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※2LP / Gatefold
コルトレーンとファラオが共に活動したのは65年から67年までの二年間。兄貴分であり良き理解者のコルトレーンがこの世を去った後、直接受け継いだ思想や精神性を自身の作品に注ぎ込んでいきました。『ジャーニー・トゥ・ザ・ワン』ではコルトレーン作「アフター・ザ・レイン」を取り上げていましたが本作でファラオが選んだのはブルーノート盤『ブルー・トレイン(BN1577)』に収録のコルトレーン・クラシックス「モーメンツ・ノーティス」。モダンファンには馴染みのあるコルトレーン唯一のBNリーダー盤に収められた入魂の一曲。しかも本バージョンは泣く子も黙るヴォーカリーズ。さらに興味を惹かれるのはテレサらしからぬビップな共演メンツ。ハッチャーソン(vib)、アート・デイビス(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)と大御所モダン勢。加えてファラオクルーからはジョン・ヒックス(p)、レスター・ボウイと共演経験のあるスティーヴ・ターレ(tb)、ストラタのチャールズ・トリヴァー・ビッグバンドに参加のダニー・ムーア(tp)が加わっています。三管+ヴァイブとファラオにしては珍しい大編成を従えてコルトレーンへの想いを熱くブロウ。リリックからもがっつり伝わる伝承精神。スピリチュアル/フリーキーな曲調ではなく、爽快でメロディックにグルーヴしています。またファラオのアフリカ系民族思想が爆発したB面も興味深い内容。コンガとシェケレが細かく刻むカリビアンリズムに乗せて全員でだみ声シャウト! 素っ裸で家を飛び出したくなります。要注意。個人的にとっておきの一曲はアルバムを締めくくるD3「ファラー」。ファラオとジョー・ボナーのデュオは幻想的で透明で優しくて切ない。きっと大切な人を思って書いた曲なんだろうなぁ。
JOE BONNER, JOHN HICKS(p), ART DAVIS(b), ELVIN JONES, BILLY HIGGINS(ds), BOBBY HUTCHERSON(vib), STEVE TURRE(tb), DANNY MOORE(tp). 1981年
[ 1981年 ]
渋谷JAZZ/RARE GROOVE館 野村優
PHAROAH SANDERS / ファラオ・サンダース