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2012/02/03  |  やけのはらMIX CD「step on the HEARTBEAT」リリース記念・インタビュー

これまでも自主で発表した『SUMMER GIFT FOR YOU』や『BRILLIANT EMPTY HOURS』、LAの優良ヒップホップ・レーベルのオフィシャル・ミックス盤など、名ミックス作を残してきたDJ/ラッパー、やけのはらが新作ミックスをリリースした。『step on the HEARTBEAT』と銘打たれた本作は、午後の麗らかな日差しが似合う爽やかなハウス(+α)ミックスに仕上がっている。本稿では本ミックスの制作過程を訊くとともに、やけのはらのDJ哲学を紐解く“DJ大喜利”なる企画も敢行。ミックスCDやクラブだけでは窺い知れない、彼の裏の裏に迫った。 
 
取材・文・構成/高橋圭太 
企画立案/やけのはら 
 
やけのはら
 
■今回はやけさんのDJとしての側面を掘り下げるという意味で“DJ大喜利”という企画も用意しているんですが、まずは今回のミックスCDに関する話から訊いていきましょう。そもそもミックスCDリリースの話はいつごろからあったんですか?

「えーと、夏くらいですね。イベントでディスクユニオンの人にたまたま会って“何かやりましょう”と企画を投げてもらって、そこから話が進んでいった感じです。当初は9月に“12月のボーナス商戦に間に合わせましょう!”ってガッチリ握手を交わしたんですけど、秋ごろは忙しくて思ったより進まなくって。で、もうボーナスの時期になってヒーヒー言いながら作ったっていう」

■ハハハ。内容に関してはどんなものを想定していたんでしょう。

「前々から考えてた案というのがいくつかあって、今回はそのひとつですね。常に3つくらいはストックしてるんですよ、ミックスのアイデアは。それは普段、家で音楽を聴いてて思いつくものから、クラブで“この時間の、この雰囲気を切り取ったらおもしろいな”というものまで、いろんなパターンがあるんだけど。今回のミックスに関しては踊れるけど、家でも聴けるって感じのものを作りたくて。以前リリースした『BRILLIANT EMPTY HOURS』は10人くらいが踊ってる朝7時くらいのクラブを想定して作っていて、今回はその延長線上……といっても、昼の2時くらいに部屋で聴いてる感じですかね。だから曲調もそうだけど、歌詞に関しても夜っぽい雰囲気のものは意識的に省いていて」

■現場でのDJでも歌詞は尊重するタイプですか?

「そうですね。そりゃあ“Friday Night”って歌詞が入ってる曲は金曜日の夜にかけたいし、政治的なメッセージを歌っている曲で、それが自分の気持ちにそぐわない場合は曲が好きでもかけない。まぁ、英詞の場合はわかる範囲で、という感じですけどね。それでも自分は歌モノも多くかけてるし、ある程度、歌詞に関しては考慮しています。それに自分がかけるディスコやハウスって、ジャマイカとか英語圏外の言語より歌詞の意味がわかりやすいというのもありますからね」

■ミックスの作業工程に関しても訊きたいんですが。

「さっき言った通り『BRILLIANT~』の内容を踏襲した、遅くも早くもない4つ打ち、かつ歌モノ中心で、っていうコンセプトで基本は進めて。それに今回は“サニー”な感じ、陽の射した雰囲気というのも大きなテーマになっていて。で、選曲が進むにつれて、これは(DAWソフトなどを使わず)手でミックスして、ズレた味を出していきたいなぁと。なので、ユニオン経由でパイオニアの機材をお借りして実作業を進めていったという感じです。とはいっても、納得いくテイクがなかなか録れなくってですね……。クラブだと多少のミックスのズレも逆に盛り上がったりして味が出るんですけど、家でやってると細かい部分も気になっちゃうんですよ。だから気になる箇所はDAWソフトでツギハギを重ねて、という感じですね。テイク自体は……100回以上は録ってるんじゃないかなぁ。しかも真夜中に延々と」

■ハハハ! 昼の2時を想定したミックスだというのに!

「そう。だれが踊ってるわけでもないのにエフェクトかけてみたり……。だから完全にヴァーチャルなサニー感ですよ、ミックスで聴けるのは」

■ちなみに使用した機材は?

「パイオニアからお借りしたCDJ-800とDJM-900ですね。これまでもパイオニア製品をよく使ってたのでやりやすかったです。DJM-900はクラブでも置いてあるところが多いし、エフェクターのかかりもいいので不満はなかったですねぇ」

■普段、自宅に置いてあるDJセットって……。

「あ、DJ機材は自宅にないんですよ。前にヤフオクで一式揃えたんだけど、1台ずつ壊れていっちゃって。だから自宅ではミックスを録れないし、練習もできないんですよね」

■ところで、やけさんのなかでリファレンスにしているミックス作品ってありますか?

「うーん、特に参照しているようなものはないけど、いま、パッと思いついたもので言うなら、ハウスのミックスCDでいちばん好きなのがDJ SPINNAが
からリリースしたミックス(『Raiding The Crates』)。黒すぎず、どこか都会っぽい感覚もありつつ、という感じのミックスで。あとはDerrick Mayのミックスも好きです。どちらもエフェクトを多用して、かつ、ズレのグルーヴがあるタイプのDJですよね。このミックスでも、ズレたところは妙味としてあえて残すみたいな手作り感は目指していて。それは最後の手段っていう3人組にお願いしたアートワークにも反映されてると思います」

■最後の手段がアートワークに参加した経緯は?

「最後の手段はVJをやったり、映像作ったりしている3人組なんだけど、前にWOMBでDJをしたときに映像をやってくれて。そのときにもらったDVDがよかったんです。人柄も良かったし、なにか秘めたアイデアがありそうな予感もしたのでジャケットを頼んでみました。事前にミックスのコンセプト……基本は部屋で鳴ってて気持ちいい感じで、天気がいい日に掃除でもしながら聴いてもらいたい、というテイストを伝えて作ってもらいました。何度も直してもらったりで迷惑をかけたのですが、相談しながら頑張って作りました」 
 
やけのはら
 
■さて、ミックスの話もいろいろ伺えたところで、そろそろ用意してきた特別企画に移りたいと思います。題して“DJ大喜利”! 筆者が独断で選曲した楽曲を、やけさんだったらDJでどうプレイするのか訊いていこう、というDJとしての振れ幅、スキルを試す絶好の企画となっております。ちなみに“この曲は無理!”っていうつまらない返答はなしでお願いしますね。海賊に家族を人質に捕られていて、できなかったら1人ずつ殺される、という想定でよろしくお願いします。

「そんな無茶な! ……まぁ、よろしくお願いします……」

■では、さっそく1曲目いきましょう! 
 
●ORM & KAMELIE / Vikend Zacina
 


「うわぁ、最初からすごいなぁ……。これジャンル的にはどこらへんに分類されるの?」

■ニューウェーヴ、シンセ・ポップとかですかねぇ。ORM & Kamelieというチェコのバンドで1983年の楽曲です。ちなみにアルバムに収録されてるほかの曲は、やけさんのブログに以前貼ってあったりして。

「あぁ、聞き覚えがあるなぁ。でも……むずかしいよ、これは。クラブではかけづらいもん。少なくとも大きいクラブでは絶対かけないでしょ! 1000人規模のパーティーでこの曲かける勇気はないなぁ。規模でいったら32016(渋谷駅のほど近くにあるDJバー。通称、梅バー)とかOATH(青山にあるDJバー)の朝方にプレイする感じだね。あと歌もかなり素っ頓狂だから、前に似たようなポコポコしたリズムのニューウェーブ・ディスコを餌として撒いておきたいかな、中和のために」

■あと、この曲は4分弱の短い曲なんですが、そういった短い曲をプレイするときの対策は?

「ソウルとかレゲエの曲だったら最後までかけちゃうけど、こういった曲はCDJでイントロとかアウトロをループさせちゃいますね。それはクラブでもよくやるかな。短い曲以外でも、よくプレイする曲なんかはイントロをループさせて、あえて崩してかけたりもします」

■なるほど。では次の曲、お願いします。 
 
●CUSCO / My Balls My World



「いいじゃないですか。カッコいい。これはチルアウトとかメロウの解釈でプレイしますね。前後にかける曲は雰囲気があるものだったら大丈夫な感じだし。BPMというより響きとかコード感でミックスするかな。BPMが合わなくてもディレイで飛ばして、レゲエやラヴァーズ、クラブジャズなんかともミックスできそうですね」

■実はこれはCUSCOっていうアーティストで、以前、GROOVE誌に彼らのLPを持ってるやけさんの写真があったので選んでみました。そのときに持っていたLPは80年代の作品なんですが、この曲は2009年の比較的新しいEPからの曲です。

「ええっ? マジで? まだやってるんだ! CUSCOって80年代のへっぽこフュージョン・バンドってイメージがあるけど……。この曲だって最近のバルカン・ビートみたいな響きだったから、てっきりその方面のアーティストだと思ってた……。うわぁ……」

■ハハハ。自分もビックリしましたよ。80年代はトロピカルなアルバムをたくさん出してたバンドが、現在も活動を続けていて、こんな感じにガラパゴス的な進化を遂げていたなんて……。過去の作品は100円レコードとして叩き売りされてますもんね。

「これはヤバいよ! 普通にほしいもん。(ユニオンの担当者に)ぜひ過去の作品もCDで再発お願いしますよ。バレアリックとして解釈すればウケるんじゃないかなぁ」

■こういった珍盤みたいなものって、いまも買ったりしますか?

「あぁ、もともとヘンテコなレコードを探すのも好きだから、いまだに買いますよ。逆にCUSCOみたいなアーティストってCD化されてるものも少ないから、買わないと聴けないじゃないですか。もちろん動画サイトにもアップされてないしね。いやぁ、でも彼らが現役とはビックリした……。これを機にCUSCO再評価の波を起こしましょう!」

■需要あるかな……。さぁ、気を取り直して次の曲です。 
 
●NIGHTMARES ON WAX / Aftermath
 


これはNightmares On Waxだよね? この曲はクラブにいつも持っていってるな。2年に1回くらいはプレイしますよ。自分がクラブミュージックと触れ合ったきっかけは、90年代初期のハウス、テクノ、ヒップホップが最初なんだけど、当時のUK産のダンスミュージックで黒人音楽感があるものからの影響はかなりベースにあって。だからクラブでも自己満足ではあるけど、初期の
とかはいまだにプレイしてますね。当時のUKダンス音楽の無邪気な感じとか、ダンスミュージックって枠でいろいろなものがゴチャっと入ってる感じ、エネルギーが内ではなく外に向いている雰囲気とかはずっと好きで。それこそ90年代初期のテクノとかハウスだけでDJしろって言われれば、結構できる分量は持っていってますね。でも、この曲とかは新譜とかと混ぜてもかけられる感じじゃないかな」

■たしかに。この当時の楽曲でほかにお気に入りのものはありますか?

「LL COOL Jを勝手にサンプリングしたシカゴ・ハウスでHouse Gang“Cool J Trax”って曲とか、Tyreeの“Video Crash”なんかはよくプレイしますよ」

■いまのところ、家族は全員無事ですよ。さて、次。 
 
●CLAPZ II DOGZ / Between The Edit(Original Mix)
 


「これ、“Between The Sheets”ネタですね。ピッチもムードも普段かける感じではないけど、これを上手く挟み込んだらおもしろいかもなぁ。気持ちいいんだけど、どこか不穏なテンションっていう……。Isley Brothersの原曲から浮かぶ図って、高層ビルの40階とかで、ベッド際で男女がシャンパン飲みながら、みたいな風景じゃん。でも、この曲にはそのベッドの下から血まみれの手が……みたいなホラー感があるよね」

■それ、メチャメチャ怖いですよ……。この曲はお察しの通り、Isley Brothersの“Between The Sheets”のリエディット楽曲で、作者はSoul ClapとCatz N Dogzの共同名義になってます。
 
「かけるとしたら12時半くらいの、まだフロアにまばらにひとがいるくらいの時間帯ですかねぇ」

■この曲なんかはネタが大ネタだったりしますけど、原曲からネタ使いの楽曲、もしくはその逆みたいな展開は?

「うーん、そういうかけ方をするときもあるけど、今はどちらかというとトラックの質感でミックスしていくほうがおもしろいかなと。ネタでつなぐと、どうしても意味性が強くなってきちゃうというか。歌が中心になりすぎるのもよくないしね。個人的には、フィジカルな面と、意味で聴かすという面のどっちにも振り切りたくなくって。自分としてはもうすこし大枠の……ダンスミュージックのDJという自認があるから。それはオールミックスのDJともニュアンスが違うんだけど……」

■もはやオールミックスもひとつのジャンルになってますからね。

「自分の場合、ジャンルっていう引き出しで選曲してるわけじゃないんだよね。自分の基準で雰囲気とか質感、音の効能的にまとめた引き出しっていうのがカテゴリーごとにあって、いわゆる世間一般で言われているようなジャンル分けとはまた違うというか。たとえばオールミックスのDJにとってはジャンルを横断するスリルみたいなものが醍醐味なわけじゃない? その感覚よりも、全体のムードとかグルーヴを持続しながら、いろいろな世界に動いていくっていうか。それは今回のミックスにも通じることなんだけど」

■では、やけさんのDJに求められてることはどんなことだと捉えてます?

「うーん、言語化は難しいけど、外へのエネルギーを求められてるんじゃないかなとは思いますね。小難しいことだったり、ドープに振り切った方向性でないことはたしかだと思うんだけど。だから自分としても元の性格もあるし、特定の文脈を踏まえたひとにしかわからないDJというのは避けたいなぁと。まぁ、こういう話をするとボンヤリとしてしまうんだけど、そもそもDJをはじめたときから“こんなDJになりたい!”みたいな理想像とかがなかったんですよね。好きな人とか影響を受けている人は沢山いるけど、むしろ、そのどれとも距離を置きたいって意識だったので」

■それはそのままやけさんの性格だったり、人間性に由来したものかもしれませんね。では、別の曲を聴いてみましょう。 
 
●KENNY THOMAS & GAP BAND / Outstanding(Frankie Goes Deep Re-Visit)
 


■聴いてもわかる通り、原曲はGap Bandのクラシック“Outstanding”なんですが、やけさんはDJの際にこういった大ネタをどのようにプレイするか興味があります。

「なるほど。でも、自分は好きだったらかけちゃいますけどね。“有名曲だから避けようかなぁ”っていうよりは“良い曲だな”と思えたら大丈夫というか。バランスは考えるかもしれませんけどね。DJを聴いたひとの印象がそこだけに持ってかれちゃうことのほうが怖いから。あとは自分がDJしてるクラブで、こういった古典曲がどこまで認知されているのかって部分も怪しいでしょ。だから、クラシックもかかったりしないと、後世まで伝わっていかないんじゃないかな。自分自身も若いころにクラブで聴いて知ることのできた名曲ってたくさんあるし。あ、そういう意味で言えば、いまプレイしたい大ネタっていくつかあるんですよ。去年、たまたま行ったカレー屋でABBAのDVDが延々流れてて。実はあんまりABBAのPVとか見たことないでしょ?」

■言われてみれば、たしかに……。

「あれはヤバいですよ! 多幸感と開放感がすごくって。それからずっと“Dancing Queen”をDJでかけたいなぁとは思ってますけど」

■いつ現場に投入されるか楽しみにしておきましょう。では、これが“DJ大喜利”、最後の曲です。 
 
●FISHMANS / Baby Blue



「FISHMANSは高校生のころに聴いてハマりましたねぇ。音楽葬も行ったし。『空中キャンプ』はいつもアルバムごと持っていってます。歌詞も素晴らしいけど、音もクラブミュージックの耳で聴いても十分耐用性がありますよね。ただ、日本語詞だから然るべきシチュエーションでかけないと危ないとは思いますけど。さっきも言ったけど、DJの印象がそこだけに持ってかれる怖さもあるし。とはいえ、日本語の曲を避けるDJも多いなか、自分はわりとプレイするほうじゃないかなぁ。山下達郎さんの曲もよくかけてます。それもいわゆる和モノって括りでかけてなくって。達郎さんでいえば、どちらかっていうとディスコとしてかけている感覚のほうが強いし、和モノを続けて3曲プレイする、みたいなことはあまりないかな」

■なるほど。それでは、そろそろ原稿の締めに向かっていくような質問を。やけさんが理想とするDJのムードは?

「うーん、唐突かつ難しい質問……。いまは、ザックリ言うとすごく普通なことを目指しているんじゃないかなぁ。3.11以降の世界なわけだし、いまの気分としては困難を投げかけるよりは共有できるものを、という意識。ひねりとか多面性、面白さというのは大事だけど、最終的には単純に心に残って、前向きなエネルギーを持ち帰ってもらえればなぁと。“前向き”って字面にするとかなりダサい感じですけどね」

■ハハハ!

「こんな感じで、海賊に捕らわれたウチの家族は助かったんでしょうか?」

■……全員、無事です! いやぁ、“DJ大喜利”大成功です!

「やったー」

■もっと気持ちを込めてください……。ともあれ、お付き合いありがとうございました!

2011/09/13  |  COFFEE & CIGARETTES BAND(DJ KENSEI & SAGARAXX) 「Sessions」 meets DISK UNION:インタビュー part.2






DJユニット、Coffee & Cigarettes Band(DJ Kensei & Sagaraxx)は、これまでの5年余りの活動期間に、DJプレイと共に、数々のライヴ・セッションを繰り広げてきた。そのセッションの模様を伝える録音集。

【Sessions】 のリリース、その続編にして、まったく異なったアプローチから実現された【"Sessions - Live at Forestlimit" 】を機に、C&Cのお二人と、diques corde主宰 原雅明氏を加えてのインタビューを決行した。パート1に続いてのパート2をお楽しみください。

パート1はこちら

 
COFFEE & CIGARETTES BAND  「Sessions」 シリーズ
リリース記念インタビュー part.2

:DJ KENSEI , SAGARAXX , 原雅明(disques corde)
& DISK UNION 高梨 , 三河(CLUB MUSIC 部門)




chapter two intro


「ジャンル的には、抽象的で難しいかもしれないですけどね」
-DJ KENSEI-


音楽の"ジャンル"とは、レコード店がお客様に解りやすいよう目印を説明した"案内板"であり、また商品をBUYING/管理しやすいようココからココまで..と仕切りをつけた所謂造語である。
リスナーの見取り図としては最適だが、反して当惑させ、ところによっては音楽を衰微さえさせている状況を目にする。

音楽ジャンルの話を煮詰めるつもりではないけれど少し所見を書きたい。たとえば、所謂"JAZZ"という定義が完成されてしまっているような気がする自分 は、JAZZ not JAZZが"JAZZ"だったりするんじゃないか、と思っている。CLUB MUSICで言えば、それは、SOULやJAZZネタをBEATに乗せたものや、...っぽいお洒落なコード感のJAZZY VIBESでも無く...HYEROGRAPHICS、COMPANY FLOW、THEO PARRISH、DETOROIT TECHNOの共鳴から生まれている新たな魅力や、J DILLAの「DONUTS」のように、何か次に繋がる..流動的な音楽がJAZZ"の定義に近いのではないだろうか、と。

【Sessions】に続いてリスナーの方よりも一足先に【"Sessions - Live at Forestlimit" 】を聞かせて頂いた。

DJ Kenseiのラップトップ、Sagaraxxのターンテーブルに、Inner Science、Azzurro、KIRIHITO/GROUPで活躍するギタリスト竹久圏, キーには林田涼太(9dw)ら総勢8名が参加。自分の感性のみで音楽を漁ったDJ/トラックメイカー、そして巧みな演者が集い、アドリブからミニマルまで 硬軟雑ぜたあらゆる音楽ジャンル(解りやすく言うと)が鳴っている。

音楽に、完成も未完成も、良しも悪しも、ポジティブとネガティブも、そしてジャンルも無い。
ただ本作品、そして
disques cordeの原雅明氏が提示するベクトルが、新しい音楽の、そしてDJの可能性を見出してくれるのではないかと、期待せずにはいられない。

disk union hiphop 高梨







ーー今回の作品は、本当に続けて聴いていきたいですね。


KENSEI :自分も例えばSUN RAとかは当時から続けて聴いてるわけではないですけど、やっぱり聴くアルバムによって全然違うじゃないですか。Doo Wopやってたりとか普通の良いJAZZをやってたりとか…。そんなフリーなイメージが強いのかと思いますけど、そんな感じと一緒で人って色々なパーソナ ルな部分があるから、こういう事をやっていけば見えてくるじゃないかなとも思うし。


ーー更に人も繋がるって、素晴らしいですよね。

SAGARAXX :そうなんですよね。

KENSEI :ジャンル的には、抽象的で難しいかもしれないですけどね。


ーー MADLIBの(12作品)「Medicine Show」シリーズもそうですけど、一つ一つの作品だけを聴いた時には気づかなかった事が、全部通して聴いたときにその一つ一つの作品の意味というか、 MADLIBがこういう事をやりたかったんだって事に気づいたんですよ。でも、それを言葉にできなかったんですよね。

KENSEI :そ うなんだよね。時代背景だけで音楽聴いちゃうと、分からなくなる事もあるよね。そのアーティストの流れと時代背景って、時間軸が違うものだから。その時代 にはハマッていないものもあったりするじゃないですか。でも、アーティストの流れで聴くと、そういう事かって分かったりするから。 そういう意味でも、出来たものをリリースするというのは伝える意味でも大事な要素かもしれないですね。しかも、このジャケットもまさかKUTMAHがやっ てくれるとは思ってなくて、メチャメチャ嬉しいですけどね。




原雅明 : それも本当はDUBLABのFROSTYと一緒にKUTMAHが来日して、一緒のイベントでC&CがLIVEをやる予定だったんだけど、彼が来れなくなってしまって。でも現実として、やはりそういう繋がりがあって実現できたんだと思うんですよね。


ーーやっぱり繋がりから生まれてるんですよね。

SAGARAXX :そ うなんですよ。そしてその話をしたのが3月10日だったと思います。KUTMAHに頼みましょうて話をしたのが、震災の前の日だったんです。そういう意味 でも、リリースする意味を考えさせられたんです。普段リリースするときも勿論考えるんですけど、いろんな流れがあったので凄く嬉しいですね。

KENSEI :このライナーを書いてくれたSUPANOVAのシンさんも、この収録されてるライブ会場の「月見ル君想フ」で初めて逢って、それがきっかけでSCHOOLに ライブを見に来てくれたんですよ。そして彼らのイベントに呼んでくれたのが、この収録されたライブなんですよ。だったら、なんか書いてくださいって言った ら、中のライナーを書いてくれたんです。そして、このライナーも抽象的なんですよね。C&Cが良いとかはまったく書いてない(笑)


(一同、笑)


KENSEI :でもそこも凄くいいな、って思って。

SAGARAXX :だからこれを残すの事で、本当に今までの記録があるから、思い出すきっかけになると思うので聴くと色んな事が思い出せますね。

KENSEI :次回の2枚目にリリース予定※のセッションのMIX作業も、もうそろそろやろうと言っていて。
※Coffee & Cigarettes Band "Sessions 2 - Live at Forestlimit"


ーーそれはパラで録ってるんですか?

KENSEI :4CHのパラで録ってますね。基本録音が良くて原さんも気に入ってくれてるんで、音量だけ調整できたらいいかなぐらいの感じですかね。

原雅明 :その日のライブは勿論居たんですけど、本当に良かったし。音源聴いてもやっぱり良かったです。来てくれた人達の評判も良くて。

KENSEI :もう現場で4回ぐらいかけちゃったんですけど。CDで(笑)結構評判いいです。「あれ、どこのバンドですか?」って聴かれたし。


(一同、笑)


原雅明 :それはセッションの前に生ドラムを叩いて、素材を録ったりしてやったんですよ。


ーーKENSEIさんがABLETONのLIVEで録ったんですか?

KENSEI :そうです。それをいじったりして。

SAGARAXX :そのドラマーもそのまま叩いたりもしてました。参加しちゃったりして。


ーー面白いですね。色々できるんですもんね。

SAGARAXX :そうなんですよ。それをまた改めて残していくってのが大事なのかなと思います。


ーーそれは、1時間くらいですか?

SAGARAXX :そうですね。今回のCD※よりは長いですね。
※Coffee & Cigarettes Band "Sessions"

ーーその時の方が参加している人数は多いですよね。セッションしている人達が増えるとなかなかバランスを保つのって難しいと思うんですが。
  
KENSEI :そうですね。でも、意外に旨くまとまったんですよね、その日は。

SAGARAXX :その日は「皆で何ができるか」ってテーマだったので、意識的にもまとまったんだと思いますね。

KENSEI :震災後ですからね。

SAGARAXX :うん、震災後の初SESSIONでした。

原雅明 :セッションの面子もギリギリで集めた感じだったんだけど、だから事前の打ち合わせも全然なくて。


ーーでも、良いですねそれで「集まる」っていうのが。

SAGARAXX :ね、本当にありがたいです。


ーー震災があって、実際どう過ごされてましたか?

KENSEI :俺は最初の1週間くらいは、あんまり音楽聴けなかったですね。あまり聴く気にならなかったです。そしたら、SAGARAXXが家に来て、Joao Donatoとか聴かせてきて。

SAGARAXX :でも、それも1週間後ですね。1週間は、2人とも何もできなかったですね。やっと逢えたのが1週間後でしたし。

KENSEI :そうだよね、電車も止まってたしね。でもそのときに昼間にJoao Donatoとか聴いてたら本当に救われたんですよ。じゃあEDITしちゃう!?って創ったのがC&C with Loveという曲なんです。いつもは、何日もうまくいかないって言って何日もやってるんですけど、例えば震災だったら、明日もう命を落としてしまう人もい るわけじゃないですか。だからもう今日この時間までにできなかったらアウトみたいにして、今日できる事の最善な事をやろうとしたんです。完成形じゃなくて もそれで1つ命が救えたら良いってつもりでやりました。それを毎日繰り返して10曲くらいできたんですよ。
 
SAGARAXX :電車がいつ止まるか分からないし、地震がいつ起こるかわからない状況でしたし地震があって帰りますって日もありましたからね。でも逆に、やれる事があって自分達が救われたなって思いました。

KENSEI :だから曲としての完成度というよりは、自分達の思いは凄く強いものになってるのかなと思いますね。曲と共に思いを入れたいって思いました。

SAGARAXX :変な拘りよりも、やれる事をやるって意識になったと思います。そういう意味での音楽の責任感みたいなものを感じたりもしました。


ーー 震災後すぐクラブの方がお客さんが入ってないって声もありましたけど「音楽聴かないだろ…」っていうような空気よりも、逆に(心のこもった)音楽を求める ような勢いみたいなものは感じるんですよ。「CD売れなくて大丈夫?」って聞かれますけど、そんな事ないよって思うんですよね。(勢いが)キテるような気 がするんです。


KENSEI & SAGARAXX :
じゃあ(CD)お願いします(笑)


ーー(disk union三河)
たしかに、以前よりも勢いはあるかもですね。

ーー(disk union高梨)
感じますよね!

ーー(disk union三河)
うんうん


KENSEI :じゃあ、きてるって事は、きてるんですよ。(笑)


(一同、笑)



KENSEI :音楽自体のパワーは、求めてるのかもしれないですね。


ーーUSのHIPHOPでも、この作品のインストとアカペラリリースすれば反応ありそうなのに出さなかったりするから、もったいない気もするんですよ。きっともっと、反応あると思うんですよね。

KENSEI :原さんは、どうですか?

原雅明 :自分もリリースする立場だったから、CARLOS NINOのBUILD AN ARKの作品も3月にリリースする予定が全然出せないような状況だったんですよね。流通とかも混乱してたじゃないですか、それもあって今は様子を見た方が いいかなと思ったんです。現実的にもリリースできないっていう事もあったし、自分の気持ち的にもリリースする気にはならないなというのもありました。そう こうしているうちにLA(DUBLAB)の連中から、連絡がバンバンきて「大丈夫か!?」とか「チャリティーやりたいんだ」とか。その対応に追われたんで すよね。でも、それで逆に気がまぎれたというか救われた部分もあったんです。それがなかったら、もしかしたら音楽を聴いたりリリースしたいする事ができな かったかもしれないですね。

DUBLABから日本の音を紹介したいから新しいトラックを提供してほしいとかがあって、C&Cにも お願いしたりして。そういうやり取りをしているうちに、段々やるべき事が自分で見えてきたような気がします。今は、自分でレーベルやってリリースするって いう気持ちと、ちょっと変わってきたような気がします。出すものを出してたというところから、それとはちょっと違うレーベルではあるけどレーベルではな いっていうような抽象的になってしまうけど。このリリースもそうですけどただ単にこの1枚のCDを出すっていうんじゃなくていままでのセッションや INTO INFINITYに携わってきたり、そういう過程での1つのOUTPUTなんだと思います。BUILD AN ARKのリリースに関してもCARLOS NINOが日本のためにチャリティーをやってくれたりして、その彼らの作品をうちからワールドワイドにリリースするんですけど、それだからこそリリースす る意味があるっていうような気がするんですよね。もちろんレーベルだから利益あげなきゃいけないし、営利目的でもあるんですけど何かこうまた違う気持ちと いうか、何か色々ひっくるめて考えるようになったかなと思います。


ーー原さんがJAZZ喫茶でHIPHOP談義をされたのも個人的には、とてもおもしろかったです。個人的には、レコード店で働いてる人達が見てほしいような内容でもありました。

http://blog.corde.co.jp/

原雅明 :そうですね。JAZZを聴いてる年配の人達はある意味とても保守的なんでしょうけど、でもその一方で色々聴いてみたいっていう人もいて、その人達の柔軟性って凄いんですよ。実際やってみてもっと年齢層高い人達にもこういった音源を聴いてもらえる可能性あるなと思いました。

KENSEI :意外にそういう場でCD置いたら売れたりするんじゃない?


ーー原さんにPREFUSEのような作品で他にオススメありますか?って聴いてくるお客さんもいましたよね。


KENSEI :色んなきっかけや色んな聴き方を教えた方がいいような気がするんですよね。ジャンルにあてはまらない感情とか言葉にできない感情とかを音楽に形したときに、 そういうものを大事にしたほうがいいんじゃないかなと思うんです。こないだもブラジルのポルトガル語を話せる女の子がいて、SAGARAXXが震災後 AIRでANDRESとかとDJやった時にブラジルの音楽をかけてたんですよ。その時にその女の子に、「これ何て歌ってんの?」って聴いたら、「いや日本 語では説明できない」って言われて。「日本語にないっていう言葉の感情だ」って言っていてそれがメロディに現れていて。それはやっぱり聴かせないと分から ないですよね。

SAGARAXX :実はCARLOSのTURN ON THE SUNLIGHTのREMIXをC&Cがやったんですけど、竹村ノブカズさんのREMIXも入ってるんですよね。それの話も実は面白いんですよね。

原雅明 :多分95年だと思うけど竹村君がアメリカツアーをした時に、DUBLABに出ていて実はライブもやってインタビューも受けていて、そのときのインタビュアー がCARLOSだったんですよ。その時からCARLOSはずっと竹村君のファンで。それで、TURN ON THE SUNLIGHTのREMIX創るときにやってくれないか?って言ったら、 竹村君から「やります」    って返事がきて、しっかり音源をあげてきてくれたんですよ。

SAGARAXX :そういう人のストーリーっていうか、凄くいいなって思っていたら、原さんもKENSEIくんにインタビューしてるんですよ。それはなんでしたっけ?

