PUNKスタッフによるオススメの1枚!!"STAFF REVIEW"

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2019.05.13

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NoLA / Santa Muerte

BREAK THE RECORDS / BTR091 / 営業部:安藤

80年代ハードコア黎明期、90年代からのPOWER VIOLENCEの台頭を経て、2000年代は更にエクストリームな音楽が生まれた。2020年を目前に控えた今、日本の重音、轟音、激音の世界は新興バンド大豊作状態である。ENDON、BLACK GANION、self deconstruction、palm、FRIENDSHIPなどなどのバンドが、これからの音楽シーンに名を残すであろう名作を次々に生み出す中、遂に最終兵器がアルバムを完成させた。東京ダークサイド・ハードコアNoLAの『Santa Muerte』である。彼らをまだ知らない方は今のうちにチェックする事をお勧めする。前述のバンド達よりも年齢こそ若いが、肩を並べて音楽シーンを形成する一端を担い、ジワジワとその熱を伝播させている最中だ。1stアルバムながらレコーディングはカリフォルニアはオークランドのEarhammer Studiosにて敢行。エンジニアのGreg(DeathgraVe/Brainoil)との息の合ったスタジオワークにより、NoLAの音世界を最大限拡張させた形で作り上げたのだ。そしてそのリリース日にメンバー達はオーストラリアツアーへ向けて飛び立つという暴挙。リリース後最初のライブに参加できたのは、運の良いオージーとカンガルー達だけだったようだ。そう、これが世界基準のバンドのスタイルだ。



MASKED INTRUDER / III

PURE NOISE ENTERTAINMENT / PNE228-2 / 新宿パンクマーケット:石谷

発売から少し経ってますが、引き続き店頭演奏の際お問い合わせ頂く率NO.1。現行MELODIC/POP PUNKの中で群を抜きまくりのメロディセンス、嫌味のないハモリ、チャラすぎないキャッチーさ、むむむ。これは間違いなく最高峰。みんな前ならえでWEEZERに寄せて行くなんちゃらリヴァイヴァルバンド達のPOPセンスの無さを、これでもかとゴリゴリに浮き彫りにしていく爽快な1枚。



Tragic Film : Runner / split

FINAL LETTER / FL018 / 千葉店:矢代

東京のTragic Filmと大阪のRUNNERによるsplit 7inch。A面のTragic Filmは文字通りパワーヴァイオレンスxユースクルーを体現したサウンドでとにかくファストに突っ走った後のブレイクダウンは完全にオールドスクール(勿論その逆も然り)。90年代から80年代に逆行していく感じがたまらなく良いです。B面のRUNNERは極悪感全開なミドルテンポD-BEATで幕開けしたかと思った直後に怒涛の高速ブラストで面喰らってしまいました。BRUTALなサウンドとドライヴ感、そこからの落とし方とかはTragic Filmと対照的でゴリゴリの現行最前線です。この2バンド、音源も最高なんですがライブが衝撃的なので見て頂きたいです。6/22(土)にレコ発東京編あるので是非。



theorem / theorem


FURTHER PLATONICS / FTPS61 / 立川店:中村

theoremを初めて聴いてから早10年。ニュースクールやメタルコアに夢中だった当時、YOU NAME ITというZESTONE RECORDSとNONAME Magazineによるコンピを友人に勧めてもらいDISC1の12曲目で衝撃が走った記憶は今でも思い出します。その後1ST EPを聴いてさらにハマり憧れの存在でした。当時は激情スタイルだったtheoremも時を経、紆余曲折ありストレートでありグランジ・オルタナティヴの初期衝動を感じさせるサウンドへと進化。ストレートなロックを奏でつつも垣間見られるエモ感、幅広い層に愛される1枚になるでしょう。



