MISTER SATURDAY NIGHT、初のオフィシャル・ミックスCD「WEEKENDS AND BEGINNINGS」リリース記念、特別インタビュー!!!

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2014.12.26

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<MISTER SATURDAY NIGHT>初のオフィシャル・ミックスCDリリース記念、特別インタビュー!!! NY・ブルックリンの今一番ヤバいパーティーとしてパーティー・ピープル達を沸かせているレーベル兼パーティー<MISTER SATURDAY NIGHT>。今回のミックスCD「WEEKENDS AND BEGINNINGS」のリリースのタイミングで、EAMON HARKINとJUSTIN CARTERにメールでインタビューすることが出来ました。音楽、レーベル、パーティー、政治と多岐に渡る内容で、興味深いものになっています。じっくりとお楽しみくだだい。




インタビュアー:河村祐介


■まずはミスター・サタデー・ナイトのパーティーについて、影響を受けてきたパーティーがあるとすればそれはどのパーティー? その理由を含めて教えてください。

EAMON HARKIN(以下EH):僕は、アイルランドを出発した後に、何年かロンドンに住んでいたんだ 。時折、OPTIMOを聴きにグラスゴーまで行ったし、彼等がロンドンにきた時はもちろんチェックしに行ったよ。たしか2000年から2002年ぐらいだったと思う。まず、OPTIMOの多様で音楽に対するオープンなポリシーに引きつけられたんだ。
まだハウスやディスコ、テクノなどダンスミュージックの文化に完璧にはハマっていなかった時で、音楽的なバックグラウンドはインディーロックやポスト・パンクで、ブッキングしていたバンドやかかっていた音楽なんかがとてもエキサイティングだった。!!!LIQUID LIQUIDSONS & DAUGHTERSとかね。
同時に、フロアでの経験を共有することで、さらにダンスミュージックに対しての興味が沸き上がってきていたので、その時誰がプレイしているのかDJブースに見に行ったんだ。
同時に、フロアでの経験はバンドが演奏するのを観に行くといった限定的な楽しみ方を超えていて、ダンスミュージックに対しての興味が湧き上がっていった。
KEITHとJONNIEは、僕が知らないままだったかも知れない多くのジャンルへの入り口を与えてくれて、
それから、ダンスミュージックの深淵への旅が始まったんだ。
一つのジャンルに留まるべきではないという考えは、今日までDJの教えになっている。それは、大げさでなく、自分の今日のDJとしての考え方や音楽的成熟にとって、とても重要で、本当に有益な経験だったんだ。