KENSEI :"FADER"かな。

SAGARAXX :僕的にも、なんかそういう繋がりが面白いなと思って。もう十何年前のことですからね。


ーーそれが繋がってるわけですもんね。


KENSEI :音楽的にいうと、世の中の流れがどうか分からないですけど、自分は新しい音楽というよりも自然に生まれてくるものというか、テクノロジーもあるけどそれは方法論だと思うんですよね。


ーーJAZZ喫茶でのHIPHOP談義でもそうですけど、やはり昔の作品にそういう惹きつける要素が強い作品が多いんですかね。


KENSEI :音楽事態が本来そういうものなのかもしれませんね。今まで自分達が歴史的に聴いてきた音楽でそれほど悪い音楽ってないと思うんですよ。ただ、聴く環境とか、 聴く気持ちで全然音楽の感じ方って違うじゃないですか。今のブリブリのシステムで新譜ばかり流れるところで、90年代のHIPHOPかけてもそんなに多分 しっくりこないと思うんですよね。でも、JAZZ喫茶のようなそういう場所をあえて選んで、しっかり聴いてみようと思えばその波動が皆に伝わってると思う し、ちゃんとしたシステムだからまたしっかり聴けると思うし。

原雅明 :そのJAZZ喫茶のイーグルの後藤さんも「店でも、最近の新しいJAZZの例えばNY作品のクリアーな音の作品とかはあまりかけないけど、その時にかけていたHIPHOPのものはうちのお店でかけても違和感がない」って言っていたし、そういうのもあるかもしれないですね。

SAGARAXX :そういうクラブ以外の日常的に音楽聴ける場がどんどんなくなってきてるから、そういうJAZZ喫茶でHIPHOPがかかったりするのは本当に良いことだと思いますね。

原雅明 :JAZZ喫茶のシステムで聴くと、クラブのような低域がドカーンとでているシステムと違って、しっかりと中域が綺麗にでるから、グルーヴ感やファンク感が凄く伝わる感じがしましたね。だからこそ、聴いてほしいなと思いましたね。

SAGARAXX :真ん中重要ですね。



ーーPART.3に続きます。インタビューも(リ)サイクル





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音楽をシェアして生かし続けるスタンス"のDJユニット、Coffee & Cigarettes Band(DJ Kensei & Sagaraxx)。これまでの5年余りの活動期間に、DJプレイと共に、数々のライ...

110606HH033

COFFEE & CIGARETTES BAND (DJ KENSEI & SAGARAXX)
COFFEE & CIGARETTES BAND T-SHIRTS Lサイズ / .net限定販売
ELECTRIC ROOTS / T-SHIRTS / 2,990円(税込)
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110707HH018

COFFEE & CIGARETTES BAND (DJ KENSEI & SAGARAXX)
ELECTRIC ROOTS FM VOL.7
ELECTRIC ROOTS / CD / 1,470円(税込)
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Coffee&Cigarettes Band(DJ Kensei&DJ Sagaraxx)が送るラジオ仕立ての限定ミックスシリーズ、「Electric Roots FM」最新作のVol.7 !! Vol.5『Back ...

JZ110627-10

BUILD AN ARK / ビルド・アン・アーク
The Stars Are Singing Too -10 Year Anniversary Special 2001 - 2011-
DISQUES CORDE / CD / 2,300円(税込)
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世界が注目するスピリチャルでコズミックな音楽集団ビルド・アン・アーク、結成10周年記念アルバムリリース!リーダーのカルロス・ニーニョが、過去のライヴ・パフォーマンス、リハーサル、レコーディング・セッション、コラボレーションから未発表の...

JZ110627-09

GABY HERNANDEZ / ギャビー・ヘルナンデス
Sweet Starry Night
DISQUES CORDE / CD / 2,300円(税込)
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Build An Arkの設立メンバーである女性ヴォーカリスト、ギャビー・ヘルナンデスが、カルロス・ニーニョのプロデュースのもとにLife Force Trioを従えて待望の新作アルバムをリリース! ジャイルス・ピーターソンにも絶賛さ...

ーーShinsekai SESSIONSーー

Coffee & Cigarettes Band
are Kensei and Sagaraxx
with Azzurro(laptop), Crash(drums), Ishiguro(bass), Nof(flute) and Kan Sano (key/piano)

DJ:
Funnel
Masaaki Hara
Sagaraxx


PA:
Hayashisound

Lighting:
Daisuke Ukisita (20TN!/Forestlimit)


10.8(sat)
open 19:00

予約2,500円+1ドリンク
当日3,000円+1ドリンク


at 西麻布・音楽実験室「新世界」
港区西麻布1-8-4 三保硝子B1
TEL:03-5772-6767
http://shinsekai9.jp/



■Coffee & Cigarettes Band profile

DJ としてのスタンスにこだわる自分達がプレイしたいトラックを作りたいと、2006年、六本木RootsNで毎月第4火曜日に開催していたイベン ト”Coffee&Cigarettes”(現在イベントは一時休止中)でDJしていた、KenseiとSagaraxxの2人が中心となりス タート。互いに東京で生まれ育ち、毎晩DJとして東京の街の音を作っている、彼等の感覚がフィードバックされたトラックは、周りのDJ、ミュージシャン、 アーティスト達に好評を得る。又アナログに対する質感を大切にしながら、今鳴って面白いと思う音を追求し楽曲制作を行う姿勢は、80年代後半~90年代 の”HipHop~AcidJazz~DanceMusic”のベースにあった”Jazz” ”Funk” ”Soul” ”Rock” “Disco“ “RareGroove” 等を多様に取り込んでいく、自由でオープンなスピリットに通じる。Coffee & Cigarettes Bandの楽曲は、自分達が生きる日常に心地の良い風を注ぐであろう。現在、新たなプロジェクトを構築すべく、周りのミュージシャン達とDJ的視点での Live Sessionを積極的に行っている。DublabとCreative Commons JapanのプロジェクトINFITINY LOOPSでもセッションを公開中(http://infinityloops.cc/)










2011/07/15  |  COFFEE & CIGARETTES BAND(DJ KENSEI & SAGARAXX) 「Sessions」 meets DISK UNION:インタビュー part.1



DJユニット、Coffee & Cigarettes Band(DJ Kensei & Sagaraxx)は、これまでの5年余りの活動期間に、DJプレイと共に、数々のライヴ・セッションを繰り広げてきた。そのセッションの模様を伝える初録音集。

2011年2月14日に東京青山の「月見ル君想フ」でおこなわれた45分あまりのライヴをまるまる録音した内容で、音源の編集は音量の補正以外、一切おこなっていない。セッションに手応えを感じ、リリース。


そして急遽、COFFEE & CIGARETTES BAND「Sessions」のリリースを機に、C&Cのお二人と、diques corde主宰 原雅明氏を加えてのリリース記念インタビューを決行。

パート2はこちら
 

 
COFFEE & CIGARETTES BAND  「Sessions」 シリーズ
リリース記念インタビュー part.1

:DJ KENSEI , SAGARAXX , 原雅明(disques corde)
& DISK UNION 高梨 , 三河(CLUB MUSIC 部門)


chapter one intro


DJが流している曲のうえにただ生楽器がのっているようなセッションでもなく、または生楽器の音にスクラッチで絡むだけのDJのセッションでもない。それはJAZZにも通じるアーティスト同士の間の駆け引きと、音のバランスから生まれる絶妙なグルーヴが物語っている。そして、その駆け引きはHIPHOPのスリリングさにも通じる。

「まずは、演者と繋がりたい。」

と述べたKENSEI氏の言葉が表すように、演者同士が顔を見合わせ、お互いが放つ音に導かれ・そして導きながらセッションを楽しんでいる絵が思い浮かぶような1枚に仕上がっている。

そして予想がつかない展開に、リスナーをグイグイと引きずり込む。あくまでDJが主導として繰り出されるこのセッションシリーズが、また新しいDJとしての可能性を見出してくれるそんなシリーズになるのではと、期待せずにはいられない。

disk union club music 担当 三河





ーー今回、この「Sessions」をリリースする事になった経緯を教えてもらえますか?

SAGARAXX :2011年2月14日に東京青山の「月見ル君想フ」でSESSIONをやって、その音源をもらってなんとなく原さんに聴いてもらいたいと思って原さんに送ったんですよ。リリースしようとか考えないで、率直に原さんに聴いてもらおうと思ったんです。それを原さんが気に入ってくれて、リリースする事になりました。


ーー今までもC&CとしてLIVEやSESSIONはされてきたと思うんですが、ゲストを呼んでのセッションのきっかけはどこからですか?
  
SAGARAXX :去年、青山の蜂で『SCHOOL』というイベントをやっていて、そこで石黒くん(元犬式)がベースで参加してくれたりDIY TOKIONのYASSANさんや、桜井響、LUV RAWくんとか。 そのイベントをきっかけに知り合った人達とやってました。LIVEというよりは、DJを中心としたSESSIONという形でつづけていきました。

 



昔は「1曲だせば終わり」だったような部分が多かったけど、今は1曲を愛していく感じ..略..素材を色々な人が演奏することで広がったり、DJがRE-EDITしたり、それをRE-EDITした人や演奏した人とセッションしたりとか..
DJ KENSEI


ーーセッションのアーティストによって、楽器が違うと思いますがどういった形でお二人の音の素材を集めていくんですか?


KENSEI :足りないものを足す感覚ですね。ベースが足りなければ、ベースを弾いてもらったり。ベースとドラムがあったら、それ以外の帯域のもので上モノをいれますか、という具合で鍵盤弾いてもらったり。ヴォーカルがなければ、SAGARAXXがレコードから引っ張ってきたりとか。無い物を探してそれを加えていくような形でやってきました。


ーーそれは、お互いが素材を持ち寄ってくる形ですか?

KENSEI :二人で曲も創ってるから、それの延長線上でやってみようという感覚です。

SAGARAXX :そういう話の中で、こういう音欲しいですねとか、こういう人いますよ。とかキャスティングも合わせて決めていく感じです。こういう絵を創りたいというよりは、その都度での状況でできる事をやる感じです。


ーー機材はどういう機材を使ってますか?KENSEIさんはABLETONのLIVEを使っていたりSAGARAXXさんはCDJやターンテーブルを使っていたのを見たんですが。

KENSEI :そうですね。でもSERATOでやったりレコードの時もありました。箱によってスペースの問題もあるので。


ーー(青山蜂で行われていたイベント)SCHOOLの時は、アルバムの曲をやっていたように思ったんですが?

KENSEI :『LOVE THINGS』は絶対やってましたね。


ーー曲として決められたものをやっているんでしょうか?段取りのようなものやフリースタイルなんですか?

KENSEI :フリースタイルの時もあるし、テーマだけ決めておいて、その間はJAZZみたいにフリースタイルでまた戻るみたいな感じもあります。テーマが2回あればまた戻るから、そこはアイコンタクトでやったりしてます。まったく何も決めないでやった事はなくて、「このテーマの時はこのビートで」って、いう話はしてます。決まっていた方がいい人もいるんですよね。


ーーそれはアーティストによってですか?

KENSEI :そうですね、だからコミニュケーションをとってないとグダグダになりかねないです。人によってアプローチが違うから、勉強になります。


ーー楽器ができる人は、曲に対して泳げると思うんですがDJ的な立場だと、そのアプローチに更に展開をつけるのはなかなか難しいですよね?

KENSEI :そうですね。素材が多ければ重ねることができるし、テンションはあがっていくけど。毎回ある中で、どこまでエナジーを発する事ができるかみたいな。でも、やりすぎないで良い所でキープするっていうのを考えてます。あるものでやるというように考えてる。エフェクターだったり、volumeで相手の感情をひきだすような。タイミングとかもそうかな。素材が決まってて、これしかないものはそうしてやってます。ただループしてもミュージシャンがのらないときもあるから、アプローチをまた変えて、音色を変化させてのりやすくしたりします。


ーーそういったアプローチも今回のCDに詰まってますね。

KENSEI :そうですね。特に自分はVOLUMEの強弱が好きですね。そのレンジの音量の幅というか同じLOOPでもだいぶアクセントが違ってくるから。


ーー原さんに聴きたいんですが、今までもDJと生楽器とのセッションはあったと思うんですが、C&Cの今回の作品をリリースまでもっていった魅力的に感じた部分はどこですか?

原雅明 :SCHOOLでやっていた時や、その後にINTO INFINITYでやってもらったりしたのを見ていて、ゲストを呼んでのセッションと二人だけのライブも見てきました。バンドの中にDJが入っているのとは違うじゃないですか。自分達の曲等を使って、セッションをやっているっていうのがまず面白いと感じたのと、LOOPとか限られた素材で流れを創っていくのが面白いと思いました。そして、場面場面で違うところ。やる場所や、アーティストに依って変わるし、続けて見ていきたいなと思った。このライブ音源の時は、生では見れてないんですけど、また今まで聴いてきたものとは違っていて、去年幡ヶ谷のFORESTLIMITでまた違うセッションがあって、それはitokenさんとか参加したんですが、そのときとも違う。そして、この音源を聴いて流れが見えた部分があって、その時には次回のセッションが決まっていて、続けて記録していくと面白いじゃないかと思ったんですよね。
 

ーーDJ SOFTの4デッキやABLETON LIVEでもそうですけど、今は短い素材でもDJに取り入れたいできるような環境もできてきましたよね。今までの1曲単位というものから、ワンループのような素材の可能性や多様性も増えた気がするんですが?

KENSEI :テクノロジーに頼ってるわけじゃないけど今は、1つのフレーズで無限のバリエーションができるじゃないですか。過去のあらゆる音楽を聴いてきて思うのは、いわゆるダンス等のセオリーを気にしなければ、いくらでもいけるので可能性が凄くあると思うんですよね。環境によっても生きてくるものもあると思うし、フロアだけだとダンスに限られてしまうけど。今はその環境を整えてるみたいな。


ーーテクノロジーの進化もありますが、やはりレコードでのインスピレーションされる部分は多いですか?

KENSEI :そうですね。常にお互いレコードは聴いてます。その素材を気に入ってそれをいかにあてはめていくか考えたりしてやってます。「今日の自分達」のような感覚です。


ーー『LOVE THING』のようにセッションから曲になる可能性もあるんですか?

KENSEI : 『LOVE THING』自体は、完成ではなくて素材的な感じ。昔は「1曲だせば終わり」だったような部分が多かったけど、今は1曲を愛していく感じ。例えばJAZZのミュージシャンが『CARAVAN』を演奏したりNight in? Tunisia』を一回は、必ず演奏するみたいな感覚。素材を色々な人が演奏することで広がったり、DJがRE-EDITしたり、それをRE-EDITした人や演奏した人とセッションしたりとか、そういう繋がりをつくるような曲だと思います。


ーー正にINTO INFINITYですね。

SAGARAXX :その時は、想定して創ってなかったんですけど『LOVE THING』がこうやって色々な人達がかけたりアコースティックなライブとかやってくれるのは面白いなと思いました。


ーー例えば、C&Cの曲を他の人が使用したりするような、著作権的な部分の抵抗はないですか?

KENSEI :僕は嬉しいですね。もちろんもらえるものはもらいたいですけどね(笑)


(一同、笑)


KENSEI :やっぱり創るとそのフィードバックがあるじゃないですか、それをまた何か手を加えて音楽をまわしていくような感覚がいいなと思いました。


ーー今は、完結しているものが多いですよね。

KENSEI :原さんも本に書いてましたけど、凄く今は共有したいという思いが増えたんですよね。SAGARAXXが好きな曲を俺が聴かせて、それをまた好きになった人がREMIXしたりLIVEに参加してもらったりするのがいいなと思ったんです。だから、素材っぽい方が広がりやすいのかもしれないですね。昔だったら12INCHのボーナスビートとか、アカペラとか多かったと思うんですけど、今あまりないですよね。その違った形じゃないけど、そういうアプローチをライブだったりこのCDだったりで創れたらなと思いました。このCD自体も決して完結したライブじゃないと思うんです。これにまたインスパイアされてライブをやる事になったりとか、そういうのが好きなのかもしれないですね。

SAGARAXX :原さんに話した時に、「音が続いていく。」みたいな事をおっしゃってたと思うんですが、そういう感覚だと思います。


ーーリサイクルって、再利用じゃなくてサイクルさせる事なんですね。

KENSEI :イメージが一杯あったものの方が広がりやすい(リサイクルされやすい)のかなと思うんです。完結されてしまってるものだと、イメージが固まってしまうような感覚になると思うんですよね。


ーーそれはやはりDJからきてる部分なのでしょうか?

KENSEI :意識はしてないけど、そうなんでしょうね。素材っぽい部分があるので曲としてつまらないと思う人もいるかもしれないけど、でもまずは演奏している側と共有したい部分が多いのかもしれないですね。勿論、聴いてくれるリスナーも嬉しいんですが、自分達の活動のフィールドでやれる人とかそういう人とつながれる信号を出すじゃないですけど、そんなイメージですかね。思いは具体的なんだけど、音は抽象的なんでしょうね。

SAGARAXX :ミュージシャンなんで、やはりもっとこうしたいとかドラムのこのループが失敗してるとかあったけど、説明して一人一人にそこを理解してもらったりもしました。


ーーレコード店の立場では、この作品は音はとてもいいのですが、抽象的な部分でどういう風にお客さんに伝えればいいかと確かに考える部分はありますね。


原雅明 : 勿論この作品も聴いてもらいたいんですけど、これから続いてリリースされるものも是非聴いてもらいたいんです。この続きが出たときに、なるほど!って、分かるような作品にしたい。これはこれで大切だけど、これ1個で完結でないので、ある程度のスピード感でリリースしていくのもリサイクルじゃないけど流れとして必要かなと思ってます。その流れも含めて大事にしていきたいと思いますね。

SAGARAXX :より流れが分かると、伝わるかと確かに思います。


原雅明 : そう。この間にもSESSIONは続くし、二人のDJも続いているように。それらが相乗効果していくような。それらが結びついていく感じだと思います。

KENSEI :SESSIONのメンバーも流動的ですね。場所はFORESTLIMITという箱では、定期的にやっていますけど。






ーー (インタビュー前の雑談で盛り上がった)JAZZ喫茶でも見れたらいいですね!?


KENSEI :ね。そういう可能性もでてきましたね。DJも今、色々な形態がありますからね。DJという事をふまえればJAZZ喫茶の親父もDJじゃないですか。だから、こういうアプローチもJAZZ喫茶の親父に知ってもらえたらいいですね。


ーーPART.2に続きます。
C&Cの音への向き合い方等など、インタビューはより深い内容に…





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COFFEE & CIGARETTES BAND (DJ KENSEI & SAGARAXX)
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DJ としてのスタンスにこだわる自分達がプレイしたいトラックを作りたいと、2006年、六本木RootsNで毎月第4火曜日に開催していたイベン ト”Coffee&Cigarettes”(現在イベントは一時休止中)でDJしていた、KenseiとSagaraxxの2人が中心となりス タート。互いに東京で生まれ育ち、毎晩DJとして東京の街の音を作っている、彼等の感覚がフィードバックされたトラックは、周りのDJ、ミュージシャン、 アーティスト達に好評を得る。又アナログに対する質感を大切にしながら、今鳴って面白いと思う音を追求し楽曲制作を行う姿勢は、80年代後半~90年代 の”HipHop~AcidJazz~DanceMusic”のベースにあった”Jazz” ”Funk” ”Soul” ”Rock” “Disco“ “RareGroove” 等を多様に取り込んでいく、自由でオープンなスピリットに通じる。Coffee & Cigarettes Bandの楽曲は、自分達が生きる日常に心地の良い風を注ぐであろう。現在、新たなプロジェクトを構築すべく、周りのミュージシャン達とDJ的視点での Live Sessionを積極的に行っている。DublabとCreative Commons JapanのプロジェクトINFITINY LOOPSでもセッションを公開中(http://infinityloops.cc/)





2011/06/29  |  2011年上半期を振り返る! 『Elegant Confections』リリース記念INNER SCIENCE緊急インタビュー ! <前編>

4年ぶり5枚目のアルバムとなった『Elegant Confections』を、

2011年1月にリリースしたINNER SCIENCE。

彼らしさを十分に感じるオリジナル盤とアンビエント盤の2枚組みでリリースされた今作は、

今年リリースされた上半期の作品の中でも、とても印象に残った良作だと感じる。

そして、サウンドとしてもアーティストとしてもどの範疇にも収まらない彼独特の空気感

とスタイルに、これからの音楽シーンに必要なアイデアやヒントが垣間見れるような気がする。

そんなINNER SCIENCEに、彼自身の音楽活動と作品を振り返りながら、

彼の生い立ちを含めて色々話をしてもらいました。

ディスクユニオンでは、彼の初期のタイトルから最新のタイトルまで、取り扱い中([INNER SCIENCE関連バックカタログ])!

ご興味ある方は是非チェックしてみてください。


disk union club music 担当 三河

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INNER SCIENCE               
 

「まず俺からリリースしていった方がいいんじゃないか?ってなって。」

 
(( INNER SCIENCE/10Track Sampler [ONEOWNER/2001]を手にとって、))

INNER SCIENCE/10Track Sampler

MIKAWA(以下M) :  それは、いつのアルバム?


INNER SCIENCE(以下I) :  2001年ですね。じつは、ここに12インチが出るって書いてあるけど、

  プレス代行会社に全部持って行かれたんですよね。

  1000枚位で30万くらい、マスタリングもしてるし。


(( CHU a.k.a Surviva/Oar [ONEOWNER/2001]を再生。))
 ※CHU ~、はINNER SCIENCEが当時ラップしていた時の名義。

CHU a.k.a Surviva/Oar

I & M :   うおーあついな~。


I :  この前に実は、INNER SCIENCE名義でM2という

  ラッパーの友達とコンピに参加してるんですよ。

  アナログにもなってるんです。

  そのコンピが2000年。

  そしてこのアルバムからの先行7インチも2000年。

  ONEOWNER(INNER SCIENCEが2000年頃から運営に携わっていた自主レーベル)

  のリリースでは、その7インチが1番最初ですよ。

  最初レーベルにMCが三人いて、

  俺がその時期にK-BOMBさんのテープアルバム

  に参加させてもらって。

  その流れから、まず俺からリリースしていった方がいいんじゃないか?ってなって。

  ちなみにその7インチの片面はアルバムに入ってない。


M :  ユニオンでも高値で入ってないのかな?


I: 多分ないですよ(笑)ウチに在庫あるからオーダーいつでも待ってます(笑)


((ラップ部分が流れ始める))


I & M : おー


I :   こう聴くと、やっぱり音悪くないかな(笑)。


M :  トラックも全部ですか?


I :  そうです。

  なんとなく今の曲の創り方と近いような気がしますね。

  色々な断片を集めるって意味では。


M :  これが、初めてのCDの自主音源という事ですよね。


I: そうですね。


M :  CDつくった時の事覚えてますか。


I : 思い出せないなー。


M :   当時はまだ今と違って、CDを自主でプレスする流れはそんなに浸透してなかったと思うけど…どうでした!?


I :  自分はCD創って流通にのせれば、売れると思ってましたよ。当時のディストリビューターはなくなったんですけどね。


M :  どこの流通を使ってたんですか?


I : 原楽器さんでしたね。

  CDは、初回200枚位で、返品もちょこちょこありました。

  全然リクープとかはできていなかったですね。

  ユニオンには委託で取り扱ってもらったような気がします。


M :  当時は、MCとしてバリバリやってた感じですか?


I : バリバリって程ではないけど、当時BACK DJがいて、

  ありもののトラックでやったりしてました。

  7inchを創ったけど、インストもなかったし。

  それがまた、なんだかおかしな曲で…。


M:  何曲目!?


I : CDの14曲目。ずーっと頭が長い(笑)


((PLAY ~))


M :  (7inchのアナログを見て)マーキング用のステッカーが3つも貼ってあるね。


I:  きっと、このアルバム用に声ネタを擦ってたのかも。


M :   おー!確かにそういう時代ですもんね。


I :  そういう時代です。CDJがない時代ですから。

  その後に、INNER SCIENCEの1stアルバムと言われる
  
  『10 TRACK SAMPLER 』に繋がります。

  これもほら、ジャケットが2色じゃないですか。

  これも当時4色にすると高いから2色でお願いしますって

  デザイナーさんに言ったんじゃないかな。


M :  アナログはCDとバージョンが違うんですか?


I:  いや、同じです。7インチ制作当時はスタジオで録ったから

  バージョン違いとか録れる余裕もなくて。


M :  DOPEな感じですね。(CDの方に)インストも入ってる?


I:  スキット的なものですけど入ってますよ。


M :  これ聴くの何年振りですか!?


I : いや、そんなでもない(笑)。

  アルバムなのに、全然熱いタイトルじゃないけど。

  それは、今にも通じる部分でそんなところではシェアしたくないっていうか。。


M :  名前を変えたのは何かあったの?


I :  なんというかオルターエゴみたいな感じ。

  ラッパーの人がプロデュースする時に違う名前とかあるじゃないですか。


M :  なるほど、その感覚ですね。 


I :  当時のblastのインタビューでは、

  自らが自分の事を頑張って異人化扱いしているという、

  今見ると結構キツめの自己演出があったりしてた(笑 )


(( まだまだ イントロが流れてる ~ ))

 
I :  長いなー、このイントロの間に1ヴァース、ラップできる…。

  でも、あえてこういう構成にした気がします。

  なぜなら面白いから。今聴いてもdopeだなー(笑)。


(( Rapがようやく入ってくる。))


I & M :   おおーー。


((つづきます))

2010/10/05  |  TURN ON THE SUNLIGHTアルバムリリース&来日記念スペシャル・インタビュー!

アルバムを聴いて、率直に本当に愛が詰まってる作品だと感じた。
それは、音楽に対してもそうだし、カルロスとジェシー二人の日常の中の風景から醸し出される愛がストレートにそのまま詰まったCDなっている。CDを聴いた後に残る余韻を楽しませてくれるように、そんな聴いた人達の心に何かを『残してくれる』そんな、素晴らしい音楽作品だと感じた。

TURN ON THE SUNLIGHT のメンバーである、カルロス・ニーニョに『TURN ON THE SUNLIGHT』に
ついて、自身の音楽について聴いてみた。

disk union 三河


TURN ON THE SUNLGHT


■今回、素晴らしいアルバムを創り上げたパートナーである、ジェシーのサウンドを初めて耳にした時どう感じましたか?そして、ジェシーとのコラボレーションの際に意識した事、大切にした事はありますか?

C: ジェシーはとても才能豊かなマルチ楽器奏者、作曲家、そしてプロデューサーなんだ。彼のギターの演奏はとてもソウルフルで、心に響く!彼の演奏を初めて聴いたのは、彼の家のリビングだったけど、それを聴いた瞬間からすぐに興味をもったんだ!二人で音楽を作る前から友達で、ニューヨークに行くときは、必ずジェシーの家に泊まっていたよ。2008年6月にニューヨークに行ったとき、"Rabbit Island"をレコーディングしたんだ( Carlos Niño & Friends名義の「HIGH WITH A LITTLE HELP FROM」に収録)。それ以来、曲のアイデアをEメールで送り合うようになった。その後にニューヨークを訪れたとき、ジェシー・ピーターソンのアルバムをプロデュースしたいと申し出たんだ。その制作に入ってから、デュオのアルバムが生まれたんだ。このアルバムに詰め込まれている愛情は、僕らの心から流れているものだよ!僕らは親友だし、それが自然と反映されてるんだ!

■このターン・オン・ザ・サンライトというグループ名には、「目覚めて、目を開けよう」というメッセージが込められていると聴きましたが、具体的にあなたにとっての「目覚めて、目を開ける」という行為もしくは「心を開くこと」はどういう事ですか?

C: 人生、愛、意識に目覚めること。太陽は輝いているのに、僕らはそれを最大限に利用していない。僕らは太陽を浴び、太陽を心の中に持ち、みんなにお返しをしなければいけない。このバンド名は、色々な意味をもつ詩的な名前・・・。

■この作品は、特にアコースティックギターの音を軸としたサウンドになっていますが、何か拘ったサウンドメイクや場所、機材などありましたか?

C: ギター・サウンドは、ジェシーの魂そのものを反映しているんだ。彼は本当に美しい魂の持ち主だよ!レコーディングも特別なことをしたわけじゃなくて、とにかく良いエネルギーが流れるようにしたんだ。僕がギター・サウンドに貢献したのは、励ましたり、音を聴いたり、想像力を広げることだった。

■ターン・オン・ザ・サンライトに限らず、あなたが携わる数多くの作品やプロジェクトは、本当に色とりどりであるのにも関わらず、必ず神秘的や幻想的で、かつ冒険的な要素を持っています。そして、人間としての哀愁やどこか切ない要素がある。それでいて美しくもある。スタイルやジャンルではない、音楽を愛しているからこそ滲み出てくるものだと思うのですが、そのように様々な音楽を吸収し、エネルギーに替えて作品を放つ事が出来るプロデューサー/アーティストとしてのあなたを創り上げてきたものは何だったと思いますか?

C: 僕はとにかく音楽を愛しているんだ!音楽こそ人生だよ!音楽はバイブレーションなんだ。僕はこれだけ素晴らしい人達と音楽を作ることができて、幸運に思ってる。僕は全ての音とリズムにオープンなんだ。コラボレーションをしたり、何かのプロジェクトに関わるときは、僕は自分の心に従うようにしてる。自分が関わる全てのプロジェクトがポジティブで、人にインスピレーションを与えることを願ってる。

■音楽を始めたころはヒップホップやサンプリングの世界に影響を受けたそうですが、特に聴いていたアーティストはいますか?また、のめり込むきっかけになったアーティストはいますか?

C:僕が初めてプロデュースしたアルバムは、ドワイト・トリブル 「HORACE」というスピリチュアル・ジャズの作品だった。ビリー・ヒギンズがドラマーだった。本当に素晴らしい体験だった!ヒップホップに関しては、僕がずっと好きだったグループが二ついたんだ。パブリック・エネミーとア・トライブ・コールド・クエスト。初めて好きになったグループはランDMCだったけど、ああいうサウンドや歌詞は今でも好きとは言えない。ボム・スクワッド、ネイテイブ・タン、プレミア、ディラは僕のオールタイム・フェイバリットのプロデューサーなんだ。チャックD、KRSワン、マイカ・ナイン、Qティップ、ファロー・モンチ、そしてあといくつかのかラッパーがフェイバリットMCなんだ。ヒップホップは、サンプリングを通して色々な音楽について教えてくれたことに感謝してる。でも今のヒップホップのエネルギーや、リリックの内容、音楽的な狭さが好きじゃないので、あまり聴くことはなくなっている。たまに古いヒップホップのレコードや、同世代のヒップホップ・アーティストのレコードを聴くことはあるけど、今は基本的に違う音楽を聴くことの方が多い。

■あなたは、LAのSpacewaysというラジオ番組にも携わっているように、音楽を創る立場だけではない送り手としての立場でも良質な音楽を届けていますが、音楽を届ける立場として意識していることはありますか?また、初めてあなたがラジオ番組に携わった時に、かけた曲や思い入れのある1曲を教えてもらえませんか?

C: ラジオは、大勢の人とすぐに繋がって、音楽を分かち合う手段なんだ。生放送でラジオをやっているし、オープンなフォーマットだから、僕は自由にプレイしたい音楽をプレイすることができる。ラジオをやっているときは、意識とバイブレーションを大事にしている。インスピレーションを与えるような、そして愛と心がこもった音楽をプレイするようにしているんだ。15年前にラジオの活動を始めたとき、スピリチュアル・ジャズ、ソウル・ジャズ、レア・グルーブ、ヒップホップ、ワールド・リズムをプレイしていた。ユセフ・ラティーフの「Love Theme From Spartacus」は、僕が初めてプレイした曲だったかもしれないけど、あの曲は今でも大好き!この曲は、僕の番組で何回かプレイしている。

■あなたが携わっているLAのシーンは、ビートメーカー、ラッパー、シンガーソングライターやグラフティなどクリエイティヴで色鮮やかな個性を持ったアーティストが集まっていますが、今と昔でそれを取り巻く環境や状況は変わりましたか?また、逆に変わらない事はありますか?

C: 僕の仲間はみんなレコード、アウトドア、神秘的な世界が好きな人達ばかりなんだ。僕は太平洋で泳いだり、ハイキングに行ったり、色々なスタジオで音楽制作をしている。自分がDJをしたり、演奏するとき以外は、クラブやバーにいくことは殆どない。だから、前ほど今のシーンについて詳しくない。ロサンジェルスは昔からアートが活発だった。何が変化したか、そして何が同じかは分からないけど、シーンは常に変化していると思う。

■あなたは数多くの様々なアーティストと作品を創り上げていますが、プロデュースすることに対して意識している事加えて、アーティストとの作品創りに対して大事にしている事はなんですか?

C: コラボレーションをする時は、フレキシブルでオープンでいることに意識している。音を聴いて、自分のアイデアやエネルギーを、最適のタイミングで、慎重に出さないといけない。どのプロジェクトも違うから、そのプロジェクトにあったアイデアやコミュニケーションを提供しないといけない。場合によっては、あまり手を下さずに、ワイルドなままや、静かなままにさせた方がいいこともあるし、こっちがガイダンスをしないといけないこともある。手助けする必要もあれば、ガイドする必要もあることがある。

■あなたの今までの作品も含めて、「物を創る事」・「クリエイトする事」をとても生きる上で大事にしていると感じるのですが、今の音楽というフォーマットが、データに移行していく事をどう感じますか?