sassya- / 脊髄

Kerosene Records / KRSE8 / 新宿パンクマーケット:吉澤

何に腹を立ててるわけでもなく、ただただイライラが蔓延する東京の電車内。ちょっとおかしいんじゃないか?と口にしたくなる都会の空気に、中指を立てるようなsassya-のリリック&サウンドが最高にマッチしてしまう。今、歌詞カードを見ながら聴きたい音楽がどれほどあるだろうか。月額●●円で個人のキャパを超える数の音をポケットに入れ持ち運び、しかしそれらは一体何回イヤホン越しに再生されるのだろう。そういった便利なツールを否定するつもりは全くないし、それによって掘り出される音に感性を刺激される人が多々いるのも間違いない。問題なのはツールでなく、便利を使いこなせず、表面をうっすく掬い取って満足してしまう個々の感性だろうと。スマフォに(BGMとして)インプットされている音楽の上っ面だけで満足されてしまったら、その音に乗った思想は掘られることなく死に、残るのはファッションとしてのポーズだけなのではないだろうか。ファッション化された音楽シーンなんてノーフューチャーだ。そういった現代的な問題を漠然と考えさせられるのは、sassya-が誤解を恐れず しっかりと尖ったマインドを乗せた 説得力のある音を鳴らすからであり、俺は本気で彼らを日本のフガジだと思っている。"~しながら聴く"BGMでなく、じっくり、大切に、何回も再生していただきたい。sassya-こそ表現をし続けるべきバンドであり、この1枚こそ大勢のイヤホンから鳴らされるべき音だ。



SOLPAATOS / VAPAUS

Discos Peligrosos / DP003 / 横浜西口店:斎藤

新潟はFinnish Raw Punk band "SOLPAATOS"の2007年のレアなデモ音源から2017年の3way splitまで全22曲を収録したディスコグラフィーCD。日本の新潟という土地で独自にFinnish punkを更新し続けたサウンドはドタバタでノイジーだけどキャッチーで哀愁漂うコーラスにメロディーが最高!!クセのあるフィンランド語でも耳に馴染み、興奮と共にグットメロディーでずっと聴けるスルメ盤。今回のたっぷり聴けるCDも嬉しいですがやっぱりアナログでも聴きたいですね!



SVAVELDIOXID / DODSOGONBLICK (LP)


D-TAKT & RÅPUNK / DTAKT093 / 営業部:時田

前作アルバム、スプリット数作といずれも外れなしでしたが今作もやはり良いです。UNCURBED、初期DISFEAR辺りを彷彿とさせる90's Distortion Records直系の重厚鋼鉄DIS-COREはいささかのブレも無し。こういうゴリ押しD-BEAT大好きなのでこれこれ!と唸ってしまった。MASTERとかのハードコア寄り初期デスメタル好きな人もすんなり聴けるはず。



FOETUSGOD : ilska / Implode

STAND FOR UNITY / SFU002 / 営業部:青砥

今かなりアツい西日本のダークサイドを凝縮した凶悪SPLIT!!広島のFOETUSGODはザクザクのリフに単音も盛り込んだDEATH METAL/EDGE METALに対する愛と敬意がガッツリ滲み出てるフルモッシュ誘発系BEATDOWN HARDCOREで既に最高。岡山のilskaは更にアップデートを重ねてきた狂気のVIOLENT HARDCORE!単なるPOWERVIOLENCEやGRINDCORE等の枠に収まらないこのエクストリームな楽曲センスには毎回ブチ上がってしまいます。どちらもライブ観た過ぎる!!



FATAMORGANA / TERRA ALTA (LP)

LA VIDA ES UN MUS / MUS188 / 新宿パンクマーケット:石井

BELGRADOのシンガーとしてお馴染みのPATRYCJA PRONIEWSKAと、SHITTY LIMITSやGOOD THROBなどに在籍していたLOUIS HARDINGによる2人組シンセポップユニット待望のフルレングス。バンドの音やスタイルをちゃんと表現出来ているのが良いジャケットデザインだと思うのですが、本作はまさにそれ。ミニマルなエレクトロサウンドにぴったりハマるセンス抜群の配置と色。事前に音は聴いてましたが、これはもはやジャケ買いです。そういえば限定プレスのカラー盤も水色、アー写でPATRYCJA嬢が着ている衣装も水色、去年出たデモカセットのジャケも水の中でした。イメージ戦略も完璧です。



WORLD IS A VAMPIRE / TRENCHSEWER/HEARTSHORN (LP)

FEAST OF TENTACLES / OCT47 / 営業部:時田

現代最重要スラッジ・ドゥーム・アクトTHOUのメンバーも在籍するニューオリンズからの新たな刺客。ブチ切れたCHRISTIAN DEATHか、はたまたゴスいHOAXか。退廃・耽美・凶暴性を綱渡りするさまが実にスリリングなデカダン・ロウ・ハードコアパンク。昨年はCITY HUNTERが話題になってましたがこれも凄いぞ。



