弾けるようなハイテンションにとことんポップなメロディー、そして若さ故のエモい感傷でロック・キッズのハートをがっちりとキャッチしてきたトロント出身の4人組ポップ・パンク・バンド、PUP。“自分たちらしいサウンド”を目指し次なるステップへと躍進する彼らにとってのブレイク作(仮)となるべきニュー・アルバム『THE UNRAVELING OF PUP THE BAND』誕生!
■2019年にリリースした『MORBID STUFF』、そしてそのアルバムに入りきらなかった楽曲を集めた2020年のEP『THIS PLACE SUCKS ASS』に続く最新作『THE UNRAVELING OF PUPTHEBAND』はバンドにとって通算4作目となるフル・スタジオ・アルバム。2021年夏、プロデューサーにPeter Katisを迎え、彼の蝙蝠が住むコネチカットのスタジオでレコーディングとミックスダウンに5週間をかけて制作された本作は、これまで取り入れたことのなかったピアノやシンセ、ホーンなどの新たな楽器を取り入れ、彼ららしい黒いユーモアとハイテンションなポップ・パンク・アンセムをさらにパワーアップさせながら、そのサウンドに磨きを掛けていった。ご時世的にバンドとプロデューサーのPeter(蝙蝠もいたが)のみがスタジオで隔離された状況でレコーディングは進められたが、Illuminati HottiesのSarahやNOBROのKathryn、Casper SkullsのMel、そしてRemo DriveのErikなどのスペシャル・ゲストがリモートでアルバムに参加している。
■そうして完成した“最もPUPらしい”PUPの最新作『THE UNRAVELING OF PUPTHEBAND』。先行トラックとして昨年11月に発表された「Waiting」はアグレッシヴなギター・リフが唸りを上げるディストーション・サウンドと吐き捨てるようなヴォーカルからポップなコーラスへとなだれ込むのが最高に心地好いパンク・ロック・ナンバー。また最新シングルの「Robot Writes A Love Song」はたった15分で出来上がり、フロントマンのStefanの車の後部座席でヴォーカルをレコーディングした1曲。神経質なヴォーカルが楽曲のエモさを引き出しているこのパンク・バラードはバンド曰く、“史上初!人間が持つ感情に圧倒されて死に至るコンピューターの視点で描かれたエモーショナルな楽曲”だという。楽曲と一緒に公開されたミュージック・ビデオも楽曲のエモさや切なさをシュールに描き出している。
■新たなチャレンジをし、そのサウンドは新たに広がりを見せているが、PUPにとって本作はこれまで作り上げてきたサウンドからの逸脱ではない。このアルバムは依然として“悪い決断だらけのライフスタイル”をスクラップした作品になっており、彼ららしい明るく鋭いフックやちょっとした毒がどの曲にも含まれている。どのバンドにとっても4作目のスタジオ・アルバムはファースト・アルバムとは違うものであるべきで、サード・アルバムとも異なっているものだ。そして『THE UNRAVELING OF PUPTHEBAND』はPUPにとってまさに“これまでとは違う4作目のアルバム”だ。