C: 僕があるアルバムが大好きだったら、アナログ、CD、MP3を全部買う。僕はどのフォーマットも好きなんだ。フィジカルのフォーマットが時代遅れだと言う人もいるけど、アナログは特別な存在だから、100年近く生き延びている。特別なものは長続きするし、生き延びるんだ。今、音楽をダウンロードする人が多いけど、レコードを買う人が増えている。最高のものの代用品はないよ!何があっても、音楽は生き続ける。音楽こそ、僕らの生命の源なんだ。

■ここ日本では近年、様々な影響からCD・レコードショップが数多く閉店してしまっています。アーティストにとっては仲介業者を通さずに、直接お客さんに作品を届けられるメリットやustreamなどでの宣伝等も気軽にできる事はとても良いことでもあると思いますが、良質な音楽をしっかりと届けられるディストリビューターやCD・レコードショップの存在意義を改めて僕らもアーティスト・リスナーも含めて考えるべきだと思うんですが、あなたから見て今の音楽をとりまく現状をどう感じますか?

C: その通り!音楽がよければ、その音楽はフィジカル・ファーマットでリリースされるはずだ。中古レコード店はこれからも存在し続けるし、プレスする価値さえあれば新譜のレコードも存在し続ける。レコード業界をやめていく人達は、需要のないレコードを売っている人達だと思う。それが正しいかどうか分からないけど、僕の視点から言えば、人々は常に良い音楽を探し求めている。流通するものもあれば絶版になる作品もあるし、デジタル化される音源もあれば、コレクターのみのためにプレスされる音源もあると思う。

■今回の作品の話に戻りますが、このCDは音楽を愛する人達すべての人にとっての"HOME"になるようなアルバムだと思うんです。ふと帰りたくなるような、そしてほっと自分を見つめ直せるような、人それぞれの"HOME"になるような愛が詰まった作品だと思うんです。あなたにとってのかけがえのない"HOME"はなんですか?

C: このアルバムは家でレコーディングされたし、心のこもった作品なんだ。「我が家とは、心がこもったところ」という諺がある。だから、この作品を聴いて、アットホームな気分になるはずさ。ホームとは、「愛」だよ。そして、音楽こそ「ホーム」なんだ!海の中で泳ぐとき、祈るとき、そして人のためになることをやったときが、ホームなんだ。それを「Turn On The Sunlight」に感じてもらう瞬間があれば、僕らも本望だよ!

 

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TURN ON THE SUNLIGHT               Patterns (A Spaceways Radio Collage)


◆ツアー情報◆
LAのシーンを牽引するキーパーソン、カルロス・ニーニョ(Build Ark Ark、J・ディラ・トリビュート『Suite For Ma Dukes』のプロデューサー)の新プロジェクトTurn On The Sunlight。フォーキーでアンビエントなデビュー・アルバム『Turn On The Sunlight』(9/8発売)のリリースと共に初来日が決まりました! http://corde.co.jp/release/index001.php?id=66&ra=AKDRIJYYX

Life Force Trioのドラマー、テクスター・ストーリーを加えた3ピースのバンド編成は、アルバムともまた違ったスリリングな演奏を展開します。カルロス・ニーニョ自身が熱望したレイ・ハラカミやテニスコーツらの出演も決まりました!

Corde presents
-Turn On The Sunlight JAPAN TOUR 2010-

New music by Carlos Nino & Jesse Peterson featuring Dexter Story of The Life Force Trio

Carlos Nino (vo, key, per)
Jesse Peterson (vo, g, key, per)
Dexter Story (vo, d, b, per)

2010.10.11(mon) @ KYOTO METRO with Rei Harakami, TERRAS
2010.10.12(tue) @ KOBE GUGGENHEIM HOUSE
2010.10.13(wed) @ OSAKA PINE BROOKLYN
2010.10.15(fri) @ TOKYO UNIT  with Rei Harakami, Tenniscoats + 梅田哲也
2010.10.17(sun) @ SAPPORO ban.K ski area center lodge

京都公演詳細
2010.10.11(mon) 京都METRO
京都市左京区川端丸太町下ル京阪神宮丸太町駅2番出口 恵比須ビルBF
開場:18:00 開演:19:00 →22:30終演予定
料金:前売り3,800円、当日券4,300円(共にドリンク別)
LIVE: Turn On The Sunlight, Rei Harakami, TERRAS

東京公演詳細
2010.10.15(fri) 代官山UNIT
東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za-HouseビルB2F
開場:18:00 開演:19:00 →22:00終演予定
料金:前売り3,800円、当日券4,300円(共にドリンク別)
LIVE: Turn On The Sunlight, Rei Harakami, Tenniscoats + 梅田哲也

2010/09/15  |  DJ KAWASAKIアルバム「PARADAISE」リリースインタビュー

3年振りとなるDJ KAWASAKIの新作「PARADAISE」。前作リリース時は国産ハウス・ムーブメントまっただ中。そこから時代は変わり、国内のシーンも一変。そんな今、彼が放つ音楽性。それは、ハウスの新たな可能性を示唆している。



 
ここ数年で国産のハウスも細分化し、多くのアーティストがテックやエレクトロ、プログレッシブなど、様々な方向へ進むなか、KAWASAKIさんの新作はテクノ、それもデトロイト・テクノへと傾倒していますよね?
 
「これはもともとやりたかったことでもあるんですよ。これまでの作品、ファースト・アルバム「BEAUTIFUL」、そしてセカンド・アルバム「you can make it」にしろ、デトロイト・テクノのテイストは様々なところに入っているんです。それを今回は1枚のアルバムを通して表現する。そもそも、デトロイト・テクノは僕の中の1つのルーツ。
ディスコやダンス・クラシック、ジャズやフュージョンなどと同じ、僕のダンス・ミュージックの原点なので」
 
デトロイト・テクノが今作のテーマ?


「テーマというより、あくまで僕が考えるデトロイト・テクノのアプローチを大胆に取り入れたという感じですね。単純にデトロイト・テクノそのものを作ったわけではないんです。今回のテーマは、“ロマンテック”、ロマンティック+テクノ。
言うなれば、
DJ KAWASAKIの持つテイスト、つまり歌もののディープ・ハウスに通じる、ロマンティックな部分やドラマティックな要素を含みつつ、なおかつ僕のルーツであるデトロイト・テクノを自分なりの解釈で表現しています」
 
今回は、“ロマンテック”の他にも制作スタート時にお題があったと聞きましたが?


「プロデューサーである沖野(修也)さんから、ピアノとストリングスの使用禁止令があったんです。最終的にはどちらも使っていますけど、そこに頼らないで作るという意味でのアドバイスだったんだと思います。」
 
ピアノとストリングスと言えばハウスの肝、これまでのKAWASAKIさんの作品でも軸になっていただけに、それは大変ではなかったですか?


「この話を聞いたとき、僕は逆に面白いなと思いましたね。ピアノとストリングスをあえてフックしないことで、今までにない作品ができるんじゃないかという可能性も見えたんです。多くのアーティストが試行錯誤して新しいサウンドを生み出しているなか、僕もこれまでとは異なる新鮮さが必要だと思っていましたし、この禁止令があった事で、エレクトリックな方向性をうまく引き出すことに繋がったと思います」
 
そうして完成した新作「PARADAISE」。なかでも1曲目“Galactic Love”は今回のテーマをすべて包括した、今作を代表する作品になっていると思ったのですが?


「そうですね。タイトルを含め、今回のアルバムを代弁するテーマ曲になっていると思いますね。デトロイト・テクノのいわゆるギャラクティック(=銀河的、宇宙的)な感じも出ているし、それでいてドラマティック。ハウス、テクノというジャンル感を意識することなく、タイトルのイメージをそのまま自分らしく表現できたかなと」
 
フロアでの反応は?


「かなりいいですね。初めてかけたときから反響は大きくて。海外のアーティスト仲間、RASMUS FABERKARIZMAなどにもすごく気に入ってもらえて、手応えは感じています。ただ、みんな最初に聴くと僕の曲だとはわからないみたいですね(笑)。
それだけこれまでの僕の作品とは違った、新生
(でしょうか?)DJ KAWASAKIというのが打ち出せたと思います」
 
そんな“Galactic Love”同様、ラッパー兼シンガー、期待の気鋭女性アーティストCOMA-CHIをフィーチャ−した“Paradise”も注目すべき1曲ですよね。


「この曲は、当初から日本人ボーカリストにお願いしたいと思っていたんです。そんなときに、渋谷のクラブ:The ROOMCOMA-CHIと出会って。彼女のことは以前から知っていたし、作品も聴いていました。
個人的にすごく興味があったんです。彼女はラッパーとしても素晴らしいですけど、僕は特にシンガーとしての才覚に惹かれていましたね。そんな中話をしてみたら、人間的にも面白く、その場ですぐさまコラボの話をオファーして。まさに運命的な出会いでしたね」



 
この曲は、KAWASAKIさん自身初となる日本語詞の楽曲ですね。


「日本語詞に関しては、日本人である以上いつかはやろうと思ってたんです。ここ数年、アジアに行く機会が多くて、各国でDJをするたびに韓国語、中国語で曲を作ってほしいというリクエストをいただくんです。もちろん、その期待にも応えたいと思うんですけど、その前にまず日本語かなと思っていて。
で、そんなときに
COMA-CHIに出会い、彼女なら日本語の歌でいくべきだなと。なので、決して気構えて日本語詞にチャレンジするとか、そういった雰囲気ではなく自然な流れでやることになって良かったですね。そうして、COMA-CHIにリリックをお願いしたら、仕上がりがまた想像以上に素晴らしくて。
タイトルの“
Paradise”を喚起させつつ、コズミック感もあり、最終的には沖野さんに『“勝手にシンドバッド”以来の衝撃』とまで言わせるほどの出来映えでした。ボーカル・ワークに関しても、歌でありながらラップのようでもある、今回のアルバムの中でも一際異彩を放つ作品になっています」
 
今作ではそういった新たな試みが本当に多い。


「そうですね。ただ、それらはすべてがチャレンジというわけではなく、テクノにしても僕の素養の1つであるように、あくまでDJ KAWASAKI路線の延長線上にあるんです。
その中で意外性のある組み合わせが功を奏して面白い変化が起きたり、実験のなかで新たに生まれたものも多々あります。僕自身、決まりきった展開、予定調和的なことはあまり好きではないので、そういう意味では面白い作品になったと思いますね」
 
実験的という意味では、これまでの作品にも参加してきたウィーン・フィル・ハーモニック・オーケストラのストリングス奏者と共演した“Heaven”、ハウスのビートを除いた“Journey”などは、これまでのアプローチとはまったく違いますね?


「ピアノとストリングスの禁止令や、ロマンテックというテーマのなかで、新しさが出るのは当然のこと。そういう意味では、“Journey”などはまさに実験のなかで生まれた新しいサウンドだと思うんです。
同じように“
Heaven”も実験的ではあるんだけど、そこに毎回お願いしているウィーン・フィルのストリングスを入れることで、今までのファンも安心させているんです。新しいことも大事ですけど、既存のDJ KAWASAKIらしさ、これまでのファンも楽しめるような作品というのも念頭にありました。
例えば、“
YOU CAN MAKE IT”で共演したタシータとの“Feel The Music”やラストを飾った “Searching” などは、これまでの僕の作品に近い部分がありますよね。今回はデトロイト・テクノだからだとか、僕はハウスのアーティストだからとか、そういったジャンルやカテゴリー的なことはまったく意識していなくて、とにかく自分の作りたい音楽を作ろうと思っていたんです。
それは自分自身のルーツを改めて見つめ直し、再解釈し、そこに自分らしさや、ロマンテックというような面白い組み合わせ、そして新しい要素を加えることでできた、まさに現時点の僕が表現したかった事の結晶だと思います。結果的にそれがギャラクティック・ハウスじゃないですけど、自分オリジナルなものになれば嬉しいですね」

TEXT BY 杉山忠之




DJ KAWASAKI 
『Paradise』 

2010/08/27  |  AK(柿原朱美) Say That You Love Me -Best Of N.Y.Sweet Electro- リリースインタビュー

NYを拠点に、シンガー/ソングライター/プロデューサーとして活躍しているAK(柿原朱美)。「Say That You Love Me – FK-EK Remix」は、全米デビューシングルとしてリリースされ、世界中のダンスチャート1位を総なめ、ハウスのマストアンセムとして定着した。以後、次々ハウスアンセムとなる人気曲を生み出し、NYでの音楽活動の集大成として、初のハウス/ダンスミュージック・アルバム『SAY THAT YOU LOVE ME-BEST OF NY SWEET ELECTRO-』を、8月25日にリリースした。
 
 
◆8年ぶりのアルバムリリースとなりますが、リリースに至るまでの経緯
 
自分でも驚くほどのダンス曲が増えてきていたけれど、すべてバラバラだったので、そろそろ1枚にまとめた方がいいんじゃないかな、って。「Say That You Love Me」はもちろん、すべてのコラボ曲、新曲、NYに来てからのどの曲もが収録されている作品。8年経ったからこそ自分自身でも歴史を感じるというか、成長も止まらず続けてこれたな、って感じています。


 
◆NYでの生活について
 
NYにこんなに長くいると思わなかったし、そもそも自分がニューヨークに永住するなんて思ってもみなかったんです(笑)。ダニー・クリヴィット(※NYのレジェンド DJ)と知り合ったことが、私の人生を変えたきっかけになりました。そして彼と出会ったおかげで、いろんな出会いが生まれ、音楽の範囲も広がり、何よりこの8年で数多くのアーティストとコラボレーションをすることができました。NYに住んだからこそ、このアルバム『SAY THAT YOU LOVE ME-BEST OF NY SWEET ELECTRO-』が作れたんだと改めて思います。
 
◆永遠のアンセムとなる「Say That You Love Me」のリミックスが生まれた背景
 
ダンス・ミュージックへのアプローチが私のテーマだったので、それをどう料理するか考えたんです。そこでフランソワ・Kにリミックスをお願いしたいと考え、King Street Soundsのヒサ(イシオカ)さんに相談をしたら、フランソワが気に入ってくれて、エリック・カッパーとの共作リミックスが出来上がり、それが全米デビュー・シングルになったんです。世界中のいろんな国のダンス・チャートで1位になって、『こんなに早く夢が形になってしまっていいの?』という状態でした。そのおかげで他アーティストからコラボレーションの話をもらい、ジェフテ・ギリアムとの「Shining Your Way」などが生まれたんです。
 
◆STUDIO APARTMENTのアルバムに収録され、フィーチャリングで参加した「BEAUTIFUL SUNRISE」について
 
この曲はすごく思い入れがあるんです。曲を書く前にプライベートで身近な人を亡くしたので、命の尊さや瞬間の尊さみたいなものをすごく強く感じていて、その思いをメッセージとしてこの曲に込めたんです。そんな曲を多くの人たちに共感してもらえたことはすごくうれしく思いますね。日本でパフォーマンスをやったときにはみんなが歌詞を覚えてくれて、大合唱になって感激しました。
 
◆初めての収録となったインストとカバーについて
 
元々わたしはジャズや映画音楽やクロスオーバーなどを聴いて育って、エウミール・デオダートからインスピレーションを受けて音楽を始めたので、いつかインストを作ってみたいというのがあったんです。カバーのスティーヴィー・ワンダーの「ゴールデン・レディ」は元々好きな曲だったのと、歌詞に共感しているので、歌うならこの曲しかないと思っていたんですね。
 
◆新曲「IF YOU LOVE ME」のエピソード
 
実は、この曲はわたしがニューヨークに来て最初に書いた曲で、AKの初のダンストラック・プロダクションなんです。その頃、私はダンスミュージックを作ったことがなくて、見よう見まねで作ったんだけど、自分の中では全然、納得できる出来ではなかった。だから、あまり人に聞かせるでもなく、ずっと寝かせていたんだけど、今回アルバムを作るにあたってダニーに改めて聴いてもらったら、「すごくいいよ!」って非常に絶賛してくれたんです。「そうなんだ!あれでよかったんだ」って(笑)。だから自分にとって思い出の1曲なんです。


「If You Love Me」 PV
 
 ◆9月の日本でのツアーへの意気込み
 
今回は、私とダニーのダブル・リリース・ツアーでもあり、私たちの結婚2周年記念でもあって、とても大きなセレブレーションなんです。オーディエンスと一緒に、素晴らしい空間を共有できたらと思っています!



2010/04/21  |  INFORMATION | HIDEO KOBAYASHI 渾身の2nd Album「a Drama」 リリース記念スペシャル・インタビュー!

ここ何年かでハッキリと立ち現れてきた感のある“日本のハウス・シーン”という文脈。もちろんこれまでも幾多の地下活動が胎動しは潜り込み、といった循環がようやく実を結んだ結果であるのだが。そしてその“日本のハウス・シーン”に古くから並走し、同業からの信頼も高いクリエイターズ・クリエイターこそがこの度新作『a Drama』を上梓するプロデューサー、HIDEO KOBAYASHIである。90年代から活動を始め、00年頃からはUSやUK、日本など数々のレーベル(この中には筆者が国内初のテック・ハウス・レーベルなのでは、とにらむIng Recordingsからの作品も含んでいる)から楽曲をリリース。サンフランシスコでの生活を経て06年に帰国した時点では“知る人ぞ知る敏腕プロデューサー/DJ”として国内での期待値を高めている。その後、NY老舗レーベルIbadanのボスJerome SydenhamとのユニットNagano Kitchenを経て、08年、万を持しての個人名義フル・アルバム『ZERO』を発表。シーンが諸手を挙げて迎えたアルバム、そしてそれに伴うツアーを彼はこう回顧する。
 
「完成度に関しては満足していますね。作品として反省の生まれるようなものは残すべきではないと思うし、当時の思いやスキルを精一杯表現していると思います。ツアーを通して多くの同志達とも出会えたし、世界各国のレーベルからもライセンスされたので、その点でも良かったと思います。制作、販売に携わってくれたみんなの気持ちが、この作品を作り上げた。そう言っても過言ではなく、感謝しています。セールスに関してもほぼ予想通りで、的確な仕事が出来たんじゃないかな」



 
そして本人の話によれば、『ZERO』発表前には早くも今作『a Drama』の制作に取り掛かっており、DJツアーや他アーティストのリミックス作業と並行して作業は進んでいたようだ。今作は前作発表から現在までの一年間のドキュメントとして、長野の自宅スタジオにて編まれてゆく。
 
「『a Drama』というタイトルは一年間のドキュメントであると共に、自分自身を表す言葉としても気に入っているんです。またDJプレイもその一部ですので、同様にそう呼んでいいと思っています。そして、常に全てにおいて“ドラマティック”でいたい。制作は基本的にはすべて自宅スタジオで。プラグイン等は少しずつ増えていますが、前作とほとんど環境は変わっていません。ただしチャンネルストリッププラグインは一新して、それで基本的な音作りをしていますね。あとTokyo Black Starの熊野さん(a.k.a. PHONON)が開発した“PHONON LIQUID”という接点復活材をほぼ全ての接点に塗ってから、音の解像度がすばらしく生まれ変わったので、アルバム全ての曲をトラックダウンし直したりはしました」
 
 
今作にはタイトル通り作品をドラマティックに彩るゲスト陣が多数参加している。ここ日本でも大ヒットを飛ばす北欧ハウス・シーンの雄Rasmus Faberや、Naked MusicやOMからの楽曲で知られるシンガーLisa Shaw、日本が誇る轟音ジャズ・バンドSOIL & “PIMP” SESSIONSのサックス奏者である元晴、そしてHIDEO KOBAYASHIと多くの共演曲を残す歌姫Tomomi Ukumoriら豪華かつ個性的な面々が作品に助力しており、クレジットを眺めるだけで壮観である。これらゲスト陣の魅力を本人に訊くと、
 
「まず冒頭“beautiful moment”でボーカルに迎えたChrista。彼女はハウス・シンガーではなく、カントリーが主体のようで、詞の内容が本当に素敵で、とても美しいメロディーを書く。そしてカントリーをベースとしたハーモニクス・ラインが特徴で、そこに彼女のシンガーとしての魅力があると思っています。“Ase”でサックスを吹いてくれた元さん(元晴)とは幾つかの野外フェスですれ違ってはいるのですが、彼のプレイを見て、吹いて頂きたいとずっと思っていたんですよ。今回やっと友人の紹介でお願いすることができて。Lisa Shawは簡単に言うとディープ・ハウスのボーカリストとして最初に影響を受けたアーティスト。そして在米中のルームメートでもあるんです。いつか一緒にやろうとお互い言っていたので、それが遂に実現しましたね。Rasmus Faberとは尊敬するアーティストが完全に一致していて。坂本龍一、ビル・エヴァンス、ドビュッシー。彼の弾くピアノが、自分の弾くピアノに近いと感じるのも、おそらくそういった理由があるからでしょう。もちろん彼の方がうまいですが(笑)」
 
とのこと。こういった彩りは今作を形作る魅力のひとつであるが、それ以外にも彼のビートメイカーとしての本懐が垣間見えるインスト楽曲にも触れよう。なかでも、既にアナログでも発表されている楽曲“Made in Japan”は序盤の静謐さから高揚感溢れる後半までの流れ、またストリングスのニヤリとさせる使い方も含め、素晴らしい出来映えである。今楽曲は同時に配信のみで44.1Khz/16bitの高音質ヴァージョンも発表されている。話題は彼のデータ音源へのこだわりにも及ぶ。
 
「(“Made in Japan”は)日本に向けての応援歌です。この前の冬季オリンピックでぜひ使って欲しかったんだけど(笑)。聴いて元気になってもらえれば本望です。データ音源は可能な限り48kHz/24bitでの配信を望みます。こちらはそのフォーマットで制作しているので、その方が作家の真意は伝わりやすいと思います。もちろん再生の環境にもよるんですがね。そしてクオリティの低いレートは無くしていくべきでしょう。それはアーティストの表現をカットしてしまうのと同義だから」
 

 
  結果、『a Drama』はHIDEO KOBAYASHIにとっての一年間のダイジェストであると同時に、2010年の国産テック・ハウスの極みを捉えた作品集となっている。ここに収録された全11篇のドラマは私小説でありながら、冒頭で触れた“日本のハウス・シーン”という文脈に更なるページを付け加えているのだ。このシーンに携わる諸氏以外にも広く聴かれるべき今作。最後は氏のあくまで謙虚な姿勢が伺える言葉で締めよう。
 
NEW WORLD RECORDSの皆さん、カメラマンさん、デザイナーさんが一丸となって協力しながら、本当に一生懸命やってくれたからこその結果がこの作品だと思います。この場を借りてお礼を言わせて下さい。ありがとう。愛してます」
 
(取材・文/高橋圭太)

 


HIDEO KOBAYASHI 2nd Album - 『A DRAMA』
2010.04.25 ONSALE!!!
 

2010/01/28  |  INFORMATION | SHOTA HISHIYAMAファースト・アルバム「CHILDREN OF THE SUN」リリース記念スペシャル・インタビュー!

ファースト・アルバム「CHILDREN OF THE SUN」をTHINK! RECORDSからリリースするSHOTA HISHIYAMA(以下S)のスペシャル・インタビューをお届けします!


■まずは自己紹介をお願いします!

S:こんにちは、今回アルバム「CHILDREN OF THE SUN」をリリースします、菱山正太です。

■今回のアルバムはソロ・デビュー作ということでどんなイメージで作り上げたものですか?

S:日本人シェフなのに、ミシェランにも載っちゃう三ツ星フレンチ・レストラン、というよりは、「ゆっくり美味しい回転寿し」ですね(笑) 具体的には、東京という街の夜明けや、禅や茶道などの文化や建築、 バリ島やポリネシアの自然など、日本に限らず、東洋のいろんな景色にあうサウンドトラックというスタンスで作ってみました。

■音楽ジャンルも、R&B、ジャズ、アンビエント、ブレイクビーツといった要素が詰まっていますがその土台となっているのはどんな音楽なんでしょうか?意識したアーティストなども合わせて教えてください。

S:SILENT POETSや、THE CINEMATIC ORCHESTRAが好きでよく聴いていました。具体的には、HERMETO PASCOALやJOE ZAWINULのようにジャズを土台にしてる人たち、 逆にSTEVE REICHやPHILIP GLASS、JOHN CAGEみたいにクラシックを土台にしてる人たち、いずれも、実験的で民族的なアプローチを大事にしている人たちで、分かりやすいノリを持たせつつも、そういったスピリチュアルな響きを意識しました。


■このアルバムからは"キーボード・プレイヤー"のイメージがあまり想像できないのですが(笑)、それはわざとですか?

S:やっぱりそうでしたか(笑)わざと、ですね。。。 自分のプレイヤーとしてのエゴをプッシュしすぎてアメリカンというか、いわゆるジャズやジャム的な響きが強くなってしまったので、 極力そういった曲やプレイは排除するようにしました。

■今回のアルバムでオススメの曲を1曲選ぶとしたら?

S:ドラムンベースが好きな人には、"Geisha(Fujiyama,Yoi No Hana)"、R&Bやジャズ的なヒップホップが好きな人には"Out Of Chaos"と"What Stays In Your Heart(アナログ盤のみ収録)"、ブラジルものが好きな人には"Liberdade"、クロスオーバー系が好きな人には"Children Of The Sun"、アンビエントやミニマル系が好きな人には"Tokyo Morning","Polynesian Suite","Sayounara" ってこれじゃあ全曲ですね(笑)

出来上がってみて、個人的には "Polynesian Suite" が一番気に入っています。大小いろんなコップに水を入れて、それを叩いてメロディーを弾いたんですが、音程を合わせるのが大変でした(笑)

■ソロ名義としてどういった活動をしたいと思っていますか?

S:自分のバックグラウンドであるアジアの文化をもっと掘り下げて世界に発信していきたいですね。

■その他、今後の活動を教えてください。

S:沖野修也さんや須永辰緒さんなど、 楽曲制作で、いろんな方に本当にお世話になってるんですが、アレンジャーやプレイヤーとしても、いろんなポイントに関っていければと思っています。

■ご協力ありがとうございました。

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SHOTA HISHIYAMA CHILDREN OF THE SUN    SHOTA HISHIYAMA CHILDREN OF THE SUN

2009/12/25  |  INFORMATION | XLIIファースト・アルバム「EGO FRIENDLY」リリース記念スペシャル・インタビュー!

ファースト・アルバム「EGO FRIENDLY」をリリースしたXLII(シリー:以下X)のスペシャル・インタビューをお届けします!

■リリースおめでとうございます。まず、聴かせて貰って思ったのは、HIPHOPとDUB STEP的な側面のエレクトロのバランスが凄く良い作品だなと思いました。HIPHOPなタイトなビートな質感と打ち方、エレクトロなベースラインと上モノっていうのが、XLIIの特徴のひとつだと思うんですが、その裏にあるシリアスな空気感が僕は凄く魅力的に思うんです。それはやはりロンドンや東京の生活から 滲み出てきている部分だと思いますか?

XLII
X:ありがとうございます!どうでしょうかね(笑)。まあ、シリアスと言われると 確かにそうかもしれませんが、ロンドンや東京にはあまり影響を受けなさそうな気がしますけどね。個人的 に何に影響を受けたとか一番難しいところですね。大体曲を作る時、最初からどんなものを作りたいと決めて、面白い感じになるまでずっといじりますから、今年はシンセにはまって、こういうのができちゃったんですよ!エレクトロと言われても、僕は やっぱりHip-Hop spiritですから、こんなふうにジャンルからはずれた感じになってしまいました(笑)。


■アルバム・タイトルである「EGO FRIENDLY」の由来はなんですか
?

X:言葉遊び凄く好きで、最近流行っているエコっていう事のパクリ名です(笑)。"Eco Friendly"っていう言葉があって、その意味は「地球に優しい」って事です。そのタイトルをぱくって、「エゴに優しい」にしました。解釈は自由ですが、僕の意見で人のエゴに優しい音楽っ て事ですね。たまにすっごいえらそうな曲を聴いたら、何かイライラします(笑)。例えば、最初の2分意味不明なノイズを入れて、それから全くライムがないおしゃれそうなしゃべりにして、クライマックスにバンジョーを弾いて、「考えろや!」と怒鳴りだして、終わりっ。。。みたいな曲を耳にすると、「俺バカなのかな?何でこの曲を理解できないのかな?俺頭悪いのかな?」と考え出しちゃうから、そういうのはあまりエゴに優しくない音楽だと思います(笑)。今回の作品はあんな気分にさせないように作りました!(笑)。意味不明なところは一切ないようにしていますので、凄くエゴに優しい音楽だと思います!(笑)。"Ego Friendly"です。

■今回制作にあたって使用した機材を差し支えなければ教えてください。また、最もフェイバリットな機材を1つあげてもらえますか。

X:機材オタクですから、危ない質問です!(笑) 申し上げます:作りはCubase 4 & 5はメインです。ミキシングはPro Tools 8 でした。シンセを本当にたくさん使いましたので、シンセのチョイスは1位Sylenth(Podgy Swing)、2位Juno106(Alive)、3位Minimoog(One Foot In The Rave)、4位 Massive(Plump Shuffleのベースライン)。打ち込みは大体 Oxygen49っていうMidiコンとPadKontrolです。プリアンプは Focusriteです。
ダブエフェクトはVesta Fire RV-1っていう凄く古いスプリングリバーブとか。使いました。。。デジタルなものが多いので、最後に音を暖かくするように、全トラックをビンテージのアナログミキサーを通 します。本当に気持ちいい音がするやつですよ。まあ、全部書こうとしたら、10ページ以上になりそう!(笑)。

■COMPANY FLOWをフェイバリットなアーティストに挙げているけれど、彼らの作品で特に好きな曲はなんですか?また、COMPANY FLOWのどこに影響されましたか?

X:「FUNCRUSHER PLUS(97年リリースのファースト・アルバム)」はクラシックです!好きな曲は全部ですけど、死ぬまで聴けるのは:"Silence"、"Blind"、もちろん"The  Fire In Which You Burn"。影響はやっぱりあの時代であそこまで外れた音楽を作って、そこでリスペクトをもらえたって事かな。この狭いHip-Hopの世界であの時の彼らを超えたアーティストはまだいないと思います。今世界中から向けられるJ-Dillaなどへの憧れは全部彼らのおかげだと思います。音的に影響はあまりないと思いますけど。

■今回のアルバムでは、自身のRAPが入っている曲もあれば、インストの曲もあるけれどその分け方は何か基準があるんですか?

X:いつも曲を作っている時、いい曲になるように何をすればいいのかなと考えて作っているだけです。今回作ったほとんどの曲にラップが似合わなかったので、入れなかっただけですね。

■今、音楽を取り巻く環境が変わってきているなかで、XLIIはアナログもリリースしているけれどやっぱり世代的にもアナログの拘りというかアナログの愛着ってありますか?

X:そういうのは全然ないです!まあ、もちろんアナログの音を本当に大好きですけど、アナログを出したら、アナログしか使わない人も聴けるだけって事かな。またクラブでかけてくれる人もいるし、そこにいるお客さんが皆聴けるし。とりあえずこの音楽をできるだけ色んな人に届けたいです。CDでもmp3でもアナログでも!

■持っているアナログの中で、これは誰にも譲れないなって思う作品をあげてもらえますか?

X:実はアナログあまり持っていないですよ!(笑)欲しいけど、中々Diggingする時間も無いし、DJもできないし、 人からもらったレコードとサンプリングネタしかもっていないですけど。でも、絶対譲れない1枚と言ったら、高円寺で30円で買った三田村真っていう人の「酒と薔薇の日々に」っていう7インチです!これ本当に凄いですよ!(笑)「ヤクザもSoul Music大好きコッラー!」みたいな気分にさせる一枚です。歌の最初のラインは「殺し文句ニャー!」ですよ。笑笑 週一回絶対聴きます。

■他のインタビューで、日本の好きじゃないポイントに「海外のラッパーをマネし過ぎのMCが本当に多い」って事をあげていたけど、MCにとって必要な事ってなんだと思いますか?また日本人と海外のMCの違いって何だと思いますか?

