穣なタイ音楽クラシックからの引用(あとファニーな人柄)そのどれもが当世に溢れるTRAPコピーキャット達と全く別次元にいることを示していた。

本作はこの異才とOMKの面々が意気投合し、stillichimiyaのYoung-Gのリードで共同制作を始め、2年がかりで上げた初のフル・アルバムだ。大半のトラックが Young-Gの手になるもので、これがOMKのアティテュードを反映した野心にみなぎっている。タイ固有のビートやグルーヴを注入するため必然としてタイの楽器ケーンや ピンを取り込む手法にエキゾチシズムは介在しない。そしてメロウな曲で滲み出るのはルークトゥンとも日本の演歌とも通じるフロウ(歌心)。それらがJuuのバックグラウンドであるHIPHOPやレゲエを介してなんとも言えない「新しい歌謡感」を生み出している。

表題が示す通り、本作は死滅しかけていたタイ歌謡、ルークトゥン(*1)を最先端 HIPHOPでパッタナー(*2)したものだ。このルークトゥンという音楽は、過去のクラシックを何度も引用(サンプリング)して蘇らせ、同時に歌詞(リリック)を極めて重視する点でHIPHOPと太い共通項を持つ。このルークトゥンとHIPHOPに通じるマナーを完全に矛盾なく消化しきったのが本作だ。Juuが制作の過程で「これはニュー・ルークトゥンだ」と言ったことから付いたタイトルだが、これは必然というべきネーミングだろう。本作は「最新のHIPHOP」であり「最新のルークトゥン」でもあるのだ。タイHIPHOP界最高の”マスター・ポエット”としてリスペクトされる Juuの世界は、難航を極めた(!)完全対訳で是非チェックを!

*注釈: 1)ルークトゥン:“田舎の子”、“田舎者の歌”の意を持つ音楽ジャンルで、1960年代半ばにその名が確立し、現在はタイのナショナル・ミュージックとして継承される歌謡音楽。田園風景、田舎と都市の対比、市井の生活や時事問題を扱い歌詞を特に重視する。特定の音楽形式がないため雑食性が高い。 2)パッタナー:タイ語で変革、発展、改革の意。プロデューサー達が好んで用いる言葉。タイではパッタナーを怠った音楽はあっという間に一線からいなくなる。 3)歳上を敬う社会であるタイの音楽業界には師匠・弟子の伝統がある。HIPHOPであってもその関係は揺るぎない。




<収録曲詳細>
収録曲の多くはジュウと彼の弟子(*3)、G. Jee(G.ジェー)によるタイ日英語を交ぜたツイン・ヴォーカルで歌われる。70sルークトゥンをループしたWEIRDトラックで鎮座DOPENESSとMMM(スティルイチミヤ)をフィーチャーした「深夜0時、僕は2回 火を付ける」(M1)にはじまり、スリン・パークシリがプロデュースしたカワオ・シアントーンのガンジャ・チューン名曲「Bong Ganja」をサンプリングしてアーバン・メローに仕立てた「ラ・エイ・ラ」(M3)、ルークトゥン王道テーマを歌う「She Ley~田舎でのんびり」(M4)、<合法化>を訴えるバラード「隣人」(M5)、パイリン・ポーンピブーンの美しい名曲が暴力的なベースに変貌した「Yum Klom Thung~ハナと僕の道」(M6)、スティルイチミヤが勢揃いしパス・ザ・マイクで盛り上げる「ソムタム侍」(M7)、ダオ・バンドン「水牛に乗る人」へのオマージュの姿をしたグローバリスト批判「水牛に乗るエイリアン」(M9)、そして「OMKテーマ」(M10)で締めるという怒濤の40分。
バンコクの旧市街ウォンウェンヤイ出身、インディペンデントでDIYな活動を行うミュージシャン、音楽プロデューサー、スケーターで元暴走族。レゲエ・バンド、4E Rastafari のメンバーであり、伸ばし続けるトレードマークのラスタ・ヘアーそのままのチューンが多いが、実はダブルミーニングなリリックを特徴とする社会派ラッパー。タイ語、英語、クメール語、日本語、Juu自身が作ったno languageでラップ可能で、プムプワンやチャーイ・ムアンシンといったルークトゥン歌手のフロウをラップ化したり、タイの古典文学 や詩を引用するセンスは誰も真似できない。
Anderson .Paakと共演し、Yellow Fang(日 本でも人気のタイのインディー・バンド)やTwopee Southside(タイNo.1のスキルを 持つラッパー)といったアーティスト達からジャンルを越えてリスペクトされている。ティーンが熱狂するYoung Bong(タイの2人組ラッパー)はジュウの弟分。フィジカル・リリース無し、サブスク無しという彼の作品はYouTubeならぬで公開中。最近はヤン富田に夢中でインスト音源もリリースしている。「グッチの鞄もコンビニの袋も一緒」「ランボルギーニより自転車がクール」等々口から出てくるのはキラー・フレーズばかり。謙虚で非常に腰が低い好漢。G. Jee(Gジェー)はジュウが目をかける弟子で、ステージではジュウ負けない圧倒的なパフォーマンスをみせる期待のラッパー/シンガー/ソングライター。ジュウの強烈な世界観に日々触れている人ゆえ今後はソロ作品にも期待大。