JUSTIN CARTER (以下JC): 僕は、1999年8月に大学へ進学する為、ニューヨークへ引っ越したんだ。
自分は、ダンスミュージックについては何も知らなかったけれども、ついていたのは、BODY & SOULに僕を連れてくような、年上のボーイフレンドがいるやつが学生寮にいたって事。僕の一番鮮明な記憶ではダンスフロアの真ん中で、みんなお互いに幽体離脱のような体験をしてしまったことかな。完全なユートピアのようだった。母親と一緒に踊る40代のゲイのおじさん、前の晩から衰えることのないクラブキッズ、スウェット姿の汗まみれのダンサー、ストレートの白人の男の子、あらゆる人種。
Andrew Nimmo(僕の最高の相棒の一人)は前に、彼がニューオリンズに行った時に彼のクールなおばさんと過ごした時についての話を僕にしてくれた。
彼はこんな事を言っていて、
「多様性とその受け入れ方についての話だった。でも、あなたがいい音楽を聴いているときや、それを楽しんでいるとき、周りを見渡してみれば、あなたと違った誰かがいるはず。そして彼等も音楽を楽しんでいるし、私達との共通点が多いことがわかってしまうわね。」
また、僕はBODY & SOULで本当にダンスを学んだ。堅苦しいダンスの話ではなくて、体を動かすということについての話。それがどのように起こるかについて本当にはわからないんだけれど、多分、馬鹿みたいになることを恐れないで、気持よく感じることが大事なんだ。そこに一人で行って、その間中、我を忘れていたるところで腕を振り回したりとか。
僕は少しずつBODY & SOULで働くことにしたんだ。Tシャツを売ったり、出演者とのEメールのやりとり、リストの管理、それとJOHN DAVISの手伝いとかね。それで、パーティーの始まりと終わりを見て、ニューヨークのナイトライフの背景を知り、素晴らしい音楽的時間を体感することが出来た。
僕が知るかぎり、全てのレジデントDJは、UBP CLASSIC MIXのDONNA ALLEN"He Is The Joy"をプレイしていた。そして、毎週この曲を聴き続けたけど、いいレッスンとして曲を繰り返し聴くことはとても為になったんだ。実際の話、アンセムが毎週かかることで誰もが心に人生の歌として与えられたと思うよ。
3人ともそれぞれ僕に色々なものを教えてくれた。FRANCOIS Kがピークタイム時にドラムンベースを投下することで、DJがフロアをコントロールすることを本当に理解した最初だった。DANNY KRIVITはクロージング・パーティーの時に"Miss You"をベストなタイミングでプレイし、フロアが何を聴きたいのか熟知していることを証明した。そして、JOE CLAUSSELLはDJブースでの超絶的な集中力、みんなと楽しみをわかちあう曲のかけ方などを繰り返し教えてくれた。


 

■ミスターサタデーでは、地元の貧困に悩むひとたちにドネーションパーティも行っているようだけど、あれはどのような思いで行いはじめたんですか?
 
EH:僕たちは特に、ニューヨークの驚くほど広範囲における貧困とホームレス、両方の問題について関心を寄せている。NYでは20,000人以上、住む場所が無い子どもたちがいる。そして、5人に1人が貧困生活者なんだ。
街の豊かな文化的遺産と歴史、繁栄とこのショキングな統計はセットになっている。僕たちはこの問題の注意を引きつける立場にあって、彼らに援助することを示せるのは、ある意味幸運だと思う。
 
■パーティーが開催されている12-Turns-13のオーナーとはどこで知り合い、そこでパーティーをするようになった経緯を教えて下さい。

JC:12-Turns-13はSTEVE ROGENSTEINの家だったんだ。STEVEは12-Turns-13には大体15年住んでいた訳だけど、僕達が彼とパーティーを始める前、彼は他のいろんなパーティーを主催していたよ。特別なディナー、映画の上映会、蜂蜜品評会、ブレイクダンスのバトルとか、あらゆる面白い親密なイベント。場所ありきで彼に出会ったんだけど、そのうち年を経て、僕らの最高の友達になったという訳。彼みたいな奴にはこれまで出会ったことがなかったね。
彼は彼で、パーティーのためにとても気を配って、アットホームに感じさせる方法だったり、他にも、赤の他人を家に入れるのをOKしてくれたり、とても良くしてくれた。STEVEは最近、12-Turns-13をクローズして、スペインに引っ越してしまったんだ。彼がいなくて僕らは本当に寂しいよ。



■ミスターサタデーナイトとミスターサンデー、とてもストレートなネーミングですが、これはどんなアイディアから?
 
EH:僕らはダンスミュージックとナイトライフのニュアンスを含んでいなくて、あいまいで、でも奇抜で、それでいて色んなタイプの人にとって入りやすく開放的なものを提案できるような名前を探していた。だいたいのレーベルやパーティーはダークな名前で、偶然ダンスミュージックに興味を持った人を妨げてしまうと思う。
僕らはいつもDJとダンスミュージックの文化を必ずしも興味のない人達も惹きつけることを目指している。彼らの興味を引くような、真面目でつまらないものでもなく、センスを創造するのを助けるような名前を期待したんだ。

■1990年代末〜2000年代初頭にかけて、多くのクラブがジュリアーニ元NY市長によって潰されました。あれから10年がたち、NYのナイトライフは変わったんでしょうか?

