2024.03.18
GEORGES PACZYNSKI ジョルジュ・パッチンスキー
1994年録音の隠れたピアノ・トリオ名盤
JPB PRODUCTIONS / IMPORT / CD / JPBCD1001 / DI161205-143 / 1994年04月01日
2,530円(税込)
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---以下、2007年ATELIER SAWANO盤(AS068)より
聴けば聴き込むほどに味わいがにじみ出てくる、ビル・エバンスタッチ。1曲14分超という長さの中でも、一切ほころびを生じる事がない均衡。1曲1曲を丁寧に、じっくりと聴かせるつくりは、現代の目まぐるしくテンポや雰囲気が変わってゆくような音楽とは一線を画す、職人技が生み出した結晶と言えるでしょう。ほんの一握りのファンのみしか楽しめずに埋もれてしまうには、余りに惜しい・・・最近ジャズに興味を持ったという方にも是非お聴き頂きたい、静かで深みのある作品です。
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波紋は静かに消えゆき、いつしか水面は鏡のように……。静謐な心へと導く隠れた名作が、いよいよ目を覚ます。聴けば聴き込むほどに味わいがにじみ出てくる、ビル・エバンスタッチ。
『このピアノトリオ、結構好きなんだよね』と言われて聴いたのがきっかけだった。そのジャケットの色のコントラストにもやられた。実に内容とマッチしているのだ。
このCDは94年に彼らのセカンドとして、わずか800枚程プレスされその後日の目を見ることなく、マニアの間で結構高値で取引されたものだ。レヴィンソンのピアノは一聴してエバンスの影響が大きいと言える。ちょっと待って欲しい、簡単にエバンス派と片付けないでくれ。サワニストであればアーノルド・クロスをご存知の方も多いはず。レヴィンソンのピアノはクロスとは対座する位置にある。エバンスを軸にクロスはより甘美であり、レヴィンソンはよりクールだ。
すべて彼のオリジナルで占められ最初からあなたを虜にする。特にTr.4の『MELCHIOR』がGood。最近、何の脈絡もなく出されるCDが多い中、このように理に適った発売を繰り返す、サワノは流石と言うしかない。忘れてならないのは、このベース、JFことジェニー・クラークだ。98年10月6日、癌のためこの世を去り、このトリオは永遠のものとなったが、彼の音は、現代音楽、クラシックの世界でも通用したように、そのラインは変幻自在、創造性に富み、何と言っても音程がすばらしい。ドラムのパッチンスキーとの相性も申し分ない。
特に今回一部のファンにしか届かなかったこのトリオのインタープレイを、手の届く所まで手繰り寄せたサワノの優しさに感謝すると共に、今度はあなたが手に取り、その心の空に風船を飛ばそう。色づけはあなた次第、さて何色に染めよう。きっと宝になる、永遠に!
Text by 足立 豪樹
■Jean-Christophe Levinson(Piano)
Jean-François(Bass)
Georges Paczynski(Drums)
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