SP盤 落語レコードがひらく近代日本語研究

金澤裕之 / 矢島正浩

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レーベル
笠間書院
国(Country)
JPN
フォーマット
BOOK
規格番号
通販番号
1007990230
発売日
2019年09月11日
EAN
9784305708793
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商品詳細情報

「日本語史の宝の山」である落語は、どのような可能性を有するのか。
明治後期より録音された東京と大阪の落語SPレコードを材料に、言語表現に関してさまざまな角度から分析を進める。
落語資料についての丁寧な紹介・解説から始まり、その言語学的性格に迫る諸論考を配置。今後の研究指標となる日本語史諸分野の成果を収める。
 


本書の議論を通じて、落語から得られる言語史的情報が、これまでに明らかにされてきた近代日本語の話し言葉史において、時系列的に矛盾なく配置されること、口語資料の1つとして新たな知見を加え得る、固有の価値を有するものであることが確認されることと思う。……落語資料は、それぞれの問題意識を背景とすることによって、無数の利用法が可能である。……まずは本書の試みをきっかけに、近代日本語研究が、自在に、広く展開することを願うものである。(本書「なぜ落語資料なのか—序に代えて」より)



【執筆】
揚妻祐樹・岡部嘉幸・小野正弘・金澤裕之・川瀬卓・金水敏・坂井美日・清水康行・野村剛史・宮内佐夜香・宮地朝子・村上謙・森勇太・矢島正浩
 

目次
なぜ落語資料なのか—序に代えて●矢島正浩
1.本書のねらい
2.近代日本語資料としての落語
3.本書の構成
4.広がる落語資料の利用可能性
 


I[解説]録音資料としての落語
 

1 最初期日本語録音資料史の素描——録音再生装置の開発から出張録音時代まで●清水康行
要旨
1.はじめに
2.録音再生装置の発明
3.蝋管式蓄音機と円盤式蓄音機の開発
4.録音再生装置の日本への紹介
5.欧州で録音された現存最古の日本語録音資料群
6.円盤式蓄音機による最初の日本語録音
7.20世紀初期に録音を残した東京落語家たち
8.最初期落語録音を聴く手段
9.復元再生音の忠実度
10.聞き做しの問題:オバマ広島演説記事を他山の石として
 


2 SP盤落語レコードとその文字化について●金澤裕之
要旨
1.はじめに
2.SP盤レコードに遺された日本語
3.落語&演説レコードの資料的性格
4.対象とした作品
5.落語レコードの文字化について
6.おわりに



II言語資料としての落語
 

1 各種録音資料に見る、方向・場所を表す「へ」格と「に」格●金澤裕之
要旨
1.はじめに
2.これまでの研究状況
3.録音資料における「へ」格と「に」格の出現状況
4.資料の全体から窺える特色
5.詳細な部分の検討
6.おわりに



2 近世江戸語における指定表現の否定形—近世上方語および近代東京語・京阪語との比較●岡部嘉幸
要旨
1.はじめに
2.調査対象と調査資料
3.近世語における指定表現の否定形態の実態
4.近代語における指定表現の否定形態の実態
5.まとめと今後の課題



3 SP盤落語レコード資料に用いられた語彙の「近代性」●小野正弘
要旨
1.はじめに
2.方法
3.分析と考察
4.おわりに



4 東京落語と「標準語」●野村剛史
要旨
1.落語速記録
2.「標準語」とは
3.東京落語と標準語
4.速記録の資料性



5 落語の「会話」と「地」の東西比較——接続辞使用傾向から見るスタイル●宮内佐夜香
要旨
1.はじめに
2.先行研究
3.本稿の目的
4.調査について
5.各地域・各文体における傾向
6.地のスタイルの実態
7.おわりに



6 大阪落語SP盤文字化資料における「。」の加点状況——文のあり方を探る●村上謙
要旨
1.はじめに——落語の文構造にせまる
2.調査方法と注意点
3.調査結果
4.上位3項目の分析
5.第4位の項目について
6.その他の項目について
7.「。」を加点してもよさそうなのに加点されていない場合について
8.落語の資料性
9.最後に



7 文体面から見た偶然確定条件の諸相——落語SPレコード・『夢酔独言』・尾崎紅葉の言文一致体小説を中心に●揚妻祐樹
要旨
1.はじめに
2.明治後期〜大正期落語SPレコード資料の偶然確定条件
3.江戸語・東京語の偶然確定条件——『無酔独言』を中心に
4.尾崎紅葉の言文一致体小説における偶然確定条件
5.まとめ



III 日本語史における落語
 

1 SP盤落語レコード資料における人の存在文●金水敏
要旨
1.はじめに
2.金水(2006)の整理
3.大阪落語の調査
4.東京落語の調査
5.統計と東西の比較



2 SP盤落語資料のダケ・バカリ●宮地朝子
要旨
1.はじめに
2.バカリの歴史概観
3.SP盤落語資料のバカリとダケ
4.近代期のバカリ・ダケとSP盤の位置づけ
5.おわりに



3 上方語と江戸語の準体の変化——2つの変化の相違点と共通点●坂井美日
要旨
1.はじめに
2.先行研究と問題点の整理
3.本論の枠組み
4.データ
5.上方語と江戸語の対照



4 不定の「やら」「ぞ」「か」の東西差と歴史的推移●川瀬卓
要旨
1.問題の所在
2.近世後期における不定の助詞
3.明治大正期落語SPレコードにおける不定の助詞
4.助詞使用の地域差と副詞、副助詞の形成との関連性
5.上方・大阪語における不定の助詞の歴史的推移とその背景
6.まとめ



5 近代落語資料における行為指示表現の東西差——上方・大阪と江戸・東京の指向性の異なり●森勇太
要旨
1.はじめに
2.研究の枠組み
3.落語の行為指示表現の東西差
4.落語に見られる行為指示表現の解釈
5.まとめ



6 近代落語資料における順接条件系の接続詞的用法について●矢島正浩
要旨
1.はじめに
2.矢島(2013・2016b)より
3.調査資料における使用状況
4.接続詞的用法の詳細
5.接続詞的用法の使用状況
6.おわりに



あとがき 金澤裕之
 

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