THE TITS / Great Punk TITS


T.T.RECORDS / T.T002 / 大宮店:三浦

現行ハードコアを追いかけている方には既にお馴染みかと思いますが、東京ハードコアパンクTHE TITSの現段階での全音源を収録した編集盤CD。日本の代表的なノイズコアといえば、札幌のNAPALM、L.S.Dや、九州の白(KURO)、CONFUSEなどが挙げられますが、その先駆者たちの荒々しくバイオレントなスタイルを現在進行形で奏でるのがこのTHE TITS。昭和から平成、そして令和へと時代は変わっても、変わらない伝統的な日本のノイズハードコアパンク。今回は初の自主レーベルからのリリースということで、今後の展開が既に楽しみであります。そして、私と同じように、このタイトルに一瞬で心掴まれた方も多いのではないでしょうか。



WARCOLLAPSE / DESERTS OF ASH

CRIMINAL ATTACK / CAR039 / 営業部:佐々木

我らの"Warcollapse"が平成を終えるこのタイミングで12年振りとなる新作アルバムを世に産み落としたわけですが、内容は言わずも全曲聴き逃し厳禁な5曲。「え、たったの5曲!?」と思った方もいると思うが…そう、たったの5曲(泣) しかしベテランという肩書を忘れさせる、衰え知らずの重厚で疾走感満載な正統CRUST HARDCOREサウンドは勿論健在。毎度病みつきにさせる1~4曲目の漆黒王道サウンドに対し、ラストは10分超えのスロータイトルナンバー「DESERTS OF ASH」。強/弱をこれでもかと魅せ付ける1枚には只々、圧巻の一言。CDはブラジルのCriminal Attack、LPはInsane Society Records、Phobia Records、ByeBye Productionsの3レーベルから共同リリース。嗚呼、誰か日本に呼んでくれませんかね。。(切実)



GIGANTIX / HITS FROM THE GIGANTIX


ONE HIT RECORD / / 新宿パンクマーケット:佐藤

PSYCLOCKSのジャケットやTシャツなどのデザインも手掛ける奇才YUJISMARAGDINA氏のボングジャケットから見てもトリップ必至なGIGANTIXの1STアルバム。緩急の付け方は本当に秀逸、ドタドタのドラムとバキバキのスラップで高速低音たまんないって思ったら次の瞬間にはスローなキンキンギターのリバーブが強烈で世界がぐにゃ~~んと歪むんです。あれ、いつの間にかキメちゃったのかしら?と心配するとヴォーカルSHINYA氏のTHE・サイコビリーヴォイスで安心。そうだ、GIGANTIXを聴いていたんだ。ああ、なんて気持ちいいサイコビリーなんでしょうか!小国日本、でも日本のサイコビリー全然海外に誇れるって再確認させていただきました。不良感たっぷりのライブも最高ですがヘッドフォン+爆音もオススメ致します。



REXMANNINGDAY / REXMANNINGDAY. (12")

GET BETTER / GBR070 / 営業部:時田

男女混声、大合唱、哀愁、ラフメロディック!!!もうこれだけで聴かずにはいられないワードてんこ盛りですが、とりあえずbandcampで聴いてみてください。GET UP KIDS 1stばりの走り出さずにはいられない系エモ(Coming Cleanのカバーもやってます)にLATTERMAN~RVIVRラインを足して美味しいところを完璧に抽出してます。今作はデモの再発とのことなので早くアルバムサイズで聴きたい。



NO BLUES / A COLLECTION OF LOVE SONGS (LP)

SCHIZOPHRENIC / / 新宿パンクマーケット:小室

今最もカッコイイパンクバンドの一つでしょう。初音源となるカセットオンリー作に2枚の既発シングル、更に本作初出しの5曲を追加したコンプリート集。UKのTHE BOYSに例えるなら1stアルバムの楽曲クオリティそのまま全曲スピードUPして1分前後で終わるはじめてサウンドの連発。今の所本作のみでしか聴けない女性ボーカルを迎えたB面「Love'Til The End」も素晴らしいが個人的にはA3の「Caffine Shakes」が好き。RICH KIDSとサンハウスが合体したみたいだ!EXPLODING HEARTSのオマージュ曲もあり聴き応え位十分。リリースはレコードオンリーで限定100枚。