X:日本人と海外のMCは一緒だと思いますよ。MCは何処でもMCですからね。日本人も他の国の人も、Hip
-Hop好きだから、MCをやっていると思いますので、あまり変わらないと思いますよ。何が違うと言ったら、自分の生まれて、育った状態のリアルさですね。北ロンドンみたいな所に生まれた人は悪そうな、危なそうなラップしている時、それはリアルだと思います。マジでクソな所ですから。(笑)ただ、日本だと会社や社会とかのラップのほうがリアルでしょう。危ない所あまりないから。今は全然違うけど、元々海外でラップをしていた人は本当に嫌な所で生まれた人ばかりでした。でも、日本って嫌な所は何処ですか?人生はそんなに苦しくないでしょう。だから、そういう所をマネしなくていいって事ですね。僕が生まれた時Tシャツ1枚、ズボン1枚、くつ0個でした。8歳の時-20度で毎朝3時からその日の食分のパン200グラムと牛乳200mlをもらう為16時間ぐらい並んでいましたよ。10歳までテレビを見た事なかったし。肉などは運が良ければ、月1回ぐらい食べれる程度で。そんな人生だから、海外のMCはああいうリリックになる訳で。そこは海外をマネし過ぎじゃないですかね?人生が最高みたいなラップしましょうよ!(笑)。MCに必要な事は:1.オリジナリティ。2.自信。3.自分の意見。4.上手く書ける、しゃべれる事  5.強い声。後は当たり前ですけど、スキルでしょう。(笑)。

■リリース元のRAID SYSTEMはBROKEN HAZEのレーベルで、彼もHIPHOPやELECTRONICAという1つのジャンルに固執せずに幅広いアプローチをしていますが、そんな周りのアーティストをここで何人か紹介してもらえますか。

X:周りっていう事より、最近日本で面白い事をやっている人を言います。DJ Audace - 仲間ですけど、彼が作っている曲は本当にかっこいいです。Eccy - 彼はいつも本当にいいペースで本当にいい作品をだしてますね。Olive Oil - 説明不要ですよね。Himuro Yoshiteru - 彼の曲も大好きで。Skyfish - 最高にいい人で最高にいい音楽を作っています。福岡のSatoっていう人の曲も本当に気に入りました。DJ Perroもヤバイです。Daddy Vedaも超かっこいい曲を作っています。後は最近耳にしたOil WorksのIchiroさん!ゆるい感 じで気持ちいい音楽を作っています。

■Fubar Recordingsというレーベルでも活動されていますが、このFubarはどういう経緯で立ち上げたんですか?

X:自分の「家」みたいな自分の所が無かったので、作りました。何かを出したい時、いつでも自分で自由に使えるレーベルです。最近このリリースなどで忙しくて、Fubarは静かな感じになっているんですけど。

■サウンドを聴いて、GLITCH HOPやDUB STEPなサウンドからも何かしらの影響を受けているように感じるんですが、こういったジャンルの音は聴きますか?また、GLITCH HOPやDUB STEPでオススメな作品があれば教えてもらえますか?

X:実際はあまり聴かないですよ!(笑)。Glitch Hopの世界で Editっていう人しか知らないですよ。彼のトラックでGrouchが参加している一曲はかなり気に入りですけど。DUB STEPも何枚を持っているんですけど、そんなに詳しくないですよ。やっぱりDUB STEPだと、遅くて、暗くて、だるい感じのの曲は大嫌いです。BengaやHorsepower ProductionsみたいなファンキーなDUB STEPがいいですね。そっちのほうが少ないから、
あまり聴かないですね。最近見つけたちょっといいのはBracklesっていう人です。後はBare NoizeとMatt U
とか。

■MCでありビートメイカーでもありますが、ライブはどのような感じでおこなっているの?また、ライブに関しては何か意識している事はありますか?

X:いつもパソコンとマイクですね。リアルタイムに曲をいじりながら、ラップしたり、っていうのが基本です。他にもスクラッチDJをフィーチャーしたりすることもあります。いつもいい雰囲気を作りたいし、人に声を出して欲しいから、かなり面白さは大事にしていますよ。毎回セッション的でフレッシュな気分を作りたいので、大体のライブがリハなしです。本当にLIVEですよ。毎回何が起こる分からない感じが楽しくて面白い!いつもステージから客さんのリアクションを見て、その場でリアルタイムで合わせています。最後にまだ踊っていないか声出していない人がいたら、僕の負けです!(笑)。

■今までのライブ活動で、特に印象に残っているイベントはありますか?

X:もちろんありますよ!2,3年前の話ですけど、恵比寿のMilkっていうクラブで普通にライブやっていたら、
急にステージに本当にベロベロな2人のオッサンが上ってきて、一人はマイクで何かラップぽいノイズを出
して、もう一人はブレークダンス風頭でスピンみたいな動き失敗して、そのままステージで寝てしまった。
彼らのあのクソさが 本当に面白くて、10分ぐらい笑いが止まらなかった。客さんももちろん皆大爆笑!ベロベロおっさん達:いつでも自由に参加してください!(笑)。

■XLIIにとってのDISK UNIONとは?

X:ディッガーの天国でしょう?僕の知り合いの中でレコードオタクが何人かいて、皆DISK UNIONに住んでいると思っていいぐらい行っていますよ。

■今後の予定をお聞かせください。

X:今週木曜日から一ヶ月ぐらいヨーロッパ回ってきます。ライブして、その後やっと休みって事で2週間イ
タリアでスノーボードしてきます。音楽の予定は本当に多くて、何を先にする中々決まれないですね。とりあえず、本当に最高にスキルが高い人と何か一緒に作りたいと思います。1月30日は長野で2月6日は大阪でリリースツアーしてきます。

■では、最後に自身からアルバムの紹介をお願いします。

X:ジャンル不明誰でも聴けて、ケツを動かせる2010年のウソやかっこつけ何も無いエゴに優しい音楽 -
「EGO FRIENDLY」です!

■ご協力ありがとうございました。


XLIIアルバム「EGO FRIENDLY」ご購入はこちらから↓


XLII EGO FRIENDLY


2009/12/04  |  INFORMATION | 原 雅明『音楽から解き放たれるために──21世紀のサウンド・リサイクル』 リリース記念スペシャル・インタビュー!

-インタビューにあたって-


原さんからこの『音楽から解き放たれるために──21世紀のサウンド・リサイクル』がリリースされると聴き、正直楽しみでいた。何故かというと、原さん自身が最も音楽についての原稿を書いて世に放っていた時期と、自分が20歳ぐらいの最も敏感で貪欲に音楽に反応していた時期とが被るからだ。

特にアンダーグラウンドなHIPHOPやBREAK BEATS、ELECTRONICAを好んで聴いていた自分は、必然と原さんのライナーや原稿を見て反応しレコード店に足を運んでいた。

それは、自分がお客さんという立場からレコード店員となっても変わらなかった。LOW END THEORY(今、注目されているトラックメーカーFLYING LOTUSやRAS Gも出演するイベント)のような海外の注目すべきイベントや作品をいち早く日本で紹介し続けている事が、何よりもそれを証明してくれていると思う。原さんが紹介してきた数多くの作品や、アーティストへのインタビューがこの本には載っている。ここには、リサイクルされるであろうジャンルの垣根を越えた名盤と、これからも語り継がれるであろうアーティストが名を連ねている。

本当に素晴らしいものや優れたものは、もっとリサイクルされるべきだ。

音楽を取り巻く環境が変貌する中、リアルに書き綴られた言葉の数々から、決してネガティブに捉えるのでなく、素晴らしい音楽がより多く生まれる未来のために。

この本を読んで、気になった文章を元に、更に一人の音楽の現場に携わる者として原雅明さんに聴いてみた。
 
disk union 三河(以下M、質問はQ)

 

原 雅明
『音楽から解き放たれるために──21世紀のサウンド・リサイクル』 special interview
(各段落の先頭に引用した文は全て上記著作より)


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『"intro"のあるアルバムが好きだ。 (P.7)』
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M:introというところから始まっているのが、個人的な感想として凄く印象的でした。CDもそうですが、introやoutroってある意味凄くそのCDの色だったりコンセプトだったりアーティストの意図が見え隠れする面白い部分だと思うんです。だから妙にintro.って、見た時に嬉しかったんです。

Q:原さん自身この本を執筆するにあたって、どんな状況や心境で書き綴っていったんですか?

原 雅明(以下H):本の中でも触れていることですが、僕はいつも音に触発されて文章を書いてきました。それが当たり前のことだと思っても来ました。だけど、音楽について書かれた文章、特に音楽雑誌に載っている文章には、音ではなくて、アーティストのキャラクターとか、あるいは書き手の側が作った物語について語られていることが多々あり、そのことに対しての違和感というものがずっとあったのです。だから、この本の書き下ろし部分である第一章を書く際には、なんで自分が音に触発されてきたのか、そのことをできるだけ正確に、きちんと伝えたい、という思いがありました。

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『...心ある優れたバイヤーの人たちが現場を離れていかざるを得ない状況に追い込
まれていくこと... (P.8)』

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M:この言葉を伝えられる人も、今の音楽の現場にどれだけいるんだろうかと思うんです。実際こういう言葉を綴ってくれていた人達ですら、現場を離れなければいけない状況を見てきて凄く痛感するんです。インターネットの普及で、以前よりもリスナーとバイヤーとの耳に入ってくる情報の差が本当になくなってきていて、更にアーティスト自身が音楽を配信できる現状の中でお店に足を運んでもらうには、やはりそういった音楽を人一倍聴いてきたバイヤーの手腕ってもっともっと問われてくるんだと思っているんです。

Q:今のレコード店の売り場やネット販売のお店のサイト等を見て、率直に感じる事ってありますか?また、日本の音楽流通と海外の音楽流通での違いだったりで、改めて痛感する事ってありますか?

H:これも本で触れていることですが、90年代までは、レコード屋さんがいちばんリアルな現場でしたよね。商売としても活気があったし、いろいろな人を引き込む力もあった。バイヤーも自信を持っていた。それはそこでしか音楽を手に入れることができなかったからで、レコード屋に足を運ぶということ自体が、音楽を聴くという行為に直結してもいた。でも、いまは違いますよね。レコード屋に足を運ばなくても、音楽はネットなどに溢れていて、いろいろ聴ける機会も多い。もうそれはいかんともし難い状況なわけですけど、でも、良質なレコード屋さんが持っているセレクターとしての役割というものはこれからも失われることはないと思うんですよ。ただ、そのセレクトの対象は、もうCDアルバムのようなものに限定されなくなっていくんじゃないでしょうか。iTunes Storeなどのデジタルなショップにこそセレクトの必要性を感じます。
日本と海外の違いは、こと流通という面では、あまり違いがないんではないでしょうか。日本の方がデジタルな配信をうまく使いこなせないような障害(高音質の配信やネットラジオの普及に足かせとなる問題があること)があるようには思いますが、それはそれで解決すべき問題として、僕がもっと問題に思うのは、リスナーの耳が弱くなっているんではないかということです。アンダーグランドな音楽の世界にまで、癒しを与える音が求められていて、またそういった音楽が現に売れてもいるのですが、そんな国なんて、日本くらいじゃないでしょうか。

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『...音楽を聴き続けていけるための、そして聴く愉しみの在処を見失わないための...(P.10)』
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原 雅明M:アーティストやレーベル側は、自分達が楽しんで音楽を続けていける環境や提供手段(CD流通や配信)を見つけていかなければいけない。リスナーは、様々な溢れる情報の中から自分なりのアンテナで、聴く愉しみを知る事ができる音楽をキャッチしていかなければいけない。音楽は、日々の生活にとってなくても生きていけるものだし、だからこそアーティストやレーベル側にとってもリスナーにとっても愉しめなくなったら本当に存在する価値がなくなってしまうと思うんです。




Q:原さんにとって、音楽を聴き続けていきたいと思えた最初の出会いとなった作品ってなんでしたか?そして、仕事として音楽に携わっていこうと思ったきっかけって、あるんですか?

H:この本に載せるために、過去に書いてきた雑誌原稿やライナー原稿を整理していて、やはり最初のきっかけはDJクラッシュだったのだと、改めて思いました。その音楽と立ち位置が自分に「外」へ出るように働きかけたのだと思います。

Q:この本にはクラッシュさんの興味深いインタビューやサウンドメイキングの機材の話を交えながら生い立ちも載せられてますよね。「外」にでるという意味で、日本から海外へという事を意識したクラッシュさんのストイックさや、誰よりもいち早くオリジナルの曲を創れるDJという意識的な部分でも、当時の原さんにとってもクラッシュさんの存在は大きかったんでしょうか?

H:理屈じゃない部分で僕は納得させられた感じです。ネタの切り取り方、音の質感、全体に漂う空気感、そういうものが明らかに他とは絶対的に違っていた。その絶対的に違う、という部分にとても勇気づけられたと思いますね。
 

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『...レコード屋の方が、一種の現場に近かった...(P.19)』
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M:以前に比べてCDを創る事が本当に簡単な時代になりましたよね。それは、とても良い事でもあるけれど、プロフェッショナルな作品とアマチュアリズムな作品が対等に置かれてしまう事にもなりかねる。それによる面白い作用もあると思うし、それを選別するのが本来バイヤーの仕事だと思うんですけど、CDを届けるっていう基本的なコンセプトや届け方にもアマチュアリズムが以前よりも目立っている気がするんです。


Q:原さん自身レーベルを運営されてますが、今と10年前とはだいぶアーティスト側の考え方だったり、デモ音源のクオリティだったりそういった状況も変わったと思うんですけど、それに対して感じる事がありますか?また、逆に変わっていない事もあるのでしょうか?

H:これもまた本の中で触れていることなんですが、新譜を出さないといけない、新しい作品を作らないといけない、と進んできた新譜至上主義に、作る方も聴く方も、そして売る方も疲れてしまっているんではないでしょうか。これだけ手軽に音作りができる環境が整い、過去の音楽も簡単に参照できる状況が出来上がってくると、クオリティやオリジナリティをアーティスト個人や一つの作品に象徴させること自体が無理になってきます。ミックスCDがこれだけ沢山登場したのは、単に気軽に沢山の曲を聴くことができるという利便性だけじゃない問題があると思います。さまざまな、すでにある音楽からの影響は、作った本人が意識しなくてもその音楽に顕れてくるようなことも充分に起こり得ます。パクりとかそういう意味ではなくてです。過去の記憶はもう拭い去れなくあるわけで、むしろそれらをもっと堂々と再生して行けばいいのだと思います。それは僕が改めて言うまでもなく、現在優れた音楽を作り出している人は実践していることではありますが。

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『...音楽についての原稿を日々〆切りに追われながら次々と書き連ねていたピークは、90年代後半から2000年前半である...アンダーグラウンドでもかなりコアな音源の日本盤がどんどんリリースされ...(P16)』

『...2000年前後の数年間の動きの中で起きた出来事は、いま思い返しても、日本の音楽を巡る状況が大きく変わるチャンスだったのだと思うからだ。(P.33)』
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M:90年代後半から2000年代前半の、あの時期のムーブメントというか動きや流れって、とても面白かったんだなって今音楽を販売する立場に立っても思うんです。原さんが言うように、身体の感覚をチューニングしていかないとクラブシーンの流れについていけないような焦りって、どこかにあって。だから頭で考えて音楽聴いている暇もなくて、ただ貪欲にレコード店に足を運んで試聴や情報を仕入れて自分なりのアンテナを張り巡らせて12インチを買っていたなと。でもこれって、DJの本来あるべき姿というか音楽を愉しんで聴き続けていける大事な要素の1つでもあったのかなと今だからこそ、凄く実感するんです。

Q:そんな、90年代後半から2000年代前半の時期に特に印象に残っている作品だったり、エピソードって、ありますか?

H:僕も企画に関わり、結局一回実現しただけで終わってしまい、知ってる人も少ないと思うんですが、自分の中では重要な分岐点だったと思うのが、2000年にリキッドルームでおこなったnugroundというパーティです。

Q:nugroundは、DJ KENSEIさんやKARAFUTOさんのようなオールラウンドなDJの方やCOMPUTER  SOUPさんなども出演していましたよね。今の原さんにとって、このイベントが分岐点と思った理由ってなんですか?

H:のちに何かを一緒にやるようになる人達との潜在的な出会いの場だった、と今から振り返れば思います。

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『...レコード屋のポップに「ヤバい」とか「マスト」とか、そんな単語がやたらと並び始めた頃だった。(P.22)』

『...具体性に貧しく煽動的なだけのポップの文字の羅列に馬鹿らしさを覚える反面、そこに働いている感覚的な判断を素直に受け入れるだけの度量をライターとしては欠いているとも思い始めていた。だから、その頃、僕は自腹を切って『FADER』という自主音楽雑誌を立ち上げて...(P.23)』

『音楽雑誌の言説は...広告出稿記事に取って代わられていくようになる。(P.29)』
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原 雅明M:個人的には『FADER』という雑誌は、凄く現場の思いが詰まっていたなと思うんです。ライターのチョイスも、そのライターが選ぶセレクトした作品もバラバラで面白かった。掲載される作品も、他の雑誌であまり取り上げられない物も一杯ありましたし、インタビューを見ても現場で作り上げて成立ってるなと思える記事が多かった。当時の情報が少ない時代には凄く意義があったなと思うんです。レコード店でしか情報が得られなかったリスナーにも読み応えがあるものだったと思うし、レコード店のスタッフには良い刺激となる雑誌だったなと思うんです。


Q:『FADER』で取り上げてきたアーティストや作品は、どのように選ばれていたんですか?また『FADER』という雑誌から生まれた余波があれば是非教えていただけますか?

H:自分たちが取り上げたいと思うもの、しかも他ではちゃんと取り上げられていないようなものをチョイスしていました。僕は途中でFADERの編集からは退いてしまったので、最終的に何が残ったのかまで見ている立場にはないので、余波と言えるようなものも自分では特に分からないのですが、ただ、いまはLAにいるバルーチャ・ハシムが、いまのLOW END THEORY周りの自由な空気はFADERや僕がいた当時のHEADZでやろうとしていたものに近いというようなことを言っていたのが印象に残ってはいます。そう言われて、僕は、昔、クラッシュさんとヴァディムとカムを呼んだイヴェントを後先考えずにやった当時のことを思い出したりもしました。

Q:そのイベント僕も足を運んでました。多分、リキッドルームだったと思うんですがDJブースが3セット横に並んであったような…。それだけでも何か生まれそうなドキドキするような、DJが創るインプロな世界観があのイヴェントにはありましたよね。この三人を競演させようと思ったのは、原さんの中で、何か動かすものがあったんですか?

H:単純に自分で見たいということから始まったんですが、同時にジャンルの壁とかプレッシャーというのも初めて重く感じました。いまでは信じられないかもしれないですけど、カムが日本人のミュージシャンとセッションしたことや、クラッシュさんのDJのときにRINOがフィーチャーされたことなどは、すごくシリアスに受け止められて、ジャズとしてはどうなのか、とか、ヒップホップとしてはどうなのか、とか、そんな意見も耳に入ってきました。フリーフォームな感じのイヴェントが自然と受け入れられるというのはまだまだ難しかった時代の話ですね。
 

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『オリジナルレコード盤のがもたらす圧倒的な物質感と希少性...(P.35)』

『...中途半端な存在となってしまったのがCDである。(P35~36)』
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M:レコード盤がだんだんと追いやられる中でレアな中古盤も、全盛期の頃に比べたら半値近く下がってしまったタイトルもあるんです。でも、逆にいえば当時のアナログブームよりもレア盤を手に入れやすくなったとも言えますよね。これからもっと、あのジャケットの大きさとあの音質も含めて、時代と共に薄れてきた物質感が逆に凄く新鮮に見えてくると思うんです。

Q:原さんとしても、レコード盤の存在意義の可能性を感じてると思いますが、改めてレコード盤だからこそ生まれるものだったり、大切にしていくべきものって、何だと思いますか?

H:デジタルで作られた音源をレコード盤で出すことに矛盾を感じていたりもするんです。デジタル音源だったらデジタル・フォーマットのリリースでいいじゃないかと。でも、例えば、ターンテーブリストのリッキー・ラッカーは、アナログ・テープでの録音に拘り、録音プロセスをすべてアナログ化して『Fuga』というアルバムを作ったんですが、そこまでやらせてしまう力が、いまだアナログの音にはある、ということですね。

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『...ドメスティックなマーケットにおいてリスナーが求める音が、海外のそれとは大きく隔たっていくような現象が見られている。(P.34)』
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Q:ネットなどで海外との情報の共有はできるようになったのに、レコード店ではドメスティックな作品が氾濫して、どこのお店も同じような商品を揃えているように感じますよね。決してドメスティックな作品がPUSHされる事が悪いことではないと思うんですが、海外を巻き込むような音楽がもっと日本からも生まれていいんじゃないかと思うんですが、原さんはこういった隔たりをどう感じてますか?

H:やはりシーンの希薄さなんだろうな、と思うんです。ノイズでもテクノでもクラブジャズでも、かつて日本の音楽が注目されたときは、やはりシーンというものが外(海外)から見て感じられたと思うんです。ひとりをピックアップすると、その背後に何人も見え隠れしているような、そういう潜在する才能の可能性というものを感じさせたんでしょう。それがいま特に東京は希薄ですね。というか、東京に限定した方がいい話かもしれません。むしろ地方の方が、シーンがあって、サポートする人がいて、という姿が見えてくる。だから、これから地方からいきなり海外へ直結する流れなど出てくると思います。すでに札幌などはそうなっているとも思いますし。あとは、これは何度でも言いたいことですけど、なんでそんなに音楽に癒しばかり求めるんだろう、と思いますね。これも東京の人に特に言えることですけど。そんなに疲れているなら、音楽ではないもので癒せばいいのに、と思いますよ。

Q:地方の方が、ビジネスとしてもシーンとしても基盤というか、動きに対してもしっかりとした反応とレスポンスを投げて動いている気がしますね。逆に東京は、その地方のシーンに押されて逆に発信から受身になってるような…そんな風に見えてしまう事がここ何年か感じるんです。

H:受け入れてくれるまでに時間がかかるというか、東京のように情報から入らないというか、まず自分の目と耳で確かめて、それで初めて受け入れてくれる、当たり前といえば当たり前ですけど、そういう実直さというのは、東京以外の場所では割とどこでも程度の差はあれど感じることですね。それだけ、自分たちの基準とか価値観に自信があるんだとも感じます。東京は……、でも僕は好きなんですよ、ここで生まれ育ったから、尚のこと、東京ローカルの粋とか、ある種の軽さとか無責任さを好きな自分も一方でいるのです。地方のように熱くはなれない自分という者はいるんですね。それが優れた表現を生んだのが80~90年代だったと思います。これから東京はその中で小さなローカリティがどんどん出てくるように思うんですけど、そこで地方とはまた違う表現を生むコミュニティも出てくるように思っています。
 

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『...すでに音楽は所有するものから、循環されていくものへと変わっている。(P.47)』

『...CDが売れないと嘆く、いまの日本のようなネガティヴな空気は感じられなかったことだ。それは、CDという形態に頼ることのないメディアの伝達網が確立されていたからだ。(P.58)』
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M:この文章を読んで正直びっくりしたんです。

Q:今では、日本でも当たり前のように受け入れられつつある音楽配信ですが、こういったLAと日本の違いを肌で感じた当時の原さんの心境って、どうだったんですか?

H:うっすら感じていたことではあったのです。音楽が好きで、その気持ちに忠実に、レア盤を溜め込んでいっても、音楽的にポジティヴな気持ちにならないのはなぜなのか。それはそうですよね。溜め込んで、俺はこんな盤を持ってる、知ってる、ってことを小出しにしていったところで、いまの世の中で清々しい気持ちになどならないです。幸いなことにレア盤の相場も下がり始めているようだし、市場に放ってもっと循環されていき、そこからまた新たに音楽を組み直すことに使われていく方が健康的であるはずだと思いました。

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『...市場に戻して幾度もリサイクルしていくことの意義を理解し、積極的に実践しているLAのシーンは特筆すべきものである。しかも音源のみならず人材も掘り起こし、再生してみせる。(P.59)』

『音のリサイクル - まさにカルロス・ニーニョやB+がそういうことをやっていると言える。彼らは年配の素晴らしいミュージシャンを連れてきて、若い人とくみあわせているよね...-フロスティ/ダブラブ(P.56)』
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Q:LAで開催されているLOW END THEORYもしかり、やはり西海岸から生まれているシーンは、凄く魅力的ですよね。カルロス・ニーニョやB+の活動やダブラブの活動など、好奇心が溢れるようなものが展開されている要因って、原さんから見て何だと思いますか?

H:先にも返答した、シーンの中での、それぞれへのサポートがきちんとあるということだと思います。別にツルんでいるわけではないし、そもそも個人主義の成熟した社会だし、その中で、お互いをサポートしないといけない、という意識だけは共通してあるように感じます。

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『ダブラブが2008年に公開をした象徴的なドキュメンタリー作品『Secondhand Sureshots』... (P.60)』
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『Secondhand Sureshots』
「DUBLAB制作のドキュメンタリー・フィルム。LAを代表するビート・プロデューサー4名に与えられた5ドル。それで手に入れることができた中古レコード盤のみからビートを作りあげていく過程を追う。音楽のマジックとリサイクルをテーマにした話題作.」
(J Rocc , Daedelus , Nobody , Ras G 出演)


Q:そういった意味でも、この『Secondhand Sureshots』というムービーもとても興味深いですよね

H:そうですね。この作品を初めて見たのはもう1年くらい前になるんですが、自分がぼんやりと考えていたようなことが、30分のドキュメントの中に作品化されていて、とてもグッとくるものがありました。

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『LOW END THEORY について』
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LOW END THEORY   


M:先日行われてた『LOW END THEORY JAPAN TOUR』を肌で感じて思ったんですが、凄くイベントとして団結しているといか、こういったジャンルであそこまでパーティー感があるものって、久しぶりに見た感じがするんです。アーティスト自身が自分のライブが終わっても、入れ替わり立ち替わりステージに出てきて場を盛り上げたり、日本だとライブが終わったらステージ下りて当然ですって、感じありますよね。そこが、パーティーとしてお互いの出演者がサポートしているように感じたんです。

Q渋谷のレコード店事情もだいぶ変わり、老舗のクラブも数多く閉店していっている東京の現状で、LOW END THEORYの地方公演などからも、原さん自身何か感じた事はありましたか?

H:ほんとうに直接、実際に見てもらわないとLOW END THEORYの凄さも良さも伝わらないんだな、ということですね。フライング・ロータスだったら、名前だけで来てくれるような状況もあるんでしょうけど、LOW END THEORYは個人の名前で集客するようなパーティではなくて、ほんとうに全体を楽しんでもらうもので、ロータスであってもその一部にしか過ぎないんです。と日本で言ってもなかなか伝わらないだけに、実際に足を運んでくれたという価値の重さを感じています。

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『INTO INFINITYについて』
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INTO INFINITY    




Q:そして、LAで10年に渡ってネットラジオ局を運営して音楽とアートをサポートしてきたDUBLABが主催するINTO INFINITYを、11月21日から日本でイベントも交えながら開催されているんですが、原さんから簡単に説明していただけますか?また、日本の人達にどういう事を感じてほしいですか?

H:INTO INFINITYの詳しい説明は、ここ(http://port.rittor-music.co.jp/sound/column/into_infinity/)を見てもらうのがいちばん分かりやすいと思います。
たくさんのアーティストが、作品をDublabとCreative Commonsに無料で寄贈しています。なぜこれだけのアーティストが参加してもらえるようになったのか、それはこのイヴェントの現場に来てもらえればきっと分かっていただけると思います。そして大切なことは、これをきっかけにNPO法人がアートや音楽の世界でももっと登場してくるような流れが日本でも活性化していくといいと思います。

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『音楽から解き放たれるために──21世紀のサウンド・リサイクル』
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M:それでは、最後に原さんから『音楽から解き放たれるために──21世紀のサウンド・リサイクル』について、一言頂けたらと思います。

H:これしかいえないのですが……ぜひ読んでみてください! 

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2009/11/25  |  KENTARO TAKIZAWA Major Debut Album『BIG ROOM』インタビュー!

新世代ハウスクリエイターの旗手、Kentaro Takizawaの4枚目のアルバムにして待望のメジャー・デビュー作『Big Room』が完成した。直球ストライクな気持ち良さ。アップリフティングでポップで爽やかなそのサウンドは昨今のメジャー系ハウス・ファンにはもうたまらない内容だと断言できる。が、意外にもそのサウンドはTakizawaが自らに向き合い、悩み抜き、闘った結果、作り上げられた気持ちの良さなのだ!
 
 
---アルバム完成おめでとうございまず。制作を終えてどんな気分ですか?
 
K : ありがとうございます。2年ぶりのアルバムなんですけど、ようやく出来たなぁ~と。自分が今まで辿ってきて、経験してきたこと…。感じてきたものを素直にハウスとして出せたなぁ…って。凝縮されたものですね。やっと自分自身で納得のいくものが作れたっていう感じですね。
 
---本作『Big Room』っていうタイトルの由来は?
 
K : 今年の2月くらいですかね…、確か"loop"の「smoker」でアレックス(・フロム・トーキョー)に会って、一緒にクルマで帰ったときに「Heart Beat」のデモを聴いてもらったんですよ。そしたら、『ワォ~、ビッグルーム・チューン!!』って(笑)。そこで、『Big Room』ってキーワードが出たのがあって。で、同時に前作「Heart to Heart」を出してから、それ以前より大きいクラブでDJをやる機会が増えたんですよね。それまで自分は小バコが多かったんですけど、例えば小バコだと100人に対してのDJなんですけど、大きいハコだと1000人に近かったりして…、ハコの規模感に対するDJって差があって、小バコには小バコだからこそできる内容もあるんですが、大バコで一気に大勢の人数をDJで動かすっていう体験をして、快感を覚えて。大バコならではの音楽の伝え方の強さっていうのも凄い感じてて。そんな経験もあって、今作に関してはより多くの人に広げたいハウスっていう意味のあるアルバムということもあって、いろんな意味を込めて『Big Room』にしたんですよね。あとは、まぁおれも身体がデカイとか(笑)。『Big Room』は自分ってことでもあるんですよ(笑)。あと、サウンド的に前よりダイナミックな方向を目指していて、それって、いい意味でザックリしてるっていう感覚で作ったんですけど、タイトルもザックリ(トルツメ)したかったんですよ。アタマいい感じのタイトルっていうよりは、ひと言で『Big Room!!』って言えるくらい単純な方が、伝えたいメッセージが伝わりやすいのかなって。
 
---なるほどねぇ~(笑)。それにしても、確かにダイナミックになっているし、楽曲のクオリティーが音楽的に確実にあがってる印象があって…、この2年間のスキルアップも感じるね!
 
K : ありがとうございます!この2年間は高宮(永徹)さんの打ち込み指導とかもあって…(笑)、わざわざ家まで来てくれて、『サンプラーはこうやって使うんだ~!』とか、福富(幸宏)さんも『こうしたらいいんじゃない?』とか、まぁ、タマにしか言ってくれないんですけどね(笑)。そういうのがあるかも知れませんね。
 
---それまで世話になった人達の助力もあったりするんだね…。
 
K : そうですね…。みなさんの力で出来上がったアルバムだと思いますね。
 
---そうなんだねぇ~。全体を通して聴くと、よく練り上げられたアルバムだなぁと感じるんだけど、全体像は先にあったの?
K : そうですね。正直いうと前作「Heart To Heart」を作り終えてからも、ず~っとプリプロみたいなことはしてたんですけど、そのときは自分の中に何も無かったんですよね。からっぽのまま、そのまま去年に入って、何やっていいのかわからなくなっちゃったんですよ。それはデモ出しとかで苦しみがいろいろあって…。『こうだ!』と思ったら、『違う』みたいなこととか。何回もそんなやりとりとしているうちに、ホント何もわからなくなっちゃって…。で、去年の夏ぐらいが最高に精神的に悪い時期で、やさぐれてたんですけど。そんななかで、Ryoheiさんと、合宿曲作り大会っていうのをたまにやってるんですけど(笑)、泊まり込みで2泊3日温泉付きみたいな感じで(笑)。今年のアタマくらいにその合宿で、デモを作り始めたときに「Heart Beat」がうまれたんですけど、その辺から大体のイメージが掴めてきて。この2年の経験で、音楽を大勢の人に伝えたいって感覚はずっとあったんで、…だから、やっぱり作る前にこういうものにしよう、っていうのは見えてたのかもしれないですよね。今年のアタマにハッキリ見えてからはまっすぐ突き進むだけだったんで…(笑)。何周もしてゼロに戻ったときに、見えた!みたいな感じですね。
 
---メジャーデビューの陰には、相当大変な思いもあったんだね…。
 
K : そうですねぇ…、『おれはこのまま引退していくのか?』とか思ったりもしたし、『ハウス、好きだけど嫌い!』みたいな時期もありましたし…(笑)。
 
---復活のきっかけは、Ryoheiくんとのセッションだったんですね?
 