JC:ナイトライフは90年代後半から多くの面で変わった。考えるに、一番大きな変化は、クラブの外側で起こったと思う。多くのパーティーがあったウェアハウスやロフトが最近閉められていることを考えれば、それの動きがとどまるとは思わない。直近の2つの市長の政権の姿勢を見ると、今あるクラブは落ち着いたとは思うから、新しいスペースがニューヨークでオープンしているのを数年のうちに見られると思っている。

■ちなみにあなたたちは年齢的にいくつぐらいで、ナイトライフの遊びはじめはいつ頃のどんなパーティーだった?
 
EH:僕らふたりともダンスミュージックでは遅咲きタイプだったけど、大学に入ったとたん、一気にそれを発見したよ。JUSTINはNYで勉強をしているときに BODY & SOULで始まって、僕はロンドンの大学に行きつつ、THE ENDやFABRICに通ってクラビングしていたんだ。

■2009年にあなたたちふたりでパーティーをはじめるまえのそれぞれの簡単なキャリア、DJをはじめたきっかけを教えてください。

EH:僕は2004年にロンドン経由で北アイルランドからニューヨークに到着して、すぐにNYのレジェンド、ARTHUR RUSSELLと、ダウンタウンの豊かな歴史に敬意を評したパーティー、"Calling All Kids"を打ち出した。
パーティーが軌道に乗り出したのは、スポット出演の"Motherf*cker"と、そして今はもうない"STUDIO B"で始めた"FUN"のレジデントDJから。そこで、積極的なブッキングと制作でいろんな才能を呼べたんだ(たとえばModeselektor , The Egyptian Lover , Grandmaster Flash , Trevor Jackson……)
ちょうどこの頃、自分のトラックの制作を始めた。WURST EDITSとか、オリジナル・プロダクションをTHRONE OF BLOODとかから。そこから、JUSTIN CARTERと出会ってそして"SUNDAY BEST"と"MISTER SATURDAY NIGHT"を始めたんだ。
DJを始めたきっかけは、音楽とダンスミュージック・カルチャーへの愛からかな。たくさんのレコードを選んで束ねることは、きっと面白いって思ったんだ。
 
JC:僕は2003年にDJを始めたよ。2004年にはイーストヴィレッジにある”NUBLU”っていう小さなクラブのレジデントになったんだ。”NUBLU”はとてもくつろげる場所であり、そして僕の初めてのレジデントDJということで、音楽とパーティーについての知識を教えてくれた。BUTCH MORRISのフリージャズ、FORRO IN THE DARKの伝統的なブラジル音楽、BRAZILLIAN GIRLSのエレクトリックなポップスがそこにあった。本当に誰かの家のような場所で、よくDJがバンドのセットから弾かれることがあるけど、DJとバンドに等しく重要な場所を与えていたよ。
2006年には、音楽ディレクターとAPTのレジデントDJになっていた。EAMONをレジデントDJとしてAFRIKA BAMBAATAAを一緒にブッキングした時にAPTを通して出会った。結局、僕らはSUNDAY BESTというパーティーを一緒に始めて、そしてMISTER SATURDAY NIGHTとMISTER SUNDAYを始めるに至ったんだよ。



■もっとも影響を受けたDJは?