DEVIL MASTER / SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT


RELAPSE / RR7422 / 千葉店:内澤

もうすぐ令和、そして2020年を迎えますが、日本の80年代のハードコア・パンクが巻いた種はまだ生きています。USはフィラデルフィアのメタルパンク・バンドDEVIL MASTERの待望の1stフルアルバムが、編集盤をリリースしていたRELAPSEより続けてリリースされました。当然編集盤に収録のカセット音源で聴かせてくれた日本の昭和のメタルコアを踏襲して踏襲して踏襲しまくった危険で暴力的な世界観はそのままですが、良い意味でも良くない意味でもカセット音源では危なっかしかった部分が研ぎ澄まされ、RAWで暴力的というよりも研いだナイフのような冷ややかさと鋭さを楽しめる1枚になっています。少し前のリリースにはなりますし、もう当然チェックされている方も多いでしょうが、未チェックで日本の80年代ハードコア・パンクが好きな人は、このバンドは是非チェックしてみてください。



BLOWFUSE / DAILY RITUAL


LONG BEACH RECORDS /LBRE042 / 営業部:牛頭

スペイン産現行スケートパンクバンド"Blowfuse"の11曲入り2019年リリース新作。 前作「Couch」(2014年リリース)から5年経ちますが、今作も時代の流れに乗る気が全くないブレない90年代サウンドが最高です。メンバーのナイスなファッションセンス含め、どっぷりスケートカルチャー愛が伝わってくるのも素敵。彼等は去年Romantic Nobitaの招聘でジャパンツアーもしてました、是非また来日してほしいですね。



FASTener / THE COLD THRASH

CREW FOR LIFE RECORDS / CFL-76CD / 渋谷パンク・ヘヴィメタル館:小林

現SPY MASTER,PUNK NINJA BRIGADEのギターH.C.DIEこと志賀を中心に結成された、東京と横浜のメンバーによるFAST THRASH HCバンド。自主企画や精力的なライヴ活動を行ない、待望の6曲入り1st EPをリリース。KRIGSHOTやTOTALITAR辺りのSWEDISH HCや、RIPCORD辺りを思わせるサウンドで実にかっこ良い。志賀のセンスが溢れる楽曲で所々のフレーズにもニヤリとさせられます。7インチ(CD付)は200枚プレスなのでお早めに。



V.A / FxOxU rulerz

FRONT OF UNION / FOUM024 / dues新宿:松尾

京都を拠点とするFRONT OF UNIONの、設立から15周年を経ての初レーベルコンピレーションアルバム。KiM(京都)、BALL BUSTERS(京都)、FIVE NO RISK(大阪)、EX-C(大阪)、BEYOND HATE(浜松)、KLAXION(北九州)が参加。東海~西日本の今を駆け抜ける6バンドを収録。それぞれ新録で2曲ずつ参加、さらに各バンド1曲ずつMVも公開になっており、このコンピレーションアルバムがレーベルにとって如何に重要な作品であるかも感じ取れる。内容の方も、芯のある姿勢と柔軟な活動スタイルが楽曲にも滲み出ており、各々の持ち味を堪能できるハードコアサウンドに溢れている。一言にハードコアと言ってもはっきりと個々の持ち味が異なり、それがレーベルカラーとしても打ち出されていて、各バンドのファンはもちろん、1枚のアルバムとしても素晴らしい。6/23からはこのコンピを引っ提げてのレーベルツアー“FxOxU rulerz” リリースツアーも開催。そしてこれだけでは終わらない。ツアー中にEX-Cの新作リリース、その後もKiM、BEYOND HATE、KLAXION、FIVE NO RISKとまだまだリリースが続く模様。FRONT OF UNIONというレーベルからも、看板を背負うバンドからも、まだまだ目が離せない。
FRONT OF UNION compilation album [FxOxU rulerz] SPOT 映像
https://www.youtube.com/watch?v=jZAY-bLyGk8
こちらのチャンネルで各バンドMV公開中!
https://www.youtube.com/user/frontofunion/videos

【過去レビューはこちら】
■STAFF REVIEW vol.01号
■STAFF REVIEW vol.02号

■STAFF REVIEW vol.03号
■STAFF REVIEW vol.04号