K : そうですね。それと、自分の中での考えが変わったのが一番大きかったんですかね…。
 
---すっきりした?
 
K : きっかけとか特になかったんですが…、とあるとき、某配信チャートを見ていて、某配信チャートのチャート上位にあがるものって、クラブの現場とかけ離れてて、これはクラブミュージックとか、ハウスではないな...と思っていて。対照的に自分の立ち位置を考えてみたんですよ。…そしたら、『俺、ハウスDJじゃん!』って思って。そこから、ハウスDJのアルバムを作ろうって思ったんですよ。より多くの人にハウスを伝えるのが自分の役目だ、と思ったんですよ。自分がネクスト・レベルに行くことによって、シーンにも少しでも貢献できるかなって思ったんですよね。 
 
---おおっ。心強いね!
---フィーチャリング・シンガーの人選は絶妙な感じだね。
 
K : 最初にあったイメージとして、王道感がほしいなぁっていうのがあって…。ホントに俺にとっても憧れの外人シンガーの方々なんですけど。そういう人とやることによって、本当のハウス・セッションってできると思ったんですよ。あとは、果たして自分が日本人だからできるハウス・セッションって何だろうって思ったら、憧れよりも、やっぱり近い人かなと。みんなで作ることが日本人だからできるハウス・セッションだと思って。いちばんそのハウス・セッションが表れたのが、「Keep Love Together」の全員参加だったりとか!
 
---これ凄いよね。
 
K : なかなか出来ないですよね、こういうことは。
 
---日本人だけど、ゴスペル・ライクになってるもんね!
 
K : 自分も歌いましたからね。その場にいたほとんどの人に歌ってもらいましたよ。ほんとに楽しいレコーディングだったんですよね。ハウス・セッションっていうのを肌で感じられて、俺、はじめて踊りながら歌録りましたよ。で、リードはRyoheiさんと有坂美香さんなんですけど、日本でもトップクラスのスキルを持った2人がデュエットするっていうのは、録ってても超アガリますね!ハイレベルの戦いみたいな!で、2日間歌録りしたんですけど、1日目はそういうトップレベルの戦いを見て。次の日は、全員で歌おうぜ!みたいな、またピースな空間で。ほんとに2日とも楽しかったですね!自分のなかで、ちゃんとしたハウスを作ろうと思ってやったら、若い日本人勢とベテランの外人勢という…、結果的にそうなったんですね。
 
---なるほどね。
 
K : あと、いい意味でキッチリしない音楽を創りたかったんですよ。…というのは、例えば、『打ち込みだからこそ、揺らがないと!!』みたいな。
 
---スイング感っていうこと?
 
K : ええ。それじゃないとハウスじゃないなと。今までの自分の作品にはそれがあんまりなかったんですよね。技術的にいうと、例えばリズムの『ドッチッ、タッチッ』ってあるじゃないですか?あれってきれいに打ち込むと踊れないんですよね。
 
---なんか、そうみたいだよね?自分は作ってないからわからないけど…。
 
K : 揺らぎが、スイング感を生み出すみたいな。あとは、『Keep Love Together』のコーラスに関しても、自分とかが歌ったり、プロじゃない人が参加した理由もそこにあって。プロだけだと、ゴスペルにならなかったと思うんですよ。きれいすぎて…。そこに下手な自分とかが歌うことで、揺らぎが生まれるって気持ちでやってたんですけど…(笑)。そういう大ざっぱ感っていうのがグルーヴに繋がってるのかなって思うんですよね。全曲そこは意識してやりました。
 
---細かいけど、おおきなところかも知れないね。ハウスっぽさだよね。
 
K : ええ。やっぱりハウスってそうあるべきだと感じてるんで。
 
---ところで今、同世代で気になってるDJとかクリエイターっているかな…。
 
K :最近、ASOBISYSTEMっていうチームと、いろいろやらせてもらっているんですが、そこの社長って、俺のひとつ下なんですけど、パーティーやったら1000人以上を楽に集めちゃうんですよ。ageHaとかパンパンにしちゃうんですよね。アーミー君っていう人なんですけど、エレクトロ・シーンのど真ん中にいる人なんですよ。3年くらい前に"Club Asia"でDJやってる時に知り合ったんですけど、『ハウス最高っす!』とか言ってくるスーツ姿の男がいたんですけど、それがアーミー君だったんですよね。彼がハウスを凄い好きってことは、なんか自分に通じるものがあるんじゃないかと思ったんですよ。で、今年からいろいろ一緒に仕事するようになって、ASOBISYSTEMのパーティーにも出るようになって。すごく意外だったんですけど、プレイしている曲が共通してたりするんですよね。それこそ、DFA辺りの音やディスコ・ダブなんかもかかるんですよ。彼らのシーンは、凄く面白いですね。今後期待したいのは、彼らのシーンと他ジャンルであるハウスの僕たちとのシンクロが起こったら、我々の世代独特のもっと大きなムーヴメントが起きたら…。って思うんですよね。
 
---おぉ。いい話だねぇ~!!
 
K : 今回のアルバムにはそういった、エレクトロ的な動きに、自分的に影響を受けて、ハウス的な解釈をした楽曲も含まれています。最初にも言いましたけど、自分自身が納得するものをやっと作れたっていう感じですね。ジャンルっていうより、Kentaro Takizawaの音楽っていうことで。それが形になったから手応えがあります。今までとは違うぞと。
 
---このアルバムはイコールKentaro Takizawaなんだね。
 
K : そうとらえてもらえると本当に嬉しいですね。ジャンル= Kentaro Takizawaにしたいですね(笑)
 
---これから始まるツアーはそれを聴きに来てくれ!!ってとこかな?
 
K : ええ。メチャクチャ楽しみです!
 

 
interview : Kenji Hasegawa

2009/10/20  |  DJ COLE MEDINA INTERVIEW!!!





1.簡単に自己紹介をしてもらえますか?

What’up!! LA在住のCole Medinaだ。


2.ダンスミュージックにを作り始めたのは何時ごろですか?

作曲を始めたのは1989年、高校生のときだね。その頃はAmiga500とサウンドカードを使ってたな。シークエンサーも安物のプログラムを使っていて(名前も忘れた)、でその数年後にensoniq eps 16+を買って1996にリリースされた処女作”chocolate grits”に繋がる。


3.アナログ主義のあなたは以前、自身のmyspaceで“アナログ.VS.MP3”という記
事を書いていますが、今現在でも、その題目に対するあなたの気持ちは変わって
いませんか?


全体的にデジタル音楽の性能は良くなっていると思う。ただアナログのレベルに到達するには、まだまだ長い道のりだね。


4.影響を受けたアーティストは?

ハウスに関してなら、MAW と初期のMURK (pre-Funky Green Dogs)だね。うーん・・・でもやっぱり一番を決めるなら、MURKかな。音色のダーク加減がヤバイんだ。それからエレクトロニックミュージック、ヒップホップだと、Midnight Starr、Zapp、Newcleus、 Egytain Lover、2 Live Crew、Jonzun Crewなどだ
ね。


5.今回初来日になるわけですが…

そうだ。初めてだね。かなりエキサイトしてるよ。


6.日本の音楽シーンについて知っていることはありますか?

シーンについてはまったく解らないけど、日本人のメンタル面は好きなんだ。1つのことへ対する集中心。オタクってやつだろ。音楽知識も全般的に高く、音楽に対する愛情も深いと聞いている。それから日本製の音楽機器に関しても高く評価しているよ。俺も日本人と一緒で完璧主義な性格だから相性が良いのかもしれない。完璧であることと執着しすぎるということは、どちらも愛情を必要とするけれどもまったく違うもので・・・まあ、あれだ、アメリカよりも日本人に生まれるべきだったのかもしれないね。ハハハ


7.私達は、あなたのDJセットに何を期待して待っていれば良いでしょうか?

俺のDJは一言で言えば「即興」。だからこそたくさんのレコードが必要になるんだ。日本でも何をプレイするか大体アイデアはあるんだけど、俺の前のDJが最後の一枚をかけるまでは俺にもどうなるか解らないんだ。プログラムされたセットでは観客との対話にならないだろ。エナジーを感じてそれでGOさ。一度フロアをハメてしまえば、観客にはどんな曲だって受け止める器ができる。テンポもジャンルも関係なし。みんな楽しむ事だけ、踊ることにだけ集中するようになる。俺は今までほとんどハズしたことは無いね。でもやっぱりプログラムされたセット(数年前まではそうしてた)では観客の反応はまったく違う。ジャズの演奏者がインプロをかますように流れに任せて対話をしていくと、明らかに違う体験を与えることが出来る。まあリスクは高いからね。毎回限界への挑戦さ。


8. 日本のファンにコメントを。

日本のクラブ文化とアナログオタクに会えることに今から興奮してるよ。俺の音楽に対する愛とサポートに感謝。DISK UNIONと今回呼んでくれたプロモーターそして、ファンのみんなへBiggup Japan, see you soon!



DJ COLE MEDINA関連作品はこちら
 

2009/08/03  |  Inner films Column

Inner films Column

 70年代名画にフォーカスし、そのサントラをAme、Prins Thomas、Maurice Fultonといった海外勢に加え、福富幸宏、Hideo Kobayashi、Tokyo Black Star、BRISA、FOOG、Shigeru Tanabu、Keigo Tanakaと気鋭から実力派まで幅広いアーティストがカバー。カバー全盛の今、数多くの作品がリリースされる中、明らかにそれらとは一線を画す本作。というのも、テック・ハウス〜ディスコ・ダブ等、世界的なダンス・ミュージックの最新潮流を見事に取り込み、“フロアでの機能性”をかつてないほどに高めているのだ。
他の追随を許さない、おそろしく硬派なこの「Inner films」。今回はTokyo Black Starから熊野功雄、そして福富幸宏、Hideo Kobayashiと今作に参加した日本のダンス・シーンを支える豪華なアーティストに集まっていただき、気になるその中身について話を伺った。



 

---この企画の発端は?

福富幸宏(以下 福富):そもそもTokyo Black Starの熊野さんありきなんですよ。

熊野功雄(以下 熊野):以前、別のレコード会社で“70’s”が付かないかたちでクラブ・リミックスをやったことがあって。それで今回は“70’s”をテーマにやってみようと。

---70年代をフォーカスしたのは何か理由があるんですか?

熊野:最初はそこまでこだわっていなかったんですけど、調べてみると本当に良い映画ばかりだったんです。安っぽくなりすぎず、それでいてキャッチーな感じも出て。

---福富さんと小林さんは最初この企画を聞いたとき、どんな印象を持ちました?

福富:単純に楽しめる仕事だなと思いましたね。プレッシャーを感じずに、好きに作るというか、こんなの出来たけどいいかな、ぐらいの感じで(笑)。

Hideo Kobayashi(以下 小林):確かに自由にやりましたし、みんなやってますよね。

福富:参加アーティストも、みんな奇をてらわずにクレイジーなことをする人ばかりだからね。

---特にクレイジーだったのは誰でしょう?

熊野:Maurice Fultonを聴いたときは、ひっくりかえりましたね。えーーって思いましたよ(笑)。

小林:僕も聴いていて最初にとまったのがこの曲でしたね。

---『ジョーズ』のカバーですね。

熊野:この曲は早い段階で出来上がってて。僕らが作る前にこんな曲がきちゃったもんだから、もう聴かなかったことにして作ろうってアレックスと話してて。最初にPrins Thomasの『ロッキー』があがってきて、そのあとにこの曲だったから、ちょっと面白すぎると思いましたね。

小林:僕はAmeの“Tubular Bells”がすごく好きですね。

熊野:あれはドイツな感じがホントよく出てて、カッコイイですね。

福富:“Tubular Bells”っていま彼らがやってる音と世界観がけっこうつながってるんだよね。組み合わせ的にもハマってる。でも、やっぱり一番のハマり具合は、Maurice Fulton×『ジョーズ』かな。キャラクター的にも。Mauriceのおかしさ加減と映画自体のおかしさ加減が。この映画も本来とんでも映画ですからね。

熊野: Prins Thomasもまさかディスコ・ダブでくるとは思ってなかったんで、予想外でしたね。

福富:『ロッキー』や『スター・ウォーズ』って一時期ドラムンベースのチームがネタで使ってたり、いろいろバージョンがあったよね。

熊野:そうですね、ディスコ・バージョンとかけっこうありますね。

---そういった別の作品があることに対しては何か意識されましたか?

福富:あまり感じなかったですね。映画やサントラのイメージなど、アイデアの選択肢はたくさんあったので。


---今回、福富さんは『ゴッドファーザー』のメインテーマを、小林さんは『マンハッタン』の主題歌でもあったジャズ/クラシックの名曲“Rhapsody In Blue”をカバーされていますが、これらの曲を選んだ理由は?

福富:最初、熊野さんから映画のリストをいただいて、その中から選んだんですけど、本当は違う曲をオファーしてたんですよ(笑)。

熊野:そうだったんですか! すみません。

福富:いやいや、企画的に『ゴッドファーザー』はやりたい人がたくさんいるかなと思って。でも残っていたので、せっかくなので僕がやりますと。

小林:僕は、普通にクラブで使えるものを作ろうっていう前提があって、それを具現化できるものって感覚で選んでいたら、この曲が一番イメージが浮かんだんですよ。

---個人的には、今作のなかで一番オリジナルが何なのかわからなかったのがこの曲なんですよ。一部ひっそりと面影があるだけだったので。

小林:そうですね、言われなきゃわからないかもしれないですね。今回はオリジナルのリフを少し踏襲してるだけですから。オリジナルのラブ・ソングからかけ離れた、わかりやすくフロアとリンクした曲にしたかったので。細かい話になるんですけど、スネアの音が……。

熊野:細かすぎるから(笑)。

小林:ですよね(笑)。とにかく、他の曲と比べて、混ざりたくなくて。差別化したかったんですよね。いわゆるテック・ハウスみたいな音なんだけど、スネアの音だけわかりやすく、生っぽい感じにしてみたり、他の曲とも、普段自分がやっているのとは違うアプローチをしてみたかったんです。

---ちなみに、みなさん制作にあたってもう一度映画を見直したりしたんですか?

小林:僕は知っていたので、本編を観なくてもだいたいわかりましたね。

熊野:僕らが担当した『地獄の黙示録』と『タクシー・ドライバー』は、ちょうど2年ぐらい前に観て、いいなと思っていたところだったんですよ。特に『タクシー・ドライバー』は僕のなかでもベスト5に入る映画で、アレックスも大好きだし。

福富:僕は観なかったですね。イメージだけで作りましたよ。

熊野:逆に、僕は福富さんの作品を聴いて『ゴッドファーザー』1〜3まで見直しましたけどね(笑)。

小林:福富さんの『ゴッドファーザー』は素晴らしいですよ。僕は、映画も好きなので手を出せなくて、さすが福富さんと思いましたね。

---『ゴッドファーザー』は誰もが知っている曲だけに、難しい部分があったんじゃないですか?

福富:そうですね。それもありましたけど、ただ最初からこれはオリジナルをそのまま活かした方がいいなと思って、曲自体はあまり壊さない方向、アレンジするような感覚で作っていったんですよ。もうちょっと原型をとどめなくてもいいかなと思ったんですけど、やっぱり曲が強くて残ってきましたね。

---ただ、曲の頭と終わりではだいぶイメージが異なる曲に仕上がっていますよね。

福富:驚きがあった方がいいかなと思って。意外なところから始まって、あれ『ゴッドファーザー』なんだって思いつつ、最後にまた『ゴッドファーザー』だったっけ?ていうような。

熊野:『ゴッドファーザー』のメロディをあれだけ上品に、洗練されたものにできるのはすごいですよ。僕の頭のなかには暴走族の轟音やトランス・バージョンとかしか浮かばなくて(笑)。

福富:本来、曲が良いんですよ。そういった扱いをされてしまっているだけで。

---さきほど小林さんも仰ってましたが、思い入れがありすぎて出来ないなんてこともやっぱりあるんですか?

熊野:それはあるかもしれないですね。僕はスタンリー・キューブリックの作品は大好き過ぎて難しいかもしれない。

---スタンリー・キューブリック、『時計仕掛けのオレンジ』のテーマ“交響曲第九番”は、期待の気鋭アーティスト:BRISAさんが担当されていますね。

熊野:映画ではボコーダーとシンセサイザーのバージョンだったじゃないですか。

福富:ウォルター・カーロスのバージョンですよね。

熊野:そうそう、それをどうするんだろうって思ってたんですけど、ストイックな素晴らしい作品を仕上げてくれて。

---BRISAさんをはじめ、今回はその他にもShigeru Tanabuさん、Keigo Tanakaさんといま今後期待の日本人若手アーティストも起用されていますね。

熊野:みなさんさすがでしたね。実力がある人ばかりで。Tokyo Black Starが一番ヤバいんじゃないかって危機感を感じながら作ってました。

福富:僕は『地獄の黙示録』“Ride Of The Valkyries”は良かったですよ。映画とのイメージはもちろん、アルバムの1曲目としてもすごくあってたし。今作の中でもわりと象徴的な曲だと思う。


---今回、使用された映画は誰もが知っている名画ばかりですが、ちなみにみなさんどの映画がお好きですか?

熊野:僕は先ほども言いましたが、『時計仕掛けのオレンジ』と『タクシー・ドライバー』ですね。

---どちらもわりと危うい作品ですね(笑)。

熊野:そうかも(笑)。でも、どちらもホント素晴らしいんですよ。美しい、まさに映像美、アートなんですよね。瞬間瞬間よろしくないものが映ることを許さない、それが何より素晴らしい。

小林;そうだね。許せる、許せないを判断するその審美眼は確かにスゴいよね。

---それは音楽にも当てはまりそうですね。

熊野:一緒ですね。

小林:僕は『スター・ウォーズ』が好きで、ずっと観てましたね。最近いろいろとリマスタリングされて映像自体今っぽくなっちゃってますけど、僕は70年代のフィルムのときの感覚、あの修正が利かない、あのなんとも言えない世界観が好きなんですよ。

熊野:そんなに違うんだ。

小林:違うんですよ。色や質感とか全部。小さいころに観ていたものとは全然。味わいがあるというか、その辺はアナログ・レコードとデジタルの違いにも通じるものがあるような気がしますけど。

---となると小林さんはアナログ派?

小林:そんなこともないんですけどね(笑)。デジタルが多いですけど、もちろんアナログは好きですね。

福富:ちょうど最初観たときのタイミングもあると思うんですけど、僕も『時計仕掛けのオレンジ』ですね。高校生のときに初めて観て。

---高校生が観るにはちょっと過激な映画ですよね。

福富:そうですね、パンクですよ。当時、僕も世をすねていたというか、パンク/ニューウェーブを好んで聴いていたので、ハマりが良かったんですよね。

---やっぱり、いま見直すと違いますよね。

小林:『未知との遭遇』も好きなんですけど、あれは子供が観てもいまいちわからないですからね。ただ、いま観るとデザインが細部まで本当にカッコいいんですよ。

熊野:大人になるとそういう楽しみ方があるよね。

小林:そうそう、あとは監督のことを評価するようになったり。

福富:あとは音楽。それでがっかりすることもけっこうあるし。

熊野:そういう意味では、僕は『ロッキー』は最高だと思いますね。トレーニングのところとか、スゴく曲と映像があっているし、いつも頭に浮かんでくるんですよ。

小林:それは『ロッキー1』?

熊野:『ロッキー』はやっぱり1でしょ。

小林:そうですよね、だんだんコマーシャルになっていっちゃったし。

熊野:そう、最初のロッキーは勝たないんですよね。そもそも最後まで戦うことの意味や愛を描いていた。でも回を重ねていくごとに『キン肉マン』や『北斗の拳』のような感じになっていってしまって。あとは、意外だったのが『ゴッドファーザー』。これも同じような感じなんですよ……、ってすみません。全然関係ないですね(笑)。

福富:そういうことを聞くと見直そうかなって思いますよね。作ってるときには観なかったのに(笑)。


熊野:でも、まだまだ良い映画はたくさんあって、今回惜しくも漏れてしまった作品がけっこうあるんですよ。

---となると、続編も?

熊野:やりたいですね。70年代だけでも、もう2〜3枚作れるくらいあると思いますよ。

小林:僕は日本映画もやってみたいですね。

熊野:『ゴジラ』とかいいですね。そうなると、永遠にできますね(笑)。

小林:他にも、黒澤作品とか『トラック野郎』とか。

熊野:『トラック野郎』それってどんな曲?

小林:“一番星ブルース”ですよ(笑)。

福富:懐かしいね(笑)。その中では、僕は『ゴジラ』やりたいね。もうなんとなくイメージが出来てきましたよ。あのテーマでミニマルな感じとか。

---今作もありがちなカバー集ではなく、テック〜ハウス〜ディスコ・ダブまで、最新の潮流が聴けるだけに、今後もぜひ期待したいですね。

熊野:そうなんですよ、心配はしてなかったですけど、いわゆるチャラい感じの作品にはならなくて良かったし、ぜひ今後も続けていきたいですね。80年代、90年代の作品もあるし。

小林:僕は、このアルバムを家でも勉強だと思って聴いてますよ。この人のこの作品はどうしてこうなるのかなって一生懸命探りながら。それがすごく楽しいんですよね。みんな普段楽曲を作っている意識とは違う感覚で作ってると思うので、それぞれのエッセンスが出ていて本当に楽しい。

熊野:そう言ってもらえると嬉しいですね。ぜひ若い人たちにも聴いて欲しいし、DJの方々にも実際使えるトラックばかりなので使って欲しい。あとは、映像とダンス・ミュージック、その世界観がより広がると思うので、まずは一度聴いてみてほしいですね。

---フロアライクな作品であり、アカデミックな作品でもありますからね。

熊野:作っている人たちも、みんな映像的な部分やストーリーがあって、聴きだすと細部まで気になると思うんですよ。

福富:最近のダンスミュージックってカルチュアルじゃない。快楽的なところはあるけれど、どこか孤立している感じがするので、こういった文化的なものと接点が持てることは本当にし素晴らしいことだと思いますね。

---次回作も楽しみにしてます。

熊野:ありがとうございます。次は、80年代。『フラッシュ・ダンス』とかいいですね。エレクトロな感じとか。80年代はいわゆるビルボード・ヒットと連動している部分もあって、よりエンターテインメント性が強いと思うんです。今作はわりと芸術的でしたけど、そんななかで今回のディープな人たちがどんな楽曲を作るのか、それもまた楽しみです。

福富:次は全員『ブレードランナー』とかでもいいですね。みんながそれぞれどんな曲を作るのかみてみたいし。

小林:そうなるともう修行みたいな感じですね。それぞれどこまでできるんだっていう(笑)。

熊野:いずれにせよ、一段落してまた考えます。そのときはみなさんよろしくお願いします。
 

2009/05/20  |  INFORMATION | Tokyo Black Star スペシャル・インタビュー Interview & Text: 長谷川 賢司(gallery)

Interview & Text: 長谷川 賢司(gallery)

1970年生まれのイサオ・クマノと1973年生まれのアレックス・フロム・トーキョー。
代々木上原と池尻という渋谷からほど近いエリアで少年時代を過ごした2人。
彼らが多感な青春時代を迎えるころには世の中は華やかなバブルの時代へと…。
しかし、その時代にはまだ、携帯電話もインターネットも普及してなかったのである。
10代後半のディスコ遊びから始まりクラブへ…。
彼らのルーツは?



-- 僕らはみんな同世代と言っていいと思うんだけど、アレックスは早熟だったよね。14歳くらいからクラブ行ってたでしょ。

アレックス・フロム・トーキョー(以下A) :
そうだね(笑)。友達とね。そのお父さんが音楽関係の仕事してて、 六本木に住んでたのもあって、よく彼のところに泊まりにいってさ。彼のお父さんにクラブ関係の知り合いが多かったりでね。
それで、よく遊びに行ってたよ(笑)。それと、学校も飯田橋にあって…、在日フランス人学校なんだけど、結構とんでもないヤツ等がいたからさ。
とくに先輩がさ(笑)。不良の先輩がいっぱいいたんだよ。その影響が凄くあったよね。学校のダンスパーティーがよくあって…。そんな不良の先輩連中、高校2年とか3年生の先輩がオーガナイズしてたんだけど、
学校の食堂にサウンドシステム持ち込んでさ。中学生くらいから行けたんだよね。まぁ、学校も幼稚園から高校までずっと一緒で、小学校から中学校に移っても仲間が一緒だったりでね、そんな感じで中学校くらいになるとダンスパーティーがあって。そこには30カ国以上の人種の人がいて、もの凄いミクスチャーだったんだよ。

-- 凄い環境だよね。不思議な感じだねぇ…。学校自体がね。

A : そうなんだよ。今思うと結構不思議な感じだよね。
教育はフランス語なんだけど、もちろん日本人もいるし、授業以外のときはフランス語から英語から日本語から…、もうなんでもだよね。すごいミクスチャーでさ。それに、外交官の息子とか大企業の息子とかのエリートな人達もいつつ…、全然そうじゃない人達もいて、不良もいっぱいいたんだよね。学校も小さくて1クラス30人くらいなファミリー的な感じだったんだよね。だからまぁ、不良って言っても、実はみんないい人達ばっかりだったんだよ。 そんななかに音楽が好きな人達がいっぱいいたんだよね。
そんななかで学校のダンスパーティーから始まったかな…。

-- そうすると時代的には80年代とかだよね。学校のパーティーではどんな音楽が流れてたの?

A : なんでもだったよね。ヒップホップはもうけっこう…ね。そのときオールドスクールから新しいものが出てきて…。オールドスクールなものもかかってたけど、あとはポップなものも多かったね。ニューウェーヴなんかもポップだったし、ディスコやファンクとかもゴチャ混ぜだったりとか、ベストヒットUSAとかMTVとか出てきた時期でもあったりするじゃない。まぁ、その辺から始まったよね。

-- その辺には我々の世代、あまり差がないよね。

イサオ・クマノ(以下K) : そうだね、差はないね。ぼくも中学校のときは金曜日の夜中にTVKでソニー・ ミュージックTVがあって、あれ朝までやってたんだよね。それで、最後まで観て土曜日学校行ってほとんど寝てたっていう(笑)。

-- あの時代のTVKの存在は結構おおきかったよね。

K : それと、レンタル・レコード屋さんが完全にリンクしてたなぁ。その当時は洋楽好きの仲間何人かで、新譜が出ると手分けしてレンタルして人数分ダビングしてね。だから、トップ40はカセットテープで全部持ってたな。あの頃のお小遣いはほとんどレンタルレコードとカセットテープに注ぎ込んでたね。あとはエア・チェックっていうFMラジオの番組を雑誌でチェックして録音するんだよね。そんな感じだったね。

A : おれも学校の友達とそんな感じだったよ。アメリカに留学した友達からお土産でレコードもらったり、イギリス寄りの音楽が好きな友達からはロック、ニューウェーブとか教えてもらったりしてさ。

K : 今思い返してみれば、高校生くらいになって、バイトとかしててさ。そんな流れでディスコとかに女の子と行くじゃないですか?それで、女の子が行きたいとこに行こうよと。そうすると、やっぱりユーロビートでパラパラだったんですよね。一緒に行っても鏡とかみて(パラパラを)やり出すから、それがつまんなくてね…。
パラパラ覚えるつもりもないワケだし、そもそもこの音楽好きじゃないし…ってなって(笑)。
そこでね…。こりゃ違うわ…って。今思えばそこからかな…。そうじゃない仲間ができて西麻布のクラブなんかに行くと、そっちではアシッド・ジャズなんかがかかってて。なんてカッコいいんだろうこれ!ってなるんだよね。だからそのあたりから女の子にウケるような音楽とは決別してしまったような…(笑)。

A : おれが覚えてるのは、そうやって六本木のディスコとかに遊びに行って、その延長でたまにレコードとか六本木のWAVEなんかに買いに行ったりしてたね。で、そこで「THE BANK」のことをはじめて聞いて、行ってみたら、あのヴァイブにやられてね。それからディスコでは遊ばなくなったね。そこで人生が変わったよ。ワォって感じだった。音にしても、あの雰囲気。真っ暗であの妖しい雰囲気。一回経験したらね…。
人生がほんと変わったよね。六本木のディスコも楽しかったことは楽しかったけどね。
でもあの「THE BANK」の妖しい雰囲気…そこに危険な雰囲気もあって、なんかそれに凄く憧れたね。
女の人もさ、なんか絶対手が届かないような凄い綺麗な人が来てたりね。普通のディスコとかにも綺麗な人はいたけど…(笑)、なんか種類が違うっていうか…、オーラが違うっていうか…(笑)。 ほんとに、「THE BANK」に行ったら、音楽から、店の店員にしても、全部がかっこよかった。

K : なんかコロナビールとか飲みたくなるようなね…(笑)。

-- 別物だったよね。ディスコとクラブ。音楽がかかって踊るって意味では同じ現場なんだけどね。

A : 知らないあいだにやっぱり音にヤラレてたんじゃないのかな?
そのときは「ウワッ、この曲ヤバい!」とか、「凄い楽しかったな!」とかは思ってたけど、今思うとさ、無意識のうちにね…。純粋に音にやられてたんだね。いつも行ってた六本木のディスコと、「THE BANK」の音の感じ方、全然違ったもんね。たぶんその頃はそこまでわかってなかったけど、振り返ってみると絶対そうだったんだよね。音と雰囲気にヤラれてたんだよね。そこが始まりだよね。そこにルーツがあるよね。

K : おれも行ってたもんね…。中学の頃の友達とね。高校はヤンキー校みたいなところだったから(笑)。
あんまり一緒に音楽聴く友達はいなかったね。その頃から楽器のローンが絶えなくて…。で、ヤマハのドラムマシーンを結構な金額で買ってさ、ちょっとしたシーケンスが組めるんだけど…それで、ちょっとヒップホップ的なものを作ってさ、テープに録って友達に聴かせてね、今思うとものすごくショボイものだったんだけど(笑)。 「ヤバいよ!カッコいいよ!」って盛り上がってさ。その盛り上がりのまま西麻布に行くみたいな感じだったね(笑)。よくわかってなかったけど、自然にディスコから離れていったよな…。
外人とかもよく見かけたけど、その外人っていうのはもしかしたらアレックス達だったかもね。

A : ほんと毎週行ってたからね!よくスピーカーのなかで寝てたりしたもん(笑)!

-- その辺は我々はみんな一緒かも知れないですね。
入り口にはディスコがあったけれども、自然にクラブの方に行くようになったよね。

K : そのあとはやっぱり「YELLOW」かな…。

A : …そうだね。あと、「GOLD」だね…。

K : その頃はね…、おれはジャズマンになってて…(苦笑)。ひたすら勉強してたね(笑)。
その時期はわかりやすい、いわゆるポピュラー・ミュージックから完全に遠ざかってたね。現代音楽
とかにまでいっちゃってた。ちょっと病んでる時期だったかも…ね。

A : おれは、ちょうど高校を卒業してパリに行ったんだよね。それで、パリでも東京のアンダーグラウンド・シーンと似たような場所に行ってた。レコード屋さんとかいろんな人に会ってさ。

K : その頃、今回のアルバムでシンセサイザーで参加してくれてる高木くんと知り合ったんだよね。その頃にぼくはミュージシャンの方にいってるから、そこで、ジャズやって現代音楽までいくとさ、本当に勉強っていうか…。ま、良さはすごくあるんだけど…。なにやってんだろう…?面白いのかな?ってなって。ややこしいことをやるのがいいことだ。みたいになっちゃって。で、 あるとき疲れて、スライ&ファミリーストーンを聴いたときに涙が出てきそうになってさ…(笑)。『これ凄いいい』と思って…。『おれ、(やっぱり)こういうのが好きなんではなかろうか?』って思ってさ。

A : すごいダイレクトで、ストレートでファンキーでね!