JC:僕はBODY & SOULのDJたちだと言える。同時に彼らは最も聴いたDJだし、先に言ったように、それぞれ異なる何かを学んだし、一緒にグループでプレイしているスタイルからも学んだと感じている。

EH:僕も同様に先に言ったとおり、OPTIMOだと思う。彼らは僕にとって一回のセットで色んな違うタイプの音楽を一緒にプレイしても問題ないことを明らかにしてくれた最初のDJだ。また、レギュラーパーティーの共同体意識のようなものを作り上げることができることを示してくれたよ。

■さて、ミスターサタデーナイトが、レーベルとしてはじめるきっかけになった出来事はなにかあるんですか? それこそアーティストも含めての コミュニティーということなのかもしれませんが。

EH:それは、異なる影響力を色んな方向に適応できるように音楽的な面で広がっていくのは自然な流れだった。
僕らがしている音楽的な面が広がることは自然な流れだったし、それはいろんな意味で影響力についてなんだ。
僕らはいつも新しい音楽にエキサイトしているし、新しい音楽を育んで広げてリリースするのは本当にやりがいがあるよ。

■先日リリースされたコンピに続いて、ミックスCDを出すということだけど、このミックスはパーティーでのライヴ・ミックスですか? どのくらいの 時間を取られたのでしょうか?
 
JC:このミックスCDの計画にはとても長い時間がかかった。僕らは100本以上のトラックから使えると思ったものを選んで、それで、MISTER SATURDAY NIGHTで働いているスタッフのTJに、音源のライセンスを取れるか頑張ってもらった。一旦ライセンスがとれたあと、MISTER SUNDAYでミックスCDを作ったんだ。
ライセンスがとれていないものが若干あって、多少のスタジオ作業が必要だった。正しい音量にそろえるとか、いいタイミングでフロアの音が鳴るようにするとか。でも、実は一番大事な作業はミックスする前だったね。

■なにかこのミックスCDにコンセプトはありましたか?

EH:僕らはMISTER SUNDAYを音楽的に語りたかったし、人々が戻ってくるような本当のアルバムが欲しかったんだ。その2つの要素の意味を出すためにスタジオでの特別な作業は重要だったね。

■タイトルの「Weekends and Beginnings」はどんな意味合いでつけられたのでしょうか?
 
JC:週の始まりと終わりということで、MISTER SUNDAYのポジションにうまく当てはまっている。多くの人々が、このパーティーが一週間を始める為の素晴らしい選択だとか、週を終える為の大好きな時間だとか、あと最高の音楽だって言ってくれるんだ。

■あなたたちはすでに最近では世界中をまわるDJでもあります、そうして他のシーンをみるようになったあなたたちの目から見た、ブルックリンの シーンの良さを教えてください。

EH:最高なのは、僕らが知っているコミュニティーでプレイすること。ダンスフロアで見るおなじみの顔と音楽的に彼らとどのように関係を持てるかって事は特別だ。それはブルックリンがぼくらにとって特別であるってことの大きい理由だね。


翻訳協力:松本 泰弘、山崎 真







★12月27日発売! ミスター・サタデー・ナイト初のオフィシャル・ミックスCD!!
イーモン・ハーキン・アンド・ジャスティン・カーター
「ウィークエンズ・アンド・ビギニングス」


EAMON HARKIN AND JUSTIN CARTER
WEEKENDS AND BEGINNINGS (国内仕様盤)
MUSIC 4 YOUR LEGS / CD / 2014年12月27日 / 2,700円(税込)


レーベル運営やパーティーを主宰する前に、我々はDJなのだ!と高らかに宣言する二人。今夏8月24日のMISTER SUNDAY(彼らが開催する野外でのアフター・パーティー)で録音された。ライセンスなどの問題で楽曲には少しエディットが施されてはいるが、ほぼとって出し、現場RECのミックスを収録! 様々な不確定要素が絡み合う野外ならではの選曲は、スタジオ録音のミックスにありがちな最新のヒット音源を散りばめた内容とは全く違う、現場なればこそ起き得る化学変化的選曲であり、貴重なゆらぎを感じられる稀有なミックス記録物である!
世界的には数々の人気シリーズが休止し、soundcloudなどでフリーの音源を楽しめる状況で、何故ミックスCDをリリースするのか。その理由はこれを聴けば自ずと感じられることだろう。


 

ソングリスト



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