K : それでまた考え直して、ダンスミュージックってもともとエレクトロニックなビートのね…、プリンスなんか好きだった頃に立ち戻ってさ。ちょうどそんなジャズ病から立ち直りかかった頃に「YELLOW」なんだよね。
そしたら、(「YELLOW」 で)同じループのちょっとズレてるやつを十何分とかやってるんですよ。『狂ってんな~この人』って。ライブだったんだけど、誰だか覚えてないんだよね。たぶん誰かの来日ライブで…。
ドラムマシーンをいじりながら、シンセやったりなんかしてたんだけど。何しろ新しいビートを聴きたいと思ってフラっと「YELLOW」に行ったから…。それはもう、ズレてるし、演奏テキトーだし、ひでーなぁと思ったんだけど、10分以上聴いてたら、だいぶ気分良くなってきて…(笑)。これはいったいどうしたことか?と。周りも盛り上がってるし、自分もその盛り上がりのなかにいて。ジャズはいったいなんだったのかってなって…。
こっちの方が楽しいな…ってなって。そこからコンピュータの方にいったんだよね。ジャズがだめだっていうことではなくて…ね。そっちはそっちで、自分の落としどころがなかったんだよね。テクニカルになり過ぎちゃって。そのままテクニックさんみたいになるのもどうなんだろう…って思いつつも、それしかやりようがなかったし。(逆に)味だよって、そんな若者が言うことじゃないし。

-- 落としどころがなかったんですね。テクニックを磨いて極めていけば落としどころが見つかるんじゃないかと思ってそっち行くわけですんもんね。ま、ところがクラブに行ってみたら、実際には意外にもこんなところに落としどころがあったんだっていうのが発見でしょ。

K : けっこうビビって(笑)。ガーン。結局やっぱこういうのが好きなんだって。自分を知るみたいな。
だから、一度勉強して…。でもフィーリングに戻ったんだよね。そんときに。だから、今アレックスと一緒にやっててさ、2人ともフィーリング・タイプだと思うんだよね。テクニカルに構築されたいいものに憧れる気持ちはあるんだけども…、自然にそれができるんだったらやりたいけど、とりあえず、いるメンツで楽しくやることの方が大事。そういう考えだから、制作に対してあんまりキュウってならないね。

A : とんがったものとか、変わったものとか、面白いものに反応しちゃうんだよね。

K : それの精度が、そもそも衝撃を受けたのはズレたビートを10分聴いたら気持ち良かったっていうとこから始まってるから。精度の問題じゃないっていうのが…。そこがぼくが復活したきっかけだから…。ズレてていいんじゃん。今回のアルバムにもそういう部分というのは出てるね。

A : フィーリングは重要だね。

K : まずは、自分が正直になったところからスタートしてね。今回の作品に通じるテーマでもあるよね。

A : そういう意味でこのアルバムは個性的だよね。

K : ズレてても良いっていう…。そういう手法もこのアルバムには取り入れてる。『MIDNIGHT EMPEROR』とかは結構ヒドいからね…(笑)。よくよく聴いてみると。実は解析不能なくらいズレてるよ(笑)。



かくして、アレックス・フロム・トーキョーはDJへと、イサオ・クマノはエンジニアへの道へと進んで行く。
そんななかで2人が出会ったのは、90年代中頃。ある意味でクラブ・ シーンがひとつの成熟をむかえる頃。そのムーブメントとリンクしていた渋谷のアナログレコード・ショップでだ。渋谷のレコード・カルチャーと、そこにあったD.I.Y.のスピリッツで繋がったという2人はやがて、TOKYO BLACK STAR(以下TBS)を結成する。この4月に彼らのファースト・アルバム『BLACK SHIPS』がリリースされたわけだが、出会って以来、この2人の根底に流れるマインドは一貫している。


A : 今の若い子って、音楽に詳しいかもしれないんだけど、ライフスタイルがないって思うんだよね。

K : ある種インターネットだから、もうマイ・スペースから直接レーベルで、レーベルがすぐ地方にいるまんま作品を出して、いきなりライブだったりするでしょ。土地とか街、仲間っていうのをすっ飛ばして…。それでマネジメントが上手ければ、それで売れちゃうっていう。まぁ効率はいいのかもしれないけど…。
だけど、街でいろんな思いしながら…今日はレコード買いすぎちゃった…とか。

A : 何時間か語って、レコード聴いたり、いろんな人とであったりとかさ…。そういうのが今はないよね。そういうところでぼくら知り合ったワケじゃん。今はネットのおかげもあって、あまりにも効率良くなってきてるから、だから会いたくない人には会わずに済むよね。昔はクラブにいろんな人が来てたじゃん。会いたくない人にも会っちゃうような事が多かった。

K : システムとして、レコード・カルチャーが機能してたんだよね。それと、雑誌なんかも連動してたっていうか、同じ気持ちでやってる人とかいたからね。わりとスムーズだったし。今ほど、仕事っぽくなかった気がするね。効率が悪くて、無駄が多いように感じるんだけど、その無駄のようなものが実は触手のようにいろんなものを結びつけてたっていうね。今思うと凄く有機的なことだったんだなっておもうんだよね。
だってさ、普通に制作会社の技術者として仕事しててさ、ここまでDJ達と知り合うってなかなかないと思うもん。パーティーはやっていたにしてもさ、仕事でそこを結びつけるってことは今だと難しいっていうか。

A : 今はないよね…。そういうのがね。当時は渋谷に集まってたよね。

K : そこにパブリック的な価値があって、成立してたっていうか。オーガナイザーにしてもDJにしても、トラック作ってる人にしてもコミュニケーションがあった感じでね。

-- 現場感あったよね。

A : すごいあったよね。エキサイティングだったよ!

K : アンダーグラウンドが増殖していった時期っていうかさ。いろんなものがいろんなセンスで出てきて、それを切り取って、その人なりに調理していくことに価値があて、流行りがどうだって事よりも、流行りっていえば、そんな個性が集まって、全体が流行りだったみたいなさ…。それはとても理想的な感じがあったかな。スタイルが全然違っててもお互いリスペクトがあったよね。

A : あのころは、みんなそれぞれに位置があったんだよね。

K : 今はなんとなくさ、仕事になるところは尊重されるけど…。 それ以外の個性はね…。

A : 特に日本はね。

K : ヨーロッパなんかだと、アメリカもそうかも知れないけど、 まず個性…みたいなところがあるじゃない?

A : そうだよね。

K : クオリティーじゃなくて個性…だと思うんだよね。粗くても個性…みたいな。
日本の場合はまずクオリティーで、クオリティーを突き詰めれば、個性が出てくるみたいな…。意外と厳しいですな…師匠(笑)。みたいなところがあって。もちろんそういうのも大事かもしれないけど。メチャクチャなヤツ等が好き勝手やってくなかで、それがだんだん整ってきたりなんかしたら凄いじゃんみたいな…そういうのがあった気がするな、当時はね。だから、ひどいパーティーとかもいっぱいあったけどね。『こりゃ、やりきってんな!』って感じがあった。アンダーグラウンドてことにもの凄いモチベーションがあったっていうかね。

A : クマノさんとの関係もそこにルーツがあるなぁって思うのは…、ダンスミュージックのD.I.Y.のインディペンデントなスピリッツっていうのに魅力を感じて、それが凄い好きでDJも始めて、それでパリに行ったときにそれをさらに経験して、ヨーロッパの他の場所でもそれを感じられて、そのインディペンデント・スピリッツっていうか、アンダーグラウンド・スピリッツっていうか…、それに魅力を感じて、そのコミュニティーが凄く好きでさ。で、日本に帰ってきて、ミスター・ボンゴにも同じように思ってさ、クマノさんにもD.I.Y.のスピリットを感じたんだよね。師匠がいて師匠の下で勉強してっていうんじゃなくて、なんか、日本のシステムとは違うところにいたよね。だから、一緒になれるんだよね。

K : それで、やりきれると思ってたからね…。まぁ、難しいことは難しいよね。一時期は良くてもそれをキープするってのがね、本当に難しいよね。ある種さ、意固地になりすぎるところもあるじゃない、アンダーグラウンドって。これでいいんだ!って。おれたちが納得してやってんだから、他の評価は関係ないって。そういうのも強さの一つだけれども、ある意味閉鎖的になっちゃって。そのジレンマがある。…とはいえみんなと遊びたくてやってるワケだからさ。また逆に、なんでもオープンにするとクオリティーはさがるっていう恐怖もあるワケで…。そこの調整はやっぱり本当に難しい。

A : おれはそのジレンマ…。たぶん、狭くなるジレンマのなかでニューヨークに行ったと思うんだよね。

K : もの凄い煮詰まった時期があったよなぁ…。もの凄くイライラしてたんだよね。なんかそんな話ばっかりしてたよね。危機感に煽られるっていうか…。…でも、考えて話していても解決するわけじゃなくて…。
そんななか、あるときアレックスと作っていく過程のなかで、作品がなんか(状況を)変えるってことがあるぞってね。

A : そうだね。一枚目をリリースして…、そこからなんかね…。

K : わりと気持ちが楽になったっていうか…。作品にもの凄くイマジネーションの高いものを出していけば、遊びが新たに肉付けされていくっていうか…。思いもよらなかった遊びが展開されていくような、有機的なことになるような予感がそこで凄くしたんだよね。

-- 作品にしてリリースすることで答えに繋がったんだね。

A : (このアルバムに関わる)みんなと…、インナーヴィジョンズのクルーとかとも純粋に音楽でコミュニケーションしてるんだよね。毎日のように電話してるってワケじゃないしさ。初めて音源渡したときとかも、『出してよ』って営業的にじゃなくて…。 友達として、リスペクトしてるDJとして、是非聴いてもらいたいなぁっていうのがあってさ。その応えとして『リリースしたいよ』ってきたからね!ただ友達に頼まれたからっていうのじゃなくて、音楽でコミュニケーションできたんだよね。そうやってサポートされてて、友達でもあるから、確かに気持ち楽な部分もあるんだけど、プラス、彼らもこだわり持ってやってるし。だから、リスペクトしてればこそ、プレッシャーもあるし、ちゃんとした作品を渡したいしね。彼らも同じ考えで、同じヴィションを持ってるし。

K : マツさんも同じことを言ってるよね。寄せてくれたコメントのなかでね。凄くイマジネイティヴなコミュニケーション手段っていうかね。作品同士でコミュニケーションできるっていうね。

-- 最高だね。

A : 健康的な、理想的なシチュエーションだよ。

K : 相当スピリチュアルな感じはするけどね。

A : まぁ、そうだけど、でもそういうスピリチュアルな関係が当たり前だったりするんだよね。

K : 信頼関係があるってことだよね。

A: それはなんかすごい気持ちいいよね。

K : 逆にさ、実務的には淡々と進んでいく面があるじゃない、作ったものに対して。もう何にもなしでOKだと。で、ディクソンはディクソンでリミキサーとか手配して、商品としてもう、すぐ完成される。凄く、テクニカルなところはちゃんとしてる。だけど、それはイマジネーションのコミュニケーションがもう成立してるから、そこは凄くプロフェッショナルなんだよね。凄くスムーズ。ごちゃごちゃしないんだよね。

-- 凄いね~。

K : 楽しいですよね…。

A : 楽しくやれるよね。

K : ぼくらが盛り上がって、『いい』ッて思たものは、本当に同じ感覚で評価してくれるし。

A : もちろん、それぞれ好き嫌いはあると思うけど、基本的にそうだよね。

-- インナーヴィジョンズからリリースすることになった経緯を詳しく教えてもらえる。

K : 『BLADE DANCER』だよね…。

A : そうだね

K : それまでは、だいたいこういうプロジェクトがあるからこういうの作ろうとか、こういうリミックスのオファーがあるからとか企画があってやってたんだよね。だけど、『BLADE DANCER』に関しては何もなかったんだよ。オリジナルをちゃんと作ろうか、みたいな。それが結局…ね。

A : そのとき、ちょうどDX100(シンセサイザー)をニューヨークで見つけてゲットしてね。

K : 遊んでたら、良い音出るんですよ(笑)。自然とああいう…「チャッチャ・ッチャー」ッて(笑)。そういうふうに弾いちゃうよね、これは!って(笑)。

A : いわゆる、ラリーハード、ケリー・チャンドラー、デリック・メイ…もうね。ああいう音色がそのままね。

K : また好きなわけでさ…(笑)。

A : 持ってかれたよね!

K : 持ってかれたねぇ~。もう…方向は決まったみたいな(笑)。最後までベース・ラインには悩んで、いろいろやってみたけど、ね。結構、熱く作ったよね。

A : 熱く作ったね。早くできたよね。

K : それがまさかね。ある種、オリジナルとして好きに作った第一号。

A : 人生が変わった曲だね、今思うとね。凄いハマッてたよね。

-- 凄くいいのができたな…と。

A : たまたまその頃、ミニマルなテックっぽいハウスが出てき始めた頃だったしね。タイミング的にもバッチシだったんだよね。

K : そうだね。なんかハイテック・ジャズみたいなものを作ってみたりしたんだけど、気乗りしなくって。
ピンと来なかったんだよね。で、こっちじゃないの?って。

A : ダビーなハウスとか、ね。それで、ちょうどその頃ディクソンがベルリンで「INNNERCITY」っていうハウスのパーティーを始めたときだったんだよね。彼はジャザノヴァ/ソナーコレクティヴで活動してたんだけど、
ディクソン自らニュータイプのダンスパーティーを始めるようになったんだよね。だから、ディクソンのパーティーの雰囲気とベルリンで起きてる新しいハウスミュージックの動きと、僕らが作った曲とが、それらがすごくマッチしたんだよね。で、それでリリースするまでに結構時間かかったんだけど、それは曲を渡したとき、最初、ソナー・コレクティヴから出そうって話になったんだけど、結局、『ぼくらで今新しい動きをアームと考えているからちょっと待っててくれ』って。彼らがちょうどいろんなプランを考えてるときに、ドンッって『BLADE DANCER』を聴いて、これで新しい動きのきっかけにできるんだと。それで、ちょっと待った結果…、『ぼくらもジャザノヴァ/ソナー・コレクティヴから離れて…インナーヴィジョンっていうレーベルを始めるから』って。

K : ま、そんときはそんときで、えっ、ソナー・コレクティヴから出せるの??マジ??ってなったけどね。

A : そうそう…。だから、新しいレーベルに不安な部分もあったよ。時代の入れ替わりだった部分もあるし。あのころソナー・コレクティヴもいい感じになってたからね。正直言うと。でも、彼らが『今、ベルリンで新しい動きがあるし、ここで、僕らがいろいろ始めないといけない時期なんだよ。』って、『もし興味があるなら、そのニューレーベルで出さないか?』って。もちろん、すぐOKしたんだけどね。

-- なるほどね。

A : そのときまだ東京にいたんだけど、その動きが東京にはなかったんだよね。ムーヴメントとしてはね。向こうのリアリティーと東京のリアリティーがさ…。東京って意外に消費的には早く入って来るかもしれないんだけども、でも現場のクラブ的には必ず遅れて入ってくるんだよね。ムーヴメントとしては一年とか二年とか遅れて入ってくるんだよ。だから、今も東京はまだ、テックなミニマルだったりするんだけど、意外にベルリンとかはもう人気が落ちてるとこがあるんだよね。もちろん大きなパーティーとかはそうかも知れないけど、ミニマルのDJとかいっても意外にみんなハウスなんだよね。そういった意味でインナーヴィジョンの役割は注目されてるんだよね。ミニマルでもないし、オーソドックスなハウスでもないし。新しいハウスミュージックでもあったりするから。

-- レーベルの動きとして面白いよね。ハウスのなかでもクロスオーバーしてるっていうか。

K : マネできる感じがしないよね。ヘンリック・シュワルツとかのあの感じとかさ。アームにしてもそうだし。

A : 今はマイアミでもそうだったんだけど、動きとしてはアフリカっぽい要素とか、民族音楽的なサンプリングのものとかばっかりだったよ。なんかサイクルだなって思うんだけど。クリッキーなハウスとかはもう終わってて、エスニックな感じがね。まぁ、戻ってきてるよね。またちょっとそれもトゥー・マッチだったりするんだけど(笑)。

-- そうなんだねぇ…。話は戻るけど、さっき言ってた、煮詰まるっていうこと。いろいろ考えちゃうから煮詰まって、それで楽しさが失われていくってことだよね。そうすると、あまり、周りの事は考えないほうがいいのかな…。

K : やってる人が何か楽しみを持ってなかったら、それは伝わりようがないよね。

A : それは凄いベーシックなことだよね。これはDJについてのことだけどさ、ロラン・ガルニエの自伝を翻訳したときに…、グッとくるポイントがいっぱいあるんだけど、ひとつ忘れられないのが、プレイするとき…、針から自分のエネルギーが伝わっていくんだって…。ほんっとにそう思うんだよ…。自分の気持ちが入ってないとね。まぁ、適当に喜ぶものかけたら、なんとかうまくはいくんだけどさ。だけど…、そこで終わっちゃうよねぇ…。

K : ぼくは結構聴き分けますよ~、そこは(笑)。

-- そこを羅列されちゃうとさ、それこそディスコになっちゃうワケだよね。

K : そう。ディスコは「型」だとおもうんだよね。ある種、「型」をしっかりして、その上で魂を込めろっていうのが日本的な「○○道」。だから日本のディスコのプレイは「ディスコ道」 なんだよね、きっとね。
でも、その「型」を生み出したなんらかのシステムの元には、なんらかのイマジネーションがあるんだよね。それが「型」だけになっちゃうと、ね。気持ちが入ってないとね。難しいのは、とはいえ人がたくさん集まって営業するわけじゃないですか、そこで、「型」破りなことで成立させるっていうのはある意味天才だよね。ほんとにクリエイティヴなことだから。毎日営業して、クリエイティヴなことを成立させるっていうのは業務としては非常に不安定だよね。だから、ディスコがしぶといのは、その「型」があるからっていう。
安心できるし、その「型」を求める人がある程度いればね。「型」さえはずれなければ最悪な失敗はまずないでしょ。だけど、クリエイティヴにやってたら、大ハズシもあり得る。で、それを任されてるDJっていうのは、自分のコンディションに非常に責任があるっていうかさ、乗り切れなかったらどうすんの?っていう…(笑)。

A : けっこうチャレンジだよね。

K : そこはエキサイトだっていうこともあるし。またお客さんにも優しさがあるとね…。『わかるよ~。もうちょっとだよ。』なんてさ。ツウな楽しみ方かも知れないけどね。相当精神的なコミュニケーションをやってる…。
クラブの本筋っていうか、真摯にやってる人達はさ、真剣にそういうコミュニケーションを求めてたり、どうにか、クリエイティブな遊びをしようって。ほんとにいい人達だなって思うんだよね。

A : 中途半端なことはしちゃいけないよ。

K : テクニックに逃げちゃったら、楽かもしれないのに。それで、一生大金持ちになれるんだったらね。
だけど、それじゃ満足できないっていうか…。音楽病っていうのか…(笑)。

-- 「型」はつくらない方がいいのかな?

K : たぶん…「型」が出来た段階ではもうフレッシュじゃないから、その「型」が有効なのは意外と短いんだと思うんだよね。一般の人にはわかりやすくなるんだろうけど、やってる本人としては、その「型」で楽しめる期間っていうのはそんなに長くない。 …ま、ただ、それはスターの条件みたいなのもあって、例えばジェームス・ブラウン(以下JB)にはJBの「型」があってさ、必ずJBってわかるステージングだったりさ、それでずっとやり続ける。そうみると、「型」っていうのはもしかしたら、エンターテインメントの基礎かもしれないですよね。その中にずっとスピリットを失わないような人が本物の天才っていう…。例えばバレエとかもね。落語もJAZZのスタンダードなんかもね。言ってみれば「型」じゃないですか、でも単にBGMになっちゃう人とかさ…。そこは才能の問題だったりするんだろうけど、マイルス・ディヴィスみたいに「型」っていうことを否定し続けて、スタイルを変え続ける芸術っていうのもあるし…。ある種、大きな視点で観ればさ、僕らがやっているのも、 いわゆる、クラブ・カルチャー/ダンスミュージックっていう「型」のなかにいるかも知れないし。そのなかのチャレンジだったり。それを取っ払ってしまうと、かなり大変なことに…(笑)。

-- そういう意味でいうと、「型」っていうのはいきつくところまでいくと変えられない「型」になりますよね?

K : 洗練されていくと確かにそれしかないっていうぐらいの筋が残るのかもしれない。でも、TBSでやってることは、意外とそういうオーソドックスな部分もあるじゃない?

A : まぁそうだね。

K : その部分っていうのは「型」を使ってると思うんだけど。それが際立つヤバいところに…そのリフ『チャッチャッ・チャッチャッ・チャチャッチャ…』とかさ(笑)。それはね、そういう風に聴こえたら、もうそれでOKなわけだっていうね。その「型」の原型を浮き彫りにさせたいって言う欲求があって…。

A : それはなんていうか、ダンスミュージック的だよね。ヒプノティックなね。

-- 本質的なとこだと。

K : それは残るんだわっていう強烈なね…、プラネット・ロックのリフみたいな…。そういうのが出てくるとなんか嬉しくなっちゃってね(笑)。

-- 「型」が悪いと一概に言えないってことですよね。

K : そうだね…。洗練されていくと「型」が残るかも知れないね…。でもその「型」を引き継ぐのは難しいことだと思うんですよ。例えば、今みんなエレクトロという「型」を再構築しようとしてたりするじゃないですか?そこにもの凄いクリエイティヴィティーだったりとか、魂が入ってたりすれば、すんなり楽しめると思うんだけど、「型」にしか聴こえないものが多すぎる…。それは「型」だ。っていう。それだけ見せられても困るっていうね。オリジナルが生まれてきた背景のカッコ良さまでは到達しないっていうか…。やっぱね、相変わらずその時代のもののほうがカッコ良く聴こえちゃうっていう…。みんなちょっと「型」に頼りすぎっていうか…。ま、業務的に考えたら今は「エレクトロでポップなメロ書ける人いませんか?募集中!金になります。」みたいな看板がそこら辺にあるけどもね。

-- それをバランスとってやっていくことも大事なのでは?

K : TBSはやっぱりやらないんだろうなぁ…。やる必要がないっていうか。そこで仕事してもしょうがない。それよりも重要なことをやらなきゃね。もうちょっといい仕事をしたいっていうか。ま、なんか挑戦しなきゃいけないっていう…。

A : 一枚目のEPからアルバムに至るまで、挑戦しながらもフリーにやってる部分はあるよね。裸になって、パーソナルなことをやろうとしてるね。毎回ね。

K : そうだね、そこがテーマみたいなものでもあるもんね。

A : もちろんさ、例えば、インスピレーションの元としてこの曲のこことかってピックアップして始めたら、でも全然ちがうものになったりしてね。

K : とっかかりのきっかけにはなってもね。

A : なんかのきっかけではあるんだけど、でも何かしらのきっかけがないと。どんな天才でも誰からも何からも影響を受けないで作品をつくるっていうのはないと思うし。今回はそこから、2人でコラボレーションしてセッションしてるから…。さらに自由にやれる感じがあるよね。

K : ハマりこまないっていうか…。ダイナミックなところが出てるとは思うよね。まぁ、緻密に一人でつくりこみましたっていうのも、それはそれで好きなんですけどね。うわぁ、良く作ったね…、深いとこまで連れてくねぇ…。とかあるじゃない。でもTBSはダイナミックさが楽しかったりするっていう。ディープに聴こえても、オタク向けじゃないぞこれ。どっちかっていうと遊び人向けだっていう感じだね(笑)。

A : だから、一人でやってるともしかしたら、遊びを出す部分が難しいんじゃないのかな?逆に2人で一緒にやった方がお互いの遊び心をシェアできるっていうか。

K : そこはマジックだよね。

A : うん。それがひとつのメッセージでもあるよね。

K : だから、それは音楽ってことだよね。それがパーティーを作ったり、レーベルを作ったり…。人と繋がることのきっかけの種みたいなものだから…。

A : 10年前に知り合ったときの出会いだったり…。遊びが始まりでもあったりするわけだから。そのころのスピリッツが…入ってる。

K : 最終的にみんなで盛り上がりたいっていうか、楽しみたいっていうか…。

A : みんなで遊びたいっていうか、みんなでいいことをしたいっていうかさ。

K : 芸術として音楽の一番の特徴はそこだと思うんですよ。やっぱり画家の人はなかなか一緒に描くっていうのは難しいと思うんだけど、音楽はバンドだったりとかさ、一緒に演奏してようやく…なんだか不思議なウネリがでたとかさ。TBSでもやっぱりそうなんだよね。一緒にやる作用に…そこに磁力みたいなものが生まれて…。マツさんともコラボレーションできたりさ。なかなかああやって、一人でさ、イマジネーション豊かにね。凄い才能だと思うんだけど、でもそういう人も一緒に遊んでくれるし。ディクソンもそうだし。レーベルも出来ちゃったりとか。そうやって、結びついてきて…。有機的に繋がっていける。"gallery"ももちろんそうだし。みんな(音楽の)そういうのがわかってて、そういう魅力があるから。パーティーやったり、音楽、DJ、制作…。一人の天才のための発表の場ではないし…。

A : ホントそうだよね!

-- 芸術ってそういうことだよね。一つの作品、一つの種がどんどん大きくなっていうっていうか。

K : アーティスト、アートの役割があるんだよね。アーティスト、アートが金勘定の人になっちゃったら、エネルギーを人に伝えられないっていうか、人から奪うことになっちゃうんですよ。 今やアートも弱ってしまったのかな…。TBSはアートをやるよっていう宣言でもあるよね、今回ね。本当に優れた芸術っていうのは節々にいい仕事を、アーティストが亡くなった後もね、作品が仕事をし続けるっていうね。命のように続いていくんだよね。生きてる作品っていうかね。そういう仕事をね…。

A : フィーリングで生きてると、それをシェアする人間関係が重要だよね。

K : それに尽きるのかなぁ…。面倒くさいことがあっても、けんかしてでもね…、一緒に遊べた方がいいんですよ。迷惑かけたりかけられたりするけど、ね。しかし、一緒に遊べなくなったら淋しいですもん。いくらこんな機械がいっぱいあったって…(笑)。オレ一人だったらどうすんのこれ…。っていうね。

A : ほんとそうだよね…。

K : 作品を作って、こうやってインタビューされててなんだけど、アルバム作ったのも発表会っていうわけじゃなくて…。こういうコミュニケーション・ツールを作り上げたから、これから一緒に遊びましょうよ。ってことなんだと思うんだよね。そんな深刻なもんじゃないっていうか。売れてくれればもちろん嬉しいけど、でもそこが全てじゃないって。思える。今回出来上がったものが、正直に2人の関係やらいろんなものが入ってるから、ホントに出来て良かったって思うんだよ。

A : 凄く満足してるよ。やったことはやったよね?

K : やった。

A : 伝えたいことは伝えたと思うし。ぼくらの役割は果たせたっていうかさ…。

-- この先もアルバムを作っていく?

A&K : そうだね。発表してない曲もたくさんあるし、日本盤も出したいしね。


TOKYO BLACK STAR 1st Album - Black Ships


2009/03/27  |  INFORMATION | DJ MOCHIZUKI NEW MIX CD「LOVE LIGHT」リリース記念スペシャル・インタビュー!

「LOVE(愛)とLIGHT(希望)」をコンセプトに各アーティストが書き下ろしたハウスチューンをDJ MOCHIZUKI(以下M)がミックス! 「ハウス」というカテゴリーの中で、ジャンルに捕らわれないエッジの効いた春色ハウス・ミュージックが満載、既存のミックス/コンピとは一味違った作品です。



DJ MOCHIZUKI■まずはリリースおめでとうございます。前作から2年ぶりのリリースという事ですが、今回、ご自身のMIX CD「LOVE LIGHT」をリリースするに至った経緯を教えてもらえますか?

M:前作のMIX CD「IN THE MIX」からの流れというか。「IN THE MIX」を聴いてくださったコロムビアの担当の方が、その第2弾的なMIX CDどうでしょう?っといった所から話がスタートしまして。色々話をしている内に、何故かLoveとLightだね、みたいな感じで、僕のキャラと正反対?の方向に話が盛り上がりつつ、そのままの流れで(笑)。でも正直、僕自身こういうコンセプトが有った方が、新鮮さ・面白みも有りましたし、やりがいを感じましたのでそのまま突っ走りました。

■前作の「IN THE MIX」とは雰囲気が変わっているように思えますが、今回の選曲にあたって、コンセプトやテーマなどイメージした事があれば教えて下さい。

M:リリース時期が春という事もあったので、暖かい感じ、ポップな感じ、希望に満ちた感じをイメージして制作・選曲しました。テーマは、タイトル通り“Love Light”です。以前リリースした「IN THE MIX」より、さわやかなで明るい感じになっています。

■メジャーでのオフィシャルMIX CDをリリースされたことで、個人的には以前よりも露出度がかなり上がったように感じていたのですが、その辺りはどうでしょうか?

M:自分のミックスがより多くの方の耳に届く可能性が大きくなったという意味で、純粋に嬉しいです。

■出来上がったCDを改めて聴いて、自分の選曲の変化、音楽性の変化をどの辺りに感じますか?

M:基本的な部分は変わっていないと思います。HOUSEと 謳いながらHOUSEだけじゃ無いところとか(笑)。ひねくれていますね。やっぱり、ミックスアップ・スタイルというかジャンルに囚われずに音楽を伝えたいという気持ちがどこかにあるのかも知れませんね。でも、もしかすると今回のMIX CD「LOVE LIGHT」は、最近の僕の現場でのDJプレイを聴いている方にとっては凄い意外!な感じかもしれません。凄い明るい曲中心で構成されているので。でも、これはこれでDJ MOCHIZUKIの一面なんです。音楽性が変わった訳ではありません。節操が無いと思わないで下さい(笑)。

■こちらに収録された楽曲にまつわるエピソードや思い出などがありましたら教えていただけますか?

M:今回はMIX CDなのですが、全15曲中6曲を制作プロデュース、3曲をリミックスしてますので、かなり愛着がありますね。しかも一曲一曲違うコンポーザーやボーカリスト、ミュージシャン達とコラボレーションして制作する形を取ったので、それぞれの曲にそれぞれの思い出があります。中でも二曲目のYURAIさんとの曲は、凄かったデス。久々、1年ぶり位にいきなり連絡して「スミマセン、トラック作ったので明後日までに、メロと歌詞を入れて欲しいんですけど。。。」みたいな、かなり強引な感じで制作に引きずり込んでしまったり。でもそこで期待以上のものを出してくれるんですよね。やっぱり、凄いです才能のある人は。。。皆さんに感謝です。ライセンス楽曲の中でも、"Rock With You"、"Love is Stronger Than Pride"のカバーを収録出来たのは、嬉しかったですね。オリジナルがDJをする前から好きな曲だったので、こういう形で接点が持てた事自体が嬉しかったです。

DJ MOCHIZUKI■DJとしてもご活躍されておりますが、DJをする際、普段から心がけてる事はありますか? また自分自身がプレイして、最近、特に印象に残ったパーティは?

M:常に新鮮で刺激的なプレイをしたいと思っていますね。欲を言えばというか、えらそうに聞えてしまうかもしれませんが、人にクリエイティブな影響を与えれるようなプレイをしたいですね。そういうクリエイティビティの連鎖とか、“音発信“から成り立てばいいなって思いながらDJしています。特に印象に残ったパーティーは、やっぱりLOOP第4土曜日に行っている”in the mix”ですね。このパーティーは、LOOPオープン時から続けていまして14年も続いていますが、毎回毎回刺激的な音やら出会いやらが飛び交って、毎回印象的で面白いデス。皆飲んだくれなんですが、やっぱり音に対して真剣なメンバーが集まってるいいパーティーです。

■普段、どんなところに音楽の魅力を感じますか?



M:やっぱり、人と人を繋いで行くところに不思議な魅力を感じますね。地域や国境、人種の壁を越えて、音を通じて新しいコミュニケーションが生まれたり、クラブなんかでは、音を求めて感性が近い人達が集まったり、音によってフロアが一体になったり。もちろん、ビートも然りメロディーも然り、音楽自体の持つ“心地よさ”に魅力は感じますが。

■では最後に、今後の予定を教えてください。

M:まずは、本CDのリリース・ツアーです。その後は、PETE Zとのアルバムを早く仕上げリリースしたいですね。あと、Daisuke Uchidaとのユニット“MOXIED”のアルバムも、自分自身のアルバムも制作したいです。予定というか、希望になっちゃいましたが。。。

■ご協力ありがとうございました。

DJ MOCHIZUKI DJ SCHEDULE

3/28(土)@LOOP”in the mix” (青山)
4/04(土)@LITE(福井)
4/11(土)@STAND BOP(福岡)
4/25(土)@LOOP”in the mix” (青山)
5/02(土)@WEDGE”HOUSE”(下北沢)
5/05(火)@FAI” HARROMA NIGHT”(青山)
5/23(土)@LOOP”in the mix” (青山)
6/06(土)@ROCK WEST”SUGAR”(渋谷)
6/20(土)@MUSICA BAR(宮古島) 
6/27(土)@LOOP”in the mix” (青山)
6/28(日)@MODULE”distination”(渋谷)
7/11(土)@EIGHT HALL(金沢)


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DJ MOCHIZUKI LOVE LIGHT

2009/01/08  |  INFORMATION | SAKURA AKAGIファースト・アルバム「叡智」リリース記念スペシャル・インタビュー!

国内屈指のブレイクビーツ/エレクトロニカ・レーベル・INSECTOR LABOからファースト・アルバム「叡智」をリリースされたSAKURA AKAGIさん(以下S)と、サウンドを全面的にプロデュースしたINSECTOR LABOのCHAOSさん(以下C)にインタビューさせていただきました。

SAKURA AKAGI■今回SAKURAさんにとってはファーストアルバムという事で、色々な想いが詰まった
作品だと思いますが率直に完成した作品を見ていかがですか?

S : まだ、アルバムをリリースしたのだという実感はないんですよ。12/12の発売日に、実際に店頭に自分のCDが並んでいるのを見ても、昨日と今日の何が変わったのか、私にはよくわからなかった。ただ、この日を心待ちにしてくれていたファンの方々から、ブログのコメントやメッセージをもらって、『i-podに入れて通勤のときに聴いてます!』とか、『車の中で爆音で聴いてます』とか、『夜寝る前に毎日聴いてます』というふうに言われて、やっと、ああ、myspaceでPCの前で聴く以外の聴き方が、わたし以外のみんなができるようになったんだな、と。このときにやっと感じましたね。

■CHAOSさんにとっても、今回VOCALの入った作品をアルバム単位でやる事は初めてだと思いますが、SAKURAさんと作品を創り上げるうえでどのような事を意識されましたか?

C : 計算することが決してできないVOCALの魅力をいかに引き出すか。これが今回のポイント。VOCALをトラックと融合させるのは針の穴に糸を通すようなもので、1曲ごとにそのワンポイントを探すのにものすごく時間がかかったよ。約1年かけての制作だったんだけど、生楽器のレコーディングなど実に刺激的だった。その楽器の音を引き出すためにはその楽器のことを知ること。どんなミックス技術よりもこのことが大事だという事を改めて感じた。とても成長できた1年だったと思う。

■SAKURAさんの歌詞にはとてもメッセージ性というか、リスナーに問い掛けるような諭すような言葉が多いように感じるのですが歌詞はどのように生まれてくるのですか?

S : もともと、喋ることがひどく苦手なんですよ。あまのじゃくな性格なので、口頭で話すと、大事なことほど、裏腹なことを言ってしまう。だから、普段からヒトに対して手紙を書くことが多いですね。文章で気持ちを表すことが。なので、私にとって歌詞というのはその延長ですね。イコールといってもいいくらい。ひとつひとつの歌詞に、実はどの曲にも明確な相手がいます。
そしてわたしが『あなた』と呼びかけるとき、それはその相手に、そしてその曲を聴いてくれた総てのヒトに、そして、自分自身に呼びかけているんですよね。歌詞がどのように生まれてくるか?という質問の答えにはなっていないかもしれないけど(笑) そのことばが、その時のわたしの、素直な気持ちで、本当に言いたかったこと。本当に伝わってほしかったこと。

SAKURA AKAGI■個人的にSAKURAさんとCHAOSさんのライブを見せて頂いた事がありますが、やはり今までのクラブシーンにもっとこういった形でのコラボレーションが必要かなとも思うんですね。ジャンルやフィールドを飛び越えたものがもっと融合して新しいリスナー含めて色々な人達を巻き込んだものに出来たらなと思うんですが、今のクラブシーンやSAKURAさんが活動されているフィールドについて思う事はありますか。
 







S : LIVEというものや、コラボレーションに関しては、もの凄く明確なビジョンがありますね。私は、わたしの歌や音楽はもちろん、顔や躰や髪や爪、血の一滴まで含めてのすべてが、赤城桜だと思っているので、やはり、LIVEを見に来てくれたヒトにはそのすべてで、全身全霊でぶつかっていかなければいけないと思うんですよ。音を聴く。眼で見る。匂いをかぐ。感触で確かめる。そして食す。五感のすべてで感じられるようなLIVEをしたいですね。そしてそれはわたしひとりの力では無理なので、そこからがコラボレーションということになってくると思うんですよね。LIVEはある意味、『ショウ』だと思っています。エンターテイメント。『音響系』といわれるジャンルのアーティストの方々は、かなりそういう意味での表現がきちんとできているので、素晴らしいと思いますね。ただ、わたしに言わせれば、『肉』の部分が足りないかな。

■では最後に、この作品を紹介していただけますか。

S : 今回のアルバムでは、chaosはじめ、生楽器のアーティストしかり、ヘアメイク、ネイルアート、ボディーアート、フォトグラファー、ジャケットデザイナー、ひとりひとりに、ガチンコでぶつかっていきましたね。わたし、そうとう面倒くさいヒトだったとおもうけど!でも、絶対に妥協しないことで、このアルバムに関わってくれた全員が、わたしの想いに応えてくれたんだと思います。本当に感謝しています。ありがとう。アルバムタイトル『叡智』~ei-chi~には、その意味が込められています。このアルバムに関わった、ひとりひとりが『知』。そしてその知恵の集結が、すなわち『叡智』ということ。実はもうすでに、次にやりたいことが明確に見えていて、曲を作りはじめています。これを実現させるには、今回以上に膨大なヒトの協力が必要ですね。でも、かならず実現させます。

今まで出会ったすべてのヒトに。

そしてこれから出会うすべてのヒトに。

peace.............!!!

■ご協力ありがとうございました。


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SAKURA AKAGI 叡智

2008/12/19  |  INFORMATION | KENICHIRO NISHIHARAファースト・アルバム「HUMMING JAZZ」リリース記念スペシャル・インタビュー!

KENICHIRO NISHIHARA08年の春、1枚の7インチが渋谷・宇田川町界隈のレコード・ショップで話題となった。テノーリオ・ジュニオールの「Nebulosa」と、パット・メセニーの「Slip Away」というクラブ・クラシックをカヴァーしたものだったが、これと同じような例として、数年前に話題となったイノ・ヒデフミのユゼフ・ラティーフをカヴァーした「Spartacus」の7インチを思い起こす。イノ・ヒデフミはこれがきっかけで結局はアルバムをリリースし、全国区で名前が知られるアーティストへと飛躍していくのだが、今回の7インチの主である西原健一郎にも同じような期待が寄せられた。そして、その期待通りファースト・アルバムとなる『Humming Jazz』を届けてくれた。ここには前述の2曲をはじめとした数々のカヴァー曲、そして彼が聴いてきたジャズ、ボサノヴァ、ヒップホップ、ハウスなどさまざまな音楽からの影響を通して自身の音を紡ぎ出したオリジナル曲が収められている。さらに、国境を超えて参加したシンガーやラッパーも、新人アーティストのアルバムとは思えないほど充実した面々だ。そうした豪華メンバーと作ったアルバムでありながら、決して気取ったところはなく、自然体で等身大の音楽であり、何より気軽にいろいろなシチュエーションで楽しんで、リラックスして聴くことができるアルバムだと言えよう。そんな西原健一郎に、音楽との出会いや今までの活動、そしてアルバムのことや今後の活動などについて広く話を伺った。

-僕とヒップホップの出会いの橋渡しとなったのは、意外にもテクノなんです-


■音楽との出会いはどのようにして始まったのですか?

N:母親がジャズ・ピアニストだったので、小学校に入る前からピアノを習っていたんですけど、強制的にジャズのレコードを聴かせるような母親ではなかったです。ただ、家には音楽が流れていて、そんなところから自然にジャズは耳に入っていったと思います。

■そのままジャズ・ピアニストになろうとかは思わなかったんですか?

N:あくまで習い事のような感じでやってましたから、そんなに上達はしなかったです。それより、中学に入ってからロック・バンドをやり始めて、自分から聴くようになった音楽の方にのめりこんでいきました。で、そんなある日、偶然サンプラーを手に入れて、それでバンドじゃなくて自分ひとりでも音楽は作れるんだということに目覚め、それからいろいろ打ち込みの音を制作するようになっていったんです。高校1年の頃です。

■当時はどういった音楽を聴いていたのですか?

N:ロックの中でもナイン・インチ・ネイルズとか、打ち込みを取り入れたものを聴いていたのですが、そうしたところからクラブ・ミュージックを聴いたり、レコードも買ったりするようになって、ボディ・ミュージックとかも聴いてました。ミート・ビート・マニフェストとかから遡ってフロント242とか。

■いわゆるクラブ・ミュージックともまた違ったタイプのものですよね。

N:ええ、僕にとってのクラブ・ミュージック前夜というか(笑)。その頃は雑食的に何でもいろいろ聴いてみようという気持ちが強く・・・で、ケミカル・ブラザーズがダスト・ブラザーズ名義でやってた頃とか、そういうのを通じてテクノにもハマっていきました。カール・クレイグ、URとか。でも、その頃のレコード・ショップって今ほど細分化されてなくて、例えばテクノのコーナーにモ・ワックスのレコードが置いてあったりしたんですよ。そんなところからDJシャドウやDJクラッシュを並列して聴き始めました。ブレイクビーツの一環として。だから、僕とヒップホップの出会いの橋渡しとなったのは、意外にもテクノなんです(笑)。

■確かにモ・ワックスはカール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラや、ムーディーマンも加わったアーバン・トライブといったレコードも出してて、アブストラクト・ヒップホップのみにとどまらない幅広いレーベルでしたからね。でも、テクノからいきなりクラッシュというのは、あまりに飛躍してないですか(笑)?

N:その頃はDJも始めてて、テクノ系のレコードを回してたんですよ。で、クラッシュさんのレコードは33回転のものを45回転でかけてました(笑)。でも、やっぱり33回転でかけた方がカッコいいなと思うようになっていって、それからきちんとヒップホップを聴き始めました。90年代のヒップホップ全盛時で、ア・トライブ・コールド・クエストやピート・ロックとかいろいろ聴きました。DJスマッシュとかレーベルのニュー・ブリードのように、ハウスとヒップホップがミックスされたものも好きでした。でも、やっぱり一番の衝撃はクラッシュさんの『Strictly Turntablized』だったように思います。「何だコレは!」という感じで。そうした流れでインドープサイキックスを聴いてケンセイさんもやっぱり凄いなと。そこからキット・クレイトンとかポールとか、エレクトロニカやIDMなどにも広がりました。

■ハウスやジャズは聴かなかったのですか?

N:ハウスはテクノの流れで聴いていました。後にセオ・パリッシュとかに凄くハマるんですけど、彼はDJの時ハウスだけじゃなくガラージ・クラシックとか古い曲もプレイするじゃないですか。そんなところからクラシックものも聴くようになりましたね。ジャズに関して言うと、いわゆるクラブ・ジャズは当時はそれほど聴いてませんでしたが、家にはたくさんジャズやボサノヴァ、あと民族音楽とかいろんなタイプのレコードがあったので、それを聴いたり、サンプリングしてました。

-ショウでライヴをやれっていう話になって、会場にMPCを持っていって叩いてやったんですよ-

■制作もかなり本格的にやるようになっていたのですか?

N:いえ、遊びみたいなもので、ジャズのレコードを引っ張り出してきて、このフレーズをサンプリングしたら面白い感じになるんじゃないかとか。ネタの入っているレコードとか、そういったことは当時はあまり知らなくて、何でもかんでも我流ですけどいろいろやってました。ネタについては後から知っていったというか、当時フリー・ソウルも流行ってて、そういったものを聴いた時に「あ、コレはネタだったんだ」とか。その後、ディスク・ガイド本もいろいろ出てきて、そうしたものを読んで改めて勉強したという感じですね。

■そうして作ったものを発表したりとかはしなかったのですか?

N:DJする時にかけたりすることはあったのですが、まああくまで自分の楽しみというもので・・・でも、たまたまモデルやってる友達がいて、大川ひとみさんのミルクボーイのショウに出たりしてたんですよ。で、ある日彼が、今度のコレクションのBGMは素人が作った音でやることに決まったから、お前もどうって大川さんに紹介してくれたんです。その時の音楽デイレクターは藤原ヒロシさんで、デモを聴いてもらったらOKが出て。でも、録音したものを流すんじゃなく、ショウでライヴをやれっていう話になって、会場にMPCを持っていって叩いてやったんですよ(笑)。

■それはいつ頃の話ですか?

N:高校の時です。

■早熟というか、凄いですね!

N:いや、その時は自分でも何が何だかよくわからない感じでしたね。でも、それが縁となってファッションショーの音楽制作をいろいろ紹介されるようになったんです。高校を卒業して大学にも行ったんですけど、割とそれが仕事として成立するようになってきたから、就職しないでこれでやっていくかと。ただ、いろいろなブランドをやっていくと自分で作った音だけじゃイメージを伝えきれない時もあって、そうしたところから選曲の仕事もやるようになって、また化粧品やヘア関係のイベントやCFの仕事も紹介してもらえるようになったんです。ショウのBGMの先輩から声をかけられて、エンドレス・ムーンというユニットでチルアウト系のアルバムも2枚作りました。ミュージシャンの方がいて、僕はプログラミングをするんですけど、ホセ・パディーヤとかに好評で、カフェ・デル・マールでもかけてくれたみたいですね。

-ジャズからそれこそタンゴまで、何か自分に引っ掛かるものが自然とわかるようになってきた-

■アンプライベートという会社を設立したのも、そういった仕事や活動がきっけに?

N:ええ、基本はこうしたイベントやCFの音楽制作や選曲の会社です。でも、そういった具合にクライアントがいて、そのイメージに合った音楽を作ったりしていると、果たして自分が聴きたい、自分が好きな音楽って何なんだろうと悩むようになりました。そうやって煮詰まるような時期を経過する中で、いろいろ聴いてきた音楽の中でも、ジャンルには関係なく、ジャズからそれこそタンゴまで、何か自分に引っ掛かるものが自然とわかるようになってきたんです。整理されてきたというか。その頃だと思います、イエスタデイズ・ニュー・クインテットとか日本でいえばヌジャベスやミツ・ザ・ビーツとか、90年代のATCQの頃とはまた違った感覚で作られたジャジー・ヒップホップが出てきて、自分もそうしたものに惹かれるようになっていきました。例えばアーマッド・ジャマルとか、好きで聴いてきたジャズの音源がサンプリングされてたりして、自分の中でもいろいろなものが1つの線で結ばれていくようになった気がします。

■マッドリブにヌジャベス、あとイノ・ヒデフミとかに影響を受けた音だなっているのはわかる気がします

N:ええ、イノさんの7インチもとても好きでした。それで僕が高校の時から8年間くらいショウのBGMをやってたヤブ・ヤムというブランドがあって、そこで作った音楽を1枚のCDにまとめて出すことになったんです。300枚とか500枚とかそういったレベルですけど。それをヌジャベスさんがたまたま聴いて気に入ってくれて、ギネス・レコーズの前身のトライブに置いてもらえることになったんです。で、僕も僕でヌジャベスの音をパリ・コレで使ったりしてしてたので、そんなところから交流が始まったんですけど、そうやって知り合ったトライブのスタッフからテノーリオ・ジュニオールの「Nebulosa」をクラブでかけたいけど、曲が短すぎて難しいから、リエディットか何かで伸ばせないかなという話をされて、それなら自分で演奏し直してやった方が面白いよと、それであのカヴァーができたんです。

■それで7インチで出そうと?

N:いや、その時はあくまでDJの時にかけてもらうためくらいのものでした。で、そのまま1年ぐらいずっと寝かせてあったんですけど、西嶋君というギネスのスタッフから、「そういえば、あの曲どうなったの?」という話があり、B面の曲も作って7インチで出そうとアイデアをもらって、それでB面は何にしようかと彼といろいろ考えて、やっぱり好きな曲がいいな、じゃあニック・ホルダーがサンプリングしたパット・メセニーの「Slip Away」でいこうと。

■生演奏が入ってますね。

N:ええ、ピアノやギターは自分でやってます。ドラム・プログラミングとベースも打ち込みですね。で、この7インチがある程度うまくいったから、今度はそれを発展させてアルバムを作ろうと。そうやって開始したのが今年の春くらいのことですね。西嶋君には引き続いて全体のディレクションをしてもらってます。

-僕にとってのジャズは決してかしこまって聴くものじゃなく、普通に日常の中で流れてるものだった-

■アルバム・タイトルの「Humming Jazz」はどういった意味ですか?

N:前に女の子のヴォーカリストとハミング・ジャズっていうユニットを組んでたんですよ。カヴァーをコンセプトとしたプロジェクトというわけではありませんが、変にオリジナルにこだわるんじゃなく、主に自分たちの好きな曲、いい曲を自分たちの解釈でカヴァーするという。で、「Nebulosa」も「Slip Away」も基本的にそういった考えでやったから、これをアルバム・タイトルに使おうかと。まるっきりカヴァー・アルバムではないんですけどね。僕にとってのジャズは決してかしこまって聴くものじゃなく、普通に日常の中で流れてるものだったんです。それこそ、鼻歌でメロディを歌うような感じで。だから、僕の音楽もそうやって日常の中で親しめるものになるといいなという想いがこめられています。

■演奏は自分ひとりでやっているのですか?

N:自分でできるところはやってますが、限界がありますから、部分的にきちんとしたミュージシャンの方を紹介してもらって演奏してもらいました。

■ゲスト・シンガーやMCはどのようにして選びましたか?

N:基本的にはディレクターと相談しつつ僕が好きな人、やってみたいと思った人にコンタクトを取りました。サブスタンシアルやピスモは日本でも結構知られてるラッパーですけど、キッシー・アスプルンドやグレッグ・グリーンは割と最近出てきた人たちです。普段12インチとかを聴いてピンときた人に連絡してみました。だいたいMySpace経由が多いですね。アリソン・クロケットやモニカ・ヴァスコンセロスはコーディネイターの方に紹介してもらいました。最初からそういった人たちに歌ってもらうことを想定して曲を作って、それでそれぞれ僕のトラックを聴いてもらって、「OK、いいよ」っていう感じで割とスムーズにいきました。結果的に海外の人たちばかりですけど、普段日本語の歌をあまり聴いていなくて、だったら別に日本人や日本語の歌がなくてもよいかなと思いました。でも、ゲスト・シンガーたちはこのアルバムをとても東京っぽいと言ってました。それは僕が今まで聴いてきた音楽とか環境も含めて、いろいろなものが雑多に存在しているところが大きいと思います。だから、日本ということを意識してなくても、結果的に日本という国から出てきた音楽なんだなと。それより、音楽的に尊敬できる、わかりあえる人とやりたいということが重要です。だから、エンジニアもブッダ・ブランドやインドープサイキックスの時代から憧れだったD.O.Iさんにお願いしました。

■「Nebulosa」「Slip Away」以外にもフランキー・ナックルズの「Rain Falls」、デヴィッド・ベノワの「Life Is Like A Samba」、ギル・スコット・ヘロンの「Willing」とカヴァーがありますが、これらを選んだ理由は?

N:西嶋君といろいろ相談して決めたのですが、やはり自分の好きな曲というのが一番です。僕の場合こうやってカヴァーする時は、なるべくオリジナルの雰囲気やメロディ・ラインを壊さずに、そのいいところがストレートに伝わるように気をつけてます。「Willing」などのアレンジはかなりオリジナルに忠実かなと思います。

■確かに、あまり作りこんだアレンジはしてないですよね。

N:ええ、それは作曲についても言えるのですが、あまり完璧になり過ぎないようにしました。と言うのは、前にお話したBGM音楽の制作の話とも通じるのですが、仕事ではクライアントの要望に沿うために完璧に音を作り込みます。でも、自分が作る音楽を考えると、もっとシンプルに好きな音でいいんじゃないかと。そうやって出てきたフレッシュな気持ちを、作りこむことによってその鮮度を落としたくないんです。だから、割とラフ・スケッチに近い状態で制作し、1曲をだいたい1日で仕上げるくらいの気持ちで進めました。

■それはマッドリブとかにも近いスタンスというか、制作スタイルかもしれないですね。オリジナル曲はどういったイメージで作っていくのですか?

N:基本はサンプリング無しで作ってるのですが、練習でいろいろ好きな曲のカヴァーとか、コピーをやってて、そうしたものの中から気に入ったフレーズが出てきて、それを発展させたり、インスピレーションが生まれて作ることが多いですね。そういった手法自体ジャズのアドリブのトレーニングとしては割とスタンダードなアイデアだと思います。どちらにせよリズム・トラックからではなく、だいたいメロディから作っています。

■こうやってジャズやサンバのいろんなカヴァーあり、ヒップホップ系のものからハウス系のものと雑多な音楽性が詰め込まれているのですが、そうした中にもどこか統一したムードがあるのは、そのメロディやピアノのコード感からくるのかなとも思いますよ。では最後に、今後の活動予定や目標などはありますか?

N:まず、このアルバムをライヴでやりたいと思ってます。生バンドでやりたいので、メンバーをいろいろと探しているところです。それから、今回ゲスト・シンガーやD.O.Iさんなど、とてもスキルのある人たちと仕事ができて、僕自身学んだことが多いです。この経験を生かして、早く次のアルバムも作りたいですね。


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"Humming Jazz" PV
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2008/11/20  |  INFORMATION | GREG WILSON初来日記念スペシャル・インタビュー!

もはや、誰もが認めるElectro-Funkの巨匠!
The Face Manchester DJ Guruであり、UKにBlack Electro Musicをもたらした
Greg Wilson(以下G)!来日直前の自宅でキャッチ!


                 


■まず、聞くところによるとDJ、アーティストとしてのキャリアを15歳からスタートさせたということですが、あなたの周辺のクラブシーンはどんな感じだったのですが? そして、あなたはどんな曲をプレイしてたのですか?

G:1975年に僕のホームタウンNew Brighton (Brightonじゃないよ) でクラブでプレイを始めたんだ。New BrightonはLiverpoolからMersey川を渡ったところにあるんだけど。あの頃はディスコ・ミュージックはジャンルとして確立されていたわけじゃなかったけど、クラブとディスコではプレイされていたよ。ただ、それはほとんど今で言うディスコじゃなくて、どっちかと言えばソウル、ファンクだね。イギリスではブラック・ミュージックはトラディショナルで1960年代から人気は根強いんだ。Tamla , Motown , Staxなどのレーベル、あとはレゲエのTrojanなんかは、1960年、70年前半にモッズやスキンヘッドカルチャーの中でも凄い人気があったな。実は僕のルーツもその時代にあるんだよ。僕の姉さんと兄貴は2人ともブラック・ミュージックの大ファンだったから、家には、凄い7インチのシングルがたくさんあったよ。

■あなたはマンチェスター出身? あなたの音楽の歴史はマンチェスターをベースに始めたんですよね?僕の聞いた感じだと、マンチェスターは独特の音楽シーン(クラブミュージック)があるように思えますが、つまりロンドンと同じじゃないってゆーか、、どうなんでしょうか?

G:僕がマンチェスター出身ってのは結構勘違いされることが多いな。マンチェスターはある意味僕のスピリチャルホームだけど、実際は住んだ事はない。あと、よく勘違いされるのは、僕が黒人だと思ってる人が多いってのもあるね。これは僕がブラック・ミュージックシーンのスペシャリストと付き合いがあったのと、80年代前半には殆どが黒人のオーディエンスの前でプレイしてたからだと思うよ。そしてマンチェスターでは、1981年にLegendでプレイし始めたんだけど、その時点では僕のDJ歴は既に6年間経ってたかな。あの頃のマンチェスターの特徴は、他のイギリスの都市と比べて凄くコスモポリタンだった事。つまり、黒人と白人が色々なアイデアを交わし合い、新しい方向性を模索し合ってた。その結果、A Guy Called Gerald , 808 State , The Happy Monday , The Stone Rosesとかが生まれたんだ。この辺のアーティスト達は皆ブラック・ミュージックシーンと直接つながっていたか、影響を受けて新しいダンス・ハイブリッドを構築していったと思う(僕がLegendでプレイしていた頃、Geraldはレギュラーでプレイしてたよ)。あの頃のイギリスでは人種差別が結構あって、1981年には人種差別関係の暴力はイギリス中どこでも起きてるような感じだったよ。そんな中で、マンチェスターの黒人が多く住んでた地区でMoss Sideっていうところは、皆、意識が高く若い黒人達を中心に自分たちのパワーを音楽とダンスに向け始めたんだ。

ひとつ付け加えておきたいんだけど、僕のLegendでのプレイを聴きに来た人は近くにあるWigan Pierからの流れてくる黒人客じゃなくて、特にHuddersfield , Birmingham , Nottingham , Leeds , Sheffield , Stoke , Derby , Bradford , Liverpool等いろんなところから集まって来てた。もちろんロンドンから来た人もいたけど、人数は少なかったな。

■そういえば、Unabomber/Electronsもマンチェスターでしょ?彼らも今年の4月に来日して、いいパフォーマンスをしてくれましたよ。Gregにとってやはり彼らは注目してるアーティスト?よく話したりします?

G:そうだね、LukeとJustinは凄い好きだし、彼らのマンチェスターでの伝説のパーティー・Electric Chairはイギリス中のアンダーグラウンドシーンに大きな影響を与えたのは間違いない。マンチェスターのクラブシーンの遺産を受け継いだElectric Chairはクラブパーティーの歴史で大きな1ページを作った。僕もElectric SoulっていうElectric Chair関連パーティーで、何度かプレイした。それは僕の誇りでもあるよ。

■Gregのスタイルは今世界のクラブシーンやメインストリームで活躍してるいろいろなアーティストに影響を与えたと思います。例えばIdjut BoysとかDj Harveyとか、、彼らとはお互いに連絡取り合う仲なんでしょうか?あなたのパーティーに来たりしてた?あと、Norman Cookは影響を受けたDJの中にあなたの名前を挙げてます(特にスクラッチプレイ!)。今でもそういったプレイはするんですか?

G:実は、Harveyとは会った事もないし、プレイを聴いたこともないんだ。彼は僕が1983年にDJを一旦止めた以降に始めたようだし、その5年後また僕が復帰して活動を始めた後は、既に彼はイギリスから出て他の国で活動していたので、不思議とまだ接触する機会がないんだ。Dan と Conrad (Idjut Boys)は最近親しくなったよ。彼らは僕と同じロンドンのエージェントがブッキングしてるってのも縁でね。たまに同じクラブでプレイすることもある。彼らのセレクションとヴァイブはいつも僕を楽しませてくれる。

Norman Cookとは1983年に会ったのが最初だったかな。あの頃から僕のスクラッチプレイは変わってない。凄く原始的だけどね。まぁ、僕はターンテーブリストじゃないし、スクラッチDJでもないけど、たぶん一番最初にイギリスでスクラッチをしたのは、僕だと思う。その頃、Normanは(当時はQuentinって呼んでた)彼のホームタウンであるBrightonで、僕がプレイした時によく来てくれてた。当時、The Haciandaや、イギリス南部でもツアーでプレイしてたかな。そんなきっかけでNormanはスクラッチの基本を僕から学んだんだと思う。

■あなたはいろんなアーティストに影響を与えたって事は先ほど触れたけど、逆に影響を受けたアーティストとかDJはいるの?若いころとかはどんな音楽を聴いてたのでしょうか?

G:そうだね、2人いるよ。2人ともローカルなDJだったけど、一人はLes SpaineってDJで、最新のファンクとソウルをThe TimepieceっていうLiverpoolで凄く影響力のあるクラブでプレイしてた。もう一人はTerry Lennaineで、毎週Radio Merseysideの「Keep On Truckin」っていうソウルミュージックショーでプレイしていた。とにかく、そのショーは選曲が良くて、実に音楽の幅が広くてね。それを僕は毎週チェックしていたんだ。その選曲に僕は影響を受けたし、こういう選曲をしたいって思った。その時に確信したのが、僕のスタイル/ゴールは彼らみたいな皆にリスペクトされているブラック・ミュージックのスペシャリストになることだったんだ。それから、1981から1984年までの間Legendでプレイしているうちに、自分でそのゴールに到達したって瞬間を感じたよ。

■ところで、Electro Funkっていうのがあなたのスタイル、これをもっと広めたいって話を以前してましたが、これは具体的にはどんなスタイルなの?Electro-Funkって名前のルーツは何?

G:Electro-Funkは、テクノロジーベースの1980年代のブラックミュージックだ。ドラムマシーンがたくさん使われ始めた頃、多くのレコードは、Prelude , Westend , Emergency , Tommy Boy , Street Wiseなど多くがニューヨークのレーベルからリリースされていた。僕はその辺は大好きだったし、このElectro-Funkってネーミングは、その時代1982年に流行った「Electric Funk / On A Journey」と「Shock / Electrophonic Phunk」を融合させて取った名前なんだ。

■DJをやるときはオープンリールを今でも使うそうですね。もちろん最近ではオープンリールでDJするという人はあまりいないけど、、どんなセットでやるんですか?

G:僕の基本セットアップは、PC、サブミキサー、PCDJコントローラーとRevox B77のオープンリールだ。トラックはパソコンからプレイして、サンプル、オーバーダブ音などは、Revoxからプレイする。リールはダブエフェクト用にも使う。80年の中頃から、その時のレコーディング・プロジェクトのきっかけでクラブプレイでもリールを使うようになったんだ。

2020 Visionからの最新リリースではジャケットにオープンリールの画像が使われてますよね?これはあなたのアイデア?

G:あの写真は、僕の家で撮ったもんだ。マネキンの手はアルバムのテーマの一部。リールとそのボックス、鉛筆、ヘッドクリーニング液、あとブレードとスプライス用のテープが写ってる。Revox B77のリールは僕のトレードマーク。フライヤー、アーティスト写真などにもRevoxのイメージを使ってる。皆、僕のDJを聴きに来る人は、僕のリールプレイを期待して来るんだ。だからリール無しでプレイすることはないな。

■このリリースであなたはSpirit Catcherなど最近のアーティストも選曲してますが、普段のDJの時も結構最新のテックハウスとかかけたりするんですか?

G:僕のヴァイブとマッチしたものを常にプレイしている。彼らSpirit Catcherのトラックは僕のそれと一致していたんだ。1970年と1980年前半のトラックがメインだけど、もちろん最近のものもところどころに入れているよ。あのアルバムでは僕のエディットもあるけど、他の人のエディットもあるし。多くのDJはひとつのジャンルしかプレイしないことも少なくないけど、僕や、僕の周辺の多くのアンダーグラウンドなDJ、例えばUnabomberやIdjutなどは現在と過去のダンスミュージックのいいところを自分のスタイルに融合させて選んでる。場所やオーディエンスによってもそれをクロスオーバーしてプレイしているね。

■確か最近アメリカにツアーに出てましたよね。イギリス以外でのプレイはどうですか?

G:ああ、何週間か前にニューヨークとサンフランシスコ、あとロサンゼルスでプレイしてきたよ。あとは3月にはマイアミのWMCにも行くつもり。最近ではブッキングの3分の1くらいはイギリス外でやってる。でも1980年代に比べると、それってだいぶ違う。というのも当時は一番遠出するツアープレイではあのNorman Cookと会ったBrightonくらいがせいぜいだったからね。

■あなたはクラブミュージックシーンにひとつの歴史を作ってきたわけですが、遂に日本でその伝説のプレイが聴ける日が来ましたね!ちなみに日本は初ですよね。あなたの周辺の誰かから日本のクラブミュージック、クラブシーンについて聞いてますか?


G:日本は僕がプレイしてみたい国のトップ・プライオリティーだったんだ。ホントは2007年に実現させたかったんだけど、叶わなかったんで、今回は嬉しいよ。日本ではダンス、クラブミュージックカルチャーは深く浸透してると思う。特に日本のレコード屋はおもしろいってD・Wangから聞いてたよ。中古レコードの12インチにも、詳しいコメントが書かれてるプライスカードが付いてたりとか、リリースデートや、関連DJなどもそれに書かれてて、ヤバいね!日本人ってのは何かに興味を持ち始めると凄くハマるみたいだね。

それと、日本は僕のElectro-Funkスタイルにとっても重要なところなんだ。僕は皆を一度1980年代前半に目を向けて欲しいと思ってる。それはダンスカルチャーの進化にとても重要な時期だったって事を知ってもらいたいからだ。イギリス人のリスナーも、この時代の重要性に気づきつつあるんだ。ブラックミュージックの重要さ、特にElectro-Funkの時代のね。その進化の過程にポッカリ穴が開いてて、イギリス・ダンスカルチャーのミッシングリンクってところかな。多くの人達にとってはIbiza1983がダンスミュージックの創世記って思ってるかもしれないけど、これは違うと思ってる。その前からカルチャーで活動してきた多くのクラブ、ダンサー、DJに失敬かな。

■今回のツアーでは東京と福岡ですよね?あと東京ではクラブLoopの13周年というアニバーサリパーティーでのプレイになりますね。皆、楽しみにしてますよ。初めての日本でのプレイを堪能して、楽しんで下さい!

G:僕も凄い楽しみだ!これは僕にとっても大きな経験になると確信してる。実は僕の母親は4年前に亡くなったんだけど、彼女はすごく日本に惹かれてた。僕が実際に今回、日本の地を踏むのは母親の夢を果たす事にもなるかな。しかも、日本に一週間も滞在できるって事は僕にとってはボーナスだね(笑)いろんな人と会えるし、東京を探索することも楽しみだ。あとは福岡にも行けるし。次回はもっといろんな都市をツアーしたいね。


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LOOP 13TH ANNIVERSARY

2008/10/31  |  INFORMATION | 福富 幸宏4年ぶりのオリジナル・アルバム「CONTACT」リリース記念スペシャル・インタビュー!

福富 幸宏(以下F)4年ぶりのオリジナル・アルバム「CONTACT」のリリースを記念して、小川 充氏による12500字に及ぶスペシャル・インタビューをお届けします!

YUKIHIRO FUKUTOMI■この「CONTACT」は通算7枚目のオリジナル・フル・アルバムで、前作「EQUALITY」からは4年ぶりの新作となりますね。この間、リミックス・アルバムなどがあったにせよ、随分と間隔が開いてのリリースですね。別名義での活動があったり、他のプロデュース・ワークもあったりと、いろいろと精力的に活動はしてきたと思うのですが。

F:本当は1年に1枚くらいのペースで作りたいとは思うんですが、いざ福富幸宏のアルバムとしてきちんと取り組むとなると、いろいろ自分の中で整理したいこともあり、今回は間が空きましたね。でも、実際にやるぞと決めて取り掛かったのが今年の7月頃で、それからは割とスムーズに事も運んで、2ヶ月くらいでレコーディングを終えることができました。

■その別名義のユニットでは、ここでは仮に『F』と呼ばさせてもらいますが、アルバムを07年、08年と立て続けに2枚出してきて、そうした活動が福富幸宏としてのアルバムを作る上でのいい意味で気分転換になったというか、モチベーションをアップさせるのに繋がっているのではないかと思いますが。








F:福富幸宏というアーティストを客観的に見ると、いろいろな音楽性があるが故に一般的には何をやっている人なのかわかりづらいということはあると思います。一方でFというのは僕の中にある音楽性の一部、テック・ハウスに特化した形のもので、そうした点ではわかりやすさはあるんじゃないですか。そこである程度自分の中にあるものは出しつくせたと思う一方、やっぱりそこだけではフォローできない自分の中の多様性を表現したいという欲求が高まってくるんですよ。僕の作る音楽にしろ、僕が好きな音楽にしろ、それは中心にはないものだと思っています。例えば、僕はハウスのメインストリームにいたことはないですし、かといってニュー・ジャズのアーティストかというと、そうとも言い切れない。オルナタティヴって言葉は、今はいろいろな捉え方がされるんでしょうけど、言ってみれば自分のやっている音楽はオルタナティヴ・ダンス・ミュージックだと思ってます。例を上げるとアメリカ人じゃなくてイギリスの白人がやるソウル・ミュージックだったり、逆にアメリカの黒人がやるヘヴィ・メタたっだり、そういう位置付けのものかな・・・。

■そうした主流とは違うテイストやアクセントは、初期から意識してきたものなんですか?

F:そうですね、と言うかそういう風にしかならないですね。ミュージシャンであれば、本家本元のように演奏したいという欲求があっても、なかなかそのようには演奏ができないというジレンマがある。でも、高い演奏技術と本家本元にはない個性があれば、海外に出て行って活躍することもできる。その個性が主流に対するいい刺激となり、そこからまた新しい流れが生まれるわけですよ。

■福富幸宏の個性とは、常に主流から一歩身を置き、その流れを取り入れながらも、別の流れや要素も感じさせる音作りをしていることにあるわけですね。福富さんの出発点はハウス発生時のシカゴ・ハウスとかにあったりすると思うのですが、そうしたシカゴ・ハウスに忠実な作品を作ろうと思えば、恐らくそれはできなくもない。でも、それをやってしまうと単なる物真似でしかない。そこで、先ほど話に出てきたオルタナティヴな要素を入れることにより、シカゴ・ハウスを消化した上でのオリジナルな作品となるわけです。ブロークンビーツにしてもそうだと思いますが、ウェスト・ロンドンのそれをそのままやっても意味がない。

F:そうですね、影響は受けても、それの真似をしたいわけじゃない。多分そっくりに作ろうと思ったこと自体がないんでしょうね。それをやった方がウケるのかもしれないんですけど・・・。

■う~ん、それはどうなんでしょうね・・・。まあ、福富さんはウケとか、そうしたことは考えてはいませんよね?

F:株式用語で「逆張り」というのがあって、あれは今調子のいいところと反対のものを押すということではなく、動きが少なくて安定しているところに張り続けるという意味合いなんですよ。それって、本来の株式のあり方なんですよ。会社の本当の力を正しく評価するという。その逆が「順張り」で、今流行ってるものに自分も乗っちゃえと。でも、僕はそういった買い方はできない。音楽も一緒で、自分がこれがいいと思ったら、そこをずっとプッシュしていく。そうした意味合いで、今回のアルバムを作るポイントとして、「逆張り」という言葉を使っています。それからもう2つあって、「ジャズ押し」と「黒押し」。「テック押し」と「サウンド押し」はFでやってるし、もう1つの別名義、まあEと言っときますが、ここでは「ハウス押し」と「歌押し」をやってる。そこでできてないことがこの2つなんですね。ジャズに関しては、実はビッグ・バンドもののプロデュースの話があったんですけど、流れてしまって・・・。イザベル・アンテナのアルバム・プロデュースでもジャズっぽい傾向があったので、そうしたことが積み重なって今回のアルバムではジャズっていうことが頭にありましたね。

■アルバム・タイトルの"Contact"という言葉には、どういった意味があるのですか?

F:一般的にコンタクトには連絡を取るとか、繋がりを持つという意味があるんですけど、電気用語で言うと接点という意味があって、ジョイントと同じ意味合いですね。何かと何かを繋ぐ接点、例えば音楽でもDJをやっているとハウスからブギーに行ったり、ブギーからテックに行ったり、ブロークンビーツからジャズに行ったりと、いろいろあると思うんですが、そうした間にある接点の役割を果たすもの、それが今回のアルバムであるというコンセプトです。色んなところと繋がって、色んなところに行ける。だから、何かと何かの間に入って、そこから広がりが生まれる、そうした曲作りを意識しましたね。

■福富さんの過去のアルバム「ON A TRIP」にしろ、「TIMELESS」にしろ、「EQUALITY」にしろ、そうした要素、制作姿勢はずっとありましたね。

F:そうですね、今回はそれを明言して打ち出してます。

■さきほど、福富さんはハウスのメインストリームにはいない、またニュー・ジャズのアーティストでもないということを言われてました。それはクロスオーヴァーっていうことになるのですが、ただ最近はこのクロスオーヴァーって言葉もあまりに簡単に使われてしまっていて、何でもかんでもクロスオーヴァーという状況です。僕はそういったことに違和感を覚えていて、だから安易にクロスオーヴァーという言葉を使わないように意識しているのですが、そのクロスオーヴァーっていう意義をもう一度表現しているアルバムかなとも思いますね。

F:ジャンルということで括ると狭くなってしまうんですけど、ハウスも、ロックも、ジャズもイデオロギーなんだと思うんですよ。観点とか物の考え方、アティチュードとか。だから、音楽のフォーマットのことをジャンルと言うのなら、クロスオーヴァーっていうのは汎ジャンル的なものであるべきなんですよ。例えばジャズで言うと、ジャズでしかないジャズっていうのは、ある意味ナンセンスなことだと思います。そこには時代、時代によって他の音楽的要素も入ってくるわけで、ロックにしてもそう。モダン・ミュージックっていうものが、そうして成り立っているわけですよ。

■今のクロスオーヴァーと言われる音楽には、ジャジーなハウスにしろ、ジャジーなヒップホップにしろ、ただ形式的になぞるだけ、そうしたものがあまりに多くて、福富さんが言われるイデオロギー的な側面での面白みとか、新鮮味を感じさせるものが少ないんですよね。

F:ええ、だからもしなぞるのであれば、サウンドのクオリティがずば抜けて高いとか、演奏が非常に高度であるとか、メッセージ性があるとか、そうした部分で勝負をしないといけないんですよ。それ無しでクロスオーヴァーしても、それはナンセンスに過ぎない。

■全く同感です。では、今回のアルバムの作品について実際の音を聴きながら話を伺いたいと思います。現段階では曲順が決まっていないので、アトランダムに話を伺いますが、まず「Here and now」という曲を。これはいきなり生演奏のジャズ・ファンクと言うか、ブギー・テイストが出てる曲で、今までの福富さんの作品にはあまり無かったタイプのものですね。これの演奏はどんな方たちがやっているのですか?

F:ドラムは打ち込みですけど、パーカッションはオルケスタ・デ・ラ・ルスのゲンタさん。ベースは僕が弾いてます。ギターはサザン・オールスターズのサポートなどもやっている斎藤誠さんで、ホーンはジャフロサックスの勝田一樹さんのチームです。キーボードは河野伸さんというJ-POPアーティストのアレンジも色々とやってる方ですね。

■プログラミングは当然ですけど、今回はベースをやってる曲も多いのですか?

F:そうですね、これ以外に「That music」と「Beautiful People」って曲でも弾いてますね。今までのアルバムでもちょこちょこ弾く曲もありましたが、今回ほどガッツリはやってなかったです。ただ、普段それほど練習をしているわけではないので、苦労するところもありますよ。まあ、そこは何とか編集でまとめたわけですが。

■ヴォーカルは誰ですか?

F:この曲はオルゴンのシンガーのファニー・フランクリンです。オルゴンの日本盤が出る時にコメントを書いたりしたこともあるんですけど、彼女がたまたま別のアーティストのツアー・シンガーで日本に来た時、偶然ザ・ルームに遊びに来てて、いつものルームのセッション大会が始まって、「Funky Nassau」を歌ってましたね。そこで、初めて会って話をしたんです。でも、その時の彼女の歌が僕としてはレコードよりも良くて・・・ほら、レコードは割とオーセンティックな歌い方をしてたけど、その時はもっと新しいイメージの歌い方だったんですよ。で、彼女に歌ってもらったら面白いものができるんじゃないかなと。

■この曲のリズム・トラックはブロークンビーツの一種とも言えなくもないんですが、でもそれよりもっと生演奏のグルーヴ感があるものですよね。

F:ええ、これに関してはもうジャズ・ファンク。今、ハード・バップとかのモダン・ジャズ系をやるクラブ・バンドはたくさんあると思いますけど、ジャズ・ファンクってあまりないじゃないですか、クラブ・フィールドでは。でも、僕は結構このあたりの音が好きなんで、単純に自分でやりたかったと。

■と言うことは、ライヴ演奏も視野に入れたものであると?

F:いや、そういうわけじゃないんですよ。イギリスでのブギー・ブームっていうのもあるんですけど、でもそれはDJ目線によるネタとしてのものであって、それをそのままにやるとやっぱりそうした古い曲に似てしまう。だったら自分はもともと演奏もある程度はできるから、それを踏まえた上で、今後ネタになるものを作ってしまえと。新しい、生の、今の時代にフィットするジャズ・ファンクということで。それが「Here and now」と「That music」ですね。

■「TIMELESS」や「EQUALITY」にも、こういったベクトルの曲はあるにはあったんでしょうけど、でもそれらは割と80年代的なテイストに影響を受けたものであったとすると、今回のこれらの曲はもっと遡って70年代的のソウルやディスコとかの雰囲気を感じさせますよね、そうしたライヴ・アクト的な。今、世界的に見て、例えばリクルースもリクルース・ライヴ・バンドで生バンド活動をしたり、今年出るジャザノヴァの新しいアルバムは60年代のリズム・アンド・ブルースのテイストが出ていたりと、それから4ヒーローもなんですけど、皆、ライヴ・バンド的な音作りに向かっている感じはしますね。福富さんは、そうした動きについてどう思われますか?

F:うん、そうしたシンクロニシティというか影響はすごくありますね。DJとして新しい音を追い求める一方、古い音源を掘ったり、チョイスするということもある。そうやって捜した古い音を実際かけることもあるのですが、それと同じ感覚でプレイできるものを自分でも作ってみたいという欲求はずっとありましたね。

■それと、皆、ソングライティングに重きを置いてる感じはして、それは今回の福富さんのアルバムにも感じるんですよ。

F:きちんと鑑賞に堪えうる曲作りということですよね。それと、ザ・ルームで沖野修也さんとやってる「The Crossing」というパーティーがあって、それから影響を受けてる部分が結構ありますね。クラシックス的なものからテックまでプレイしてて、好きなところだったらどこまでも行くことができる、そんなパーティーなんですけど、そうした場の雰囲気からフィードバックして得ているものもあると。例えばこの「Here and now」だったら、沖野さんの生ジャズの後にかけて、その後打ち込みにもっていってもいいし、ブロークンの次にかけて生音とのブリッジにも使えるだろうし。

■そうしたDJの現場感覚が生かされたアルバムであると。もちろん、今までのアルバムにもそうした現場感はあったと思うのですが。

F:今までとの違いで言えば、ミュージシャン的な側面が強いというか、自分で使いたいと思う曲が頭の中にあったら、自分で演奏してしまえ、という感じですかね。

■確かにルームは生のセッションも多く行われているから、そうした発想や雰囲気は生まれやすいですよね。

F:ええ、だから今回のアルバムにはルームの持つヴァイブっていうのが結構影響しました。

■「That music」の方はレディ・アルマとやってますが、彼女は「EQUALITY」に引き続いての参加ということで、やはり呼吸が合う感じですか?

F:ええ、彼女はいいですね。説得力のあるシンガーだと思います。「EQUALITY」の後に彼女とは会う機会もあって、より親しみも増した感じですね。今回のレコーディングはデータを送って、それに歌入れしてもらう形だったんですけど。

■この曲とかは、初期のインコグニートとかが持ってたようなグルーヴ感がありますね。

F:うん、これとか「Here and now」にしても、そうしたアシッド・ジャズ感はありますね。僕は昔アシッド・ジャズとかも好きだったんで、よく聴いてたんですよ。で、この頃ってインコグニートを始めとしたトーキン・ラウドのアーティストって、12インチにハウス・ミックス入れてたじゃないですか。デフ・ミックスとかロジャー・サンチェスとかがリミックスをやってましたけど、結構クオリティが高くて好きでしたね。で、その頃のアメリカのハウス・プロデューサーが作るアルバムって、あんまりよくなかったでしょ。モラレスにしても、フランキー・ナックルズにしても、トラックはいいんだけど、曲がよくないというか。その頃の彼らって作曲という意識はあまりなかったんでしょうね。だから、インコグニートのようにきちんと作曲されたものをリミックスした方が、結果的にいいものができるという。あと、勝田さんのホーン・アレンジってうま過ぎるから、どうしても比較対象するならインコグニートが思い浮かぶ、っていう感じになるかもしれないですね。アメリカのそれと違って、泥臭過ぎずにヨーロッパ的な知性も感じさせますね。もちろん、僕もファンキーな音は好きだけど、でも黒人じゃないから黒さ一辺倒にはならない、そこが僕なりの個性となっていると思います。

■レディ・アルマが歌う曲では、もう1つ「Time For Change」がありますね。この曲はアルバムの中で最もBPMが遅い曲ですが、以前のアルバムではBPMを統一して作っていたこともあります。今回はそういったことは考えたりはしませんでしたか?

F:いや、それは全然無いですね。これでBPMは110くらいですか、パーティーの最後の方にかける曲でしょうね。こういったロイ・エアーズがやってたようなメロウ・グルーヴも好きなんですよね。
 
■2000ブラックとかマーク・ド・クライヴローにも通じるというか、いわゆるソウル系のナンバーになりますが、でもこれもハウスの一種だと言っていいと思いますね。四つ打ちではないですけど、テイストとしてはハウスだと。ですが、今の人はハウスとは言わないんでしょうかね・・・。そうした点で、昔のリル・ルイスのアルバムとか聴くとすごいですね。決して四つ打ちのBPMが120~125あたりの曲ばかりじゃないんですよ。スローなソウル・ナンバーあり、スウィンギーなジャズありと、とても幅広いんですよね。

F:ええ、リル・ルイスのアルバムには驚かされましたね。ファースト・アルバムで、最後が何でブルースなんだと(笑)。でも、そういうのも含めてのハウスということはできるでしょうね。

■それから「Beautiful People」はちょっとアフロっぽいテイストが入ってますね。これもファニーが歌ってますか?

F:ええ、それからキーボードはスリープ・ウォーカーの吉澤はじめさんがやってます。これは最初に意図してアフロを作ろうと思ったのではなく、割とすんなり曲の骨格ができてしまって、で、それからどうしようっていうことになって、最終的にこういったアフロ調の味付けをしていきました。普段はフェラ・クティとか、普通にアフロものなども聴いてるんですけど、今回のアルバムでは黒さを出すということも重要なポイントだったから、こうなったのかもしれないですね。

■これもリズムはブロークン調ではありますけど、もっと生々しい感じがありますね。非常にルームっぽいというか。

F:確かにルームっぽいですね(笑)。「黒押し」です。

■「ジャズ押し」では「Out of Nowhere」ですね。

F:ええ、これは吉澤さんと、同じくスリープ・ウォーカーの中村雅人さんに参加してもらってます。上がスリープ・ウォーカーで、ベースとドラムは僕が組んだと言う状況で。でも、あの2人の演奏はやっぱり説得力がありますね。実はこれ、イザベル・アンテナのアルバムでやった「Danse le jardin d’Eden」のインスト・カヴァーなんです。

■どおりでコードが似てるなと思いました。拍子はワルツの3拍子とも少し違いますね。

F:ちょっと複雑なパターンではあるんですけど、まあ6拍子と思ってもらえばいいですかね。コルトレーンが好きなんで、そうしたモーダルな曲になってます。今までもハウスの曲でもそうしたコード感を取り入れることはやってきてるんですけどね。ハウスってコードを平行移動することによって、そういうモーダルな作りの曲が結構あるんですよね。パル・ジョイとかそうかな。でも、本人は全然意識しないでやってるんでしょうけど。

■確かに、アンビエント・テクノの曲でもモーダルな質感を持つものってありますからね。それにしても、ここまで前面にジャズを打ち出した曲も今までのアルバムには無かったですね。

F:ええ、例えばブロークンビーツの曲でもジャズのテイストを持つ曲とかは作ってきて、自分としてはジャズをやってる意識はあった。でも、一般のジャズ・ファンの人からはそう認識はされていないでしょうから、今回はパッと聴いてジャズとわかる曲も入れたかったんですよ。

■これらの曲が生演奏やヴォーカルを大きく用いたジャズ、ファンク、ソウル的な作品だとすると、一方で今回のアルバムではそれとはベクトルを異にする作品がまたありますね。ハウス~テック系と括れると思いますが、まず「Open our eyes」はマーシャル・ジェファーソンのカヴァーなんですよね。この曲は2部構成になっていて、パート1はヨーロッパ系のディープ・テックな感じなんですが、これがパート2では一転してミニマルな感じになるという、とても面白い構成なんですよね。

F:僕が初めてニューヨークに行ったのが88年で、その時にこの曲がすごく流行ってて、印象に残ったんですよ。だから、いつかはカヴァーをと考えてました。ただ、ハウスをハウスでカヴァーするってことにはあまり興味がなかったので、そのままになってたんですが、今回はこの曲の持つメッセージ性も含めて、今、再提示したいという思いがあり、やってみました。マーシャル・ジェファーソンの評価、低いんじゃないかと(笑)。

■確かに、この曲を始めとしたマーシャル・ジェファーソンの幾つかの作品は、今でも全然使えるものがありますよね。それを、福富さんはどういったポイントでカヴァーしたのでしょうか?

F:この曲はもともと黒人男性のポエトリーが入ってるんですが、それをアジア人の、それも女性のものにしたらまた違う印象になるんじゃないかと思って、有坂美香さんにやってもらいました。でも、オリジナルの部分で使ってるのはそのポエトリーとベース・ラインくらいかな。この当時、今から20年くらい前ですけど、ハウスっていろんな要素があったと思うんです。今は機材の進歩などで作りこまれたものとなってるけど、それは逆に方向性を限定してしまう。昔の音はラフだからこそ、そこから色んな可能性に繋がる部分があった。だから、そうした可能性の幅を感じさせる音にしたかったですね。これって、何とかハウスだねって言われないものにしたいと言うか。昔のハウスがまだ細分化されていない頃は、ハウスの中にも色々な要素があり、でもハウスというもの自体が抽象的なものであったから、一般的にはそれほど受け入れられるものでもなかった。今はハウスも一般化しましたが、でもある種の確立された音があって、それをハウスだと思い込んでいる人も多い。本当はハウスっていうのは色んな音楽と接点があって、広がりがあるものなんだといういことを、こうした初期のハウスをカヴァーして改めて言いたかった、というのがありますね。

■で、パート2はミニマル・ミュージックになってるんですが、こうした展開にした意図とは?

F:もともとパート1の中で使おうと思ったシークエンスがあって、でも実際はパート1にはマッチしなかったので、こうしてパート2として別に取り出して、延々とループさせることにしたんです。パート1のポエトリーのメディテーション感を、70年代のジャーマン・プログレ的な解釈、アシュラとかタンジェリン・ドリームとかああいった形で表現できないかと思ったんですよね。そこにはハウスと繋がってる部分があると、僕は考えてますしね。

■こうした展開は今までのアルバムには無かったもので、そこは別名義のFを通過して出てきた音なのかなという気はしますね。

F:「EQUALITY」あたりまでは黒っぽさというものへのこだわりがあって、こうした白っぽいシークエンスを持ってくることはなっかたですね。でも、90年代の初期は実は使ってたこともあって、Fを通過することによって、それにもう一度取り組んだという感じですかね。自分の家のレコードを掘り返して、昔は今イチだったけど、今聴くと結構よかったりとか、ありません? それと似た感覚ですね。今回のアルバムでは黒さも追求してますが、同時にこうした白さもあるという・・・。

■「A Nodal Point」もディープなテック系でF経由の音という感じですね。この曲はパーカッションとSEがすごく印象的に織り込まれているんですが。

F:ええ、トラックはミニマルな感じなんですが、そこにゲンタさんがパーカッションを被せていきました。もう、フリー・インプロヴィゼーションという感じで自由に演奏してもらって、あとさらに僕もSEを加えていくんですけど、それもあまり構築せずに、その時の感覚やノリで自由に加えていった感じです。

■ヨーロッパではこうしたミニマルよりのディープ・テックものが全盛ですが、そうした影響も受けますか?

F::うん、確かに影響は受けますよ。ただ、日本だとこの手の音はまだまだというところもありますけどね。日本ってやはり歌ものハウスが根強いから。でも、僕の考えではこうしたテックなトラックに歌が乗っててもいいと思うんですよ。だから、このアルバムからリミックス12インチとかを切るんであれば、そういった方向に持っていくかもしれないですね。例えばジョーイ・ネグロにリミックスしてもらって、とか。僕の中では、今再びジョーイ・ネグロ・ブームだったりするんですよ。サンバースト・バンドとか好きですね。彼もキャリア長くて、基本的にベースにはディスコがあると思うんですけど、彼がリミックスとかで見せるあのブギーとテックの混ざり具合とか、いいですね~。

■こうしたディープ・テックな音って、福富さんがハウスに入る前に聴いてきた音楽、先ほど話に出たジャーマン・プログレとかが下地になっている部分もあるんですか?

F:うん、あると思います。そうしたところが、普通のテック・ハウスにはないちょっと変わった感覚に繋がってるのかもしれませんね。もともと、ディープ・テックがヨーロッパで流行ってるから自分でもやろうということは全くなくて、Fの1枚目のアルバムを出した時って、正直言ってヨーロッパのディープ・テックものってあまり聴いていたわけではないんです。出した後にメディアでレディオ・スレイヴ・タイプの音とかって紹介されてるのを小耳に挟んで、「へ~、そういうのがあるんだ」という感じでしたね。それで、買って聴いてみたら似てると(笑)。それから逆にその手のものを聴くようになって、それからセカンドを出したんですが、ただそれにしてもテックを聴いてテックを作るっていうんじゃなく、ジャーマン・プログレも含めて、自分がいろいろ聴いてきたものの中でリンクを貼れる部分を見出して、そうやって自分の解釈として提示したわけです。

■今レディオ・スレイヴの話が出ましたが、こうしたディープ・テック~ミニマル系のアーティストですと、他にはどのあたりの人にシンパシーを感じますか?

F:コブルストーン・ジャズはいいですね。テックなんだけど、あの音ってファンクを感じるんですよ。ベース・ラインの取り方とか、コード進行って。あと、リカルド・ヴィラロボスはもちろんだし、アレックス・アティアスも好きですね、作品によってバラつきがあるけど。それからディクソンにヘンリック・シュワルツ、アームといったインナー・ヴィジョンズ系はやっぱり聴きますね。USだと、ディープ・テックではないんですけど、ケリー・チャンドラーとデニス・フェラーは僕にとって「逆張り」の人たちですね。彼らは浮き沈みの激しい中にあって長年ずっとやってきてて、コアなハウス・ミュージックをずっとやり続けながら、でもいろんな音楽に対する手助けも行っている。「ハウスは?」と訊かれれば、僕はまずこの2人だと言うと思いますね。

■それから、「Nesting」はダブっぽい要素の入ったディープ・ハウスっていう感じですね。

F:ええ、実はこの曲は93年に発表したセカンド・アルバムに入ってる「Rock Out」という曲のリメイクなんですよ。その時のテーマは「踊れるフリー・ジャズ」だったんですけど(笑)。結構、フリー系の音も好きで聴いてたんですね。

■僕はこの曲のダビーなサックス処理とかを聴いて、昔ブライアン・イーノがジョン・ハッセルと組んでやってた民族音楽とアンビエントの融合、そんな世界を思い出しましたね。

F:なるほど、そういう感じもありますかね。あと、IGカルチャーの「ZEN BADIZM」が今年出ましたよね。あれの影響もあります。あの中で四つ打ちにフリーキーなサックスが絡む曲があって、それがトラックと全然合ってないんですよね。恐らくサックスを演奏したのとトラックを合わせる段階で、あえて外してるんでしょうけど。そういったディスコードしたものをやりたかったんです。

■「福富流フリー・ジャズ」とでも言うんでしょうかね?

F:そうですね、もしくはエレクトリック・マイルス後期の『Pangea』とか、ああいうイメージかな。

■あと、マーシャル・ジェファーソンのジャングル・ウォンズみたいなディープさ、怪しさもありますね。

F:ええ、ビートは古典的なハウスで、サックスはフリー・ジャズ。それからベース・ラインはESGをモチーフにしてるんですよ。

■なるほど、1つの曲の中で実にいろいろな要素があるんですね。いろいろな要素と言えば、「The Empty Set」もそうですね。マリンバを使った土着的な曲で、全体的にミニマルな感じがあって、リズムは3拍子になってて、進行的にはディープ・ハウスという・・・。個人的にはこのアルバムの中で一番面白いと思った曲です。

F:スティーヴ・ライヒが凄く好きなんですけど、でもマリンバを使って3拍子でミニマルをやると、もうライヒにしか聴こえなくなってしまうんですよ。だから最初やる時点ではすごく躊躇がありましたね。実はライヒの使ってるスケールって大体同じものが多いから、それを使っちゃうとすぐ似てしまうんですね。まあ、ライヒの場合、ミニマルなので似るうんぬんと言うより、世界観、空気感の展開じゃないですか。で、まあそういったことをいろいろ考えながらフレーズを作って、いつのまにかできてしまったという曲です。マリンバのパターンとシンセのパターンが入れ子状になっていて展開していって、リズムは3拍子なんだけどハウスの四つ打ちにも適応するもの、ってことで最終的なアイデアはまとまりました。

■ライヒは昔からずっと聴いてきたんですか?

F:82年頃にECMの「MUSIC FOR LARGE ENSEMBLE」を初めて聴いて、それでハマって、それ以前のものも遡って初期のテープ・ループのものとか、有名な「DRUMMING」とか、ひととおりは聴きましたね。でも、ライヒのリミックスとか僕には来なかったな~(笑)。

■福富さんにしろ、僕もそうなんですが、ニューウェイヴを同時体験してきた世代って、同時にこうしたライヒとか、フィリップ・グラスとか、現代音楽なんかも聴いたりしましたからね。そうしたテイストが、やっぱり作品にも出るんでしょうかね?

F:ええ、やっぱりニューウェイヴ世代の感覚ってあるんでしょうね。ただ、今はニューウェイヴ自体もある種のサウンドとしてリヴァイヴァル気味ですけど、ニューウェイヴもジャンルじゃなくてアティチュードじゃないですか、音楽に対する関わり方とか、態度っていう。で、音楽を通してそれを学んでいったんですね。そういう意味でいい時代だったし、おかげでいろいろな音楽とめぐり合うこともできたと思いますよ。それら無くして、今回のアルバムは生まれなかったでしょうね。

インタビュー:小川充

■Yukihiro Fukutomi『Contact』Release Tour
11月15日(土)@京都METRO with 沖野好洋(Kyoto Jazz Massive),akiko
11月21日(金)@福岡Kieth Frack with arvin homa aya,Kentaro Takizawa
11月22日(土)@熊本INDIGO with arvin homa aya,Kentaro Takizawa
11月28日(金)@札幌mole with akiko,JABBERLOOP
11月29日(土)@金沢maniler with IZUMI(MINOTAUR),TR,BRISA
12月06日(土)@東京The Room with沖野修也(Kyoto Jazz Massive)
12月20日(土)@東京LOOP with Kentaro Takizawa
12月26日(金)@三重.. with akiko
12月27日(土)@名古屋mago with BRISA
01月24日(土)@長崎雨月with arvin homa aya
02月20日(金)@神戸troop cafe with akiko

★2008年1月31日(土)東京・代官山UNITにてリリースパーティ予定!

福富幸宏『CONTACT』リリース関連情報

●『トウキョウ発信世界水準カルチャーギークショップ:序』
11月12日~12月12日の期間中、東京・渋谷PARCO PART3にて期間限定オープンしているメンズファッションブランド・MINOTAURのショップ「MINOTAUR Shop by TOKISHIRAZU AND MA」×福富幸宏のコラボレートが決定。GOOD ENOUGH、PORTER、BE@RBRIC等のコラボと並んで、福富幸宏が音楽でのコラボを担当。MINOTAURよりコラボレートTシャツの販売もする予定。
*福富幸宏がアーティスト写真で着用しているレザージャケットは「MINOTAUR」のもの。

●11月12日、Verve/ユニバーサルJAZZより発売になる、ジャズシンガーakikoのオリジナルアルバム『What's Jazz? -SPIRIT -』(UCCJ-2073 2,800yen (tax in) Verve)に、福富幸宏が、サウンドプロデュースで、5曲参加。うち2曲は、福富幸宏×吉澤はじめ氏との共同プロデュース)

■Yukihiro Fukutomi関連リンク

Yukihiro Fukutomi official web-site
Yukuhiro Fukutomi my space(試聴可能です)
Yukihiro Fukutomi 「Contact」イメージ映像


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YUKIHIRO FUKUTOMI CONTACT

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